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つぶ
ふりがな文庫
“
閉
(
つぶ
)” の例文
「逸見流の矢は、もそっと長え。」藤吉は眼を
閉
(
つぶ
)
ったまま、「関の六蔵
一安
(
かずやす
)
三十三間堂射抜の矢、あれだ。いやに太短えもんなあ。」
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「お母さまがいらつしやらないと、淋しいでせう? あなたは始めからずつとさうして目を
閉
(
つぶ
)
つたまゝでいらつしやるの?」
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
戸の隙から、
一寸
(
ちょっと
)
覗いて見ると、やはり眼を
閉
(
つぶ
)
って何事をか念じているように、太い、白い眉は、何処か、
普通
(
なみ
)
の僧でないという感じを抱かせた。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と一方が横倒れになるとたんに、目を
閉
(
つぶ
)
って、組みついていた腕だすきも、ハッとふりほどかれて、侍の肩を越した。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曠原を盲進す 眼を
閉
(
つぶ
)
って進んで見たがどうも進むに困難である。だから少し眼を開いて進んで行くとますます眼が痛み出して今にも潰れるような痛さ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
そしてこの一騒ぎ演じた大男も、さすがに今の死に損なった
恰好
(
かっこう
)
を思い出したのであろう、
片眼
(
かため
)
を
閉
(
つぶ
)
って面白くもなさそうな顔をしながらニヤリと苦笑して見せた。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この一団の精神から、自分の魂だけを切り離す談判をするのは、
小
(
ち
)
さき
竈
(
かまど
)
に立つべき煙を予想しながら
薪
(
たきぎ
)
を奪うと一般である。忍びない。人は眼を
閉
(
つぶ
)
って
苦
(
にが
)
い物を
呑
(
の
)
む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浴槽
(
ゆぶね
)
の一
端
(
たん
)
へ
後腦
(
こうなう
)
を
乘
(
のせ
)
て一
端
(
たん
)
へ
爪先
(
つまさき
)
を
掛
(
かけ
)
て、ふわりと
身
(
み
)
を
浮
(
うか
)
べて
眼
(
め
)
を
閉
(
つぶ
)
る。
時
(
とき
)
に
薄目
(
うすめ
)
を
開
(
あけ
)
て
天井際
(
てんじやうぎは
)
の
光線窓
(
あかりまど
)
を
見
(
み
)
る。
碧
(
みどり
)
に
煌
(
きら
)
めく
桐
(
きり
)
の
葉
(
は
)
の
半分
(
はんぶん
)
と、
蒼々
(
さう/\
)
無際限
(
むさいげん
)
の
大空
(
おほぞら
)
が
見
(
み
)
える。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
目を
閉
(
つぶ
)
ってしまいました。それでも忠実な黄は私の身を案じてなかなか
退
(
さが
)
ろうとはせず、躊躇して居りましたが、私はもう相手にもならず、くるりと横を向いてしまいました。
妖影
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
私は白晝でも眼さへ
閉
(
つぶ
)
れば、
梅川
(
うめがは
)
や、忠兵衞や、おこよや、源三郎や、ロメオや、ジュリヱツトや、パウロや、フランチェスカや、其れ等の若い人々の美しい
容貌
(
かほかたち
)
、亂れた髮
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
一人は、腕を組んで、眼を
閉
(
つぶ
)
って、身動きもしなかった。二人とも、頬冠りをしていたが
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
寝床に就いてからも、夫人は独りで、「今日は
温順
(
おとな
)
しく御留守したかい……母さんの御留守したかい……」と繰返した。眼を
閉
(
つぶ
)
りながら、一人づゝ子供の名を口の中で呼んで見た。
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「眼を
閉
(
つぶ
)
って考えあてるのか。それとも眼をあけて考えるのか。」
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
目を
閉
(
つぶ
)
れば物の触合ふ音のする
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
冷吉はその方の目を
閉
(
つぶ
)
つて傷を押へて見ると、どうもない筈の左の目が眞つ暗で
何
(
なん
)
にも見えないから變であつた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
或長屋の角に立って、磐を鳴らして、霙混りの
泥途
(
ぬかるみ
)
の中に立って、やはり眼を
閉
(
つぶ
)
って経を唱えていた。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
前の晩よく寝られなかった津田は、その朝看護婦の運んで来てくれた
膳
(
ぜん
)
にちょっと手を出したぎり、また
仰向
(
あおむけ
)
になって、
昨夕
(
ゆうべ
)
の不足を取り返すために、重たい眼を
閉
(
つぶ
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で頭には小さなブータン製の
山繭
(
やままゆ
)
の赤い
頭掛
(
あたまかけ
)
を懸けて、少し
俯向
(
うつむ
)
き心になって眼を
閉
(
つぶ
)
って居られるです。その端にはこの貴婦人を警護して居る巡査のような者が三人ばかり居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
奥様は目を
閉
(
つぶ
)
って一口に飲干して、御顔を
胡燵
(
おこた
)
に押宛てたと思うと、忍び音に御泣きなさるのが絞るように悲しく聞えました。唐紙に身を寄せて聞いて見れば、私も胸が込上げて来る。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そうけえ。」と藤吉は眼を
閉
(
つぶ
)
って、「俺らあ一寝入りやらかすとしょう。こうっ、四つ打ったら起してくんな。そいから何だぞ野郎ども、好えか、その時
雁首
(
がんくび
)
揃えて待ってろよ——。」
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
校長は眼を
閉
(
つぶ
)
り歯を
喰
(
くい
)
しばったまま
頭
(
かしら
)
を
垂
(
た
)
れ両の
拳
(
こぶし
)
を
膝
(
ひざ
)
に乗せている。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と茂十さんはその頃を思い出すようにじっと眼を
閉
(
つぶ
)
った。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
鈴代
閉
(
つぶ
)
った眼をひらき
渡鳥いつかへる:軽演劇一幕四場
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さうして寢椅子を縁側に出して長まつて、久しぶりに與へられた日向をなつかしみつゝ目を
閉
(
つぶ
)
つた。
女の子
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
すると
不思議
(
ふしぎ
)
に、いままで、
閉
(
つぶ
)
っていた
目
(
め
)
が
開
(
ひら
)
いて、
見
(
み
)
るまに、めきめきとなおりはじめたのです。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「もうおねむに成つたんでせう、それで
其様
(
そんな
)
な愚図愚図言ふんでせう。」そこへお節は気が着いて自分の膝を枕にさせて居るうちに、子供は泣じやくりを
吐
(
つ
)
きながら次第に眼を
閉
(
つぶ
)
りかけた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こんな
絡
(
から
)
んだ縁をふつりと切るのに想像の眼を
開
(
あ
)
いていては出来ぬ。そこで小野さんは眼の
閉
(
つぶ
)
れた浅井君を頼んだ。頼んだ
後
(
あと
)
は、想像を殺してしまえば済む。と
覚束
(
おぼつか
)
ないが決心だけはした。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と阿母は眼を
閉
(
つぶ
)
って、二、三回頭を振りました。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
最初は眼を
閉
(
つぶ
)
って、尖った唇で何か甘い物でも飲むような調子で
悠然
(
ゆったり
)
と吸い始めたが二口、三口目から、彼の
顔付
(
かおつき
)
は怖しく変って、口は耳許まで裂けたように薄黒い歯をむき出して
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あら、目を
閉
(
つぶ
)
ってるものがあるものか。……さ、写りますよ。……ただ今。はいありがとう」と手に持った厚紙の
蓋
(
ふた
)
を鑵詰へ
被
(
かぶ
)
せると、箱の中から板切れを出して、それを
提
(
さ
)
げて
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
退儀
(
たいぎ
)
な
身體
(
からだ
)
を
無理
(
むり
)
に
動
(
うご
)
かす
割
(
わり
)
に、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
は
少
(
すこ
)
しも
動
(
うご
)
いて
呉
(
く
)
れないので、
又
(
また
)
落膽
(
がつか
)
りして、ついには
取
(
と
)
り
放
(
はな
)
しの
夜具
(
やぐ
)
の
下
(
した
)
へ
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んで、
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
を
遠
(
とほ
)
ざける
樣
(
やう
)
に、
眼
(
め
)
を
堅
(
かた
)
く
閉
(
つぶ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふ
事
(
こと
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
口を少し開いて、
睫毛
(
まつげ
)
の長い目を
閉
(
つぶ
)
つてゐられる坊ちやんの寝顔を見守つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「
成
(
なる
)
たけ、はっきりと分るように……。」と翁は、いって黒板に書かれた
点
(
ボチ
)
を睨んで言った。で、自分は足許の椅子に腰を下して、眤と眼を
閉
(
つぶ
)
って、両手を広い額に当てて瞑想に耽ったのである。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
退儀
(
たいぎ
)
な
身体
(
からだ
)
を無理に動かす割に、頭の中は少しも動いてくれないので、また
落胆
(
がっか
)
りして、ついには取り放しの夜具の下へ
潜
(
もぐ
)
り込んで、人の世を遠ざけるように、眼を堅く
閉
(
つぶ
)
ってしまう事もあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
冷吉は蒲團の上に寢せられると直ぐから目を
閉
(
つぶ
)
て、ずつと、昏睡したやうに憊れた眠りに落ちた。ふいと、寢飽きたやうな不愉快な心持に目がさめると、からだ中がじつとり汗になつてゐる。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
“閉”の意味
《名詞》
(とず) 暦注の十二直の一つ。堤を築くことなどに吉、柱立て、婚姻、鍼灸などに凶という日。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
“閉”を含む語句
閉塞
閉籠
幽閉
閉口
開閉
閉場
閉切
戸閉
閉込
閉鎖
開閉器
密閉
閉出
閉伊川
閉店
上閉伊郡
密閉室
大閉口
閉扉
本開閉器
...