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頓着
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とんじゃく
ふりがな文庫
“
頓着
(
とんじゃく
)” の例文
さような事に
頓着
(
とんじゃく
)
はいらぬから研ぐには及ばん、又憎い奴を
突殺
(
つきころ
)
す時は錆槍で突いた方が、先の奴が痛いから此方が
却
(
かえ
)
っていゝ
心持
(
こゝろもち
)
だ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自身の書いているものにも、
仮名違
(
かなちがい
)
なんぞは沢山あるだろう。そんな事には
頓着
(
とんじゃく
)
しないで
遣
(
や
)
っている。要するに頭次第だと云った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
叔父があわてて口の締まりをして
仏頂面
(
ぶっちょうづら
)
に立ち返って、何かいおうとすると、葉子はまたそれには
頓着
(
とんじゃく
)
なく
五十川
(
いそがわ
)
女史のほうに向いて
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
しかして朝起きて夜寝るまで、自分のなすこと、接することを一々数えたてれば、自分が
頓着
(
とんじゃく
)
しなくとも善いことが多くありはせぬか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
知りまへんと芸者はつんと済ました。野だは
頓着
(
とんじゃく
)
なく、たまたま逢いは逢いながら……と、いやな声を出して
義太夫
(
ぎだゆう
)
の
真似
(
まね
)
をやる。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
しかし彼はそんなことには
頓着
(
とんじゃく
)
なく、よろよろとよろけながら一人の警官の卓の前に進んで行った、そして卓を
叩
(
たた
)
いて叫んだ。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
たまたま季題が役に立つ場合があるかも知れないがそれは
極
(
ご
)
く
少
(
すくな
)
い。季題に
頓着
(
とんじゃく
)
なく詠う方が深刻でかつ自由であろうと思う。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
所が私は又その測量者があろうとなかろうと、その推測が
中
(
あた
)
ろうと中るまいと、少しも
頓着
(
とんじゃく
)
なしに相替らず悠々として居ます。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
放蕩
(
ほうとう
)
と
懶惰
(
らんだ
)
とを
経緯
(
たてぬき
)
の糸にして
織上
(
おりあがっ
)
たおぼッちゃま方が、
不負魂
(
まけじだましい
)
の
妬
(
ねた
)
み
嫉
(
そね
)
みからおむずかり遊ばすけれども、文三はそれ等の事には
頓着
(
とんじゃく
)
せず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その結果がビフテキ主義となろうが、
馬鈴薯
(
じゃがいも
)
主義となろうが、
将
(
は
)
た
厭世
(
えんせい
)
の徒となってこの生命を
咀
(
のろお
)
うが、決して
頓着
(
とんじゃく
)
しない!
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
銃猟
(
じゅうりょう
)
道楽は天下に多し。
走獣
(
そうじゅう
)
飛禽
(
ひきん
)
を
捕獲
(
ほかく
)
するの術は日に新しきを加うれどもその
獲物
(
えもの
)
の料理法を
頓着
(
とんじゃく
)
するものは
甚
(
はなは
)
だ
稀
(
まれ
)
なり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
人も減らした。炉辺に賑やかな話声が聞えようが、聞えまいが、彼はそんなことに
頓着
(
とんじゃく
)
していなかった。ドシドシ薬を売弘めることを考えた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
老奥方
(
おばあさん
)
のお辞儀は段々ふえて、売れ高はグングン減ってゆくが、そんな事に
頓着
(
とんじゃく
)
のない
老媼
(
おばあさん
)
は
隣店
(
となり
)
の売行きを感嘆して眺め、ホクホクしていう。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「曇って来た、雨返しがありそうだな、自我得仏来所経、」となだらかにまた
頓着
(
とんじゃく
)
しない、すべてのものを忘れたという音調で
誦
(
じゅ
)
するのである。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鬼五郎鬼五郎といって
罵
(
ののし
)
りました。そんな事に
頓着
(
とんじゃく
)
なく、何の道楽も特別のぜいたくもしず、ただ金をためたのです。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
が、小娘は私に
頓着
(
とんじゃく
)
する
気色
(
けしき
)
も見えず、窓から外へ首をのばして、闇を吹く風に銀杏返しの
鬢
(
びん
)
の毛を
戦
(
そよ
)
がせながら、じっと汽車の進む方向を見やっている。
蜜柑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
現代とても在来の経典を
以
(
もっ
)
て満足し、更に一歩を進めて真理の
追窮
(
ついきゅう
)
に当ろうとする、
気魄
(
きはく
)
のとぼしき者は多いであろう。それ等に対してわれ等は
頓着
(
とんじゃく
)
せぬ。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
実名の
頓着
(
とんじゃく
)
もなかったまでなのだったが、後に偶然の事から彼の名前は水流舟二郎と
称
(
よ
)
ぶのだと知らされた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
そして、
八反
(
はったん
)
の着物を着たまま、ゴミ
除
(
よ
)
け
眼鏡
(
めがね
)
を顔につけ、部落を乗りまわしたものであった。その姿は全く異様であったが、
頓着
(
とんじゃく
)
するどころではなかった。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
小初は貝原の様子などには
頓着
(
とんじゃく
)
せず、貝原の言葉について考え入った。——自分の媚を望むなら、それを
与
(
あた
)
えもしよう。肉体を望むなら、それを与えもしよう。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし老嬢は不平そうな私の顔つきに
頓着
(
とんじゃく
)
せず、ひどく安心しきったような
鷹揚
(
おうよう
)
な態度で
頷
(
うなず
)
きながら、「あの児は大へん賢いです」を相変らず繰り返すばかりでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ジオゲンは
勿論
(
もちろん
)
書斎
(
しょさい
)
だとか、
暖
(
あたたか
)
い
住居
(
すまい
)
だとかには
頓着
(
とんじゃく
)
しませんでした。これは
彼
(
か
)
の
地
(
ち
)
が
暖
(
あたたか
)
いからです。
樽
(
たる
)
の
中
(
うち
)
に
寐転
(
ねころが
)
って
蜜柑
(
みかん
)
や、
橄欖
(
かんらん
)
を
食
(
た
)
べていればそれで
過
(
すご
)
される。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
着ものなどに
頓着
(
とんじゃく
)
しない小野田は、お島の帰りでもおそいと、時々近所のビーヤホールなどへ入って、蓄音機を聴きながら、そこの女たちを相手に酒を飲んでいては
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
霞が浦が
如何
(
どう
)
あろうと筑波がこうあろうと
頓着
(
とんじゃく
)
もない万作が眼には何も見えぬが、お光の眼には
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
にっこりして,「それでもあなた、出来ないくせに大変に好きで」というのを
枕
(
まくら
)
に置いて自分を賞め始めた,前の言葉とは矛盾したが、そこが女の癖で、
頓着
(
とんじゃく
)
はなかッた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
この娘! この娘! この娘なんだ! どうしてくれようとちらと横眼で見ると恋と
妬心
(
としん
)
に先を急ぐ弥生は、
同伴
(
つれ
)
のお藤が何者であろうといっさい
頓着
(
とんじゃく
)
ないもののように
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おとよに省作との
噂
(
うわさ
)
が立った時など母は大いに心配したに係らず、父はおとよを信じ、とよに限って決して親に心配を掛けるような事はないと、人の噂にも
頓着
(
とんじゃく
)
しなかった。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
場所柄に
頓着
(
とんじゃく
)
なく、しっかり頼みますぞ、など声をかける者がある。それを笑う声も起った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
登は去定の説明を聞きながら、その理論の当否よりも、そういうところに眼をつけ、それを是と信じ、他の反対や不平に
頓着
(
とんじゃく
)
せず、すぐに実行する彼の情熱と勇気に感嘆した。
赤ひげ診療譚:05 徒労に賭ける
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
別段悩める
容態
(
ようす
)
もなく
平日
(
ふだん
)
のごとく振舞えば、お浪は
呆
(
あき
)
れかつ案ずるに、のっそり少しも
頓着
(
とんじゃく
)
せず
朝食
(
あさめし
)
終
(
しも
)
うて立ち上り、いきなり衣物を脱ぎ捨てて
股引
(
ももひき
)
腹掛け着けにかかるを
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
言い
遁
(
のが
)
れる言いようを教えてもろうたけれど、それには
頓着
(
とんじゃく
)
せず、恋のために火をつけたと真直に白状してしもうたから、裁判官も仕方なしに放火罪に問うた、とも伝えて居る。
恋
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
これによりて見るも先生の
平生
(
へいぜい
)
物に
頓着
(
とんじゃく
)
せず
襟懐
(
きんかい
)
常に
洒々落々
(
しゃしゃらくらく
)
たりしを知るに足るべし。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
いっしょに集まってうまくゆくようにできてるかどうかには
頓着
(
とんじゃく
)
なく、ともかくも各部をくっつけてみたのだ。それで各人は、あらゆる方面から来た断片で作られることになった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
どうせ自分のベストをつくすよりほかにしかたがないのである。人がなんと言おうが、どう思おうが、そんなことに
頓着
(
とんじゃく
)
していられる場合でない。こう思ったかれの心は軽くなった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
基礎ヤ標準ヤニ
頓着
(
とんじゃく
)
スルマデモアリマセヌ、タダヤタラニオハナシ体ヲ振廻シサエスレバ、ドコカラカ開化ガ参リマスソウデ、私モマケズニ言文一致デコノ手紙ヲシタタメテ差上ゲマス
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
カングリ警部は涼しい顔で答えたが、巨勢博士はそれに
頓着
(
とんじゃく
)
していなかった。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
夜は
更
(
ふ
)
け
途
(
みち
)
は
濘
(
ぬかる
)
んでいるがそれにも
頓着
(
とんじゃく
)
せず文吉は操を訪問したのである。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
私の
茲
(
ここ
)
に書く物も私の端的な直観を順序に
頓着
(
とんじゃく
)
しないで記述する外はない。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
始終
家
(
うち
)
を外の
放蕩三昧
(
ほうとうざんまい
)
、あわれな
妻
(
かない
)
を一人残して家事の事などは
更
(
さら
)
に
頓着
(
とんじゃく
)
しない、
偶
(
たま
)
に帰宅すれば、
言語
(
もの
)
のいい
様
(
ざま
)
箸の
上
(
あ
)
げ
下
(
お
)
ろしさては
酌
(
しゃく
)
の仕方が
悪
(
わ
)
るいとか、琴を弾くのが気にくわぬとか
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
けれども、そんなことに
頓着
(
とんじゃく
)
せず、めくらめっぽう読んで行っても、みんなそれぞれ面白いのです。みんな、書き出しが、うまい。書き出しの巧いというのは、その作者の「親切」であります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
学士は彼の何者にも
頓着
(
とんじゃく
)
しない悪達者な腕前に
三歎
(
さんたん
)
するより外なかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これ本邦慾張り連が子孫七代いかに落ちぶれても
頓着
(
とんじゃく
)
せず、わが一代儲けさせたまえと祈って油餅を配り廻り、これを食った奴の身代皆自分方へ飛んでくるように願う
歓喜天
(
かんぎてん
)
また
聖天
(
しょうてん
)
これなり。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
酬
(
むく
)
われたもので胸いっぱいな笑みであった。が、秀吉は
頓着
(
とんじゃく
)
なく、一語
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言いさして話をやめた父の自尊心などに令嬢は
頓着
(
とんじゃく
)
していなかった。
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
顎十郎は、そんなことに
頓着
(
とんじゃく
)
なく、いっそう声をはりあげ
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
内々直したる初心さ小春俊雄は
語呂
(
ごろ
)
が悪い
蜆川
(
しじみがわ
)
の
御厄介
(
ごやっかい
)
にはならぬことだと
同伴
(
つれ
)
の男が
頓着
(
とんじゃく
)
なく混ぜ返すほどなお
逡巡
(
しりご
)
みしたるがたれか知らん異日の治兵衛はこの俊雄
今宵
(
こよい
)
が
色酒
(
いろざけ
)
の
浸初
(
しみはじ
)
め
鳳雛麟児
(
ほうすうりんじ
)
は母の胎内を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
家相に
頓着
(
とんじゃく
)
せざる人にてその家の栄ゆるところがある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかしお父さんの意向に
頓着
(
とんじゃく
)
しない。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
相手は、そんなことには、
頓着
(
とんじゃく
)
なく
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
夫人は根岸で別れてからの時間の隔たりにも、東京とこの土地との空間の隔たりにも
頓着
(
とんじゃく
)
しないらしい、極めて無造作な調子で云った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
頓
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“頓”で始まる語句
頓
頓狂
頓死
頓馬
頓挫
頓首
頓智
頓興
頓著
頓服