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貴女
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あなた
ふりがな文庫
“
貴女
(
あなた
)” の例文
もちろん、これは何でもないことなんですよ。僕が
貴女
(
あなた
)
を愛するということは絶対なんですから。ただそれがほんの少しばかり障害を
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
頬邊
(
ほつぺた
)
は、
可
(
い
)
い
鹽梅
(
あんばい
)
に
掠
(
かす
)
つたばかりなんですけれども、ぴしり/\
酷
(
ひど
)
いのが
來
(
き
)
ましたよ。
又
(
また
)
うまいんだ、
貴女
(
あなた
)
、
其
(
そ
)
の
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げる
手際
(
てぎは
)
が。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たゞ臨終に
貴女
(
あなた
)
のお名前を
囈語
(
うはごと
)
のやうに二度繰り返したのです。それで、万一
貴女
(
あなた
)
に、お心当りがないかと思つて参上したのですが。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
その用意もして来て下さい……その外にも、また色々沢山書いてあります。……それで
貴女
(
あなた
)
は今日のジョージの仕事皆手伝いましたか
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いやけっして、そんな甘い
插話
(
エピソード
)
ではないのです。僕は
貴女
(
あなた
)
の所へ、これを最後と思って来たのですよ。ところで、八木沢さん……」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
「まあ、
大概
(
たいがい
)
のことは
判
(
わか
)
つてゐるつもりですが、
貴女
(
あなた
)
の
側
(
がは
)
からなら、
大久保
(
おほくぼ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
がいつそ
詳
(
くは
)
しく
判
(
わか
)
つてゐる
筈
(
はず
)
ぢやないですか。」
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
小五郎はふるえながら云った、「父はあんなに
貴女
(
あなた
)
を愛している、結婚して三年このかた、父はなんでも貴女の云うままになって来た」
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
夫人
(
おくさん
)
、
貴女
(
あなた
)
が芸術家ですつて。これは初めて伺ひました。結構な内職をお持ちですね。世間へは精々
内証
(
ないしよう
)
にして置きませうね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『僕こそ。』と言ひながら、男は
少許
(
すこし
)
離れて
鋼線
(
はりがね
)
の欄干に
靠
(
もた
)
れた。『意外な所で
再
(
また
)
お目にかかりましたね。
貴女
(
あなた
)
お一人ですか?』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「現に伯母さん、貴女の所へ私の両親も来る、
貴女
(
あなた
)
の旦那様も来ると
仰
(
おつ
)
しやつたでせう——怪物でも、不思議でもありませんよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『暫くお目にかからなかったが、
今宵
(
こよい
)
は計らずも、一生に、又とあるまじき、不思議な役目を仰せつけられた。——
貴女
(
あなた
)
も、この平四郎も』
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「美奈子さん、それでは約束が違やしませんか——僕はお父さんの——いや社長のお許しを受けて、
貴女
(
あなた
)
と婚約をした筈になっているのです」
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
では
貴女
(
あなた
)
には何を措いても、手頼りになるような人物を、お求めにならなければなりません。一人ぼっちでござりましょう。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なに
貴女
(
あなた
)
それ
程
(
ほど
)
でも有りますまいで……
何
(
なん
)
でも
聞
(
き
)
いた
程
(
ほど
)
ではないものどす……そー御心配しやはると
御子
(
をこ
)
はんより
貴女
(
あなた
)
の
方
(
ほう
)
が御よはりどすえ」
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
「そんなに云うものじゃありませんよ、私は
貴女
(
あなた
)
にお話したいことがありましたから、お呼びしましたけれど、貴女が逃げるじゃありませんか」
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴女
(
あなた
)
は私を離婚すると里子に言ったそうですが、
其
(
その
)
理由
(
わけ
)
を聞きましょう。離婚するなら仕ても私は平気です。
或
(
あるい
)
は
寧
(
むし
)
ろ私の望む
処
(
ところ
)
で御座います。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
幸田さんこそ、パスツウルの
規那園
(
キナゑん
)
なンて、とてもハイカラぢやないの?
貴女
(
あなた
)
は勉強家だから、すぐ、仏蘭西語も、安南語も覚えちやふでせう。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
しかし
貴女
(
あなた
)
の手のように色を白くする法を聞かせてくださったら魚を上げましょうというと、それは何でもない事犬の皮の手袋を
嵌
(
は
)
めるのだと答う。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
夫人
(
ふじん
)
は
屹度
(
きつと
)
無事
(
ぶじ
)
であらうと
言
(
い
)
はれたに
拘
(
かゝは
)
らず、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
も、
私
(
わたくし
)
も、
最早
(
もはや
)
貴女
(
あなた
)
とは、
現世
(
このよ
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かゝ
)
る
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
まいとばかり
斷念
(
だんねん
)
して
居
(
を
)
りましたに。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「思い出しました。
貴女
(
あなた
)
でしたか? その指輪は、私が、機関車のパイプを切ってこしらえた指輪でしたがなあ。」
喫煙癖
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「ミチ子さん(こう呼んでもいいかしらと僕は思った)
貴女
(
あなた
)
はあの事件のあった時間、
何処
(
どこ
)
へいらっしゃいました」
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は今ここに
貴女
(
あなた
)
を妹と呼ばして頂きたい。私には今与えられた天分と云おうか、何と云っていいか、ああ、やはり恋人と云って熱愛すべき方がいい。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「これは大変だ。
貴女
(
あなた
)
はAさんのお嬢様に違いありません。然し五階のお部屋にいるお嬢さんは……」と叫んだ。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
お察し致しますという
貴女
(
あなた
)
の御言葉はかえってつらいという詞には、のり越えられぬ
柵
(
しがらみ
)
の体験をひびかせている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それを、
貴女
(
あなた
)
……いや、どうも、ああいう手合に逢っちゃ
敵
(
かな
)
いませんて、
卒然
(
いきなり
)
匿
(
かく
)
してた棒を取直して、おやッと思う間に、ポンと一つ鼻面を
打
(
ぶ
)
ちました。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
貴女
(
あなた
)
が御無事でお帰りかと
後
(
あと
)
で大きにお案じ申しました、あれから直ぐにお帰りでしたか、へー
此方
(
こなた
)
がお
父様
(
とっさま
)
でございますか、初めてお目に懸りました
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
晩
(
おそ
)
くから済みません……失礼ですが、
貴女
(
あなた
)
は?……ああ、そうですか、私は、弁護士の大月と云うものですが
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
殊
(
こと
)
にこの方は毎日
眼
(
め
)
の前で見ているのだから、どうにもムシャクシャする訳だし、それに、本当のことを云うと、「用心しないと
貴女
(
あなた
)
も猫に見換えられる」
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『あゝ、こんな夏になつてから、私は一人の娘さんを見つけました、あなたそれは
貴女
(
あなた
)
なのですよ、肩揚のある、私の相手にふさはしい娘さんそうでせうね』
味瓜畑
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
今は得意絶頂の仏さま、
貴女
(
あなた
)
だっていつ何時、私みたいなことにはなりかねないかも知れませんよ。——それは、妓王の精一杯の無言の抗議だったのである。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
私の友よ、友の霊よ、この歌の一つ一つが、
貴女
(
あなた
)
の息から生れたものなのだ、それぞれに
生命
(
いのち
)
があるのだ——
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
貴女
(
あなた
)
のお家の女中さんは田舎の人で
饂飩
(
うどん
)
やお
蕎麦
(
そば
)
を上手に打つと
伺
(
うかが
)
いましたからそういう人に煉らせたりでっちさせたりしたならばかえってよく出来ましょう
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だがそのことにもまして私が云いたいのは、そのときから私は
貴女
(
あなた
)
を愛していたのです。そしていまもなお私の愛に変りのないことを知ってもらいたいのです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
既にマショオは恋人ペロンヌに向って「私のものはすべて
貴女
(
あなた
)
の感情でできた」と告げている{6}。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
書生として使いくれよとの重井の頼み
辞
(
いな
)
みがたく、先ずその
旨
(
むね
)
を承諾して、さて何故にかかる
変性男子
(
へんしょうだんし
)
の真似をなすにやと
詰
(
なじ
)
りたるに、
貴女
(
あなた
)
は男の如き
気性
(
きしょう
)
なりと聞く
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
拙僧
(
わたし
)
は
貴女
(
あなた
)
のお助けをするために、ここに来たもので御座る。定めしその箪笥の中には、貴女の心配になるのも無理のない何かがあるのであろう。貴女のために私がそれを
葬られたる秘密
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
「
貴女
(
あなた
)
の云ふことはノンセンスよ。」などゝ、朋輩の間で言ひ合つたことを勝代は思ひ出して獨り笑ひをした。そして、「辰さんはこの英語の意味を理解して居るのか知らん。」
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
今迄数回の通告に応諾の意を表さなかった
貴女
(
あなた
)
は当然制裁を甘受せねばなりません、明夜十時三十分を期して
密
(
ひそ
)
かに、戸外へ出て一丁東の四辻まで来て下さい、この命令に従うことが
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
するとあの辺に兄貴の部屋があって其の隣が私の部屋だったのだ。そこから廻縁を通ってここにあの部屋があった。おけいさん、
貴女
(
あなた
)
が初めてこの家へ入って来たあの部屋があったのだ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
その傍へ行って、亭主は「
貴女
(
あなた
)
は何を望むか」ときかなければならない。その時女房は、お客の方へ
笑
(
え
)
みを投げながら、亭主の方へは振り向きもしないで、「マルチニ」と一言だけいう。
パーティ物語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「それでしたら、家庭裁判所に持ち出せばきつと
貴女
(
あなた
)
のいひ分が通りませうよ」
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
このわたしの唇は
何日
(
いつ
)
も
確
(
しっか
)
り結んでいて高慢らしく黙っていたのだが、今こそは
貴女
(
あなた
)
の前に
膝
(
ひざ
)
を突いて、この顫う唇を開けてわたくしの真心が言って見たい。ああ、
何卒
(
どうぞ
)
母上を呼んでくれい。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
終
(
つい
)
に目科の
誡
(
いまし
)
めを打忘れて横合より口を
出
(
いだ
)
せり余「ですが
内儀
(
ないぎ
)
、老人の殺された夜、太郎どのが其職人の家へ行かれた留守に
貴女
(
あなた
)
は
何所
(
どこ
)
に居たのです」倉子は
宛
(
あたか
)
も余が斯く問うを怪む如く其
眼
(
まなこ
)
を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ですけれども、三日の約束で出てまゐりましたのですから。」と、わたくしは
飽
(
あく
)
までも帰ると云ひました。さうして、もし
貴女
(
あなた
)
がお
残
(
のこ
)
りになるならば、自分ひとりで帰つても
可
(
い
)
いと云ひました。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
貴女
(
あなた
)
、お宅へあがって、今日は土曜日だから、清三さんがお帰りになったかどうか
郁治
(
いくじ
)
がうかがって来いと申しますものですから……いつもご無沙汰ばかりいたしておりましてねえ、まアほんとうに
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「僕は真面目に
貴女
(
あなた
)
に聴いて頂きたい事があるんですが……」
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
もしさうだつたとしたら、
貴女
(
あなた
)
はどんな気がします。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「
貴女
(
あなた
)
のうちは遠くて、通いがたいへんでしょう」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「
貴女
(
あなた
)
のお
尋
(
たず
)
ねになる方は、ここにいる人ですか」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「お婆さん、そう
貴女
(
あなた
)
のように心配したら
際限
(
きり
)
が有りませんよ。今日英学でも
遣
(
や
)
らせようと言うには
他
(
ほか
)
に好い学校が無いんですもの。捨吉の行ってるところなぞは先生が皆
亜米利加
(
アメリカ
)
人です。朝から晩まで英語だそうです」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“貴女(
あなた
)”の解説
あなた(彼方、貴方、貴男、貴女)は、特定の人物を直接呼ぶ際に用いる日本語の人称名詞である。また、指示語の一つで、彼方(かなた、あなた、「遠くに在るもの」の意)にある様。此方(こなた、「近くに有るもの」の意)の対義語。
(出典:Wikipedia)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“貴女”で始まる語句
貴女方
貴女様
貴女等
貴女達