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ちゅうもん
ふりがな文庫
“
註文
(
ちゅうもん
)” の例文
またビール一ダースの追加、一人がコールドビーフを
註文
(
ちゅうもん
)
すると、お由さんが気に入っていたのか、何かしきりに皿を指さしている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
死を見ること帰するが如しなどと看板を掲げて教育を施して易々と
註文
(
ちゅうもん
)
通りの人間が造れるものなら、第一に日本は負けていない。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
倉持は空腹を感じていたので、料理と酒を
註文
(
ちゅうもん
)
し、今母のいた部屋で、
気仙沼
(
けせんぬま
)
の
烏賊
(
いか
)
の刺身で
呑
(
の
)
みはじめ、銀子も
怏々
(
くさくさ
)
するので呑んだ。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
日本ですらそうでありますから、今
俄
(
にわ
)
かにパリで季の事を言った所で、それが人々に受け入れられるということは無理な
註文
(
ちゅうもん
)
であります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
框
(
かまち
)
がだだ広く、炉が大きく、
煤
(
すす
)
けた天井に
八間行燈
(
はちけん
)
の掛かったのは、山駕籠と
対
(
つい
)
の
註文
(
ちゅうもん
)
通り。
階子下
(
はしごした
)
の暗い帳場に、坊主頭の番頭は面白い。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
すでに見たように、彼は自らを語ることも人に語られることも共に嫌いだったが、これは二つとも
註文
(
ちゅうもん
)
どおりに行っていない。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
それは
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
私
(
わたくし
)
は
神様
(
かみさま
)
から
何
(
なに
)
ぞ
望
(
のぞ
)
みのものを
言
(
い
)
えと
言
(
い
)
われ、いろいろと
考
(
かんが
)
え
抜
(
ぬ
)
いた
末
(
すえ
)
にたった
一
(
ひと
)
つだけ
註文
(
ちゅうもん
)
を
出
(
だ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
景品はその前夜に
註文
(
ちゅうもん
)
した。当日の朝、僕が学校の事務室へ行った時には、もう僕たちの連中が、大ぜい集って、盛んに
籤
(
くじ
)
をこしらえていた。
水の三日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
太后は政治に御
註文
(
ちゅうもん
)
をお持ちになる時とか、御自身の推薦権の与えられておいでになる限られた官爵の運用についてとかに思召しの通らない時は
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
あがって来た小女(お光という名であった)に、
符牒
(
ふちょう
)
のような言葉で
註文
(
ちゅうもん
)
を命じてから「あなたはまだ酒は飲まないのか」と訊いた。深喜は
頷
(
うなず
)
いた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
くれないで、
彼奴
(
あいつ
)
をおいつめた方がよかったんだ。そして、みんな彼奴の
註文
(
ちゅうもん
)
に、こっちがはまったことになる。まったくわれながらだらしがないわい
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この
店
(
みせ
)
は、
町
(
まち
)
で
古
(
ふる
)
くからの
縫
(
ぬ
)
い
箔屋
(
はくや
)
だったので、
金持
(
かねも
)
ちの
得意
(
とくい
)
が
多
(
おお
)
く、また
遠
(
とお
)
くからも、
註文
(
ちゅうもん
)
を
受
(
う
)
けていました。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大きなことをいうと思ったが、だんだん
訊
(
き
)
くと、大牟田にある三井の染料工場から「劇薬」をシャくうのに使うとかで、
別誂
(
べつあつら
)
えの
註文
(
ちゅうもん
)
だったという。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
僧の
是円
(
ぜえん
)
や幾多の智識をあつめて、評議連日におよび、彼は、それらの憲法の起草委員たちへ、
註文
(
ちゅうもん
)
をつけて
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうしておいて、試みに代金を請求してみると、今上げるからちょっと場をはずしてくれという女の
註文
(
ちゅうもん
)
。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おまけに、ぜんざいを
註文
(
ちゅうもん
)
すると、
女夫
(
めおと
)
の意味で一人に二杯ずつ持って来た。
碁盤
(
ごばん
)
の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を立てて
啜
(
すす
)
りながら柳吉は言った。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
彼は一週間も十日も
殆
(
ほとん
)
ど人間と会話をする機会がなかった。外に出て、煙草を買うとき、「タバコを下さい」という。喫茶店に入って、「コーヒー」と
註文
(
ちゅうもん
)
する。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
全体に食物は、油濃いものの外は、あまり
註文
(
ちゅうもん
)
をおっしゃらないので、いつでしたか歯が痛むといって、
蕎麦掻
(
そばがき
)
ばかりを一カ月も続けられたのには皆
呆
(
あき
)
れました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
原子兵器の出現に
遭
(
あ
)
ってから、
慌
(
あわ
)
ててその方面に関係した器械を
註文
(
ちゅうもん
)
するというのでは仕様がない。しかしそれに類したことが、実際にしばしば起っているのである。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そんな
心掛
(
こころがけ
)
は、この
子
(
こ
)
たちにはそもそも
註文
(
ちゅうもん
)
するだけ
無理
(
むり
)
なのです。そういうところは、この子たちも
大人
(
おとな
)
も
同
(
おな
)
じです。「
進
(
すす
)
めッ」と、
世間
(
せけん
)
の
強
(
つよ
)
い人たちはいいます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
彼はまごまごしていて
田舎者
(
いなかもの
)
と笑われないようにと、西洋料理へ往ったときに
朋友
(
ともだち
)
の云った
詞
(
ことば
)
をそのまま用いて料理を
二皿
(
ふたさら
)
とビールを
註文
(
ちゅうもん
)
すると、婢が出て往ったので
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼の
註文
(
ちゅうもん
)
することは、神が何故に人間を、昆虫のように生態させてくれなかったかと言うのである。昆虫の生態は、幼虫時代と、
蛹虫
(
ようちゅう
)
時代と、
蛾蝶
(
がちょう
)
時代の三期に分れる。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
晴れたる風景画は晴れたる日の幾日かを要求し、雨の日の絵は同じ雨を毎日
註文
(
ちゅうもん
)
して見たりするが、それは画家のためのみの存在には
非
(
あ
)
らず、勝手気ままに晴れて行く。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
食事をすませると、ヨハンは行く先の
註文
(
ちゅうもん
)
をしない梶に困惑したものか、またホテルへ連れて帰った。彼の部屋の下の道から、ヴァイオリンの
音締
(
ねじ
)
めの音がときどき
洩
(
も
)
れて来た。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
さてどうも
娑婆
(
しゃば
)
のことはそう一から十まで
註文
(
ちゅうもん
)
通りには
填
(
は
)
まらぬもので、この二三箇月前から主はブラブラ
病
(
わずら
)
いついて、最初は医者も
流行感冒
(
はやりかぜ
)
の重いくらいに見立てていたのが
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
中や表紙の図案を流用しながら、自分の
意匠
(
いしょう
)
を加えて、画工に
描
(
か
)
き上げさせ、印刷屋に印刷させて、問屋の
註文
(
ちゅうもん
)
に応じていた。ちらしや広告の文案も助手を使って引き受けていた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
流行の型でなく、保守的な型のを
註文
(
ちゅうもん
)
した。流行型の学生服を着て歩くと、頭が悪いように見えるからいけない。じみな型の洋服を着て歩くと、とても、秀才らしく見えるものだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ところがそこの主人の云う所によると、鬘その物は死体の冠っていたのとすっかり当てはまるのだけれど、それを
註文
(
ちゅうもん
)
した人物は、私の予期に反して、いや私の非常な驚きにまで
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
丁度そこへ給仕が
註文
(
ちゅうもん
)
したものを持って来た。男はそれを
好
(
い
)
い事にして、女が「
仰
(
おっ
)
しゃいよ、仰しゃいよ」と云っても、給仕の方を目で見て、じれったそうな身振をするばかりである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
正三君は安斉先生が
追々
(
おいおい
)
こわくなくなってきた。それはこの老人の信任がダンダンましてきたからである。時々学監室へ呼びこまれるが、
註文
(
ちゅうもん
)
を承った後で、いつもねぎらってもらえる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
子どもとそのお母さんたちとに、ともどもに読めるものをという、朝日の企てに動かされたのであったが、私にはもうそういう
註文
(
ちゅうもん
)
に合うような文章を書くことができなくなっているらしい。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
じいさんは毎日時刻を計って楽屋の人たちの
註文
(
ちゅうもん
)
をききに来た後、それからまた時刻を見はからって、丼と
惣菜
(
そうざい
)
や
香
(
こう
)
の
物
(
もの
)
を盛った小皿に
割箸
(
わりばし
)
を添え、ついぞ洗った事も磨いた事もないらしい
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ぼく達は
隅
(
すみ
)
っこでチョコレエトクリイムを
貰
(
もら
)
い、二人でぼそぼそ
嘗
(
な
)
めているとき、入口のドアを
荒々
(
あらあら
)
しく
押
(
お
)
して一人のアメリカの大学生が入ってきて、なにも
註文
(
ちゅうもん
)
せず、スタンドの前に立ち
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
ちょっとそれもむずかしい
註文
(
ちゅうもん
)
なのでござりました。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こんな
註文
(
ちゅうもん
)
が遠慮なく煮方の方へやって来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何だかだととても
註文
(
ちゅうもん
)
がむずかしくて、私もそれで
厭気
(
いやき
)
も差したの。自殺したのも、内面にそういう悩みもあったんじゃないの。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
芸妓募集、年齢十五歳より三十歳まで、衣服相談、新宿十二社何家と云う風に申込みの人の
註文
(
ちゅうもん
)
を三行に縮めて受付けるのだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
参拝者
(
さんぱいしゃ
)
の
中
(
なか
)
で一ばんに
数
(
かず
)
も
多
(
おお
)
く、
又
(
また
)
一ばんに
美
(
うつく
)
しいのは、
矢張
(
やは
)
り
何
(
なん
)
の
註文
(
ちゅうもん
)
もなしに、
御礼
(
おれい
)
に
来
(
こ
)
らるる
方々
(
かたがた
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
HはS村の
伯父
(
おじ
)
を尋ねに、Nさんはまた同じ村の
籠屋
(
かごや
)
へ
庭鳥
(
にわとり
)
を伏せる籠を
註文
(
ちゅうもん
)
しにそれぞれ足を運んでいたのだった。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なぜかといえば、その
人選
(
じんせん
)
はとにかく、
争
(
あらそ
)
うべき
焦点
(
しょうてん
)
にはこちらになんの
相談
(
そうだん
)
もなく、こういう
無類
(
むるい
)
な
部門分
(
ぶもんわ
)
けをして、
勝手
(
かって
)
な
註文
(
ちゅうもん
)
をつけてきたのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「勿論です——何処か、近まわりの墓地から都合をするように、私たちで、
此家
(
ここ
)
のうちへ頼んだんですが、それには、はなから婦人のをと云う
註文
(
ちゅうもん
)
でしたよ。」
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
註文
(
ちゅうもん
)
でもあるのか、
盛
(
さかん
)
に揚げて、金網の上に順よく並べているのを遠くから見ていますと、そこへ一人の男が来て、いきなりそれを一つ
撮
(
つま
)
んで、隣の酒屋へ入りました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「どれ、ちょっと
尾
(
お
)
を
持
(
も
)
って、
跳
(
は
)
ねるか
見
(
み
)
せておくれ。」と、おばあさんは、
註文
(
ちゅうもん
)
をしました。
千代紙の春
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのころ私達は酒など飲むことがなかったのに、銀座裏のバーへはいり(一番静かそうだから
這入
(
はい
)
ったのである)一番高い洋酒をでたらめに
註文
(
ちゅうもん
)
して、黙って
睨合
(
にらみあ
)
っていた。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「安川さん。つかぬことを聞く様だが、ここに並んでいる人形は皆
註文
(
ちゅうもん
)
の品だろうね」
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気がへんになっていては、こんなに見事に仕事の
註文
(
ちゅうもん
)
をつけられませんよ。僕たちは、この恐竜撮影に成功して、本年の世界映画賞を獲得する確信をもって、やっているんですからね。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お殿様はじめ我と思わんものから種を集めて品物を買いそろえる。
註文
(
ちゅうもん
)
が千差万別だから、新年早々一仕事のようだ。富田さんの
判定
(
はんてい
)
によると、お殿様が毎年一番いい種をお出しになる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「今日はいしが奢るから、みんな好きな
註文
(
ちゅうもん
)
をして頂戴、今日は一世一代よ」
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
葱
(
ねぎ
)
とチーズを
壺焼
(
つぼやき
)
にしたスープ・ア・ロニオンとか、
牛舌
(
オックス・タング
)
のハヤシライスだとか、
莢隠元
(
アリコベル
)
のベリグレット・ソースのサラダとか、彼がふだん好んだものを
註文
(
ちゅうもん
)
したので鼈四郎は慥え易かった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私実家がKなもので、前からよく知っているので御座いますが、その人がこの附近で本を欲しがってる人から、毎月新刊の
註文
(
ちゅうもん
)
をとりまして、東京まで買い出しに行ってくれるんで御座います。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
註
漢検準1級
部首:⾔
12画
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
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註文主
註文書