六月中旬のある日、まだ降り惜しんでいる梅雨のなかを、本信保馬が江戸から到着した。 保馬は江戸邸の次席家老の子で、その名は国許でもかなりまえから知られていた。俊才で美男で、学問も群を抜いているし、柳生道場では三傑の一という、誂えたような評判で …
著者 | 山本周五郎 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「サンデー毎日臨時増刊仲秋特別号」毎日新聞出版、1952(昭和27)年10月19日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約46分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間16分(300文字/分) |