しゅう)” の例文
もうそれからと申すものは所のしゅうのなさけにすがり、人のあしこしを揉むすべをおぼえて、かつ/\世過ぎをいたしておりました。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なんためわたしだの、そらここにいるこの不幸ふこう人達ひとたちばかりがあだか献祭けんさい山羊やぎごとくに、しゅうためにここにれられていねばならんのか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……けれど、まず、自分の生命をすら、ほんとに、愛することを知らない者が、どうして、他のしゅうの生命を、愛することができましょう。
ようし、じゃあこれからわしが村のしゅうへ知らせよう。待てよ、早くしらせるには、これから山をくだるよりももっといい方法があったっけ。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やがて燈火あかりったひとがわせて、はかひらかうとやしゃるやいな、御主人ごしゅじんけんかしゃれました。それでわたくし走出かけいだして夜番よばんしゅうびました。
群衆は共同の意思を形成して実行し得るような組織性を持たない単なる烏合うごうしゅうであるが、しかしなんらか共通の感情に支配されているものである。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
のこらずのごけらいしゅうといっしょに、食事のテーブルにむかって、金のお皿でごちそうをたべていますと、そとでたれかが、ぴっちゃり、ぴっちゃり
じいさんは言いました。「それから、村のしゅうへ御礼のしるしに、あの丘のふもとのうまい泉はあのまま残しておいてあげるから、大事にして下されよ」
キンショキショキ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
人としては不具者であるも、仕事をしてしゅうすぐれたならば、それで甘んじて死すべきか。この問題になるとおそらく人々の考えに大分だいぶの相違があるであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
近所のしゅうの噂ですよ——お隣の若い者が、宵から見張って居て、練塀町から金沢町までけて行き、一伍仔什いちぶしじゅうを見届けたというから、こいつは嘘じゃ無いでしょう
貴方あなた、その樵夫きこりしゅうにお尋ねなすってうございました。そんなにけわしい坂ではございませんが、ちっとも人がかよいませんから、誠に知れにくいのでございます。」
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午前十時と云う触込ふれこみなので、十一時に寺本さんの家に往って見ると、納屋なやと上塗せぬ土蔵どぞうの間の大きな柿の木の蔭に村のしゅうがまだ五六人、紙旗を青竹あおだけいつけて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「どろぼうがこわいのは物持ものもちしゅうのことよ、こちとらが家はどろぼうの方でおそれて逃げるわ」
いくばくもなくして節を折って書を読み、精力しゅうえ、識見ひとを驚かした。分家したはじめ本石町ほんこくちょうに住していたが、後に矢の倉に移った。侍医に任じ、法眼に叙せられ、次で法印に進んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と新造に伴なわれまして引附ひきつけへまいりますと、三人連の職人しゅうでございますが、中央なかに坐っているのが花里を名ざして登楼あがったんで、外はみなお供、何うやら脊負おんぶで遊ぼうという連中
すると、からみつくような舌で、大方おおかたしゅうに惨劇のしだいを物語るのである——
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
あじがよくってでがあって、おまけに肌理きめこまこうて、笠森かさもりおせんの重肌えはだを、べにめたような綺麗きれいあめじゃ。ってかんせ、べなんせ。天竺渡来てんじくとらい人参飴にんじんあめじゃ。んとみなしゅう合点がってん
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
みなしゅう! いいつけられた通り、わしらはキーシュのあとを
負けない少年 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
書記の青木が、とがった口吻くちぶりから、気味のわるい言葉を次々にいた。立合いのしゅうは、いいあわせたように二三歩後へ下った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「では、きっと下屋しもやしゅうの中に交じって、柿ムキに興がっているのでございましょう。ひる見たときも、手の指を渋で黒うしておりましたから」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此洋服を着て甲州街道で新に買った肥桶を青竹あおだけで担いで帰って来ると、八幡様に寄合をして居た村のしゅうがドッと笑った。引越後ひっこしごもなく雪の日に老年の叔母が東京から尋ねて来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とものけらいしゅうのうち、たれひとりあとにつづくことができないくらいでした。
ちがはいでをられうか? 先祖せんぞしゅうあしやを玩具もてあそびにはしはすまいか? 手傷てきずだらけのチッバルトをみどろの墓衣はかぎから引出ひきだしゃせぬか? 狂氣きゃうきあまり、きこえたさる親族うからほね取上とりあ
みょうなもので、かえって遠国えんごくしゅうの、参詣が多うございます。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そう村のしゅうへも言って下されよ
キンショキショキ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
行動の中心に正義と報国を奉じ、個々の中心に、主君を持たないでは、それは徒党の乱に終り、烏合うごうしゅうと化してしまう。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はて、何者かしらん。このあたりのしゅうはだれひとり近づかないはず。だんな、その人はどんな姿をしていますか」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
侍童 大變たいへんぢゃ、たゝかうてぢゃ! はや夜番よばんしゅうんでよう。
「めったに、口にはいたされぬがあのしゅうには、どうも異心があるらしいということを、なぜか、ちらちら耳にいたす。その出所はよくわからんが……」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところでまず第一に訊きたいのは、今から丁度一年ほど前に、この沖に着いた白塗りの外国船があったはずですが、そのときこの村のしゅうのうちで、雇われて沖の本船まで行った人は誰と誰とだろうね
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それが山奥の伊勢ざかいまで聞えて、はやくも美濃近江の要路、摺針峠すりばりとうげから番場へかけ、こんな結集をみせたのは、どうもただの烏合うごうしゅうにしては出来すぎている。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「村のしゅうかもしれない、早く行ってみよう」
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頭巾をとけば禁教者とみなされ、月代さかやきをのばし笄を抜きすてれば、イサベラ様の臨終の枕元で、七家のしゅう立会たちあいで誓わせられたとおり、龍耳りゅうじ老人の暗殺の手が下ります。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腕というよりはその暴れかたに、阿波方の者はしゅうの力を雄敵ひとりへ集めきることができない。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……その折の不覚を、当人も心から慚愧ざんきしており、頭をって、おはなしゅうとしてでも、何とかもういちど、前田家へ帰参はかなうまいかと、一生の願いといたしております。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北京の難を、直接、救わんとすれば大きな犠牲を要しますが、彼らの留守を襲って、先に、梁山泊をおとしてしまえば、元々、烏合うごうしゅう、あとは苦もなき掃討そうとうでかたづきましょう
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紀霊は、山東の人で、ちからしゅうにすぐれ、三尖の大刀をよく使うので勇名がある。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、戦いはまた、絶対といっていい程、しゅうに勝てないものでもある。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ウーム、徳川家とくがわけしゅう浜松はままつの衆、出合であえッ、出合えッ、狼藉者ろうぜきものだ、狼藉だ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは、秀吉のおはなしゅうとして、大坂表へ移住した。思うに、もしこれが、信長の場合であったならば、こんな寛典かんてんにめぐまれるはずもなし、かれの首は、二つあっても足りなかったであろう。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの猫背の歯抜けじじを、堺から召し呼んで、とぎしゅうに加えおく物好きと、将軍家になりたいというわしの物好きと、いずれ劣らぬ愚とはおもうが——菊亭どの、笑うてくれい、秀吉は、是が非でも
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
韓瑛かんえい韓瑤かんよう韓瓊かんけい韓琪かんき、みな弓馬に達し、力しゅうに超えていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『いや、近頃はの、ふもとしゅうが、よく喰べ物をくれるのでな』
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あいや、お立合たちあいのみなのしゅう!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お医師いし! お医師しゅう!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)