英吉利イギリス)” の例文
独逸ドイツ屹度きつと最後の独逸人となるまで戦ふだらう、露西亜ロシア人もまた最後の露西亜人となるまで戦ふだらうが、唯英吉利イギリス人は——さうさ
言い忘れていたが、博士は、これも、ひとりの英吉利イギリス旦那からの拝領物であるところの、硝子たまの欠けた鼻眼鏡をかけているのである。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そこの町角に立って、車道を越そうかこすまいかと沈思している一人の若い英吉利イギリス紳士に、私は見事 run in したのである。
若い英吉利イギリス人が、毎朝、びっくりするような遠い沖から泳いで来ること。……われわれ四人を『リットル・ウィメン』と呼んだこと。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
内容は劇場及機関道具等の変遷、男女俳優古今の景状、各国戯曲の由来等なれど、英吉利イギリスの演劇を論ずること最も詳しきものの如し。
英吉利イギリスのビフステークと洋傘とはこんなにも老年に対して慈愛ふかいのか。これに対して自分苦難なСССРの生活を深く感じた。
英吉利イギリス船にて海峡を渡り午後一時半頃仏蘭西フランスのカレー駅より乗車、五時頃巴里パリ著。上野に迎へられ直ちにマゼスチツク・ホテルに入る。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
しかしそれだからといって日本も、支那も、英吉利イギリスも、独乙ドイツも、同じ現象を同じ順序に過去でかえしているとは参らんのであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何でも「お婆ちゃん」が英吉利イギリスの政策と国民性とを攻撃し出したのに対して、カタリナが躍起になって反対しているらしいのであった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼は借金を踏倒して国を逃出し、今では軍服、サーベル、拍車で歩きまわって、英吉利イギリス風の礼儀をすっかり忘れてしまっている。
海岸通りの何とかいう薬屋のショオウィンドをのぞいたら、パイプやなんかと一緒に五六冊、英吉利イギリス語の本が陳列されてあった。
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
一、近来英吉利イギリス国王より支那国帝に対し兵を出して烈しく戦争をせし本末ほんまつは、我国の船毎年長崎に到って呈する風説にて既に知り給うべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この露西亜には外国の人は幾らも来て居る、就中なかんずく独逸ドイツの人などは大変に多い、そのほか和蘭オランダ人も来て居れば英吉利イギリス人も来て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これから倫敦ロンドンへ渡ろうとする手続きを済ますためには、巴里の警察署へも行き、外務省へも行き、英吉利イギリスの領事館へも行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一体英吉利イギリスの国土にアングルス人種がどれほどいたかと尋ねたら、その数たる甚だ少く、また英国に於て有為あるいは有名な人々を列挙して
民族優勢説の危険 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
昌作は聞かぬ振をして、『英吉利イギリスの詩人にポープといふ人が有つた。その詩人は、佝僂せむし跛足ちんばだつたさうだ。人物の大小は体に関らないサ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
われ裏面よりらちに近き處に席を占めしに、こゝは歌者の席なる斗出としゆつせる棚に遠からざりき。背後には許多あまた英吉利イギリス人あり。
我が国は英吉利イギリス国と似ているが、やがては「英吉利国にも優り候御国と相成り、上下の御安堵之にすぎずと奉存候」
世界の強大国英吉利イギリスを相手に、大戦争をしているのに、肝心の支那の人間は、風馬牛視して鴉片を喫っている。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
江嘉氏であったとおもうが鹿児島出身の老翁で、英吉利イギリス軍艦に談判に行った一行の一人であった。校長に案内されて郡長は紙巻の煙草たばこをふかしながら通る。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
伊藤は、憲法調査のために外遊し、憲法学者、独逸ドイツのグナイスト、墺国のシュタインに教へを聞き、仏蘭西フランス英吉利イギリスを歴訪して、参考資料をあつめて帰つた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
英吉利イギリスの関係者を驚かしたことか、日本人の音楽鑑賞の水準を、極めて端的に教えてやったような気がして、ファンという立場を離れて、いささか肩身が広い。
英吉利イギリス亜米利加アメリカが邪魔をするために日本と仏蘭西フランスの秘密条約が出来なくなったらしいと書いてありました
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この中英吉利イギリスが幾ら、亜米利加アメリカ幾許いくばく、日本が幾らという事を見、更に亜米利加アメリカは日本の何倍に当り、英吉利イギリス亜米利加アメリカと幾らの差があるというような事を考え
我軍の攻撃にって防戦したのであろうが、味方は名に負う猪武者いのししむしゃ英吉利イギリス仕込しこみのパテントづきのピーボヂーにもマルチニーにもびくともせず、前へ前へと進むから
伊太利亜イタリアに三人、英吉利イギリスに四人、独逸ドイツに七人、プロヴァンスに一人、しかして仏蘭西フランスには十四人の多きに達し、さきの高踏派と今の象徴派とに属する者その大部を占む。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
英吉利イギリスの田舎おやじらしい、塔の欄干から外へ墜ちかけた。若者がズボン釣を捉えた。おやじは甲蟲かぶとむしのようにもがく。下はセーヌを目尺にして巴里の鳥瞰図が展開する。
街頭:(巴里のある夕) (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
独逸の膠州湾こうしゅうわん租借そしゃくを始めとして、露西亜ロシアは関東州、英吉利イギリスはその対岸の威海衛、仏蘭西フランスは南方の広州湾を各々租借し、次第にまたこれらの諸国は、支那に於いて鉄道
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
誰か登って来るなと思って見ていると、二人づれの英吉利イギリスの女がやって来た。貴下ですかアヴァランシュで怪我をなすったのはと、人の顔を見るより先に声をかけた。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
オールド・ロング・サインを歌い、炉辺の団欒を思い、その郷愁を白い雲にイメージする英吉利イギリス文学のリリシズムは、偶然にも蕪村の俳句において物侘ものわびしく詩情された。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
わたくし世界せかい漫遊まんゆう目的もくてきをもつて、横濱よこはまみなと出帆ふなでしたのは、すで六年ろくねん以前いぜんことで、はじめ亞米利加アメリカわたり、それから大西洋たいせいよう荒浪あらなみ横斷よこぎつて歐羅巴エウロツパあそび、英吉利イギリス佛蘭西フランス
英吉利イギリス海岸かいがんけば何所どこにでも、うみなかおよいでる澤山たくさん機械きかいられる、子供等こどもらくわすなぽじりをしてゐる、そして一れつならんでる宿屋やどや、それからそのうしろには停車場ステーシヨン
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
後には父から金を拵えて送ってくれてはいたけれども、実に僅かな金なので、英吉利イギリスに渡ってからは農商務省の練習生というのにして貰い、月々六十円程貰ってやっていた。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
「ハウンド」族でも英吉利イギリスの「グレイハウンド」や露西亜ロシヤ「ハウンド」は躰格も立派で中々見栄がするが、伊太利イタリヤ「ハウンド」と来たら翫弄犬おもちやいぬと言はれるだけに脊の高さが一尺
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
輝やかしい眞夏が、英吉利イギリス中に照り渡つた。その頃、毎日續いた晴れ渡つた空や、輝やかしいは、殆んど滅多に、この浪に圍まれた英吉利に惠まれたことのないものであつた。
日本の御老人連は英吉利イギリスの事とさえいえば何でもすぐに安心して喜ぶから丁度よい。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
こくりと一つ頷くと、足早に土蔵の中へ入って行ったが、間もなく一挺の猟銃と弾丸筐ケース持出もちだして来た。——その猟銃は父の愛用品で、英吉利イギリスから態々わざわざ取寄せた二聯にれん銃身の精巧な物だった。
殺生谷の鬼火 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は一昨年をととしの冬英吉利イギリスより帰朝するや否や、八方に手分てわけして嫁を求めけれども、器量のぞみ太甚はなはだしければ、二十余件の縁談皆意にかなはで、今日が日までもなほその事に齷齪あくさくしてまざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
またひとつは英吉利イギリスで上村大将にい、その力にてバッキンガム・パレスで、日本劇を御覧に入れたこと——たしかそのおり貞奴は道成寺どうじょうじの踊の衣裳のままで御座席まで出たとおぼえている。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ほかの事でも無い。英吉利イギリスの画壇で有名な人でハークマと言えば知らぬ人はない。この人はローヤルアカデミーの会員でもあるし、つまた水彩画会の会員でもあって、すこぶる有力な名誉ある人だ。
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
その次は英吉利イギリス、瘠せた、意地の悪るさうなカーキ服の将校とその随員。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
鸚鵡は多年らしてあつて、土地の言語はもとよりだし、瓜哇ジャワ勃泥亜ボルネオなまりから、馬尼剌マニラ錫蘭セイロン沢山たんとだなかつた、英吉利イギリスの語も使つて、其は……怜悧りこうな娘をはじめ、誰にも、よく解るのに
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
英吉利イギリスのウエールという所の山の中に生れた人です、子供の時は呉服屋の小僧などをして、それから成功して大きな紡績工場を持つようになりました、幼少から艱難かんなんをして、世の中を見たりして
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その他、アメリカには、撮影所の物語を書く、オクタヴァス・ロイ・コーエンとか、近代的なユーモア作者であるドナルド・オグデン・ステワードがいるし、英吉利イギリスには有名なウオドハウスがいる。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
英吉利イギリスにも俄羅斯オロシヤにもその人あれど、おほむね皆エミル・ゾラを宗とす。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
英吉利イギリス語の如し
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
初めて学問的に研究して世にあらわしたバジル・ホール・チャンバレン Basil Hall Chamberlain 氏の祖父に当る Captain Basil Hall の率いた英吉利イギリス船が帰航の途に聖ヘレナ島に立寄って船長の口から流竄りゅうざん中の那翁に沖縄島の話を
ここの街上で見かける紳士はどこまでもふるい英吉利イギリス国の紳士であり、角の太陽酒場サン・インから口を拭きながら出てくる御者と執事と門番は
我我は盗賊、殺戮、姦淫等に於ても、決して「黄金の島」を探しに来た西班牙スペイン人、葡萄牙ポルトガル人、和蘭オランダ人、英吉利イギリス人等に劣らなかつた。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「どうしてってことはないさ。ワイズミュラーは今年二十七でしょう。だから、あの英吉利イギリス人も二十七でなくちゃならないんだ」
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)