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つなが
ふりがな文庫
“
繋
(
つなが
)” の例文
御骨は、沼の縁に
柔
(
やわらか
)
な泥の中にありましたって、どこも不足しないで、手足も頭も
繋
(
つなが
)
って、膝を
屈
(
かが
)
めるようにしていたんだそうです。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おそらく、姉も城下の獄に
繋
(
つなが
)
れているのであろう。そうなれば、
姉妹
(
きょうだい
)
ひとつ
蓮
(
はす
)
の
台
(
うてな
)
だと思う。どうしてもない一命とすれば、せめて
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今一つは昨年九月末の出来事に
繋
(
つなが
)
れり。予は久しぶりにて、わが家より程遠からぬ湯屋に物せんとて、家人に
扶
(
たす
)
けられて門を出でたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
そうして其が、中臣の神わざと
繋
(
つなが
)
りのある点を、座談のように語り進んだ姥は、ふと口をつぐんだ。外には、瀬音が荒れて聞えている。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
それ故私たちは、未来を約束する新作品への展観にも、意を注がねばならぬ。過去との
繋
(
つなが
)
りよりも、未来との繋りが一層重要であろう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
「全く寿命の毒ですぜ。だから武家は付き合いきれねエ。——大丈夫あっしの首は
繋
(
つなが
)
っているでしょうね。見て下さいよ、親分」
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
水の
繋
(
つなが
)
りが絶えてしまった吸上げポンプのようにたゞぽかんとなっていたわたくしの気分へ、徐々に吐き口からの差し水の作用をしました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると
隨分
(
ずゐぶん
)
覺束
(
おぼつか
)
ない
事
(
こと
)
だが、
夫
(
それ
)
でも
一縷
(
いちる
)
の
望
(
のぞみ
)
の
繋
(
つなが
)
る
樣
(
やう
)
にも
感
(
かん
)
じて、
吾等
(
われら
)
は
如何
(
いか
)
にもして
生命
(
いのち
)
のあらん
限
(
かぎ
)
り、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
援助
(
たすけ
)
を
待
(
ま
)
つ
積
(
つも
)
りだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
あの方とお前との間に、あの方が
眞面目
(
まじめ
)
に認めてゐられる
繋
(
つなが
)
りは、たゞそればかりだといふことを忘れてはいけない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
社会の前後左右の
繋
(
つなが
)
り、上下の繋りを、歴史の流れにおいて把握し、描き出してゆく能力の発見の課題なのである。
「下じき」の問題:こんにちの文学への疑い
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
父母から生じまた子孫に伝える生命の
繋
(
つなが
)
りというもののある事は判っているが、さて自分一個の生命というものは何処から来て何処に去るものか判らない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼曰く、「予年二十以後、
乃
(
すなわ
)
ち
匹夫
(
ひっぷ
)
も一国に
繋
(
つなが
)
ること有るを知る。三十以後、乃ち天下に繋ること有るを知る。四十以後、乃ち五世界に繋ること有るを知る」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
最初その争いは多分夫婦間独自の衝突であったらしく思えたが、この頃の行詰った生活問題にも
繋
(
つなが
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし事によるとこの劇団と怪殺人事件とのあいだに何か
繋
(
つなが
)
りがあるのかも知れぬ。もしそうだとすれば、ゆき子はその殺人鬼の手に捕えられている訳ではないか。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
水際には古雅な形の
石燈籠
(
いしどうろう
)
が立っていたが、今は石炭を積んだ
荷船
(
にぶね
)
が
幾艘
(
いくそう
)
となく
繋
(
つなが
)
れているばかり
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
けれども血は
繋
(
つなが
)
らずとも縁あッて叔母となり
甥
(
おい
)
となりして見れば、そうしたもんじゃア有りません。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
話は昔の中国の
偸盗
(
ちゅうとう
)
説話に
繋
(
つなが
)
るような狡智をきわめた手段を用いたもので、それは、黒風吹きすさみ、人々も家の戸を閉じて居たような日に行われた面白い話であった。
こがらし:――南駅余情――
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
警察ではこの博士誘拐事件を、あのジェーブル伯爵邸の事件と何かの
繋
(
つなが
)
りがあると目星をつけた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
高い屋上では、この伸縮がことに著しいのです。犯人一平は、これに目をつけたのでした。二つの銅の接点は屋内に入ってピストルの引金のところと電灯線に
繋
(
つなが
)
っていました。
ネオン横丁殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
永
(
なが
)
く
牢
(
ひとや
)
に
繋
(
つなが
)
れし
人間
(
ひと
)
の、急に
社会
(
このよ
)
へ出でし心地して、足も空に
金眸
(
きんぼう
)
が
洞
(
ほら
)
に
来
(
きた
)
れば。金眸は折しも最愛の、
照射
(
ともし
)
といへる
侍妾
(
そばめ
)
の鹿を、
辺
(
ほとり
)
近くまねき
寄
(
よせ
)
て、酒宴に余念なかりけるが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
彼はそれがすぐ傍に
繋
(
つなが
)
れたステラの船室から
漏
(
も
)
れる明るさなのを了解した。そのとき引き残された窓布のすきに妙に黄ぼけた
腓
(
こむら
)
がふと動いた。彼はすばやく別の
舷
(
ふなばた
)
へと跳び移つた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
吾身
(
わがみ
)
ならぬ者は、
如何
(
いか
)
なる人も
皆
(
みな
)
可羨
(
うらやまし
)
く、朝夕の
雀鴉
(
すずめからす
)
、庭の木草に至る
迄
(
まで
)
、それぞれに
幸
(
さいはひ
)
ならぬは
無御座
(
ござなく
)
、世の光に遠き
囹圄
(
ひとや
)
に
繋
(
つなが
)
れ
候悪人
(
さふらふあくにん
)
にても、罪ゆり
候日
(
さふらふひ
)
の
楽
(
たのしみ
)
は
有之候
(
これありさふらふ
)
ものを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
つねに必ずかのアリエルの如く、
玲瓏
(
れいろう
)
として澄明なる一物が軽くわたしの背を
揺
(
ゆすぶ
)
るのです。即ち知る、あなたと凡ての造物との間には、不思議な連鎖が
繋
(
つなが
)
っているのです。そうです。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
私はそこに恋と信との
繋
(
つなが
)
りがあるような気がする。「永遠の女性」を求むる憧憬は人間の霊魂に稟在する善き願いである。その願いはついに地上では満たされないものなのかもしれない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
突当りに
中門
(
ちゅうもん
)
がございまするが、白塗りにて竜宮の様な妙な形の中門で、右の方はお台所から
庫裏
(
くり
)
に
繋
(
つなが
)
っており、正面は本堂で、
曹洞派
(
そうどうは
)
の
禅林
(
ぜんりん
)
で、安国山総寧寺と云っては名高い禅寺でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
実感に
繋
(
つなが
)
る言葉は、一見平凡のようで
然
(
しか
)
らざるものがある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
夫是
(
それこれ
)
の
義理
(
ぎり
)
にて
繋
(
つなが
)
れし天地
和合
(
わがふ
)
の
縁
(
えん
)
にて
双方
(
さうはう
)
の申口により事分明なり九助其方島田宿
泊
(
とまり
)
の
節
(
せつ
)
盜賊
(
たうぞく
)
の
難
(
なん
)
とは如何なる
譯
(
わけ
)
ぞ又百八十兩と申ては大金なるに其方
馴染
(
なじみ
)
も
薄
(
うす
)
き藤八へ預けしは如何の手續なりしや
猶
(
なほ
)
明白
(
めいはく
)
に申せと尋問らるに九助は先日も申上し通り百八十兩
餘
(
あま
)
りの大金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そうして、しみじみと山に見入って居る。まるで瞳が、吸いこまれるように。山と自分とに
繋
(
つなが
)
る深い交渉を、又くり返し思い初めていた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
、私とお内儀さんのせゐだと思ひ込みました。私はこの家の遠縁で、お内儀さんと血の
繋
(
つなが
)
りがあるので、お内儀とぐるになつて、お孃さんを
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「晩のお
菜
(
かず
)
に煮て食おう。」と囃しざま、糸に
繋
(
つなが
)
ったなり
一団
(
ひとかたまり
)
になったと見ると、
大
(
おおき
)
な
廂
(
ひさし
)
の、暗い中へ、ちょろりと入って隠れてしまった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陸へ上って来ない若い店員が心の底から恋われた。茫漠とした海の男への
繋
(
つなが
)
りをいかにもはっきりと娘は自分の心に感じた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
きょうのメーデイに行進するという心では一つに
繋
(
つなが
)
っていて、クレムリンの城壁をこして空高くゆるやかに赤旗のひるがえっている広場へ入って来る列は
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
風雲花鳥即ち自然界の趣味に心を
牽
(
ひ
)
かれてそれを俳諧にすることを好んだところから、それがやがて衣食のたずきともなり、しょうことなしにこの一筋即ち俳句の道に
繋
(
つなが
)
っている、というのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
甲の方の電話は、一町半ほど先の洋食屋の屋根裏へ
繋
(
つなが
)
っていた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
以て證據と
遊
(
あそば
)
され候事一
應
(
おう
)
御道理
(
ごもつとも
)
には候へども私し家内の
脇差
(
わきざし
)
出刀庖丁
(
でばばうちやう
)
の類
刄物
(
はもの
)
御取寄
(
おとりよせ
)
御吟味下され候へば御
疑
(
うたがひ
)
も
解
(
とけ
)
申べし其上憑司は私しの叔父なり昌次郎は
從弟
(
いとこ
)
なり又
妻
(
つま
)
梅
(
うめ
)
は私の先妻にこれあり叔母は憑司が方に居り
斯
(
かく
)
の如く
繋
(
つなが
)
る親類ゆゑ
假令
(
たとへ
)
一
旦
(
たん
)
の
恨
(
うら
)
みあり共親身の者
爭
(
いかで
)
か殺さるべきやと
義理
(
ぎり
)
分明に
辯解
(
いひと
)
くを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
家持の
聯想
(
れんそう
)
は、
環
(
わ
)
のように
繋
(
つなが
)
って、暫らくは馬の上から見る、街路も、人通りも、唯、物として通り過ぎるだけであった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
営業を続けている妻のおみちに取っては永い間離れていてこころの
繋
(
つなが
)
りさえもう覚束なく思える新吉でもやっぱり頼みにせずにはいられなかった。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
またその
鉄葉屋
(
ブリキや
)
と建具屋の弟子だってそうだ、
血統
(
ちすじ
)
は争われぬ、縁に
繋
(
つなが
)
って能役者が望みだ、
気障
(
きざ
)
な奴だな。役者になる
隙
(
ひま
)
があったら、——お久。……
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「俺が嘘を言ふものか。池田屋の番頭宗七にでも訊いて見るがいゝ。あのお喜代といふのは、内儀のお伊勢の遠縁の者で、萬兵衞とは血の
繋
(
つなが
)
りはない筈だ」
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この演出に、我々はクニッペルやスタニスラフスキー、カチャロフその他昔から深い
繋
(
つなが
)
りを作品と持っていた俳優が出演するだろうと思っていた。ところが、クニッペルは出なかった。
シナーニ書店のベンチ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「その手は、僕の身体に
繋
(
つなが
)
っているでしょうか」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と見ると、手巾の片端に、
紅
(
くれない
)
の
幻影
(
まぼろし
)
が
一条
(
ひとすじ
)
、柔かに結ばれて、夫人の
閨
(
ねや
)
に、するすると
繋
(
つなが
)
っていたのであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曼陀羅縁起以来の
繋
(
つなが
)
りあいらしい。私の場合も、
語部
(
かたりべ
)
の
姥
(
うば
)
が、後に化尼の役になって来ている。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
わたくしは母の罵る口から洩れ、また、しまから説明され、自分の血が乞食に
繋
(
つなが
)
りのあるのをしみ/″\悲しいと思いました。一方、何だか落着いて解き放された気持もありました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二年急に文学を読む読者層がかわって来たという事実とも
繋
(
つなが
)
りのあることで、一般に現代の日本の文学が真面目な一展開の時期におかれているとおなじく、婦人作家も、今日或る積極な存在なら
拡がる視野:今日の婦人作家
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「すると、あの繪の泥棒と
繋
(
つなが
)
りがあるわけですね」
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
刺身ッていやあ
一寸試
(
いっすんだめし
)
だ、
鱠
(
なます
)
にすりゃぶつぶつ
切
(
ぎり
)
か、あの
又
(
また
)
目口
(
めくち
)
のついた
天窓
(
あたま
)
へ骨が
繋
(
つなが
)
って肉が
絡
(
まと
)
いついて残る図なんてものは、と
厭
(
いや
)
な顔をするからね。ああ
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中臣天神寿詞と、天子祓えの聖水すなわち産湯とが、古くはさらに緊密に
繋
(
つなが
)
っていて、それに仕えるにふ神役をした巫女であったと考えることは、見当違いではないらしい。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「意気地がないねえ、こちらは、あんなお手々繋ぎに気持を腐らせるなんて、あたしなざ、一々こちらのようじゃ、毎日の商売は出来ませんさ。あんなもの
蜻蛉
(
とんぼ
)
のお
繋
(
つなが
)
りだと思やあいゝわ」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この生活の雰囲気には、人と人とが互いに
繋
(
つなが
)
って何かのために生きて動いているというより、人々が何かによって生かされ、動かされていて、それについて無意識でいるような奇妙な無人格性がある。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
繋
漢検準1級
部首:⽷
17画
“繋”を含む語句
繋留
繋綱
珠数繋
有繋
繋縛
繋合
関繋
繋累
船繋
三繋平
繋船
繋縄
繋辞
数珠繋
繋船場
繋留所
連繋
馬繋
聯繋
駒繋
...