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わらべ
ふりがな文庫
“
童
(
わらべ
)” の例文
春はまだ浅き菜畠、白き
鶏
(
とり
)
日向あさるを、水ぐるままはるかたへの、窻障子さみしくあけて、
女
(
め
)
の
童
(
わらべ
)
ひとり見やれり、
外
(
と
)
の青き菜を。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そのときよりかの
童
(
わらべ
)
は城にとどまりて、羊飼いとなりしが、たまわりしもてあそびの笛を離さず、のちにはみずから木をけずりて笛を
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
別荘へは
長男
(
かしら
)
の
童
(
わらべ
)
が朝夕二度の
牛乳
(
ちち
)
を運べば、
青年
(
わかもの
)
いつしかこの童と親しみ、その後は
乳屋
(
ちちや
)
の
主人
(
あるじ
)
とも
微笑
(
ほほえ
)
みて物語するようになりぬ。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すると
新羅
(
しらぎ
)
の
使者
(
ししゃ
)
の中に
日羅
(
にちら
)
という
貴
(
とうと
)
い
坊
(
ぼう
)
さんがおりましたが、きたない
童
(
わらべ
)
たちの中に
太子
(
たいし
)
のおいでになるのを目ざとく
見付
(
みつ
)
けて
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「街道からこれへ
誘拐
(
かどわか
)
して来た
女子
(
おなご
)
と
童
(
わらべ
)
を返せ。——もし無事に戻して詫びるならば免じておくが、怪我などさせてあったら承知せぬぞ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
一月ばかり
経
(
た
)
って、細かに、いろいろと手毬唄、子守唄、
童
(
わらべ
)
唄なんぞ、百幾つというもの、綺麗に美しく、
細々
(
こまごま
)
とかいた、文が来ました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
首をあげて、立ちあがろうとした武蔵守の背後から敵の
童
(
わらべ
)
が迫ってきて、その首に斬りつけ、倒れ伏す武蔵守の首を取った。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
さればわが愛する
遠祖
(
とほつおや
)
よ、
請
(
こ
)
ふ我に告げよ、汝の先祖達は誰なりしや、汝
童
(
わらべ
)
なりし時、年は
幾何
(
いくばく
)
の數をか示せる 二二—二四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
祖母は伊勢
朝長
(
あさおさ
)
の大庄家の生れで、幼少な時、
童
(
わらべ
)
のする役を神宮に奉仕したことがあるとかで神明様へは月参りをした。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
或時大殿樣の御云ひつけで、
稚兒文殊
(
ちごもんじゆ
)
を描きました時も、御寵愛の
童
(
わらべ
)
の
顏
(
かほ
)
を寫しまして、見事な出來でございましたから、大殿樣も至極御滿足で
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三ツ目錐の殿様は、日を期して、これらの
童
(
わらべ
)
共のために門戸を開放するのみならず、時としては、座敷の上まで、その
闖入
(
ちんにゅう
)
を拒まないことがある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「我ら蛍に手をふれたことも十年振りでござる。
童
(
わらべ
)
の頃に宵々にはよく狩りに出たものだが、いつまでも童のようにしてはいられぬ。
美事
(
みごと
)
な蛍だ。」
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
俊寛は、
童
(
わらべ
)
のようなのびやかな心になりながら、両手を差し広げ、童のように叫びながら自分の小屋へ駆け戻った。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
増田に! 巷の
童
(
わらべ
)
どもが悪口を云わば、用捨はいらない、切ってすてろ! 妻妾の数三十余人! それがどうした
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、一郎は、
童
(
わらべ
)
のように、雪の降るのを祈っていると、それから一週間ほどたって、雪が降った。天も、一郎をはげますためか、うんと雪を降らせた。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
後には管長や院主が手を出して今のやうな地位にしてくれたのである。最初は十四歳の
童
(
わらべ
)
の病気の直つた時である。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
燭を運び來りし水干に緋の袴着けたる
童
(
わらべ
)
の
後影
(
うしろかげ
)
見送りて、小松殿は聲を忍ばせ、『時頼、近う寄れ、得難き折なれば、予が改めて
其方
(
そち
)
に頼み置く事あり』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
と言わせると、きれいなきゃしゃな姿で美装した
童
(
わらべ
)
が縁を歩いて来た。円座を出すと、
御簾
(
みす
)
の所へ
膝
(
ひざ
)
をついて
源氏物語:56 夢の浮橋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いと浅からぬ
御恵
(
みめぐみ
)
もて、婢女の罪と苦痛を除き、この
期
(
ご
)
におよび、慈悲の
御使
(
おんつかい
)
として、
童
(
わらべ
)
を
遣
(
つか
)
わし玉いし事と深く信じて疑わず、いといとかしこみ謝し奉る
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
田畦
(
たあぜ
)
数町を隔てゝ
塩手村
(
しおでむら
)
の山陰に墓所あり。村の
童
(
わらべ
)
にしるべせられて行けば、竹藪の中に柵もてめぐらしたる一坪
許
(
ばか
)
りの地あれど、石碑の残欠だに見えず。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
童
(
わらべ
)
のような首筋、長い金色の
睫毛
(
まつげ
)
、青い目、風にそよぐ髪、薔薇色の
頬
(
ほお
)
、
溌剌
(
はつらつ
)
とした
脣
(
くちびる
)
、美しい歯並み、などを見て、その
曙
(
あけぼの
)
のごとき姿に欲望をそそられ
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
さて
手毬
(
てまり
)
の大さになりたる時他の
童
(
わらべ
)
が作りたる
玉栗
(
たまくり
)
を
庇下
(
ひさしした
)
などに
置
(
おか
)
しめ、我が玉栗を以他の玉栗にうちあつる、
強
(
つよ
)
き玉栗
弱
(
よわ
)
き玉栗を
砕
(
くだ
)
くをもつて
勝負
(
しようぶ
)
を
争
(
あらそ
)
ふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
御坊は頓阿、浄弁、慶運の人々と相列んで、和歌の四天王と当世に申し囃さるるばかりか、文書くことは大うつ
童
(
わらべ
)
、馬追う男も御坊日本一と申しておりまする。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其処には切灯台の
微
(
うす
)
紅い
灯
(
ひ
)
がほっかりと青い畳の上を照らしていたが、その灯の光に十五六に見える細長い顔をした
女
(
め
)
の
童
(
わらべ
)
の銚子を持った姿をうつしだしていた。
庭の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
つい先頃まで流行して居たはやり唄が和訳されてもう町の
童
(
わらべ
)
の唇に上っている。なんて早い日本だろう。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
太刀
(
たち
)
持つ
童
(
わらべ
)
、馬の口取り、
仕丁
(
しちょう
)
どもを召連れ、馬上
袖
(
そで
)
をからんで「時知らぬ山は富士の根」と詠じた情熱の詩人
在原業平
(
ありわらのなりひら
)
も、
流竄
(
りゅうざん
)
の途中に富士を見たのであった。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
別段これと言つて他の
童
(
わらべ
)
に異つたところも無かつたといふ事だが、それでも今の老人の中には、重右衛門の子供にも似ぬ、一種
茫然
(
ぼんやり
)
したやうな、しつかりしたやうな
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そしていつもの
軽
(
かろ
)
らかな足取と違つた地響のする歩き振をして返つて来る。年の寄つた奴隷と物を言はぬ
童
(
わらべ
)
とが土の上にすわつてゐて主人の足音のする度に身を
竦
(
すく
)
める。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
此時、
女
(
め
)
の
童
(
わらべ
)
に
襖
(
ふすま
)
を引かせて、茶碗を目八分に捧げて入つて來たのは、峠宗壽軒の娘お小夜です。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山東京伝
(
さんとうきょうでん
)
(西暦一七六一—一八一六年)は、『
異制庭訓
(
いせいていきん
)
』にある「
祖父祖母之物語
(
じじばばのものがたり
)
」(「むかしむかしぢぢとばばとありけり」というきまり文句ではじまる話)を
童
(
わらべ
)
の昔ばなしと
称
(
とな
)
え
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
まだ
童
(
わらべ
)
なりし頃より、アントニオが技倆をば讚め居りしなり。公子。その時われは早く桂の冠をさへ戴かせたり。夫人は處女なりしとき其即興詩の題となりぬ。されど今は食卓に
就
(
つ
)
くべき時なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
里人の往来、
小車
(
おぐるま
)
のつづくの、田草を採る村の娘、
稗
(
ひえ
)
を
蒔
(
ま
)
く男、
釣
(
つり
)
をする老翁、犬を打つ
童
(
わらべ
)
、左に流れる刀根川の水、前に
聳
(
そび
)
える
筑波山
(
つくばやま
)
、北に盆石のごとく見える妙義山、隣に重なッて見える
榛名
(
はるな
)
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
八十吉は父の『お師匠様』の孫で、僕よりも一つ年上の
童
(
わらべ
)
であつたが、八十吉が僕のところに遊びに来ると父はひどく八十吉を大切にしたものである。
読書
(
よみかき
)
がよく出来て、遊びでは
根木
(
ねつき
)
を
能
(
よ
)
く打つた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
家の内にも騒ぎたち、女
童
(
わらべ
)
は泣きさけび
展転
(
こいまろ
)
びて
隈
(
くま
)
々に
竄
(
かく
)
る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
草刈りて
菫
(
すみれ
)
選
(
よ
)
り出す
童
(
わらべ
)
かな
鴎歩
(
おうほ
)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「女、
童
(
わらべ
)
の知ることならず」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
童
(
わらべ
)
は見たり
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
童
(
わらべ
)
ヶ丘
(
おか
)
とはそのお宿の砂丘にかつてたのまれて私が名付けたものであったが、こうしてちかぢかと来て眺めるのは今が初めてである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
わっと泣いて
小袿衣
(
こうちぎ
)
のたもとに黒髪を
埋
(
うず
)
めたまま、
童
(
わらべ
)
のようにヨヨと泣きじゃくってやまないのは権大納言ノ局であった。また
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初めは
童
(
わらべ
)
母を慕いて泣きぬ、人人物与えて慰めたり。童は母を思わずなりぬ、人人の
慈悲
(
じひ
)
は童をして母を忘れしめたるのみ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
或時大殿様の御云ひつけで、
稚児文殊
(
ちごもんじゆ
)
を描きました時も、御寵愛の
童
(
わらべ
)
の顔を写しまして、見事な出来でございましたから、大殿様も至極御満足で
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
童
(
わらべ
)
と女の子と、道連れとは見えねば、童の入るを待ちて、これをしほに、女の子は来しならむとおもはれぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
矢よりも
疾
(
はや
)
く
漕寄
(
こぎよ
)
せた、同じ
童
(
わらべ
)
が
艪
(
ろ
)
を押して、より幼き他の
児
(
ちご
)
と、親船に寝た
以前
(
さき
)
の船頭、三体ともに船に
在
(
あ
)
り。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我はあたかもはぢて言なく、目を地にそゝぎ耳を傾けて立ち、己が過ちをさとりて悔ゆる
童
(
わらべ
)
のごとく 六四—六六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
つい帰路を忘れた里の
童
(
わらべ
)
たちだろう——しかしその断続した足音を聞いていると、静かではあり、軽くはあるが、踏む調子は正しい、いたずらに虫を追い
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さて
手毬
(
てまり
)
の大さになりたる時他の
童
(
わらべ
)
が作りたる
玉栗
(
たまくり
)
を
庇下
(
ひさしした
)
などに
置
(
おか
)
しめ、我が玉栗を以他の玉栗にうちあつる、
強
(
つよ
)
き玉栗
弱
(
よわ
)
き玉栗を
砕
(
くだ
)
くをもつて
勝負
(
しようぶ
)
を
争
(
あらそ
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
九人の山伏殿がお堂へはいられた、どうしたことかといったように、里の
童
(
わらべ
)
が二、三人揃って、そっとお堂を覗きに来たが、にわかにワッと云って逃げて行った。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この狂言に比べましては、七三郎殿の『浅間ヶ嶽』の狂言も
童
(
わらべ
)
たらしのように、曲ものう見えまするわ。前代未聞の
密夫
(
みそかお
)
の狂言とは、さすがに門左衛門様の御趣向じゃ。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この負擔だに我方にあらば、その報酬も受けらるべし。羅馬の裁判所に公平なる沙汰なからんや。かく云ひつゝ、強ひて我を
扯
(
ひ
)
きて戸を出でたるに、こゝには
襤褸
(
ぼろ
)
着たる
童
(
わらべ
)
ありて、一頭の
驢
(
うさぎうま
)
を
牽
(
ひ
)
けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
(男女の
童
(
わらべ
)
三は唄い連れていず。)
蟹満寺縁起
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“童”の意味
《名詞》
(わらべ)幼児、幼い子供。
(出典:Wiktionary)
童
常用漢字
小3
部首:⽴
12画
“童”を含む語句
童女
童子
小童
河童
女童
児童
侍童
童謡
童児
大童
京童
頑童
童男
使童
牧童
酒顛童子
童形
童貞
兒童
童話
...