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立停
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たちど
ふりがな文庫
“
立停
(
たちど
)” の例文
擦違うて三吉、「や。」と
立停
(
たちど
)
まるを、美人は知らずに行過ぎて、
件
(
くだん
)
の老婆の家に入れば、何思いけん後をつけて、三吉は
戸外
(
おもて
)
に
潜
(
ひそ
)
みぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あっしの先に立ったチイ
嬢
(
ちゃん
)
は、一町ばかり行った処の薄暗い町角に在るポストの下で
立停
(
たちど
)
まりましたから、あっしもその横で立停まって巻煙草に火を
点
(
つ
)
けました。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのとき、ごく遠くの方で誰かの唱っているらしい声が耳にはいってきた。渠は
立停
(
たちど
)
まって耳をすました。その声は水の外から来るようでもあり、水底のどこか遠くから来るようでもある。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
すると
塔
(
とう
)
の
中
(
なか
)
から、
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
いようのない、
美
(
うつく
)
しい
歌
(
うた
)
が
聞
(
き
)
こえて
来
(
き
)
たので、
王子
(
おうじ
)
はじっと
立停
(
たちど
)
まって、
聞
(
き
)
いていました。それはラプンツェルが、
退屈凌
(
たいくつしの
)
ぎに、かわいらしい
声
(
こえ
)
で
歌
(
うた
)
っているのでした。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
立停
(
たちど
)
まつてみると、
附近
(
あたり
)
には誰一人姿は見えない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
一散
(
いっさん
)
に
遁
(
に
)
げもならず、
立停
(
たちど
)
まった
渠
(
かれ
)
は、馬の尾に油を塗って置いて、
鷲掴
(
わしづか
)
みの
掌
(
たなそこ
)
を
辷
(
すべ
)
り抜けなんだを
口惜
(
くちおし
)
く思ったろう。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
コンナ会話が交換されているところへ、老人の
主厨
(
しゅちゅう
)
が飼っている
斑
(
まだら
)
のフォックステリヤが、甲板に
馳
(
か
)
け上って来ると突然に船首の方を向いてピッタリと
立停
(
たちど
)
まった。クフンクフンと空中を
嗅
(
か
)
ぎ出した。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
山遊びの時分には、女も
駕籠
(
かご
)
も通る。狭くはないから、
肩摺
(
かたず
)
れるほどではないが、まざまざと足が並んで、はっと不意に、こっちが
立停
(
たちど
)
まる処を、抜けた。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦
(
おんな
)
は、水ぎわに
立停
(
たちど
)
まると、洗濯盥——盥には道草に
手打
(
たお
)
ったらしい、嫁菜が一束挿してあった——それを石の上へこごみ腰におろすと、すっと柳に立直った。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
予はひやりとして
立停
(
たちど
)
まりぬ。
稍
(
やゝ
)
ありて犬は奥より
駈来
(
かけきた
)
り、予が立てる前を
閃過
(
せんくわ
)
して藪の
外
(
おもて
)
へ
飛出
(
とびい
)
だせり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はまた、曲り角で、きっと、
密
(
そっ
)
と
立停
(
たちど
)
まって、しばらく
経
(
た
)
って、カタリと
枢
(
くるる
)
のおりるのを聞いたんです。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠
(
かれ
)
は
立停
(
たちど
)
まつて、
露
(
つゆ
)
は、しとゞ
置
(
お
)
きながら
水
(
みづ
)
の
涸
(
か
)
れた
磧
(
かはら
)
の
如
(
ごと
)
き、ごつ/\と
石
(
いし
)
を
並
(
なら
)
べたのが、
引傾
(
ひつかし
)
いで
危
(
あぶ
)
なツかしい
大屋根
(
おほやね
)
を、
杉
(
すぎ
)
の
葉
(
は
)
越
(
ごし
)
の
峰
(
みね
)
の
下
(
した
)
にひとり
視
(
なが
)
めて
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
銑吉が
立停
(
たちど
)
まったのは、花の莟を、
蓑毛
(
みのけ
)
に
被
(
かつ
)
いだ、舞の
烏帽子
(
えぼし
)
のように
翳
(
かざ
)
して、葉の裏すく水の影に、白鷺が一羽、
婀娜
(
あだ
)
に、すっきりと羽を休めていたからである。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十九にはなるまい
新姐
(
しんぞ
)
を
前
(
さき
)
に、
一足
(
ひとあし
)
さがつて、
櫛卷
(
くしまき
)
にした
阿母
(
おふくろ
)
がついて、
此
(
こ
)
の
店
(
みせ
)
へ
入
(
はひ
)
りかけた。が、
丁
(
ちやう
)
ど
行者
(
ぎやうじや
)
の
背後
(
うしろ
)
を、
斜
(
なゝめ
)
に
取
(
とり
)
まはすやうにして、
二人
(
ふたり
)
とも
立停
(
たちど
)
まつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
母親が
曲彔
(
きょくろく
)
を立つて、花の中で迎へた
処
(
ところ
)
で、哥鬱賢は
立停
(
たちど
)
まつて、
而
(
そ
)
して……桃の花の
重
(
かさな
)
つて、影も
染
(
そ
)
まる緋色の
鸚鵡
(
おうむ
)
は、お嬢さんの肩から翼、
飜然
(
ひらり
)
と母親の手に
留
(
と
)
まる。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
母親
(
はゝおや
)
が
曲彔
(
きよくろく
)
を
立
(
た
)
つて、
花
(
はな
)
の
中
(
なか
)
で
迎
(
むか
)
へた
處
(
ところ
)
で、
哥鬱賢
(
こうつけん
)
は
立停
(
たちど
)
まつて、
而
(
そ
)
して……
桃
(
もゝ
)
の
花
(
はな
)
の
重
(
かさな
)
つて、
影
(
かげ
)
も
染
(
そ
)
まる
緋色
(
ひいろ
)
の
鸚鵡
(
あうむ
)
は、お
孃
(
ぢやう
)
さんの
肩
(
かた
)
から
翼
(
つばさ
)
、
飜然
(
ひらり
)
と
母親
(
はゝおや
)
の
手
(
て
)
に
留
(
と
)
まる。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思わず、私が
立停
(
たちど
)
まると、
向合
(
むかいあ
)
ったのが両方から寄って、橋の
真中
(
まんなか
)
へ並んで立ちました。その時
莞爾
(
にっこり
)
笑ったように見えたんですが、すたすたと橋を向うへ行く。
跣足
(
はだし
)
です。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手を上げて招いたと言います——ゆったりと——
行
(
ゆ
)
くともなしに前へ出て、それでも
間
(
あいだ
)
二、三
間
(
げん
)
隔
(
へだた
)
って
立停
(
たちど
)
まって、見ると、その
踞
(
うずくま
)
ったものは、顔も上げないで
俯向
(
うつむ
)
いたまま
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの、
別嬪
(
べっぴん
)
の事でしょう。私たちが
立停
(
たちど
)
まって、お城を見ていました。四五間さきの所に、美しく立って、同じ方を
視
(
なが
)
めていた、あれでしょう。……
貴方
(
あなた
)
が(今のは!)ッて一件は。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鮒を
活
(
い
)
かした盤台の前へ
立停
(
たちど
)
まって、三傘夫人が、その大きいのを、と指さすと、ばちゃんと刎上るのを、大年増が
掌
(
て
)
に
掬
(
すく
)
った時は、尾が二の腕に余って、私は
鯉
(
こい
)
だとばかり思った。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
峰の、寺の、
暮六
(
くれむ
)
つの鐘が鳴りはじめた
黄昏
(
たそがれ
)
です。
樹立
(
こだち
)
を透かした、屋根あかりに、安時計のセコンドを
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
る……カーン、十九秒。
立停
(
たちど
)
まったり、ゆっくり
歩行
(
ある
)
いたり、十九秒、カーン。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
慌
(
あわただ
)
しく「あれ若い
衆
(
しゅ
)
様
(
さん
)
、心棒が抜けてるよ。」車夫は仰天して
立停
(
たちど
)
まりぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
揃って
立停
(
たちど
)
まらなければならなかったのは、一町たらず河岸寄りの向う側、稲葉家のそこが露地の中から、
蜥蜴
(
とかげ
)
のように、のろりと出て、ぬっと怪しげな影を地に
這
(
は
)
わした、
服装
(
みなり
)
はしょびたれ
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我
(
おれ
)
が腕に覚えがあって
旨
(
うま
)
く
立停
(
たちど
)
まったればこそ、さもなけりゃ、頭を
破
(
わ
)
るか、
脛
(
すね
)
を折るか、どうせ
娑婆
(
しゃば
)
の者じゃねえ、そりゃ
我
(
おれ
)
だって暮合に
無燈火
(
あかりなし
)
も悪かったけれど、大道
中
(
なか
)
に坐ってる法はねえ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お雪は思切って
立停
(
たちど
)
まった、短くさし込んだ胸の扇もきりりとする。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
画工、その事には心付かず、
立停
(
たちど
)
まりて
嬉戯
(
きぎ
)
する
小児等
(
こどもら
)
を
眗
(
みまわ
)
す。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
画工、
其
(
そ
)
の事には
心付
(
こころづ
)
かず、
立停
(
たちど
)
まりて
嬉戯
(
きぎ
)
する
小児等
(
しょうにら
)
を
眗
(
みまわ
)
す。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
巡査と
対向
(
さしむかい
)
に立ったのなんぞ、誰も
立停
(
たちど
)
まって聞くものは無い。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二歩す、フト
立停
(
たちど
)
まる。三歩を動かす時、音楽聞ゆ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お京も
立停
(
たちど
)
まって振向いた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とお千が
立停
(
たちど
)
まって
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
停
常用漢字
小5
部首:⼈
11画
“立”で始まる語句
立
立派
立退
立場
立上
立出
立竦
立籠
立塞
立留