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哥鬱賢
言ふにも及ばない事、
奴隷の恥も、
苦みも、孫一は、其の座で
解けて、娘の
哥鬱賢が
贐した其の鸚鵡を肩に
据ゑて。
言ふにも
及ばない
事、
奴隷の
恥も、
苦みも、
孫一は、
其の
座で
解けて、
娘の
哥鬱賢が
贐した
其の
鸚鵡を
肩に
据ゑて。
母親が
曲彔を
立つて、
花の
中で
迎へた
處で、
哥鬱賢は
立停まつて、
而して……
桃の
花の
重つて、
影も
染まる
緋色の
鸚鵡は、お
孃さんの
肩から
翼、
飜然と
母親の
手に
留まる。