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穢
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けが
ふりがな文庫
“
穢
(
けが
)” の例文
陸中の山村では猟人の名を
万治磐司
(
ばんじばんじ
)
といい、磐司がひとり血の
穢
(
けが
)
れを
厭
(
いと
)
わず親切に世話をすると、十二人の子を生んだと伝えている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
虚偽と
穢
(
けが
)
れによって作り上げられた学術の犠牲に供すべく、刻一刻に私の背後から迫りつつある事がヒシヒシと全神経に感じられる。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……わたくしはもう欲界の愛の心で、あなた様をお
穢
(
けが
)
し申し度くありません。というて、このままお別れ致すのも心残りで御座います。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかしそういう眼つきのために、表情は
穢
(
けが
)
されてはいなかった。むしろそのために老売卜者の顔は、悲壮にも見え純真にも見えた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
土地を
穢
(
けが
)
すとか云われて、徹底的に嫌われ、とうとう又、小田原を追ン出て、牧場を横浜市外の太田新田という所へ引移したものである。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
この男に巣食っていた
穢
(
けが
)
れし霊が、イエス様の言を聞きてその権威に圧倒され、いたたまらずしてかくのごとく叫び出したのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「あれ。あれですつてへえ! あれがこんな神聖なものをこんな
穢
(
けが
)
れた肌に平気で着けてると貴方思ふの?」女は笑つて云つた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
御所では神事に関した御用の多い時期ですから、そうした
穢
(
けが
)
れに触れた者は御遠慮すべきであると思って謹慎をしているのです。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
まだ/\残り居ります訳で、御安心下すって
何卒
(
どうか
)
あなた様の
御盃
(
おさかずき
)
を頂戴致して、
穢
(
けが
)
れたる臓腑を洗い清めまして
速
(
すみや
)
かに
立退
(
たちの
)
きまする心底で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
心は腐れ、器物は
穢
(
けが
)
れぬ。「夕暮」なき競走、油と虫となる理想! ——言葉は既に無益なるのみ。われは世界の壊滅を願ふ!
地極の天使
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「恩恩って、大っきな声でぬかすな! 手前とこが有るばっかしで、俺とこまで
穢
(
けが
)
しやがって、そんな恩施しなら、いつなと持っていけ!」
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その水中にて
溺死
(
できし
)
するはめでたいように思い、ひとたびその水にて手足を洗えば
六根清浄
(
ろっこんしょうじょう
)
となり、身心の
穢
(
けが
)
れが一時になくなると信じておる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
『ラランいふのはおまへか。ヱヴェレストはそんな
鴉
(
からす
)
に
用
(
よう
)
はないぞ。おまへなんぞに
来
(
こ
)
られると
山
(
やま
)
の
穢
(
けが
)
れだ。
帰
(
かへ
)
れ、
帰
(
かへ
)
れ。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
神の愛は平等である。
然
(
しか
)
るにこれを自己にのみ厚しとするは、これ神を
詐
(
いつわ
)
り、神を
穢
(
けが
)
し、神を
無
(
な
)
みすものに非ずして何ぞや。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
自分の熱愛しているアンナの夫のカレニンの
風貌
(
ふうぼう
)
を見て
穢
(
けが
)
らわしい心持になったと同じような気がして、その瞬間たちまち
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
素戔嗚
(
すさのお
)
はその湖の水を浴びて、全身の
穢
(
けが
)
れを洗い落した。それから岸に臨んでいる、大きな
樅
(
もみ
)
の木の陰へ行って、久しぶりに
健
(
すこや
)
な眠に沈んだ。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし私は幸いにもとっさにそんな言葉で自分を
穢
(
けが
)
すことをのがれたのだった。それは私の心が美しかったからではない。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
郎女は、貴族の姫で入らせられようが、寺の浄域を
穢
(
けが
)
し、結界まで破られたからは、直にお還りになるようには計われぬ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
投
(
なげ
)
空敷
(
むなしく
)
なりたりけり
案
(
あん
)
ずるに鬼女の如き
面體
(
めんてい
)
になりしを
恥
(
はぢ
)
て死にけるか
但
(
たゞし
)
亂心にや一人は
末
(
すゑ
)
に名を上一人は
末
(
すゑ
)
に名を
穢
(
けが
)
せりと世に
風聞
(
さた
)
せしとなん
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
両部神道が起って、神様が肉の
穢
(
けが
)
れを忌み給うという思想が盛んになっては、彼らは一層
嫌
(
きら
)
われるの運命に陥りました。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
回向
(
えこう
)
してやりたいと思うて持ち帰って、仏壇にそっと祀って置いたを
父
(
とと
)
さまにいつか見付けられて、このような
穢
(
けが
)
れたものを
家
(
うち
)
へ置いてはならぬ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かしこにてかの
穢
(
けが
)
れし民の手に
罹
(
かゝ
)
りて
虚僞
(
いつはり
)
の世——多くの魂これを愛するがゆゑに穢る——より解かれ 一四五—一四七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
聖母は彼
拙
(
つたな
)
く
彩
(
いろど
)
りたる、罪障深きものゝ手に
穢
(
けが
)
されたる影像の、灰燼となりて滅せんことをこそ願ふなれといふ。その聲はベルナルドオが聲なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
十六節は「罪を取ること水を飲むが如くする憎むべき
穢
(
けが
)
れたる人」なる語を以て、人間その者の性質を説明している。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「貴様、まだまごまごしておるかッ。神域を
穢
(
けが
)
す不所存者めがッ。行けッ、行けッ。行けと申すに早く行かぬかッ」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
不覚の名を
穢
(
けが
)
し、今に落着
相極
(
あいきわま
)
らず死せん事こそ口惜しけれ、依て残す一言あり、我れ
果
(
はて
)
ても仏事追善の営み無用たるべし、川合又五郎が首を
手向
(
たむ
)
けよ
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それからというものは、老嬢はこの猫をば
穢
(
けが
)
れたもののように毛嫌いした。猫が寄って来ると足で蹴っとばして
老嬢と猫
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「あたし美濃庄の娘なんかじゃない」とおしのは喘ぐように云った、「どこの娘でもない、あなたなんかの知らない、
穢
(
けが
)
れた、卑しい、悪い女なんです」
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのように金銭ずくの
穢
(
けが
)
れを少しも持たないそういう奉仕に、彼は極めて高い尊敬の念を持っていたので、彼は
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
お初の慾望は、平馬の、
淫
(
ただ
)
れ心に充ちた目つきに
唆
(
そそ
)
られたように、浅間しい、歪み、
穢
(
けが
)
されたものになって来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
此奴
(
こいつ
)
は
穢
(
けが
)
れた動物だ、同席は出来ないなんて、妙な渋い顔色して内実プリ/\怒ると云うような事は決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
すなわち彼は、こういう方法で殺害されることによってのみ、この種の
穢
(
けが
)
れた女は天国の門を
潜
(
くぐ
)
り得ると信じ、つまり
済度
(
さいど
)
のために殺しまわったのだった。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
綾子は少しく乗出だし、「
他
(
ほか
)
に渡世の道が無いでもあるまい。ちっとじゃが
資本
(
もとで
)
にして、そういう
穢
(
けが
)
らわしい商売は
休
(
や
)
めたが
可
(
よ
)
い。お前はどこの者だえ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
がしかしその実
泥水
(
どろみず
)
に
居
(
お
)
らなくとも泥水よりいっそう深き
穢
(
けが
)
れに心の染まれるものが世には多くありはせぬか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかるに王の末子ラトナファーのみ少しも騒がず、あり合せた飯を執って投げるを、拾うて鶏が少しもその膳を
穢
(
けが
)
さず、因って末子が一番智慧ありと知れた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
寛永三年御清の節の食穢には狸、狼、羚羊を食つた人に、五日間の
穢
(
けが
)
れありとしてあるが、今晩は
鰊糟
(
にしんかす
)
にも劣る小片のみで、狸をたらふく食つたわけではない。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
そのうちほどなく身が
穢
(
けが
)
れになったので、私は一度里へとも思ったが、すぐ思い返して、その間だけ寺から少し離れた或みすぼらしい山家に下りている事にした。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
が、あなたの上に、すぐ考えて、それが
如何
(
いか
)
にも、女性を
穢
(
けが
)
す、許されない
悪巫山戯
(
わるふざけ
)
に、思えたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして、私がこの樹立の中にまいりますのを、大変お嫌いになりまして、毎朝
行
(
ぎょう
)
をなさる
御霊
(
みたま
)
所の中にも、私だけは
穢
(
けが
)
れたものとして入れようとはなさいません。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「それに玉垣まで血で
穢
(
けが
)
してよ、罰の当った畜生じゃないか、お稲荷様だって黙っちゃいなさるめえ」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
投書家さへいつかの論文に、君には悪に
穢
(
けが
)
れた手と、泥に
塗
(
まみ
)
れた足が必要だと云つてたぢやないか。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
彼の心では、そんな話を聞いて貰う前に、
何故
(
なぜ
)
に自分の恋が
穢
(
けが
)
れて行くかを語りたかったのである。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何しろ、お
曲輪
(
くるわ
)
も近い。年一度の天下祭が不浄の血で
穢
(
けが
)
れたとあっては、まことに以て恐れ多い。なかんずく、年番御役一統の
恐悚
(
きょうしょう
)
ぶりときたらなんと譬えようもない。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして憤然とした意志で、あきらめまいとし、その
穢
(
けが
)
らわしい環境からのがれようとした。彼女は反抗者だった。ある種の不正な事柄を見ると、神経の発作を起こした。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
何
(
なん
)
ぼうしても落ちぬ
程
(
ほど
)
に、黒々と
沁込
(
しみこ
)
んだ心の
穢
(
けが
)
れ! (訳注 第三幕第四場逍遥の訳による)
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
見上げたばかりに、
穢
(
けが
)
らわしい感じになってしまった。しかも教授が表情を少しも動かさず、動物園の
檻
(
おり
)
の中のけものでも見る眼付きだったことが、五郎を一層傷つけた。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そのラマを自分の住んで居る所に置くというのは
穢
(
けが
)
れるだろうというところから、特に仏堂を設けて仏を祭ると共に自分の最も尊敬すべきラマの接待所にしてあるのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ものを
穢
(
けが
)
すという意味で、私たちの
浄
(
きよ
)
らかな心を
汚
(
よご
)
し、迷わすものは、つまりこの外からくる色と声と香と味と触と法とであるから、「六
境
(
きょう
)
」をまた「六
塵
(
じん
)
」ともいうのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
平和
(
へいわ
)
を
亂
(
みだ
)
す
暴人
(
ばうじん
)
ども、
同胞
(
どうばう
)
の
血
(
ち
)
を
以
(
もっ
)
て
刃金
(
はがね
)
を
穢
(
けが
)
す
不埓奴
(
ふらちやつ
)
……
聽
(
き
)
きをらぬな?……やア/\、
汝等
(
おのれら
)
、
邪
(
よこし
)
まなる
嗔恚
(
しんに
)
の
炎
(
ほのほ
)
を
己
(
おの
)
が
血管
(
けっくわん
)
より
流
(
なが
)
れ
出
(
いづ
)
る
紫
(
むらさき
)
の
泉
(
いづみ
)
を
以
(
もっ
)
て
消
(
け
)
さうと
試
(
こゝろ
)
むる
獸類
(
けだもの
)
ども
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
『
穢
(
けが
)
れてる/\、ツてあの時
皆
(
み
)
んながさう言つたのは、
矢
(
や
)
ツ
張
(
ぱ
)
り
眞個
(
ほんとう
)
だつたのかい。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
穢
漢検1級
部首:⽲
18画
“穢”を含む語句
汚穢
醜穢
穢物
薄穢
触穢
穢多
穢濁
垢穢
罪穢
穢土
口穢
濁穢
小穢
穢汚
穢虫
穢悪
汚穢屋
穢辱
浄穢
穢苦
...