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生血
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いきち
ふりがな文庫
“
生血
(
いきち
)” の例文
「聞えたって、なあに、かまうもんか。なにかいったら
賤
(
しず
)
ヶ
岳
(
たけ
)
で、すこし
食
(
く
)
い
足
(
た
)
らなかった
腰
(
こし
)
の
刀
(
もの
)
に、
生血
(
いきち
)
を
馳走
(
ちそう
)
させてやるさ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
をしぼりたる
報
(
むく
)
ひか、五十にも
足
(
た
)
らで
急病
(
きうびやう
)
の
腦充血
(
のうじうけつ
)
、一
朝
(
あさ
)
に
此世
(
このよ
)
の
税
(
ぜい
)
を
納
(
をさ
)
めて、よしや
葬儀
(
さうぎ
)
の
造花
(
つくりばな
)
、
派手
(
はで
)
に
美事
(
みごと
)
な
造
(
おく
)
りはするとも
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
取っ捉まえて、人間でも鳥でも構わずに、その
生血
(
いきち
)
を吸うのだと云えばいうものの、どうもそうとは思われねえ。ちょいと、これをみてくれ
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其痛みを
堪
(
こら
)
えて我
生血
(
いきち
)
に指を染め其上にて字を書くとは一通りの事に
非
(
あら
)
ず、充分に顔を蹙め充分に
相
(
そう
)
を
頽
(
くず
)
さん、
夫
(
それ
)
のみか名を書くからには
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「どうだい、これは、
自分
(
じぶん
)
はまあ
何
(
なん
)
といふ
幸福者
(
しあはせもの
)
だらう。こんやは、それこそ
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
、
腹
(
はら
)
一
杯
(
ぱい
)
うまい
生血
(
いきち
)
にありつける
譯
(
わけ
)
だ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
蟇
(
ひきがえる
)
が出て
鼬
(
いたち
)
の
生血
(
いきち
)
を吸ったと言っても、
微笑
(
ほほえ
)
んでばかりいるじゃありませんか。早く安心がしたくもあるし、こっちは
急
(
あせ
)
って
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
西部戦線の裡面に巨大な巣を張りまわして、こうした方法で出征兵士の
生血
(
いきち
)
を
啜
(
すす
)
っている稀代の大悪魔なのではあるまいか。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こんなやつに
頸
(
くび
)
のあたりを喰いつかれ、
生血
(
いきち
)
をちゅっちゅっ吸われたら、いかな
頑固爺
(
がんこおやじ
)
の金博士であろうと、ひとたまりもなかろうと思われた。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あの婆さんは若い者の
生血
(
いきち
)
を絞る——若い者だけではない、あの調子だから、目をつけた男は大抵ものにしてしまう。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
治「ヘヽヽそれは有難い事で、女が
好
(
よ
)
くったって悪党は驚きます、
生血
(
いきち
)
を吸われますからな、何うもそれは有難い事で、幸三郎さん何うか願いたいもので」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかもそうした
堅気
(
かたぎ
)
の士族出が、社会の最暗黒面である
廓
(
さと
)
近くに住居して、場末の下層級の者や、流れ寄った諸国の
喰詰
(
くいつ
)
めものや、そうでなくても
闇
(
やみ
)
の女の
生血
(
いきち
)
から絞りとる
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
百里をつつむ
黒霧
(
こくむ
)
の奥にぼんやりと冬の日が写る。
屠
(
ほふ
)
れる犬の
生血
(
いきち
)
にて染め抜いたようである。兄は「
今日
(
きょう
)
もまたこうして暮れるのか」と弟を
顧
(
かえり
)
みる。弟はただ「寒い」と答える。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一度埋葬された死人が鬼と化して、夜な夜な墓場をさまよい
出
(
い
)
で、人家に忍び入って、睡眠中の人間の
生血
(
いきち
)
を吸い取り、不可思議な死後の生活を続ける場合がある。これが伝説の吸血鬼だ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「コラッ、貴様ッ、ろくろく働きもせぬくせに、
生血
(
いきち
)
のような水を
唯
(
ただ
)
飲みしようとは、
怪
(
け
)
しからん奴だ」と
呶鳴
(
どな
)
り付けたが、考えてみればあれも人の子、咽の渇くのは同じだろうと
惻隠
(
そくいん
)
の心も起り
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「先生、一生懸命になって、毎朝
鵞鳥
(
がちょう
)
の
生血
(
いきち
)
を飲むそうです」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「何んしよまア、村長はんが代はろと、誰れが議員さんになろと、小前のもんは
生血
(
いきち
)
絞られるばつかりや。……蓆旗でも立てゝ、一つがうそう(強訴)でもやらかさうかい。こんなりでは見い、
今
(
いん
)
まに生きついて了ふで。……」
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
まだ一度も
生血
(
いきち
)
を嘗めず
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
涙の代りに
生血
(
いきち
)
を
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『人の声を盗む者、
他
(
ひと
)
の姿を盗む者、
他
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
を盗む者、この三つは悪魔である。見当り次第に打ち壊せ、打ち殺せ、焼いて灰にして土に埋めよ』
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
血ではないとあらかじめ予告をされたから、かえってこれは、
生血
(
いきち
)
がどろどろ流れているのではないかと、お雪ちゃんが二の足を踏むと、お銀様から
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
のみならず、会心の男が出来て、これはと思うその胸へ、グザと
刃
(
やいば
)
を描いて刺す時、膚を当てると、
鮮紅
(
からくれない
)
の露を絞って、
生血
(
いきち
)
の
雫
(
しずく
)
が
滴点
(
したた
)
ると言います。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鬼柴田権六
(
おにしばたごんろく
)
の
旗本
(
はたもと
)
で、
戦塵裡
(
せんじんり
)
に人の
生血
(
いきち
)
をすすりながら働きまわったおぼえもある
菊村宮内
(
きくむらくない
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんなことを
訊
(
き
)
いているんじゃないじゃないの。いやあなひとね。ここの中にはそりゃとても怖ろしい人が居るのよ。人間の
生血
(
いきち
)
でも
啜
(
すす
)
りかねない人がネ。今にわかるわ、畜生」
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だが、いくら愛し合っていたところで、彼奴は、
当前
(
あたりまえ
)
の人間ではないのだ。恐ろしいラスト・マアダラアなのだ。彼として見れば、いとしければこそ、その人の
生血
(
いきち
)
がすすりたいのかも知れぬのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
涙の
代
(
かは
)
りに
生血
(
いきち
)
を
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そうして異性の弱点をあらゆる方向から
蠱惑
(
こわく
)
しつつ、その
生血
(
いきち
)
を最後の一滴まで吸いつくすのを唯一の使命とし、無上の誇りとし、最高の愉楽と心得ている女である。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
金持を
欺
(
だま
)
して絞り上げたその金で、高利を貸して、今度は貧乏人の
生血
(
いきち
)
を絞ろうというやつらなんだ、だから貧窮組が嫌いなんだろう、誰も貧乏の好きな者はねえけれども
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
翌月
(
あくるつき
)
、
二度目
(
にどめ
)
の
時
(
とき
)
に、それでも
氣絶
(
きぜつ
)
はしませんでございました。そして、
仙人
(
せんにん
)
の
持
(
も
)
ちましたのは
針
(
はり
)
ではありません、
金
(
きん
)
の
管
(
くだ
)
で、
脈
(
みやく
)
へ
刺
(
さ
)
して、
其
(
そ
)
の
管
(
くだ
)
から
生血
(
いきち
)
を
吸
(
す
)
はれるつて
事
(
こと
)
を
覺
(
おぼ
)
えたのです。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは
癆咳
(
ろうがい
)
に
利
(
き
)
くというので、お米が人目に隠れて
服
(
の
)
むすっぽんの
生血
(
いきち
)
だ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の家は代々この秘密を守って、そして
彼
(
か
)
の昔からの掟——人の姿を盗む者。人の声を盗むもの。人の
生血
(
いきち
)
を盗む者。この三ツは悪魔である。見当り次第に打ち殺せ。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
それは白馬ヶ岳の雪に磨かれた
深山薄雪
(
みやまうすゆき
)
や、
梅鉢草
(
うめばちそう
)
とは違います、ここのは、眼の
碧
(
あお
)
い、
鬚
(
ひげ
)
の赤い異国の人が持って来て、人の
生血
(
いきち
)
を飲みながら植えて行った薬草なんですもの
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
呆気
(
あつけ
)
に
取
(
とら
)
れて
見
(
み
)
る/\
内
(
うち
)
に、
下
(
した
)
の
方
(
はう
)
から
縮
(
ちゞ
)
みながら、ぶくぶくと
太
(
ふと
)
つて
行
(
ゆ
)
くのは
生血
(
いきち
)
をしたゝかに
吸込
(
すひこ
)
む
所為
(
せゐ
)
で、
濁
(
にご
)
つた
黒
(
くろ
)
い
滑
(
なめ
)
らかな
肌
(
はだ
)
に
茶褐色
(
ちやかツしよく
)
の
縞
(
しま
)
をもつた、
痣胡瓜
(
いぼきうり
)
のやうな
血
(
ち
)
を
取
(
と
)
る
動物
(
どうぶつ
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大阪以来ここしばらく、そぼろ助広にもうまい
生血
(
いきち
)
を
舐
(
な
)
めさせない。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大目玉
(
おほめだま
)
で、
天守
(
てんしゆ
)
を
睨
(
にら
)
んで、ト
其処
(
そこ
)
に
囚
(
と
)
られてござるげな、
最惜
(
いとをし
)
い、
魔界
(
まかい
)
の
業苦
(
がうく
)
に、
長
(
なが
)
い
頭髪
(
かみのけ
)
一筋
(
ひとすぢ
)
づゝ、
一刻
(
いつこく
)
に
生血
(
いきち
)
を
垂
(
た
)
らすだ、
奥様
(
おくさま
)
の
苦脳
(
くなう
)
を
忘
(
わす
)
れずに、
飽
(
あ
)
くまで
行
(
や
)
れさ、
倒
(
たふ
)
れたら
介抱
(
かいはう
)
すべい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
呆気
(
あっけ
)
に取られて見る見る内に、下の方から縮みながら、ぶくぶくと太って行くのは
生血
(
いきち
)
をしたたかに吸込むせいで、
濁
(
にご
)
った黒い滑らかな
肌
(
はだ
)
に
茶褐色
(
ちゃかっしょく
)
の
縞
(
しま
)
をもった、
疣胡瓜
(
いぼきゅうり
)
のような血を取る動物
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
生血
(
いきち
)
を吸われた、お先達、ほう、腕が冷い、氷のようじゃ。)
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死