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さま
ふりがな文庫
“
状
(
さま
)” の例文
面貌
(
めんぼう
)
ほとんど生色なく、今にも
僵
(
たお
)
れんずばかりなるが、ものに激したる
状
(
さま
)
なるにぞ、介添は
心許
(
こころもと
)
なげに、つい居て着換を捧げながら
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここに一例としてインド産のピゾン一種人に
馴
(
な
)
るる
状
(
さま
)
を示す(図略す)。これは身長二丈余に達する事あり。英人のいわゆる
岩蛇
(
ロック・スネーク
)
だ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
智
(
さと
)
き導者。汝等をこゝに捕ふる網、その解くる
状
(
さま
)
、地のこゝに震ふ所以、汝等の倶に喜ぶところの物、我今皆これを知る 七六—七八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
夏には
更
(
さら
)
に
千鳥草
(
ちどりそう
)
の花がある。千鳥草、又の名は飛燕草。葉は人参の葉の其れに似て、花は千鳥か燕か鳥の飛ぶ様な
状
(
さま
)
をして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そのなかを、時々、おそろしくこんもりした密林があり、
棕梠竹
(
しゆろだけ
)
や下草が密生して、いはゆるジャングルの
状
(
さま
)
を示してゐる処もあつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
かく相讓る時に、その
會
(
つど
)
へる人ども、その讓れる
状
(
さま
)
を
咲
(
わら
)
ひき。ここに遂に兄儛ひ訖りて、次に弟儛はむとする時に、
詠
(
ながめごと
)
したまひつらく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
この様な哀れな
状
(
さま
)
をした愚鈍そうな老爺がとんでもない喰わせものであろうとは、南洋へ来てまだ間も無い私にとって
頗
(
すこぶ
)
る意外であった。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「……が。この
状
(
さま
)
を、成り行きまかせに、われらが傍観してもおれますまい。勝入どのに、何ぞ、御分別はお持ち合わせありますまいか」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われは心中にララをおもひサンタをおもひつゝ、月明かなる夜、
渠水
(
きよすゐ
)
に
枕
(
のぞ
)
める出窓の上に、美人の獨りたゝずめる
状
(
さま
)
を敍したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
精限り根限りの味覺を舌の
尖端
(
さき
)
に集めようとする
状
(
さま
)
で、ぴた/\と音させて、深く考へ込んでゐたけれど、到頭分らなかつた。
父の婚礼
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
白髮茨の如き痩せさらぼひたる斃死の
状
(
さま
)
の人が、吾兒の骨を
諸手
(
もろて
)
に握つて、キリ/\/\と噛む音を、現實の世界で目に見る或形にしたら
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この貧しげな在所から入って来ると、着いた当時は
鈍
(
のろ
)
くさくて
為方
(
しかた
)
のなかった寂しい町の
状
(
さま
)
が、可也
賑
(
にぎや
)
かで、豊かなもののように見えて来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
我々のみじめな
状
(
さま
)
を見て、世の人は嘲って言います、「人を救いて、己を救うことあたわず」「他人の子を教えて、自己の子を教うるあたわず」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
と、今は寒さに震えながら、下火に当っての物語、……
茫々莫々
(
ぼうぼうばくばく
)
たる焼け跡の真黒な世界は、師走の鉛色な空の下に無惨な
状
(
さま
)
で投げ出されていました。
幕末維新懐古談:15 焼け跡の身惨なはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
わが家の水上僅かに屋根ばかり現われおる
状
(
さま
)
を見て、いささかも痛恨の念の湧かないのは、その快味がしばらくわれを支配しているからであるまいか。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
茶山は花亭月堂等が江戸にあつて同じ月を賞する
状
(
さま
)
を思ひ遣つた。「不知東関外。得否此晶瑩。携酒誰家楼。泊舟何処汀。如見歓笑態。宛聞諷詠声。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
わがマカロニ関はそうめん関に右筈で押し行かれ土俵の剣ヶ峰で危険迫ると悟つても相手を突き離さうとする
状
(
さま
)
怪物取組画譜:出羽ヶ嶽その日その日
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
木川子の腰に細引を結び付けて、将軍が
巌角
(
いわかど
)
に足を踏ん張り、大冒険を企てて、早速奔流落下の
状
(
さま
)
を写し取った。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
そうしてこれらの仮面をかぶった役者が、あるいは竜馬格闘の
状
(
さま
)
を、あるいは男女酔歓の状を演出したのである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
活動が殆ど絶えたやうな
状
(
さま
)
をなして、そして心中には取り止め無くチラ/\と種々に物を思つて居るやうになる。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
然るに不幸にして男性の素振に己れを嫌忌するの
状
(
さま
)
あるを見ば、嫉妬も
萌
(
きざ
)
すなり、廻り気も起るなり、恨み
苦
(
にが
)
みも生ずるなり、男性の
自
(
みづか
)
ら繰戻すにあらざれば
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
火の燃えさかる中にカッと開いている蓮華の
状
(
さま
)
は、如何にも
壮
(
さか
)
んで勇猛心に燃えているように思われてなりません。私は、近来殊にこの勇猛心を持っております。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
さう云ふ場合にすぐそれと気取られるやうな憔悴した後暗い
状
(
さま
)
を見せまいとして、わざと此方から伯母を圧倒するやうな態度に出ようと其瞬間に思つたのである。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
今の心の
状
(
さま
)
を察するに、
譬
(
たと
)
えば酒に酔ッた如くで、気は
暴
(
あれ
)
ていても、心は妙に
昧
(
くら
)
んでいるゆえ、見る程の物聞く程の事が眼や耳やへ入ッても底の認識までは届かず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
やがて双眼鏡は貴婦人の手に在りて、
措
(
お
)
くを忘らるるまでに
愛
(
め
)
でられけるが、目の及ばぬ遠き限は南に北に
眺尽
(
ながめつく
)
されて、彼はこの
鏡
(
グラス
)
の
凡
(
ただ
)
ならず精巧なるに驚ける
状
(
さま
)
なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
明治三十三年四月十五日の日曜日に向嶋にて警察官の厄介となりし者酩酊者二百五人喧嘩九十六件、
内
(
うち
)
負傷者六人、違警罪一人、
迷児
(
まいご
)
十四人と聞く。雑沓狼藉の
状
(
さま
)
察すべし。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ずらりと並んだ寝台に眠っている病人たちの
状
(
さま
)
ざまな姿体を、尾田は眺める気力がなく、下を向いたまま、一時も早く布団の中にもぐり込んでしまいたい思いでいっぱいだった。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
と、それから四五日して夜、又、夢に、…松風がごーつと悲しく吹き渡り、そしてそれから広い/\松原の醜く真赤に枯れた
状
(
さま
)
がまざ/\と彼の目の前に現はれて来るのであつた。
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
頓
(
やが
)
てそれがハラハラと四方に飛散する
状
(
さま
)
は、
恰
(
あたか
)
も線香花火の
消
(
きえ
)
るようであった、雨は
篠
(
しの
)
を
束
(
つか
)
ねて
投
(
なぐ
)
る如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、僕ならずとも誰でもあまり
感心
(
かんしん
)
はしまい。
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
フロツクコオトを着て山高
帽
(
ぼう
)
を
被
(
かぶ
)
つた姿は
固陋
(
ころう
)
な在所の人を驚かした。再び法衣を着たことは着たが、
永
(
なが
)
の留守中
荒
(
あ
)
れ
放題
(
はうだい
)
に荒れた
我寺
(
わがてら
)
の
状
(
さま
)
は気にも掛けず格別修繕しようともせぬ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
貧民妻子を引連れ来りて之を争ひ食へる
状
(
さま
)
は、
宛然
(
さながら
)
蟻
(
あり
)
の集まる如く、蠅の群がるに異ならで哀れにも
浅間
(
あさま
)
しかり、されば一町
斯
(
かく
)
の如き挙動に及ぶを伝へ聞けば隣町忽ちこれにならひ
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
尊良親王・宗良親王・
懐良
(
やすなが
)
親王・
北畠親房
(
きたばたけちかふさ
)
・北畠
顕家
(
あきいえ
)
みなそうであった。だから京都の
第宅
(
ていたく
)
に遊園を愉しむ生活に比べれば、すこぶる荒涼として、
艱難
(
かんなん
)
辛苦の
状
(
さま
)
は想像に余りがある。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
この句はそういう境涯にいる自分の歳暮の
状
(
さま
)
を咏じたもので、今年ももう暮れる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
時には死と死後の有様について高壇より公衆に
向
(
むかっ
)
て余の思想を
演
(
の
)
べたり、人の死するを聞くや、或は
聖経
(
せいきょう
)
の章句を引用し、或は英雄の死に際する時の
状
(
さま
)
を
語
(
かたっ
)
て、死者を
悲
(
かなし
)
む者を慰めんとし
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そこには細君と一人の下男とが一つの
杯
(
さかずき
)
の酒を飲みあっていたが、その
状
(
さま
)
がいかにも
狎褻
(
おうせつ
)
であるから周は火のようになって怒り、二人を
執
(
とら
)
えようと思ったが、一人では勝てないと思いだしたので
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
我は如何なる
状
(
さま
)
に居るとも、足ることを学びたればなり。——
其中日記:14 (十三の続)
(新字旧仮名)
/
種田山頭火
(著)
愚かなる
状
(
さま
)
して黒々と立てる屋根の下に
無題
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
さッと室内の
状
(
さま
)
が、うかび出た。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
勿論、
兇器
(
きょうき
)
は離さない。
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
の足が
躍
(
おど
)
つて、ともすれば局の袴に
躓
(
つまず
)
かうとする
状
(
さま
)
は、
燃立
(
もえた
)
つ
躑躅
(
つつじ
)
の花の
裡
(
うち
)
に、
鼬
(
いたち
)
が狂ふやうである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
我たゞ
微笑
(
ほゝゑ
)
めるのみ、されどその
状
(
さま
)
眴
(
めくばせ
)
する人に似たれば、かの魂口を噤み、心のいとよくあらはるゝ處なる目を見て 一〇九—一一一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
演技半ばにたちまち地に伏して屍のごとし、やがて飛び起きて棗売りの顔を見詰め、大いに叫ぶ
状
(
さま
)
、どこか痛むか何か怒るものに似たり
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
白髪
(
しろかみ
)
茨
(
いばら
)
の如き痩せさらぼひたる斃死の
状
(
さま
)
の人が、吾児の骨を諸手に握つて、キリ/\/\と噛む音を、現実の世界で目に見る或形にしたら
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ダンテが敍事の生けるが如きために、其
状
(
さま
)
深くも我心に
彫
(
ゑ
)
りつけられたるにや、晝は我念頭に上り、夜は我夢中に入りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その泣く
状
(
さま
)
は、青山は枯山なす泣き枯らし
河海
(
うみかは
)
は
悉
(
ことごと
)
に泣き
乾
(
ほ
)
しき。ここを以ちて
惡
(
あら
)
ぶる神の音なひ
二二
、
狹蠅
(
さばへ
)
なす皆
滿
(
み
)
ち、萬の物の
妖
(
わざはひ
)
悉に
發
(
おこ
)
りき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
二人の女の先きを爭つてゐるのを、道臣は細い
下
(
さが
)
り
目
(
め
)
を溶けさうにして見やりつゝ、電報といふ恐ろしいものの來たことを氣にもかけぬ
状
(
さま
)
であつた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
水が澄明で、群魚游泳の
状
(
さま
)
の手に取る如く見えるのは、南洋の海では別に珍しいことはないのだが、此の時程、萬華鏡の樣な華やかさに打たれたことは無い。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
山を
蝕
(
むしば
)
み、裾野を
被
(
おほ
)
ひ、山村を呑みつ吐きつして、前なるは這ふやうに去るかと見れば、後なるは飛ぶ如くに来りなんどする
状
(
さま
)
、観て飽くといふことを覚えず。
雲のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
脂粉や珠玉も泥土にまみらせて惜しむ眼もなかったという——
長恨歌
(
ちょうごんか
)
のうちにもある漢王の
貴妃
(
きひ
)
との長安の都を落ちる
状
(
さま
)
にも似て、道はすこしも
捗
(
はかど
)
らなかった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
イエス答えて言いたまう「神の国は見ゆべき
状
(
さま
)
にて来たらず。また『視よ、
此処
(
ここ
)
に在り』『
彼処
(
かしこ
)
に在り』と人々言わざるべし。視よ神の国は汝らの中に在るなり」
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
浅井が留守になると、お増はその婆さん
母子
(
おやこ
)
にちやほやされている
状
(
さま
)
が、すぐに目に浮んで来た。まだ逢ったことのない女の顔なども、想像できるようであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
状
常用漢字
小5
部首:⽝
7画
“状”を含む語句
状態
形状
行状
白状
書状
状況
現状
兇状持
異状
紹介状
生活状態
連判状
景状
名状
惨状
身状
遺言状
召状
心状
状箱
...