湖水こすい)” の例文
舟にそれを乗せて湖水こすい水葬すいそうしたことなどを思いうかべて、まだ子をたずねる母、たずねらるる子は、しあわせであるように考えられた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私も、観音様といっしょに、水にはいらせてください。観音様のおともをして、いつまでも、この湖水こすいまもりとうございます」
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
いははなをば、まはつてくごとに、そこにひとつづゝひらけてる、近江あふみ湖水こすいのうちのたくさんの川口かはぐち。そこにつるおほてゝゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
翌朝よくあさると、はたして湖水こすいおもては、かがみのごとくひかって、かたくりつめたこおりは、武士ぶしをやすやすと、むこうのきしまで、わたらせてくれたのでした。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
湖上住居こじようじゆうきよは、しかし新石器時代しんせつきじだいばかりでなく、ぎの青銅器時代せいどうきじだいまでもきつゞいておこなはれてゐたことは、湖水こすい一番いちばんふかそこからは石器せつき發見はつけんされ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ったことのある境地ところでございますから、道中どうちゅう見物けんぶつ一切いっさいヌキにして、私達わたくしたちおもいに、あのものすごい竜神りゅうじん湖水こすいほとりしまいました。
あるれたはるあさでした。伊香刀美いかとみはいつものようにりょうの支度したくをして、湖水こすいほうりて行こうとしました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして、とうとういつめられて、みよこの家のよこの、ボートがきしにあげられてあるところまで走ってきた。そのむこうは、もう湖水こすいで、ゆきどまり——。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
このとき磐梯山ばんだいざん大部分だいぶぶん蒸氣じようき膨脹力ぼうちようりよくによつてばされ、堆積物たいせきぶつ溪水たにみづふさいで二三にさん湖水こすいつくつたが、東側ひがしがはながした泥流でいりゆうのために土地とちのみならず
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かあさんは、湖水こすいのふちに、すんでいましてね、そこからわたしがかえってくるとき、くたびれて、林のなかでやすんでいますと、さよなきどりの歌がきこえます。
暮靄ぼあいが低く湖水こすいをこめて、小山の上の方だけが浮出ているように見える。途中でそこに連隊でもあるらしく番兵のいる門などもあった。それから、煙突の太いのが見え出す。寺が見える。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あの湖水こすいへ、夜おそく、うなぎを取りにいったこと、妙な音が聞えたこと、光り物がしたこと、うす桃色に光る塔のようなものが、天狗岩の上に斜に突立っていたこと、それから、妙な鳴き声の
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つばめたちは、くびをのばして、あらそってそれをとろうとしました。そして、つぎの瞬間しゅんかんに、みんな湖水こすいなかちておぼれてしまいました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつかあなたに青々としたあし湖水こすいの水と、湖尻の山、乙女峠おとめとうげ、長尾の肩などが明け方の雲表にのぞまれて、自身は
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山間さんかん湖水こすいのようにった、気高けだかひめのおかおにも、さすがにこのとき情思こころうごきがうす紅葉もみじとなってりました。わたくしかまわずいつづけました。——
さて、その日になりますと、ありがたい観音様が、琵琶湖の護り主となって、水にはいられるというので、おおぜいの人たちが湖水こすいのふちに集まりました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
むかし近江国おうみのくに余呉湖よごのうみという湖水こすいちかさびしいむらに、伊香刀美いかとみというりょうしがんでおりました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
新石器時代しんせつきじだい人間にんげんは、またあるところでは湖水こすいなか棒杙ぼうぐひつてそのうへ小屋こやまうけてんでゐました。そしてその小屋こやおほあつまつてひとつの村落そんらくをつくつてゐました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
スカンヂナビヤへんける湖水こすい氾濫はんらん惹起ひきおこしたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
このとき、一ぴきのけものがどこからかびだして、ゆきをけたてて、湖水こすいよこぎり、たちまち姿すがたしてしまいました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
聞くところでは、この湖水こすいのずっと北の方、海に近いあたりは、米や芋がたくさんできたそうです。だから、みんなで金を出しあって、買って来ようではありませんか
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そこのすいしょうをはりつめた欄干らんかんから、湖水こすいかしてすぐこうに三上山みかみやまがそびえていました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あまり気持きもちいたしませんでしたが、修行しゅぎょうとあればいなむこともできず、わたくしはとあるいわうえすわって統一状態とういつじょうたいはいってますと、はたして湖水こすいなかはだいろくろっぽい
そしてまた海岸かいがんばかりでなく、湖水こすいそばなどにも淡水産たんすいさん貝殼かひがら出來できてゐる貝塚かひづかがあるのであります。遠江とほたふみ蜆塚しゞみづかなどはその一例いちれいで、しゞみ貝殼かひがらなどがあるので、こんながつけられたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
やがてその日もまた夕暮れになってひとつの大きな湖水こすいのほとりへでた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、この湖水こすいがわたれるなら、はやかえれるだろうに。」と、湖水こすいほうをながめて、ためいきをつきました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
伊香刀美いかとみはすこし拍子ひょうしけがして、そこらをぼんやり見回みまわしました。すると水晶すいしょうかしたようにみきった湖水こすいの上に、いつどこからたか、八にん少女おとめがさもたのしそうにおよいであそんでいました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おお湖水こすいへでた! みずうみが見えた!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、けっしてそうでない。この湖水こすいいだしただけでもこのたびはむだではなかった。あのすばらしい四辺あたり山々やまやまるがいい。」と、元気げんきな、ケーがんが、いいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるおやつばめは、そのあなのなかからて、湖水こすいうえのようにかけてゆきました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)