御身おみ)” の例文
それでお電話を差上るので御座いますが……その若様の御身おみの上について大切な御報告を申上げたい事が御座いますので……ハイハイ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……御身おみ達いずれも四十以上であろうな。鈴木が年嵩で六十五か。……年を取ってもこの元気じゃもの壮年時代が思いやられる。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……れば御身おみは、わかいものゝ尻圧しりおししていしるまでもはたらけ、とはげますのぢや。で、そゝのかすとはおもふまい。徒労力むだぼねをさせるとはるまい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われらも穢土えどの衆苦を去って、常寂光じょうじゃっこうの中にじゅうそうには伊勢物語をそのままの恋をするよりほかはあるまい。何と御身おみもそうは思われぬか。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
みこと御国みくににとりてかけがえのない、大切だいじ御身おみうえ……何卒なにとぞこのかずならぬおんな生命いのちもっみこと御生命おんいのちにかえさせたまえ……。
おそれながら御前ごぜんさまはお大名だいみやう御身おみりながら、お月さまとおほせられましては、小児せうに童子わらべことにて、歌俳諧うたはいかいにでも月は月で事はますやうぞんじます。
昔の大名の心意気 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御身おみの長さ一丈二寸、御脛おんはぎの長さ四尺一寸ございました。次にイニシキノイリ彦の命は、血沼ちぬの池・狹山さやまの池を作り、また日下くさか高津たかつの池をお作りになりました。
御身おみのために申せば粗忽そこつにこの中国へ懸り給わば由々ゆゆしき大事を引き起し候わんと、案じるのでござる。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「定明がもとにこれから赴こうとするほどの御身おみが、われと話さえまかりならぬというのか。」
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
どうぞ御身おみを大事に遊ばして、必ず気をながくお持ち遊ばして、ね、決して短気をお出しなさらぬように——御気分のいい時分ときはこのほんをごらん遊ばして——私は東京あちらに帰りましても
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『まだきたい。御身おみさくはだなめらかぢやらう。が、にくはあるか、れて暖味あたゝかみがあるか、木像もくざうつめたうないか。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御身おみさまも、なぜ、わたくしがかくもさびしい松並木の道をおとずれるかについて、きっと、奇異な思いを抱かせられることと思いますが、それをあからさまに申し上げれば
玉章 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
……おそれながら私は、今日という今日までの間、運命の神様のお仕事が、おひい様の御身おみの上に成就致しまするのを、来る日も来る日もお待ち申しておったので御座います。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このひとは、まだ御身おみわせるのにはすこ早過はやすぎるかとはおもわれたが、ただ本人ほんにん是非ぜひ御身おみいたい、一わせてもらえば、気持きもちおちついて、修行しゅぎょうはやすすむともうすので
今出川いまでがわ大納言だいなごん様の御屋形から、御帰りになる御車みくるまの中で、急に大熱が御発しになり、御帰館遊ばした時分には、もうただ「あた、あた」と仰有おっしゃるばかり、あまつさえ御身おみのうちは
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なにかな、御身おみ遠方ゑんぱうから、近頃ちかごろ双六すごろく温泉をんせんへ、夫婦ふうふづれで湯治たうぢて、不図ふと山道やまみち内儀ないぎ行衛ゆくゑうしなひ、半狂乱はんきやうらんさがしてござる御仁ごじんかな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もし御隠し遊ばすと王様の御身おみの上やこの国の行く末に容易ならぬわざわいが起りまするぞ
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
御身おみ守護霊しゅごれいにもたのんで、今日きょうわざわざれてまいったような次第しだい……御身おみとは生前せいぜんまたとなくしたしい間柄あいだがらのようにおよんでいるから、いろいろとよくいきかせてもらいたい……。
鬼神きじんが鬼神に遇うたのじゃ。父上の御身おみに害がなかったのは、不思議もない。」と、さも可笑おかしそうに仰有おっしゃいましたが、その後また、東三条の河原院かわらのいんで、夜な夜な現れるとおるの左大臣の亡霊を
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(御新姐様や、御身おみア、すいたらしい人じゃでの、安く、なかまの値で進ぜるぞい。)ッて、皺枯しわがれた声でそう云うとね、ぶんと頭へ響いたんです。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御身おみたちもよく覚えて、お社近やしろぢか村里むらざとの、嫁、嬶々かか、娘の見せしめにもし、かつはこおりへも町へも触れい。布気田ふげた
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よって最後の試み、としてたった今、少年これに人を殺させた——すなわち殺された者は、客僧、御身おみじゃよ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「客僧しばらく——唯今ただいまそれへ参るものがござる。往来をふさぐまい。押して通るは自在じゃが、仏像ゆえに遠慮をいたす。いや、御身おみに向うて、害を加うる仔細しさいはない。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おんなじ産神様氏子うじこ夥間なかまじゃ。承知なれど、わしはこれ、手がこの通り、思うように荷が着けられぬ。御身おみたちあんばいよう直さっしゃい、荷の上へせべい、とじじいどのが云いますとの。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御身おみと同然に、愚僧御司配ごしはい命令おおせこうむり、京都と同じ日、づ/\同じ刻限に、江戸城へも事を試みる約束であつたれば、千住せんじゅ大橋おおはし、上野の森をひとのしに、濠端ほりばたの松まで飛んで出た。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いや、御身おみたち、(村人と禰宜ねぎにいう)このおんなを案内に引立ひったてて、臨場裁断と申すのじゃ。怪しい品々しなじなかっぽじってられい。証拠の上に、根から詮議せんぎをせねばならぬ。さ、婦、立てい。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(この時人々の立かかるを掻払かいはらう)六根清浄ろっこんしょうじょう、澄むらく、きよむらく、清らかに、神に仕うる身なればこそ、このよこしまを手にも取るわ。御身おみたちが悪く近づくと、見たばかりでも筋骨すじぼねを悩みわずらうぞよ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
塗以丹碧ぬるにたんぺきをもつてす公焉能置身其間乎こういづくんぞみをそのあひだにおかんやひと馬鹿ばかにすぢやの、御身おみは!」
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
村の人一 ええ、まあ、御身おみたちゃあ何をしとるだ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まず、どうして、誰から、御身おみは習うたの。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御身おみは京都の返りだな。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)