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年來
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ねんらい
彼は
山にゐる
間さへ、
御米が
此事件に
就いて
何事も
耳にして
呉れなければ
可いがと
氣遣はない
日はなかつた
位である。
宗助は
年來住み
慣れた
家の
座敷に
坐つて
地震を
考慮するやうになつたのは、
各個人が
眞劍に
生命財産を
尊重するやうになり、
都市が
發達し
科學思想が
普及してからのことで、
近く三百
年來のことと
思はれる。
櫻木大佐が
其姿を
隱すと
共にかの
帆走船も
其停泊港に
在らずなり、
併せて
大佐が
年來の
部下として
神の
如く
親の
如くに
氏に
服從せる三十七
名の
水兵も
其姿を
失ひたりといへば
所詮
永い間の空想を實現させたので、無論父にも
義母にも無斷だ。彼は此の
突飛極まる行動に、勝見の一
家をまごつかせて、
年來耐へに耐へた
小欝憤の幾分を
漏らしたのである。
これは
彌六といつて、
與吉の
父翁が
年來の
友達で、
孝行な
兒が
仕事をしながら、
病人を
案じて
居るのを
知つて
居るから、
例として
毎日今時分通りがかりに
其消息を
傳へるのである。
君は
彼等を
信じなさるな。
嘘なのです。
私の
病氣と
云ふのは
抑恁うなのです。二十
年來、
私は
此の
町にゐて
唯一人の
智者に
遇つた。
所が
其れは
狂人で
有ると
云ふ、
是丈の
事實です。
七歳のとしに
父親得意塲の
藏普請に、
足塲を
昇りて
中ぬりの
泥鏝を
持ちながら、
下なる
奴に
物いひつけんと
振向く
途端、
暦に
黒ぼしの
佛滅とでも
言ふ
日で
有しか、
年來馴れたる
足塲をあやまりて
爰に又伊勢屋五兵衞の
養子千太郎は
舊の番頭久八が
情にて
己の
引負の金迄も久八が自分に
引請終に是が爲に久八は
年來勤め
白鼠と云れし功も水の
泡となし永の
暇と成し事其身を
捨て
養子千太郎の
離縁を
宗助は
糸底を
上にしてわざと
伏せた
自分の
茶碗と、
此二三
年來朝晩使ひ
慣れた
木の
箸を
眺めて
何しろ幾百
年來、
腐敗したあらゆる
有機體の素を
吸込むで、土地はしツけてゐる。
エヒミチは
初の一
分時は、
何の
意味もなく
書物と
離れ、ダリユシカと
麥酒とに
別れて、二十
年來定まつた
其生活の
順序を
破ると
云ふ
事は
出來なく
思ふたが、
又深く
思へば、
市役所で
有りし
事
「おや/\、まあ
御珍らしい
事」と
云つて、
何時もよりは
愛想よく
宗助を
款待して
呉れた。
其時宗助は
厭なのを
我慢して、
此四五
年來溜めて
置いた
質問を
始めて
叔母に
掛けた。