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ねんらい
櫻木大佐が
其姿を
隱すと
共にかの
帆走船も
其停泊港に
在らずなり、
併せて
大佐が
年來の
部下として
神の
如く
親の
如くに
氏に
服從せる三十七
名の
水兵も
其姿を
失ひたりといへば
所詮
永い間の空想を實現させたので、無論父にも
義母にも無斷だ。彼は此の
突飛極まる行動に、勝見の一
家をまごつかせて、
年來耐へに耐へた
小欝憤の幾分を
漏らしたのである。
耶蘇程の
霊力があるなら、巳代吉の唖は
屹度癒る。
年来眼の前に日々此巳代吉に
現わるゝ
謎を見ながら、
哀しいかな
不信軽薄の余には、其謎を
解き其舌の
縛を解く
能力が無い。
愚僧は
芝山内青樹院と申す学寮の住職
雲石殿、
年来父上とは
昵懇の間柄にて有之候まゝ、右の学寮に寄宿
仕り、従前通り江戸
御屋敷御抱の儒者松下先生につきて
朱子学出精
罷在候処