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寡
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すくな
ふりがな文庫
“
寡
(
すくな
)” の例文
左内は色の白い、眉の秀でた小柄の美少年で、口数の
寡
(
すくな
)
い、極めて温和な、どちらかというと少女のような優しい性質をもっていた。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「三十而立塩田子。言行寡尤徳惟馨。」〔三十ニシテ立ツ塩田子/言行
尤
(
とが
)
寡
(
すくな
)
ク徳
惟
(
こ
)
レ
馨
(
かお
)
ル〕随斎はその時二十八歳であったのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だが、山家らしい質素な食事に二人で相変らず口数
寡
(
すくな
)
く向った後、私達が再び暖炉の前に帰っていってから大ぶ立ってからだった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
奈何
(
いかん
)
せん寒微より起りて、智浅く徳
寡
(
すくな
)
し、といえるは、
謙遜
(
けんそん
)
の態度を取り、
反求
(
はんきゅう
)
の工夫に切に、
諱
(
い
)
まず飾らざる、誠に美とすべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「自分は独学で、そして
固陋
(
ころう
)
だ。もとよりこんな山の中にいて見聞も
寡
(
すくな
)
い。どうかして自分のようなものでも、もっと学びたい。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
これもバターが多過ぎてならず
寡
(
すくな
)
くってもなりませんが先ず紙十枚位の厚さに塗るという
心持
(
こころもち
)
で
遣
(
や
)
っていると自然と覚えられます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
併
(
しか
)
し特に
下婢
(
かひ
)
などの
寡
(
すくな
)
い、
或
(
あるひ
)
は
全
(
まつた
)
く
其
(
それ
)
等の者を有して居ない
処
(
ところ
)
の一婦人に於て家庭の仕事を節減する方法が
何
(
ど
)
うして有りませうか。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
口数の
寡
(
すくな
)
い、極く控え目勝ちな女であった。美人には違いないが、動きの少い、
木偶
(
でく
)
の様な美しさは、時に阿呆に近く見えることがある。
妖氛録
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「明治」をして、過去の幾星霜の如く
蜉蝣的
(
ふいうてき
)
の生涯を為さしめたるもの、
抑
(
そもそ
)
も亦た思想の空乏に因するところ
寡
(
すくな
)
しとせんや。
思想の聖殿
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「まづその
御意
(
おつもり
)
でお熱いところをお
一盞
(
ひとつ
)
。
不満家
(
むづかしや
)
の
貴方
(
あなた
)
が一寸好いと
有仰
(
おつしや
)
る位では、
余程
(
よつぽど
)
尤物
(
まれもの
)
と思はなければなりません。全く
寡
(
すくな
)
うございます」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
小歌をと
命令
(
いいつ
)
けるほどになって、小歌が隔ての垣のだん/\取れるに随い、
寡
(
すくな
)
いながら、心易く話が出来るようになった。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
実は
昨日
(
きのう
)
朝飯
(
あさはん
)
の時、文三が叔母に
対
(
むかっ
)
て、
一昨日
(
おととい
)
教師を番町に訪うて身の振方を依頼して来た趣を
縷々
(
るる
)
咄
(
はな
)
し出したが、叔母は
木然
(
ぼくぜん
)
として情
寡
(
すくな
)
き者の如く
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
なお、農家と商工業界との女子にも、今日の努力の程度で許される経済的独立の実例は決して
寡
(
すくな
)
くありません。
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
単先生はもと身分のある人の子であったが、大きな訴訟をやって、家がさびれ、家族も
寡
(
すくな
)
いところから故郷の方へ移ったので、その邸宅は空屋となっていた。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
第二は今日植物学者は極めて
寡
(
すくな
)
いから一人でもそれを排斥すれば学界が損をし植物学の進歩を弱める事、第三は矢張り相変らず書物標本を見せて貰いたき事
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
が、この、自分勝手に顔色をほてらせ得るという性能に対して、彼を
羨
(
うらや
)
むものは
寡
(
すくな
)
くなかった。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
エリスは床に臥すほどにはあらねど、小き鐵爐の畔に椅子さし寄せて言葉
寡
(
すくな
)
し。この時戸口に人の聲して、程なく庖厨にありしエリスが母は、郵便の書状を持て來て余にわたしつ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かつや汽船をもってすれば船舶と水夫を要する大いに
寡
(
すくな
)
きことまたこれが一因をなす。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
母は自分の領分に踏み込まれたるように気をわるくするがつらく、光を
韞
(
つつ
)
みて
言
(
ことば
)
寡
(
すくな
)
に気もつかぬ
体
(
てい
)
に控え目にしていれば、かえって意地わるのやれ鈍物のと思われ言わるるも情けなし。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
その奥さんの方、きっと、男の弁護士が利益の
寡
(
すくな
)
い事件に冷淡だったり、自分の依頼者を勝たせるためには法網を平気でくぐったりするのに正義派的憤慨で、勉強をお始めんなったのよ。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何でも私の処で普請をした
為
(
た
)
めに、
新銭座
(
しんせんざ
)
辺は余程立退きが
寡
(
すくな
)
かった。
彼処
(
あすこ
)
の内で普請をする位だから戦争にならぬであろう、マア
引越
(
ひきこし
)
を見合せようと
云
(
いっ
)
て
思止
(
おもいと
)
まった者も
大分
(
だいぶ
)
あったようだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さるほどに汽船の出発は大事を取りて、十分に天気を信ずるにあらざれば、
解纜
(
かいらん
)
を
見合
(
みあわ
)
すをもて、
却
(
かえ
)
りて危険の
虞
(
おそれ
)
寡
(
すくな
)
しと
謂
(
い
)
えり。されどもこの日の
空合
(
そらあい
)
は不幸にして
見謬
(
みあやま
)
られたりしにあらざるなきか。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その財産の多い
寡
(
すくな
)
いによってその人の
値打
(
ねうち
)
が
極
(
きま
)
ります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
言葉
寡
(
すくな
)
に礼を述べて其家を出た。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この時代が
外
(
ほか
)
の年齢よりも一番多く人の死ぬ時だ。それから先きは再び平均して行く。この時代の生存者は次の時代の生存者より
寡
(
すくな
)
い。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
むろん剣で身を立てるなどという野心はないようすだったし、その独特な突の手を別にすれば、気質の穏かな口数の
寡
(
すくな
)
い良い人間だったよ
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
アルプス山の大欧文学に於ける、わが富嶽の大和民族の文学に於ける、
淵源
(
えんげん
)
するところ、関聯するところ、
豈
(
あに
)
寡
(
すくな
)
しとせんや。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
たとえば定基の妻にしても
妬忌
(
とき
)
の念が今少し
寡
(
すくな
)
かったら如何に定基が力寿に
迷溺
(
めいでき
)
したにせよ、強いて之を去るまでには至らなかったろうと想われる。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
胡麻塩
(
ごましお
)
になった髪も
擦
(
す
)
り切れて
寡
(
すくな
)
くなり、
打裂
(
ぶっさき
)
羽織に
義経袴
(
よしつねばかま
)
、それで大小をさしていなかったら、土地の漁師と見さかいのつかないような
容貌
(
ようぼう
)
になっていた。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
第二は今日植物学者は極めて
寡
(
すくな
)
いから一人でもそれを排斥すれば学界が損をし植物学の進歩を弱める事、第三はやはり相変らず書物標本を見せて貰い
度
(
た
)
き事
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
年紀
(
とし
)
かい、二十五だと聞いたが、さう、
漸
(
やうや
)
う二三とよりは見えんね。あれで
可愛
(
かはゆ
)
い細い声をして
物柔
(
ものやはらか
)
に、
口数
(
くちかず
)
が
寡
(
すくな
)
くつて巧い
言
(
こと
)
をいふこと、恐るべきものだよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
エリスは床に
臥
(
ふ
)
すほどにはあらねど、
小
(
ちさ
)
き鉄炉の
畔
(
ほとり
)
に椅子さし寄せて言葉
寡
(
すくな
)
し。この時戸口に人の声して、程なく
庖厨
(
はうちゆう
)
にありしエリスが母は、郵便の書状を持て来て余にわたしつ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
長いこと見聞の
寡
(
すくな
)
いことを嘆き、自分の
固陋
(
ころう
)
を嘆いていた半蔵の若い
生命
(
いのち
)
も、ようやく
一歩
(
ひとあし
)
踏み出して見る機会をとらえた。その時になって見ると、江戸は大地震後一年目の復興最中である。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
親となる多数の男女があると共に、前述のように親とならないで一生を送る男女も
寡
(
すくな
)
くないのが人間の実状である。母性中心説の第二の誤謬はこの実状を看過していることであるように想われる。
母性偏重を排す
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
もと/\口数の
寡
(
すくな
)
い、俗にいう
沈黙
(
むっつり
)
の方で、たまたま学友と会することがあっても、そうだそうでないと極めて簡短な語をもって、同意不同意を表白するだけで、あえて
太
(
はなは
)
だしく論議したことはない
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
やむなく
寡
(
すくな
)
い手兵を以て禦がせている中に夜に入った。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかしこれが東京辺の風習だと親が息子に嫁を
強
(
し
)
い付ける事も
寡
(
すくな
)
いけれども
郷里
(
くに
)
の風では全く親の一量見で息子の嫁を
極
(
き
)
めるのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
非常に口数の
寡
(
すくな
)
い小柄な老人で、宗利とは影の形に添う如く、いつも側去らず侍しているのだが、平常はほとんどいるかいないか分らぬという風の人柄であった。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼はここに始めて
己
(
おのれ
)
の美しさの
寡
(
すくな
)
くとも奏任以上の地位ある名流をその
夫
(
つま
)
に
値
(
あた
)
ひすべきを信じたるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
燕王謀って曰く、吾が兵は甚だ
寡
(
すくな
)
く、彼の軍は甚だ多し、
奈何
(
いかに
)
せんと。朱能進んで曰く、
先
(
ま
)
ず張昺謝貴を除かば、
余
(
よ
)
は
能
(
よ
)
く為す無き也と。王曰く、よし、
昺貴
(
へいき
)
を
擒
(
とりこ
)
にせんと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自ら善を積み、仁を
累
(
かさ
)
ね、忠孝純至の者でないかぎり、とても免れることはできない、まして普通一般の人民では天の
佑
(
たすけ
)
が
寡
(
すくな
)
いから、この
塗炭
(
とたん
)
に当ることがどうしてできよう、しかし
富貴発跡司志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その
外
(
ほか
)
色々の物にそういう違いがあると申しますが食物ばかりでありません。
生糸
(
きいと
)
も日本のは大層ゴム質が多くって西洋のは
寡
(
すくな
)
いそうです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
老人は口数の
寡
(
すくな
)
い、どちらかというと話し下手であったが、それでも少しずつは身の上が分った。
鼓くらべ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然し実際に貞盛は将門の兵の
寡
(
すくな
)
いことをば、
何様
(
どう
)
して知つたか知り得たのである。将門精兵八千と伝へられてゐるが、此時は諸国へ兵を分けて出したので、旗本は
甚
(
はなは
)
だ手薄だつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その代り玉子を
産
(
う
)
む事は一番
寡
(
すくな
)
い。外の種類は産卵鶏の兼用も出来るがドウキングは肉用専門に出来ているからその肉の
味
(
あじわい
)
は他の鶏の遠く及ぶ処でない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
王曰く、彼
衆
(
おお
)
く、我
寡
(
すくな
)
し、
然
(
しか
)
れども彼
新
(
あらた
)
に集まる、其心
未
(
いま
)
だ一ならず、之を撃たば
必
(
かな
)
らず破れんと。精兵八千を率い、
甲
(
こう
)
を
捲
(
ま
)
き道を倍して進み、
遂
(
つい
)
に戦って
克
(
か
)
ち、忠と瑱とを
獲
(
え
)
て之を斬る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかるに百年も安心な顔をしている親たちが多いから不思議さ。その癖目白の
摺餌
(
すりえ
)
を一々
衡器
(
はかり
)
にかける人はあるけれども
小児
(
こども
)
の食物に注意する人が
寡
(
すくな
)
い。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし長く煮て
緩々
(
ゆるゆる
)
味を出そうとするものは
孰方
(
どちら
)
かというと時間の早過ぎるより遅過ぎた方が出来損じも
寡
(
すくな
)
いようですし、火は強過ぎるよりも弱過ぎた方が大丈夫です
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
注意の行届かないのは患者に対して不親切と言わざるを得ない。しかし病院の方でばかり注意するようになっても患者自身が食物衛生に
無頓着
(
むとんちゃく
)
ではやっぱり効が
寡
(
すくな
)
い。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
女の顔を見ると
無闇
(
むやみ
)
に優しくする人が妻を持ってから案外その妻に優しくなかったり、結婚の当座だけ妻を大切にして一、二年も過ぎると
奴隷
(
どれい
)
扱いにするような人物も
寡
(
すくな
)
くありません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
“寡”の意味
《名詞》
(カ)少数派。少人数。
(やもめ)夫を失った女。
(出典:Wiktionary)
寡
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
“寡”を含む語句
寡言
寡婦
寡聞
鰥寡
寡人
言葉寡
多寡
寡黙
衆寡
寡勢
寡少
寡欲
寡兵
寡慾
寡居
鰥寡孤独
寡婦暮
口寡
寡作
寡口
...