姫君ひめぎみ)” の例文
しかしそれらの悪魔の中で、最も我々に興味のあるものは、なにがしの姫君ひめぎみ輿こしの上に、あぐらをかいてゐたと云ふそれであらう。
悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「これこれ、このおかたをだれだとおもう。三条さんじょう宰相殿さいしょうどの姫君ひめぎみだぞ。うっかり失礼しつれいなまねをすると、この一寸法師いっすんぼうし承知しょうちしないぞ。」
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
きん小鳥ことりのやうないたいけな姫君ひめぎみは、百日鬘ひやくにちかつら山賊さんぞくがふりかざしたやいばしたをあはせて、えいるこえにこの暇乞いとまごひをするのであつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あるくにうつくしいおひめさまがありました。いつもあか着物きものをきて、くろかみながれていましたから、人々ひとびとは、「あか姫君ひめぎみ」といっていました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
御殿ごてんづくりでかしづいた、が、姫君ひめぎみ可恐おそろしのみぎらひで、たゞぴきにも、よるひる悲鳴ひめいげる。かなしさに、別室べつしつねやつくつてふせいだけれども、ふせれない。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
徳太郎とくたらう信房のぶふさしようのち吉宗よしむねあらたむ御母おんはゝ九條前關白太政大臣くでうさきのくわんぱくだじやうだいじん第四の姫君ひめぎみたかかたにて御本腹ごほんぷくなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これほどのひと他人たにんられてるまじとの意氣いきごみにて、むこさま拂底ふつていなかなればにや華族くわぞく姫君ひめぎみ高等官かうとうかん令孃れいぢよう大商人おほあきんど持參金ぢさんきんつきなどれよれよと申みの口〻くち/″\より
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのひとこそ、彼が永い間、探し求めて止まなかった理想の妻だったのです。……それは、まるで白菊しらぎくのように清らかなひとでした。輝やかしい姫君ひめぎみでした。彼は夢中になりました。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
あの馬方三吉うまかたさんきちの芝居に出て来るおひとしげ、———立派な袿襠うちかけを着て、大名の姫君ひめぎみに仕えている花やかな貴婦人、———自分の夢に見る母はあの三吉の母のような人であり
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
京師けいしの、はなかざしてすご上臈じょうろうたちはいざらず、天下てんか大将軍だいしょうぐん鎮座ちんざする江戸えど八百八ちょうなら、うえ大名だいみょう姫君ひめぎみから、した歌舞うたまい菩薩ぼさつにたとえられる、よろず吉原よしわら千の遊女ゆうじょをすぐっても
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
もう姫君ひめぎみんだのだ、んでしまへば、もうこのはなも、とりも、うたも、ふたヽびきくこともみることもできないのだ。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
先生せんせいわたしたちは、どこへいったらこの姫君ひめぎみにあうことができますか?」と、三にんは、学者がくしゃうたのです。すると、学者がくしゃは、三にんかおややかにわらいながら
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
百人一首ひやくにんいつしゆうたほんにおいであそばす、貴方方あなたがたにはおわかりあるまい、たふと姫君ひめぎみ繪姿ゑすがたに、面影おもかげさせられた御方おかたから、おこゑがかりがありました、言葉ことばちがひありませぬ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしはあの姫君ひめぎみを堕落させようと思ひました。が、それと同時に、堕落させたくないとも思ひました。あの清らかなたましひを見たものは、どうしてそれを地獄の火にけがす気がするでせう。
悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
知べき筈なしととがめられしに山内は嘲笑あざわらひ御面部また御音聲まで似奉にたてまつる事お咄し申さんに紀州大納言光貞公の御簾中れんぢうは九條前關白太政大臣の姫君ひめぎみにてお高の方と申し其お腹に誕生たんじやうまし/\しは則ち當時將軍吉宗公なり御幼名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのとき黒装束くろせうぞく覆面ふくめんした怪物くわいぶつが澤村路之助丈えとめぬいたまくうらからあらはれいでヽあか毛布けつとをたれて、姫君ひめぎみ死骸しがいをば金泥きんでいふすまのうらへといていつてしまつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
いよいよ、あか姫君ひめぎみくろ皇子おうじとがご結婚けっこんをなされるといううわさがたちました。そのとき、一人ひとりのおばあさんの予言者よげんしゃが、姫君ひめぎみまえあらわれてもうしあげたのであります。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その跡を御追いなすった事、今ではあなたの御家族の中でも、たった一人姫君ひめぎみだけが、奈良なら伯母御前おばごぜ御住居おすまいに、人目を忍んでいらっしゃる事、——そう云う御話をしている内に
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
王樣わうさましろだから、姫君ひめぎみ鸚鵡あうむが一
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あか姫君ひめぎみしたって、くろ皇子おうじっていかれる。」と、いまでも、いっているのでありました。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こは姫君ひめぎみのかんざしの
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)