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喚
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よ
ふりがな文庫
“
喚
(
よ
)” の例文
夏の頃フト蚊帳の記憶を
喚
(
よ
)
び起して、蚊帳に螢を配したならば面白かろうと思ひ付いたのが此画を製作するに至りました径路でした。
蛍
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
この場合には町内の衆が、各一個の
提灯
(
ちょうちん
)
を携えて集まり来たり、夜どおし大声で
喚
(
よ
)
んで歩くのが、義理でもありまた慣例でもあった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
間
(
あひだ
)
には
又
(
また
)
芒
(
すゝき
)
の
硬直
(
かうちよく
)
な
葉
(
は
)
が
空
(
そら
)
を
刺
(
さ
)
さうとして
立
(
た
)
つ。
其
(
その
)
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
下
(
した
)
に
居
(
きよ
)
を
求
(
もと
)
める
雲雀
(
ひばり
)
が
時々
(
とき/″\
)
空
(
そら
)
を
占
(
し
)
めて
春
(
はる
)
が
深
(
ふ
)
けたと
喚
(
よ
)
びかける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私はその行列を一遍見ただけですから、今記憶を
喚
(
よ
)
び起してこれだけの事を言いましたので、その細かな事はなかなか話し切れない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
型のごとく検屍が済んで、第一番に
三助
(
ばんとう
)
の丑松、丁子湯のお神、死骸を最初に見つけたお六——などが、順々に番所に
喚
(
よ
)
び付けられた。
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
初め海間が
喚
(
よ
)
ばれた時、裁判官は備前の志士の事を
糺問
(
きうもん
)
したが、海間は言を左右に託して、嫌疑の上田等の上に及ぶことを避けた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と、お濱さんが
書院
(
しよゐん
)
の庭あたりで
喚
(
よ
)
んで居る。貢さんは
耳鳴
(
みヽなり
)
がして、其の
懐
(
なつ
)
かしい女の
御友達
(
おともだち
)
の声が聞え無かつた。兄はにつと笑つて
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
私のうちに去来するもろもろの心は自己の
堂奥
(
どうおう
)
に
祀
(
まつ
)
られたるものの直接的な認識を私に
喚
(
よ
)
び起させるために生成し、発展し、消滅する。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
止まれ! 早く、額の汗が乾かないうちに、眼を空に転じ、胃の
腑
(
ふ
)
から
眩暈
(
めまい
)
がやってくる前に、崇高な思念を
喚
(
よ
)
び起こすことを努めろ。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
この過程を二三度繰り返して、最後の幻覚から
喚
(
よ
)
び醒まされた時は、タンホイゼルのマーチで
銅鑼
(
どら
)
を
敲
(
たた
)
き
大喇叭
(
おおらっぱ
)
を吹くところであった。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
全人類界の大悪夢……『物を考える脳髄』に関する迷信、妄執を
喚
(
よ
)
び醒ますべく『絶対無上の大真理』に
逢着
(
ほうちゃく
)
する事が出来たのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
召使ひたちが
喚
(
よ
)
び込まれて、食堂の
卓子
(
テエブル
)
が運び去られ、ともし火もいつもと違つた風に置かれ、
迫持
(
アアチ
)
に向つて
椅子
(
いす
)
が半圓形に置かれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
朝鮮半島との軍事的接触はやがて西方の文化との密接な関係を
喚
(
よ
)
び起こし、この方面からも素朴な原始的統一は
脅
(
おびや
)
かされ始めた。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
日にやけたこの顔も、この声も、彼女の記憶を
喚
(
よ
)
び起すには充分であったほど、その瞬間の私は昔の私にかえっていたのでした。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
麹町
(
こうじまち
)
の宅に着くや、父は
一室
(
ひとま
)
に僕を
喚
(
よ
)
んで、『
早速
(
さっそく
)
だがお前と
能
(
よ
)
く相談したいことが有るのだ。お前これから法律を学ぶ気はないかね。』
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
セラピオン師が彼女について語った言葉は時どきにわたしの記憶を
喚
(
よ
)
び起こして、不安な心持ちを去るというわけにはゆきませんでした。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
梵士らこの大礼を無事に遂げんには必ず私陀を
喚
(
よ
)
べと勧め、羅摩、様々と異議したが、ついにこれを召還しよく扱うたので大牲全く済む。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
鬼のごとく立て
籠
(
こも
)
って来たひたぶるな身に——ふと聞えてきた琴の音は、
卒然
(
そつぜん
)
と、この中の将士の心に、さまざまな思いを
喚
(
よ
)
び起させた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、原稿を受取ると、その場ですぐ読み出したが、詩があまりよく出来てゐるので、急に居ずまひを直しながら、執事を
喚
(
よ
)
んだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「夕なぎにあさりする
鶴
(
たづ
)
潮満てば
沖浪
(
おきなみ
)
高み
己妻
(
おのづま
)
喚
(
よ
)
ばふ」(同・一一六五)というのもあり、赤人の此歌と共に置いて味ってよい歌である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
又我が能く少時の夢を
喚
(
よ
)
び起して、この詩中に入るゝことの、かくまで細かなることを得しは、この老女の振舞
與
(
あづか
)
りて力ありければなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二・二六と大震災当時の心境についてそれぞれの出席者が所感を語っている部分に至って、読者の感想を
喚
(
よ
)
び出す幾多のものを示している。
「迷いの末は」:横光氏の「厨房日記」について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
艶子は警視庁に
喚
(
よ
)
ばれて
訊問
(
じんもん
)
された。艶子がおどおどして社長室での出来事を陳述すると、係官はそれで満足してそれ以上追及しなかった。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ところが、ああ、何という不幸で私はあったろう、その夏のある夜、ぐっすり眠り込んでいた私は突然叔母に
喚
(
よ
)
び起こされた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
かれは痛む頭をかたむけて、努めて自分の記憶を
喚
(
よ
)
び起こそうとしたが、采女の死——それから後のことはどう考えても思い出せなかった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その手紙を母が読む前に兄が開封するかも知れないというおそれが、その為に母の立場を一層苦しくするだろうという疑いを
喚
(
よ
)
び起したから。
三等郵便局
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
慰藉料
(
ゐしやれう
)
、今後の子女の養育費のことなどをおつしやれば、相手方を
喚
(
よ
)
び出して双方話し合ひの上、審判官が判決してくれます
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
ある夜中に、鷲尾は病人に
喚
(
よ
)
び
醒
(
さま
)
されてガバと起きあがった。全身汗をかいていて、怖ろしくマザマザした夢が、まだ眼先にチラついていた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
これ教理のためには何者を犠牲とするも厭わぬ心を生みやすきものであって、愛の反対なる憎を
喚
(
よ
)
び起し、無数の害悪を生むに至るのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
それを彼女のある身振りのうちに見出せないではなかった。彼女の声音のある響きは、彼の心を動かす反響を
喚
(
よ
)
び起こした。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
十二三の時分、同じような秋の夕暮、外口の所で、外の子供と一緒に遊んでいると、
偶
(
ふ
)
と遠い昔に見た夢のような、その時の記憶を
喚
(
よ
)
び
起
(
おこ
)
した。
幼い頃の記憶
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母親が病気で永い床に就き、親類に
喚
(
よ
)
び戻されて家に帰って来た彼女は、誰の目にもただ育っただけで別に変ったところは見えなかった。母親が
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたしは宏兒を
側
(
そば
)
へ
喚
(
よ
)
んで彼と話をした。字が書けるか、この
家
(
うち
)
を出て行きたいと思うか、などということを訊いてみた。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
自然な感興を
喚
(
よ
)
び起したにちがいないが、いずれにせよその方が私にはこの地を選んだ
甲斐
(
かい
)
もあったと喜ぶべきである。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
最前の仇辛い雑炊の舌ざわりを、悲しく次郎吉は舌の上へ
喚
(
よ
)
び戻していた。何とも彼ともつきあい切れない味だった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
『お
免
(
ゆる
)
しあれ、
陛下
(
へいか
)
よ』と
云
(
い
)
つて
彼
(
かれ
)
は、『こんな
物
(
もの
)
を
持
(
も
)
ち
込
(
こ
)
みまして、でも、お
喚
(
よ
)
び
出
(
だ
)
しになりました
時
(
とき
)
、お
茶
(
ちや
)
を
飮
(
の
)
みかけて
居
(
ゐ
)
ましたものですから。』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そうして読者自身の研究心を強く
喚
(
よ
)
びさます。こういう意味からでも、自分の専門以外の題目に関するいい論文などを読むのは決して無益な事ではない。
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
金花は客の額に懸つた、黒い捲き毛を眺めながら、気軽さうに
愛嬌
(
あいけう
)
を振り撒く内にも、この顔に始めて
遇
(
あ
)
つた時の記憶を、一生懸命に
喚
(
よ
)
び起さうとした。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
間もなく、この胸苦しいまでに緊迫した空気の中を、乙骨医師と入れ違いに、
喚
(
よ
)
ばれた田郷真斎が入って来ると、さっそく法水は短刀直入に切り出した。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何日
(
いつ
)
でもちよいと
私
(
わつし
)
をお
喚
(
よ
)
びなさりやア
好
(
よ
)
い
穴
(
あな
)
を
見附
(
みつ
)
けて一
幕位
(
まくぐらゐ
)
見
(
み
)
せて
上
(
あ
)
げらア、
何
(
ど
)
うも
大
(
おほ
)
きに
有難
(
ありがた
)
うがした。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
最初に、最も大きな枝が地に
墜
(
お
)
ちた音で、彼の珍らしい仕事を見に来た彼の妻は、何か夫に
喚
(
よ
)
びかけたやうであつたけれども、彼は全く返事をしなかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それは恐怖と
憧憬
(
どうけい
)
のおののきに燃えてゆくようだ。いつのまにか妻は女学生の頃の感覚に
喚
(
よ
)
び戻されている。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
かかる光の人間的技術の進展をわれわれは感覚型態の名によって
喚
(
よ
)
ぶことが許さるるであろう。それによって、芸術も特殊の型態をもつこととなるであろう。
芸術の人間学的考察
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
小倉両博士の所論が多大の反響を
喚
(
よ
)
んだ所以のものは、先に述べたように、我々の周囲に現に拡がっているところのいかにも息苦しい圧迫的な雰囲気に対して
社会事情と科学的精神
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
また一方では捲きあがって行った
縁
(
へり
)
が絶えず青空のなかへ消え込むのだった。こうした雲の変化ほど見る人の心に言い知れぬ深い感情を
喚
(
よ
)
び起こすものはない。
蒼穹
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
中谷も参考人として
喚
(
よ
)
ばれましたが、親しかった以前に引かえて、彼は冷然と私に不利な証言をしました。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
それが
喚
(
よ
)
び
覚
(
さ
)
まされるような気持で、
咀
(
のろ
)
わしい現実の自身と環境にすっかり
厭気
(
いやき
)
が差してしまうのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その瞬間、彼はちょっと軽い
眩暈
(
めまい
)
を感じはしたが、それでもなおその回転する虹に見入っていると、それがいつしか彼に子供の頃の或る記憶を
喚
(
よ
)
び起させた。……
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
若き紳士諸君、
今日
(
こんにち
)
は諸君の注意を生物界に
喚
(
よ
)
びたいと思います。生物の種類形態は
真
(
まこと
)
に千差万別種々様々で
厶
(
ござ
)
いまして、象は蚤よりも大きく、蚤は象よりも
小
(
ちいさ
)
い。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と、公は逆上している彼の耳元で二三度大音に
喚
(
よ
)
ばわりながら、夫人の
襟
(
えり
)
を
掴
(
つか
)
んでいる彼の左の手を振り
解
(
ほど
)
くと、夫人を
庇
(
かば
)
うようにして夫婦の間へ割って這入った。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
喚
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喚”を含む語句
叫喚
喚起
喚声
喚叫
招喚
阿鼻叫喚
召喚
喚出
喚問
喚上
泣喚
喚子鳥
喚覚
叫喚合唱
想念喚起
大叫喚
喚発
喚鈴
愛嬌喚
喚醒
...