合図あいず)” の例文
旧字:合圖
にいさまたちは、きょう、たずねてくださるやくそくになっているのです。見えたら、大いそぎでくるように、合図あいずをしてください。
青ひげ (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
五井が合図あいずに、綱をひいて、それからむこうを向いて、せまい階段をのぼりだした。なにが、この時計台の上に待っているだろうか。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こうして、空をうずめつくすほどのたくさんの馬車が走っていったあとから、だれかがその馬車に向かって合図あいずでもしたのでしょうか。
「いいよ。」と、あちらから合図あいずをして、はなしてもらうのです。かぜがあると、たこはおもしろいように、ぐんぐんとそらがるのでした。
西洋だこと六角だこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
老紳士はこう云うと、瀬戸物のパイプをポケットへしまいながら、眼で本間さんに「来給え」と云う合図あいずをして、大儀そうに立ち上った。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは退軍の合図あいずであったと見えて、いままで攻勢こうせいをとっていた野武士のぶしたちは、一どにどッとうしおのごとく引きあげてきたようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その顔にはなんという合図あいずの表情も見えなかった。彼女は仕方なしにお秀を送って階子段はしごだんを降りた。二人は玄関先で尋常の挨拶あいさつかわせて別れた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
墓地には、ひがんばなが、赤いきれのようにさきつづいていました。と、村の方から、カーン、カーン、と、かねが鳴って来ました。葬式の出る合図あいずです。
ごん狐 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
(これはどうもいかん。けしからん。こうみだれてしまっては仕方しかたがない。一つひきしめてやろう。)くだものの出たのを合図あいずに会長さんは立ちあがりました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
勝手の方で、めしをやる合図あいず口笛くちぶえが鳴ったので、犬の家族はね起きて先を争うて走って往った。主人はやおら下駄げたをぬいで、芝生の真中まんなかに大の字に仰臥ぎょうがした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
仙吉は、しかし、何か眼で合図あいずしたきり、返事をしなかった。すると、女が次郎の方を向いて
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
顔で隣の椅子へ来るように合図あいずされたので、浩一はそこへ移った。婦人には連れはなかった。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
で、夜になるといつも、小松屋の店の硝子戸ガラスどの外に来て口笛くちぶえを吹いたり、暗闇くらやみの中に煙草たばこの火をちらつかせたりして私に合図あいずをした。すると私は、何とか口実こうじつをつけては家を出た。
この時、だしぬけに汽笛きてきが、ヒョーとった。くだりのカーブにかかる合図あいずなのだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
宇治は身振りで、ついて来いと合図あいずをし、黙って刀を提げたまま外に出た。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
むしろ競売者の打叩うちたた合図あいずつちの響と共に四散せん事を望みしなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
たとえば何かの理由で一人だけがタイムを要求する合図あいずの語に
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かじかんだげて仲間なかま合図あいずをする
「やるんだぜ!」と合図あいずをした。
人を殺す犬 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
首領しゅりょうウルスキーは、それッとワーニャに目くばせをして、今のうちに、奥まった隅にある衝立の蔭を見ておけと合図あいずをした。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それでは、伊那丸いなまるたちへ、合図あいずをするたよりがないので、かかるまも、竹童の腹のなかは、引っくり返るような心配しんぱいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこでそのふねかって、りくからいろいろの合図あいずをいたしました。けれど、そのふねからはなんの返答へんとうもありませんでした。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
紺飛白こんがすりの胸に赤シャツを出した、髪の毛を分けた松本は開戦の合図あいずをするためか、高だかと学校帽をふりまわしている。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
知らない草穂くさほしずかにゆらぎ、少し強い風が来る時は、どこかで何かが合図あいずをしてでもいるように、一面いちめんの草が、それ来たっとみなからだをせてけました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「それこそ、にいさまたちですよ。わたし、にいさまたちに、いそいでくるように合図あいずしましょう。」
青ひげ (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
昔から阪東男ばんどうおとこの元気任せに微塵みじんになる程御神輿の衝撞ぶつけあい、太鼓の撥のたゝき合、十二時を合図あいず燈明あかりと云う燈明を消して、真闇まっくらの中に人死が出来たり処女むすめおんなになったり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こう言って、アッカは出発の合図あいずをしました。この日も、キツネのズルスケのおかげで、ずいぶん遠くまで、たべもののあるところをさがして歩かなければなりませんでした。
「ようしか」とおにが催促さいそくする、「もうようし」と合図あいずする。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
今なら、モレロや、その手下のような二人の水夫に知れずに、合図あいずを送ることができたのだが、見えないとは残念であった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こくもはやく合図あいず狼煙のろしをあげてしらせたいがと、あっちこっちを見まわしたのち、クロをそこへ置きすてて、いっさんにうらの小山へ登りだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むらでは、人々ひとびとが、英吉えいきちふねが、まだもどらないので心配しんぱいしていました。くらくなると、がけのうえをたいて、くらおきほうかって合図あいずをしました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
車夫は慎太郎の合図あいずと一しょに、また勢いよく走り始めた。慎太郎はその時まざまざと、今朝けさのぼりの三等客車に腰を落着けた彼自身が、頭のどこかにうつるような気がした。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
二人の少壮士官しょうそうしかんは、一しょにけだしていった。それを合図あいずのように、シュペー号の主砲六門は、一せいに火蓋ひぶたを切った。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
にんなか一人ひとりは、しまのこりました。二人ふたりよるかえってくるときに、しまいて合図あいずをしようとしたからでした。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
柩のそばには、松根まつねさんが立っている。そうして右の手をたいらにして、それをうすでもく時のように動かしている。礼をしたら、順々に柩の後ろをまわって、出て行ってくれという合図あいずだろう。
葬儀記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
白木は、にっこり笑いながら、悠容ゆうようとせまらない態度でいった。そして私の腕をひったてると、かくドアを開いて、さあ先に入れと、合図あいずをした。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なにか合図あいずをすると、たちまちととのった陣形じんけいは、しばしみだれて、きずついたからすをつよそうなもののあいだれて、左右さゆうから、勇気ゆうきづけるようにして、れていくのでした。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕等はもう船のの多い黄浦江こうほこうの岸を歩いていた。彼はちょっと歩みをとめ、あごで「見ろ」と云う合図あいずをした。もやの中にほのめいた水には白い小犬の死骸が一匹、ゆるい波に絶えずすられていた。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは、試験始めの合図あいずであった。一人の技師が、配電盤のうえについているスイッチを、ぱちりと入れ、そして計器の表をみながら、ハンドルをまわした。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いま、あっちを、わたしくにふねとおります。これは、かみさまのおたすけです。どうかして、あのふね合図あいずをして、むことはできないものでしょうか。」とうったえました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
電話の切れるのが合図あいずだったように、賢造は大きな洋傘こうもりを開くと、さっさと往来へ歩き出した。その姿がちょいとの間、浅く泥をいたアスファルトの上に、かすかな影を落して行くのが見えた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
警部は左手をあげて合図あいずをすると、みずから先頭に立ってソロソロとい出しました。ゆっくりゆっくり戸口の方へにじり出てゆきます。息づまるような緊張です。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふねなかで、合図あいずをしているようにおもわれました。かれは、がけをおりようかとおもいましたが、ほんとうに、自分じぶんむかえにきてくれたのなら、何人なにびとか、ここまでやってくるにちがいない。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
時計は丁度十時四十五分、支配人が奥からでてきてジャズ音楽団の楽長に合図あいずをすると、柔かいブルースの曲が突然トランペットの勇ましい響に破られ、軽快な行進曲に変った。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今日きょうは、そのふとったおまわりさんで、むねって、元気げんきよく合図あいずをしていました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
ココミミ氏は仲間の方へ手をあげて何か合図あいずをした。すると彼の仲間はおどろいた様子を示し、ざわざわと前へ出てきた。帆村はそれには無関心な様子を見せて、しずかに口を開いた。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(きっと、合図あいずないで、はしけようとしたのだ。)とおもいました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
ドリー助教授は長良川博士のほうに、合図あいずのような敬礼をおくって、席についた。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「なるほど、りっぱなおおきなふねだ。このふねがしたら、いつまたれるというあてはありますまい。すぐに、合図あいずをしましょう。」といって、近所きんじょ人々ひとびとあつめて、海岸かいがん小高こだかいところで
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてうしろへ身を引き、合図あいずの手をあげると、綱をもった幹部と会員とが女史のそばへより、女史の身体や手足を、むごいほどきつく椅子にしばりつける。二重にしばったところもある。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)