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厄
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やく
ふりがな文庫
“
厄
(
やく
)” の例文
昔、
地雷火
(
じらいか
)
の
厄
(
やく
)
に
斬罪
(
ざんざい
)
となりし江戸末年の落語家
朝寝房
(
あさねぼう
)
むらくも、かゝる雪の夜、席ハネてよりかゝる酒盃に親しみしならむか。
滝野川貧寒
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
有馬屋のお糸と、乾物屋のお柳と、吉五郎の娘お留は、三人とも十九の
厄
(
やく
)
で、身分の
距
(
へだ
)
てを
他所
(
よそ
)
に、長い間仲よく付き合っておりました。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ひょっとしたら、道誉は、こんどの警衛の途中で、討死の
厄
(
やく
)
にあうかもしれぬ。よし万死に一生をえても、彼の一大厄難はまぬがれ得まい。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
ったのは、近所に住んでいる
吉田洋一
(
よしだよういち
)
さんである。余り度々見せるので、少々うるさくなったらしく、なかなか褒めてくれない。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
が、いづれにも、
然
(
しか
)
も、
中
(
なか
)
にも
恐縮
(
きようしゆく
)
をしましたのは、
汽車
(
きしや
)
の
厄
(
やく
)
に
逢
(
あ
)
つた一
人
(
にん
)
として、
驛員
(
えきゐん
)
、
殊
(
こと
)
に
驛長
(
えきちやう
)
さんの
御立會
(
おたちあひ
)
に
成
(
な
)
つた
事
(
こと
)
でありました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
さいわいにその荒波に触るるの
厄
(
やく
)
をまぬがれてきたのだが、去年という大厄年の猛烈な不景気には、もはやその荒い波を浴びない者はなかった。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
しかし、彼女の
厄
(
やく
)
を脱するには、彼女が死ぬか、それとも離縁するかだが、さてどういう風にしたものかと考えました。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
また自分ごく闇夜乗馬のおかげで道を求め
中
(
あ
)
て、
厄
(
やく
)
を免れた事あり。アラブ馬
猛
(
たけ
)
しといえども、軍士と等しく児女や柔弱な市人をも安心して乗らしむ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑを
聞
(
きゝ
)
て
釜
(
かま
)
の
蓋
(
ふた
)
を
啓
(
ひらき
)
て
視
(
み
)
れば
已
(
すで
)
に玉は
半
(
なかば
)
枯
(
かれ
)
たり。其
珠
(
たま
)
径
(
わたり
)
一寸
許
(
ばかり
)
、
此
(
これ
)
真
(
しん
)
に
夜光
(
やくわう
)
明月の
珠
(
たま
)
なり。
俗子
(
ぞくし
)
に
厄
(
やく
)
せられたる事
悲夫
(
かなしきかな
)
と
記
(
しる
)
せり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたくしは
曩
(
さき
)
に寺僧の
言
(
こと
)
を聞いた時、壽阿彌が幸にして盛世
碑碣
(
ひけつ
)
の
厄
(
やく
)
を免れたことを喜んだ。然るに當時寺僧は實を以てわたくしに告げなかつたのである。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ロレ まア、お
待
(
ま
)
ちゃれ。
助
(
たす
)
かる
術
(
すべ
)
を
思
(
おも
)
ひついたわ。
必死
(
ひっし
)
の
厄
(
やく
)
を
脱
(
のが
)
れうためゆゑ
必死
(
ひっし
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
をもせねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
或日海上で破船の
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
い、同船の部下の者らとともに溺死を遂げた。その
後
(
の
)
ち船は海浜へ打上げられたが、溺死者の死骸は終に発見することが出来なかった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「なにさ、それが
厄
(
やく
)
でさあ。もっとも、相手は確かに人間さまだったってますがね、さて、そいつが
何処
(
どこ
)
のどいつだか皆目判らねえてんでげすから、世話ぁねえ」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
晏子
(
あんし
)
(五〇)
戄然
(
くわくぜん
)
として
衣冠
(
いくわん
)
を
(五一)
攝
(
をさ
)
め、
謝
(
しや
)
して
曰
(
いは
)
く、『
嬰
(
えい
)
、
不仁
(
ふじん
)
と
雖
(
いへど
)
も、
子
(
し
)
を
厄
(
やく
)
に
免
(
まぬか
)
れしむ。
何
(
なん
)
ぞ
子
(
し
)
絶
(
た
)
つを
求
(
もと
)
むるの
速
(
すみや
)
かなるや』と。
石父
(
せきほ
)
曰
(
いは
)
く、『
然
(
しか
)
らず。 ...
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
この十五日間、
厄
(
やく
)
よけの祈祷をおこなって、護摩料や祈祷料や賽銭が多分にあつまっているので、それを知っている何者かが忍び込んで彼女を殺害したのであろう。
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
去年の『
厄
(
やく
)
』は無事にすんださかい安心しとったになあ、方角でも悪いんやろか、気がつかなんだが。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
五月の末から、わずか二ヵ月の間に、火、風、水、土、四大の
厄
(
やく
)
に遭うというのはよくよくのことで、頼んだって、こういううまい都合にはならないのが普通である。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
旧友は
伊沢道之
(
いざわみちゆき
)
、
加波山
(
かばさん
)
の暴動の時には宇都宮にいたがために、
富松正安等
(
とまつまさやすら
)
と事を共にするの
厄
(
やく
)
を免かれることができたが、群馬の暴動は免かれることができなかった。
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
厄
(
やく
)
といふは、たとへば
骰子
(
さい
)
に
廉
(
かど
)
があり、
桝
(
ます
)
には
角
(
すみ
)
があり、
人
(
ひと
)
には
關節
(
つぎふし
)
、
方
(
はう
)
には四
維
(
すみ
)
のあるごとく、
風
(
かぜ
)
は
方
(
はう
)
より
吹
(
ふ
)
けば弱く、
角
(
すみ
)
よりふけば強く、
病
(
やまひ
)
は
内
(
うち
)
より起れば
治
(
ち
)
しやすく
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
訂正し『ふらんす物語』と名づけ前著出版の関係よりして
請
(
こ
)
はるるままに再び博文館より出版せしめしが忽ち発売禁止の
厄
(
やく
)
に会ひてこれより出版書肆との談判
甚
(
はなはだ
)
面倒になりけり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
みれんは少しもないが、おさんが哀れに思えてきた。自分が上方へ来たのは、
厄
(
やく
)
のがれをしたようなもので、その代りにおさんが
独
(
ひと
)
りで厄を背負った、というふうな感じがし始めたのだ。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
同じ陳蔡の
厄
(
やく
)
の時、いまだ容易に囲みの解けそうもないのを見て、子路が言った。君子も窮することあるか? と。師の平生の説によれば、君子は窮することが無いはずだと思ったからである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お前達親子は東京に居るといつまでも不運だ。きっと何かに呪われているのだから、その
厄
(
やく
)
を落すためには故郷へ帰ったがいい。今年の旅立ちは西の方がいいとこの通り易のオモテに出ている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
トラックも幾度か抵当に入り、幾度か差押えの
厄
(
やく
)
に遭った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「今年のうちに何とか極まらんと、来年は
厄
(
やく
)
やさかいにな」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「半歳ほど前でした、——十九の
厄
(
やく
)
で、年を越さないうちは嫁にもやれないから、暫らく江戸の水を呑ましてくれといふ親元の頼みでしてな」
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ご執権を暗愚にして、今日の
厄
(
やく
)
を招いたのも、多年、遊宴のお取巻きばかりを
能
(
のう
)
としていた、きさまらのなせるわざだわ。この、うじ虫めら!」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玉を烹たるもの、そのゆゑを
聞
(
きゝ
)
て
釜
(
かま
)
の
蓋
(
ふた
)
を
啓
(
ひらき
)
て
視
(
み
)
れば
已
(
すで
)
に玉は
半
(
なかば
)
枯
(
かれ
)
たり。其
珠
(
たま
)
径
(
わたり
)
一寸
許
(
ばかり
)
、
此
(
これ
)
真
(
しん
)
に
夜光
(
やくわう
)
明月の
珠
(
たま
)
なり。
俗子
(
ぞくし
)
に
厄
(
やく
)
せられたる事
悲夫
(
かなしきかな
)
と
記
(
しる
)
せり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
……
妹背山
(
いもせやま
)
の
言立
(
いひた
)
てなんぞ、
芝居
(
しばゐ
)
のは
嫌
(
きら
)
ひだから、
青
(
あを
)
ものか、
魚
(
さかな
)
の
見立
(
みた
)
てで
西
(
にし
)
の
海
(
うみ
)
へさらり、などを
聞
(
き
)
くと、
又
(
また
)
さつ/\と
行
(
ゆ
)
く。おん
厄
(
やく
)
拂
(
はら
)
ひましよな、
厄落
(
やくおと
)
し。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
家
(
いへ
)
には垣なければ
盜人
(
ぬすびと
)
入
(
い
)
り、
人
(
ひと
)
には咎あれば、
敵
(
てき
)
の
便
(
べん
)
となる。
厄
(
やく
)
といふのはそんなものだ。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これで
厄
(
やく
)
が落ちたと胸を撫でおろしたが、山川のほうは、秘密を分けあうものがいることで、いくらか慰められていたのに、リーナの死で
漏泄
(
ろうせつ
)
の道がなくなり、孤独感でおしつぶされそうになった。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ニセコの山頂でこの
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
っていたのと
殆
(
ほと
)
んど同じ頃、
苫小牧
(
とまこまい
)
の飛行場でも、悲しむべき事件が起っていた。戦争中私たちは冬のニセコ山頂の研究と並行に、夏は海霧の研究に没頭していたのである。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
だから今年はもうこれで、
厄
(
やく
)
のがれをしたとよろこんで居ります。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
嫁のお弓は遠い親類の娘で、五六年前から井筒屋に養われ、娘のお浪と姉妹のように育ち、ツイ昨年の春
厄
(
やく
)
があけて重太郎と婚礼したばかり。
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かれが裂いて返した秘帖の一片で、阿波は一城とりつぶしの
厄
(
やく
)
をまぬがれ、禁門堂上の
騒擾
(
そうじょう
)
もきわめて軽微にすんだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
話
(
はなし
)
をするうちに、さく/\と
雪
(
ゆき
)
を
分
(
わ
)
ける
音
(
おと
)
がして、おん
厄
(
やく
)
拂
(
はら
)
ひましよな、
厄落
(
やくおと
)
し。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
伯父の家の画帳も勿論その
厄
(
やく
)
を
蒙
(
こうむ
)
っていた。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
嫁のお弓は遠い親類の娘で、五六年前から井筒屋に養はれ、娘のお浪と姉妹のやうに育ち、ツイ昨年の春
厄
(
やく
)
があけて重太郎と婚禮したばかり。
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
六波羅の検察がきて、没取の
厄
(
やく
)
に会わぬまにと、多量な武具材料の一切を、必死で
隠匿
(
いんとく
)
しはじめた物音なのだ。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その通りですよ、親分。娘は来年は
厄
(
やく
)
だから、年内に盃事だけでもさせて置き度いと、内々話を進めて居りました——どうしてそんな事が?」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかるに、私邸に戻る儀はゆるされず、そのまま禁足の
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
い、今日まで庁にとどめられていたのだった。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お里は、
誇
(
ほこ
)
らしい顏をあげました。
厄
(
やく
)
そこ/\の年ごろでせうが、苦勞をしたせゐか、美しいうちにも、何となく
凛々
(
りゝ
)
しいところのある娘です。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして明け暮れ、気になってならないのは、“血光の災”といわれた家運の
厄
(
やく
)
と剣難の
禍
(
わざわ
)
いだ。
煩悩
(
ぼんのう
)
は煩悩を呼ぶ。迷うと果てはない。とうとう彼は意を決して
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その通りですよ、親分。娘は來年は
厄
(
やく
)
だから、年内に盃事だけでもさせて置きたいと、内々話を進めて居りました——どうしてそんなことが?」
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、行きずりの御縁と見すごし、万一にもお行き先にて、取返しのつかぬ
厄
(
やく
)
にでもお
遭
(
あ
)
いなされたら、てまえども
夫婦
(
ふたり
)
は、生涯の悔いを心のそこに噛むことであろ。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その代り、橋を渡つたら、お前の馴染のあの家で、ちよいと
厄
(
やく
)
拂ひに一杯やらかさうぢやないか。女房には内
證
(
しよ
)
だよ
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……ご落命の
厄
(
やく
)
に会った浮島ヶ原は、戦場ではなかったにせよ、いわばご戦死も同様なこのたびの
犠牲
(
にえ
)
。そのことのみが、家臣としても、ふかく胸いたまれてなりませぬ
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ
厄
(
やく
)
を越したばかり、若くて美しくて、氣立てのいゝお靜は、氣の毒なほど
下手
(
したで
)
に出て、綺麗で年上で、何となく押の強いお樂を立てゝやつたのです。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
合戦長きにわたらんか、賊は、地の利を得て、奇襲縦横にふるまい、諸州の
黄匪
(
こうひ
)
、連絡をとって、いっせいに後路を断ち、征途の味方は重囲のうちに
殲滅
(
せんめつ
)
の
厄
(
やく
)
にあわんもはかりがたい。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ヘエ、親分が行くんですか、脅かしの日限は一昨日で切れて、ゆうべは
厄
(
やく
)
明けで店中へ酒が出る騒ぎでしたよ」
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“厄”の意味
《名詞》
(ヤク)特定の年齢でふりかかるとされる災厄。
(出典:Wiktionary)
厄
常用漢字
中学
部首:⼚
4画
“厄”を含む語句
厄介
御厄介
厄介者
災厄
荷厄介
厄払
厄除
厄介物
前厄
厄落
困厄
厄介払
厄病神
厄前
厄介人
苦厄
厄年
厄日
厄難
大厄
...