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其方
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そちら
ふりがな文庫
“
其方
(
そちら
)” の例文
お前たちは
其方
(
そちら
)
へ
往
(
い
)
きなさい、
金造
(
きんぞう
)
、裏手の方を宜く掃除して置け、
喜八
(
きはち
)
、
此方
(
こちら
)
へ参らんようにして、最う大概蔵へ仕舞ったか、千代や
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あんな所に長く奉公させて置くのも惜しい
児
(
こ
)
のように思うから、
其方
(
そちら
)
でお差支えがないのなら、どうか私に身柄を預けては下さるまいか。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此樣
(
こん
)
な
身
(
み
)
に
成
(
な
)
つても
其方
(
そちら
)
への
義理
(
ぎり
)
ばかり
思
(
おも
)
つて
情
(
なさけ
)
ない
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
し
居
(
を
)
る、
多少
(
たせう
)
教育
(
けういく
)
も
授
(
さづ
)
けてあるに
狂氣
(
きやうき
)
するといふは
如何
(
いか
)
にも
恥
(
はづ
)
かしい
事
(
こと
)
で
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さうしてお前さんに会うて話と謂ふは、
決
(
けつ
)
して身勝手な事を言ひに来たぢやない、やはり
其方
(
そちら
)
の身の上に就いて善かれと計ひたい
老婆心切
(
ろうばしんせつ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私の足はよく
其方
(
そちら
)
へ向いた。そこには鉱泉があるばかりでなく、家から歩いて行くには丁度頃合の距離にあったから。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
其方
(
そちら
)
は如何でございますか、此の
紐育
(
ニューヨーク
)
から二百
哩
(
マイル
)
程隔った湖畔は、近頃殆ど毎日の雨に降り籠められて居ります。
C先生への手紙
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「御新造のお通さんが、此間から危ない眼に逢わされてるそうだが、
其方
(
そちら
)
には怨む者も随分あることでしょうな」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あなたは
其方
(
そちら
)
へ帰るのだから、この
方
(
かた
)
に乗り換へを教へて上げなさい。」と云つたやうであつた。
幼少の思ひ出
(新字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
パノラマ館には例によって人を呼ぶ楽隊の音面白そうなれば
吾
(
われ
)
もまた例によって足を
其方
(
そちら
)
へ運ぶ。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
其方
(
そちら
)
で木戸を丈夫に造り、
開閉
(
あけたて
)
を厳重にするという条件であったが、植木屋は
其処
(
そこ
)
らの
籔
(
やぶ
)
から青竹を切って来て、これに杉の葉など交ぜ加えて
無細工
(
ぶさいく
)
の木戸を造くって了った。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
学生には御気の毒であるが、全く犬の
所為
(
せい
)
だから、不平は
其方
(
そちら
)
へ持って行って頂きたい。
入社の辞
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
夢
(
ゆめ
)
なんだか、
現
(
うつゝ
)
なんだか、
自分
(
じぶん
)
だか
他人
(
たにん
)
だか、
宛然
(
まるで
)
弁別
(
わきまへ
)
が
無
(
な
)
いほどです——
前刻
(
さつき
)
からお
話
(
はな
)
し
被為
(
なす
)
つた
事
(
こと
)
も、
其方
(
そちら
)
では
唯
(
たゞ
)
あはあは
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
らつしやるのが、
種々
(
いろ/\
)
な
言
(
ことば
)
に
成
(
な
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
わたくしは
先刻
(
さっき
)
茶を飲んだ家の女に教えられた改正道路というのを思返して、板塀に沿うて
其方
(
そちら
)
へ行って見ると、近年東京の
町端
(
まちはず
)
れのいずこにも開かれている広い一直線の道路が走っていて
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
其方
(
そちら
)
へいらつしやいますと突き当りでございますよ。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
何時
(
いつ
)
でも
母親
(
おふくろ
)
が旨いものを拵えてくれて、肴は
沢山
(
たんと
)
はないが、
此方
(
こちら
)
はこちらで勝手に遣ります、
其方
(
そちら
)
はそちらで勝手にお
喫
(
あが
)
りなさい
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
漸
(
ようや
)
く九時半頃にお春に云いつけて二階へ連れて行かせたが、間もなく表門のベルが鳴って、犬が
其方
(
そちら
)
へ走って行く足音を聞くと
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其方
(
そちら
)
に
思
(
おも
)
ひ
寄
(
より
)
もあらば
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れとてくる/\と
剃
(
そり
)
たる
頭
(
つむり
)
を
撫
(
な
)
でゝ
思案
(
しあん
)
に
能
(
あた
)
はぬ
風情
(
ふぜい
)
、はあ/\と
聞
(
きゝ
)
居
(
ゐ
)
る
人
(
ひと
)
は
詞
(
ことば
)
は
無
(
な
)
くて
諸共
(
もろとも
)
に
溜息
(
ためいき
)
なり。
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あれ、
貴方
(
あなた
)
、
其方
(
そちら
)
からいらつしやるのですか。この通をいらつしやいましなね、わざわざ、そんな
寂
(
さびし
)
い道をお
出
(
いで
)
なさらなくても、
此方
(
こつち
)
の方が順ではございませんか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
細雨
(
こさめ
)
に
浸
(
にじ
)
むだのを
見
(
み
)
ると——
猶予
(
ためら
)
はず
其方
(
そちら
)
へ
向
(
む
)
いて、
一度
(
いちど
)
斜
(
はす
)
に
成
(
な
)
つて
折曲
(
をれまが
)
つて
列
(
つらな
)
り
行
(
ゆ
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一人
(
ひとり
)
も人に逢わなかったが、板塀の
彼方
(
かなた
)
に奉納の幟が立っているのを見て、
其方
(
そちら
)
へ行きかけると、路地は忽ち四方に分れていて、背広に
中折
(
なかおれ
)
を
冠
(
かぶ
)
った男や、金ボタンの制服をきた若い男の姿が
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
其方
(
そちら
)
へいらっしゃいますと突き当りでございますよ。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
横切って向いの杉林に這入るとパノラマ館の前でやっている楽隊が面白そうに聞えたからつい
其方
(
そちら
)
へ足が向いたが丁度その前まで行くと
一切
(
ひとき
)
り済んだのであろうぴたりと
止
(
や
)
めてしまって楽手は煙草などふかしてじろ/\見物の顔を
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鐵「えへゝゝゝ
私
(
わっち
)
どもは曲った心が直っても、側から曲ってしまうから、旨く
真直
(
まっすぐ
)
にならねえので……えゝ
其方
(
そちら
)
においでなさる方は
何方
(
どちら
)
で」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其方
(
そちら
)
に思ひ
寄
(
より
)
も有あらば言つて見てくれとてくるくると
剃
(
そり
)
たる
頭
(
つむり
)
を撫でて思案に
能
(
あた
)
はぬ風情、はあはあと聞ゐる人も詞は無くて
諸共
(
もろとも
)
に
溜息
(
ためいき
)
なり。
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雪子ちゃんも大分
其方
(
そちら
)
の滞在が延びていることだし、一遍帰って来て貰いたいと思っていたところであるから、帰京の途中立ち寄ることにしたらどうであろう
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
其方
(
そちら
)
の……
貴女
(
あなた
)
のお
庭
(
には
)
に、ちよろ/\
流
(
なが
)
れます
遣水
(
やりみづ
)
のふちが、
此
(
こ
)
の
頃
(
ごろ
)
は
大分
(
だいぶ
)
茂
(
しげ
)
りました、
露草
(
つゆくさ
)
の
青
(
あを
)
いんだの、
蓼
(
たで
)
の
花
(
はな
)
の
眞赤
(
まつか
)
なんだの、
美
(
うつく
)
しくよく
咲
(
さ
)
きます……
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
で
鳴
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
るらしいんですがね。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「今し方
其方
(
そちら
)
へお
出
(
いで
)
なすつたのですが……」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
否
(
いや
)
植村
(
うゑむら
)
も
氣
(
き
)
が
狹
(
せま
)
いからで、どうも
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
になつて
仕舞
(
しま
)
つたで、
私共
(
わしども
)
二人
(
ふたり
)
が
實
(
じつ
)
に
其方
(
そちら
)
に
合
(
あは
)
せる
顏
(
かほ
)
も
無
(
な
)
いやうな
仕儀
(
しぎ
)
でな、
然
(
しか
)
し
雪
(
ゆき
)
をも
可愛想
(
かあいさう
)
と
思
(
おも
)
つて
遣
(
や
)
つて
呉
(
く
)
れ
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
宮「左様か、金吾、由次、少々山三郎が内々頼む事があって他聞を憚ると云うから、
其方
(
そちら
)
へ出て往って居れ、用があれば手を
鳴
(
なら
)
すから、そして酒の支度をしろ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、カタリナが呼んだが、上眼でじろりと
其方
(
そちら
)
を見ただけで、犬は火の前を動きそうにもしない。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
我等
(
わしども
)
二人が実に
其方
(
そちら
)
に合はせる顔も無いやうな仕義でな、然し雪をも可愛想と思つて
遣
(
や
)
つてくれ、こんな身に成つても
其方
(
そちら
)
への義理ばかり思つて情ない事を言ひ出しをる
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、いくら立てても
其方
(
そちら
)
の耳が立たないので、「姉ちゃん、やってみてえな」と云った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お話はすべて
原書
(
あちら
)
の
儘
(
まゝ
)
にしてお聞きに入れますから、宜しく
其方
(
そちら
)
でお聞分けを願います。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山の
方
(
かた
)
の
観物小屋
(
みせものごや
)
に引張る者が出て居りますが、
其方
(
そちら
)
へ顔も向けず
四辺
(
あたり
)
に気を附けてまいると、向うから来ました男は、年頃二十七八にて、かっきりと色の白い、眼のきょろ/\大きい
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一人で帰りますと小さく成るに、こりや
怕
(
こわ
)
い事は無い、
其方
(
そちら
)
の
家
(
うち
)
まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで
頭
(
つむり
)
を
撫
(
な
)
でらるるに
弥々
(
いよいよ
)
ちぢみて、喧嘩をしたと言ふと
親父
(
とつ
)
さんに叱かられます
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
宙に
据
(
す
)
えていた眼だけをちらと
其方
(
そちら
)
へ向けた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一人
(
ひとり
)
で
歸
(
かへ
)
りますと
小
(
ちい
)
さく
成
(
な
)
るに、こりや
怕
(
こわ
)
い
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い、
其方
(
そちら
)
の
家
(
うち
)
まで
送
(
おく
)
る
分
(
ぶん
)
の
事
(
こと
)
、
心配
(
しんぱい
)
するなと
微笑
(
びしよう
)
を
含
(
ふく
)
んで
頭
(
つむり
)
を
撫
(
な
)
でらるゝに
彌々
(
いよ/\
)
ちゞみて、
喧嘩
(
けんくわ
)
をしたと
言
(
い
)
ふと
親父
(
とつ
)
さんに
叱
(
し
)
かられます
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女「お手水は
其方
(
そちら
)
じゃアいけません
此方
(
こちら
)
でございますよ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
武「いや冗談じゃア無い全くだ、
其方
(
そちら
)
のお方は」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
梅「おやまさんお腹も立ちましたろうが堪忍して下さいよ、私は少し云う事が有りますから
彼方
(
あちら
)
へ行って居て下さい、
余
(
あん
)
まりやれこれ云って下さると増長するのでございますから、どうぞ
其方
(
そちら
)
へ……又市さん今の真似はあれは
何
(
なん
)
だえ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“其方”で始まる語句
其方除
其方此方
其方儀
其方退
其方達
其方共
其方法
其方共儀
其方們
其方側