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伴
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つ
ふりがな文庫
“
伴
(
つ
)” の例文
妻と小さな子供を
伴
(
つ
)
れている私には、横浜を出るとき親しい友達は桟橋に残ってしまったが、それでも旅らしい気分になれなかった。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
丁度其時、向ふの村にお祭があつて、芝居がかゝつたと言ふので、私は従兄達に
伴
(
つ
)
れられて行つた。鏡山の芝居だツたと覚えてゐる。
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
中二日おいて、
松尾
(
まつお
)
という老女と
弥生
(
やよい
)
という妹を
伴
(
つ
)
れて市蔵が来た。酒や
肴
(
さかな
)
の材料や道具などが運ばれて、松尾と弥生が厨におりた。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
当人へ弟子入りを承諾したように受け取られ上郎氏の細君が当人を
伴
(
つ
)
れて見えたので、今さら
否
(
いや
)
ともいえず、弟子にしたわけでした。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
武士は
四辺
(
あたり
)
をじっと見たがどうしても場所の見当がつかなかった。二人
伴
(
つ
)
れの男が
提燈
(
ちょうちん
)
を持って左の方から来た。武士は声をかけた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
掛茶屋、船頭などに聞くと、「あの
児
(
こ
)
なら、今しがた立派な様子をした西洋人に
伴
(
つ
)
れられて、橋を渡って江の島の方へ行きましたよ」
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おくみはお安さんからはがきが来た翌々日、青木さんにさう言つて、少し
早午
(
はやひる
)
を戴いて、坊ちやんを
伴
(
つ
)
れて一寸店へやらせて貰つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
昨日の続きの仕事をして居たが昼頃から少し頭痛がし出した。湯にでも
入
(
はい
)
つて来ようと思つて、七瀬と八峰を
伴
(
つ
)
れて湯屋へ行つた。
六日間:(日記)
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ウォルタアとチャアリイは帰路を失って
迷児
(
まいご
)
になったもの、早晩どこかの
横町
(
よこちょう
)
ででも発見されて、安全に
伴
(
つ
)
れ戻されることだろう。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「
妾
(
わたし
)
も山へ登りたいわ、女性にだって登高本能はあることよ、だって妾、煙突なんかへ登りたくはないの、ねえ
伴
(
つ
)
れてってくんない?」
案内人風景
(新字新仮名)
/
百瀬慎太郎
、
黒部溯郎
(著)
雄吾の父親、岡本
吾亮
(
ごすけ
)
がしばらくぶりで自分の郷里に帰って来た。東京で一緒になったという若い綺麗な細君と幼い
伜
(
せがれ
)
の雄吾を
伴
(
つ
)
れて。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
さて彼女が夫を
伴
(
つ
)
れ去らんとするに臨み、侯呼び還して、今後また汝の夫が
干戈
(
かんか
)
を執ってわが軍に向わばどう処分すべきやと尋ねると
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
無論病勢の
募
(
つの
)
るに
伴
(
つ
)
れて読書は全く
廃
(
よ
)
さなければならなくなったので、教授の死ぬ日まで教授の書を再び手に取る機会はなかった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気に入りの側近のみを
伴
(
つ
)
れて人知れず、金創に霊顕ありとすすめる者のあったままに、あのあみだ沢の猿の湯へ湯治に行ったのだった。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
亀山の関盛信は、一子
一致
(
かずむね
)
を
伴
(
つ
)
れて、そうした四囲険悪な中を、ひそかに姫路へ来て、年賀を兼ね、かつ、
爾後
(
じご
)
の策を仰いでいた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主
(
あるじ
)
の勧むる
傍
(
そば
)
より、妻はお俊を促して、お俊は紳士を
案内
(
あない
)
して、客間の床柱の前なる
火鉢
(
ひばち
)
在る
方
(
かた
)
に
伴
(
つ
)
れぬ。妻は
其処
(
そこ
)
まで
介添
(
かいぞへ
)
に附きたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
或る夕方、夜警に出ていると、警官が四、五人足早に通り過ぎながら、今二人
伴
(
つ
)
れて来るから
殴
(
ぶ
)
っちゃア
不可
(
いか
)
んぞと呼ばわった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
裏通りで、解らないが、恐らく町名が異ったろうと思う頃、庸之助は人の家の間の、もっともっと穢くせまい小道に
伴
(
つ
)
れ込んだ。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今度
(
こんど
)
こそは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
寸分
(
すんぶん
)
豚
(
ぶた
)
に
相違
(
さうゐ
)
ありませんでしたから、
愛
(
あい
)
ちやんも
最
(
も
)
う
其
(
そ
)
れを
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くのは
全
(
まつた
)
く
莫迦氣
(
ばかげ
)
たことだと
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
若
(
も
)
しも
貴下
(
こなた
)
が、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふやうに、
阿呆
(
あはう
)
の
極樂
(
ごくらく
)
へ
姫
(
ひい
)
さまを
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かっしゃるやうならば、ほんに/\、
世間
(
せけん
)
で
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
不埓
(
ふらち
)
な
事
(
こと
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
晋「イヤ狸であろうと狐であろうと、遇いたいと申すものには遇ってやりましょうよ、ぐず/\言わずに
伴
(
つ
)
れてお出でなさいよ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
急報に接して、警視庁からは係長が若手の敏腕家杉村刑事を
伴
(
つ
)
れて馳せ付け、そこにいた山本桂一に事の顛末を聞いてから、杉村を顧みて
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
王は庚娘を
伴
(
つ
)
れて自分の家へ帰って、
堂
(
おく
)
へ入って母親に逢った。母親は王の細君が
故
(
もと
)
の女でないのを不審がった。王はいった。
庚娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「実は牛込神楽坂署の署長が是非あなたにお会いしてお聞きしたい事がありますので、私に署までお
伴
(
つ
)
れするようにと云いつかったのです」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
暢気坊
(
のんきぼう
)
のように取れるし、また信心のために巡礼というようなものとすると、手に
種々
(
いろいろ
)
なものを持っているとか子供を
伴
(
つ
)
れているとかして
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
天文十八年、悪魔は、フランシス・ザヴイエルに
伴
(
つ
)
いてゐる
伊留満
(
いるまん
)
の一人に化けて、長い海路を
恙
(
つつが
)
なく、日本へやつて来た。
煙草と悪魔
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二十円もあれば
好
(
い
)
いでせうと云つて私を自身の室へ
伴
(
つ
)
れて行つて二人の令嬢に紹介した。私は思ひ掛けない事に遇つて感極まつて涙が
零
(
こぼ
)
れた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
邪魔なのは、この
伴
(
つ
)
れの甚太郎、ただ一人——何と、言いこしらえて、この者を突っぱなそうか、なにとか、よい思案は——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
だが事実はもう余程酔つてゐたので、嘘でもそんな言葉を吐いて見ると、心もそれに
伴
(
つ
)
れて、もつと何か
徒
(
いたづ
)
らなことでも云つて見たい気がした。
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
七歳
(
ななつ
)
になるまでの間にセエラの気がかりになっていたことは、いつか
伴
(
つ
)
れて行かれる「あそこ」のことだけでありました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「嫌だ/\、一緒に行く。
伴
(
つ
)
れてつて呉れなければ耳を噛み切つてやる!」と、黒ちやんは泣きながら無理を言ひました。
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
歌に
伴
(
つ
)
れて障子の影法師が踊る。妙な手付をして、腰を振り、足を動かす。或は大きく
朦乎
(
ぼんやり
)
と映り、或は小く
分明
(
はつきり
)
と映る。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
妻 結婚してから、たつた三度きりよ、活動へ
伴
(
つ
)
れて行かれたのは。自分が嫌ひなものは人にも見せない方針らしいのよ。
世帯休業
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「そのお方のほうでもその気になって下されば、わたしが国へ帰るとき一緒にお
伴
(
つ
)
れして、もうそのようなお心細い目には逢わせませんから。」
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
あの晩とうとう自分をこの二階に
伴
(
つ
)
れて来たのであったが、こうして、しばらくでも女と一緒にいて、母親にもともどもに大事にせられていると
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
渡邊を
伴
(
つ
)
れて
麗
(
うらら
)
かな秋の街を散歩でもするような足どりで歩き出した、二人は
漸次
(
だんだん
)
郊外の方へ近よると、
其所
(
そこ
)
には黒ずんだ○△寺の山門が見えた
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
それが勅許があったので、嘉禄三年六月二十二日山門から人をやって墓を破そうとする、その時に六波羅の
修理亮
(
しゅりのすけ
)
平時氏は、家来を
伴
(
つ
)
れて馳せ向い
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼
(
あ
)
の慈愛館へ
伴
(
つ
)
れてお
行
(
いで
)
になりましたがネ、——貴嬢、私の
伜
(
せがれ
)
が生きてると
丁度
(
ちやうど
)
篠田
様
(
さん
)
と同年のですよ、私、
彼
(
あ
)
の方を見ると
何時
(
いつ
)
でも涙が出ましてネ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「それどころですか。私、ひどい目にあっちゃった。もう
懲々
(
こりごり
)
、これからはもう御一緒に
伴
(
つ
)
れて来て頂きませんわ」
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
法眼は学問があって律義の方、しかし
其
(
そ
)
の律義さは余程、異っています。
或
(
あ
)
る時、僧を
伴
(
つ
)
れて劇場の前を通りました。侍僧は芝居を見たくて堪りません。
茶屋知らず物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その相談は
速
(
すぐ
)
に成立って、清吉は六月の某日青葉の薫る頃に故郷に
暇乞
(
いとまごい
)
をして、一人の四十格好の男に
伴
(
つ
)
れられて、西東も知らない都の空へ旅立をした。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お浜が次郎を
伴
(
つ
)
れてやって来るごとに、彼女を説きつけて、こっそり一人で帰って貰うことにしていたのである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
が、警官は、警察へ同行するかわりに、保護と称して、暗い公園の奥へ彼女を
伴
(
つ
)
れ込もうとしたというのだ——。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
胎動
(
たいどう
)
に異ひなかつた。それに
伴
(
つ
)
れて彼女の心臓も思ひ出したやうに苦痛を訴へはじめた。明子はこの時さめざめと泣いた。人々は彼女の不幸を哀れんだ。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
女のお
伴
(
つ
)
れは無線電信を発明したマルコーニ侯の前の奥様で、マダム・ペトロスカというソプラノ歌手でした。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
そこへ私より一足遅れて権八が一人の仲間に
伴
(
つ
)
れられて頭を
手拭
(
てぬぐひ
)
で
繃帯
(
はうたい
)
しながら帰つて来た。かみさんはそれを見ると
忽
(
たちま
)
ち色を変へて狂気のやうになつた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
處が十二の時と記憶する、徳二郎といふ下男が或日僕に今夜面白い處に
伴
(
つ
)
れてゆくが行かぬかと誘さうた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
焚火のとろとろ火に
伴
(
つ
)
れて、穴へでも落ちたようにグッスリと寝込んでしまった、眼が覚めると鳥の声がする、谷間に「ひんから」「ひんから」と響きわたる
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
松方正義老公の銀像、大倉喜八郎男夫妻の坐像、法隆寺貫主の坐像などが記憶にのこっている。松方老公のは助手として父に
伴
(
つ
)
いていって三田の邸宅で写生した。
自作肖像漫談
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
赤坊が死んでから村医は巡査に
伴
(
つ
)
れられて
漸
(
ようや
)
くやって来た。
香奠
(
こうでん
)
代りの紙包を持って帳場も来た。
提灯
(
ちょうちん
)
という見慣れないものが小屋の中を出たり
這入
(
はい
)
ったりした。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
伴
常用漢字
中学
部首:⼈
7画
“伴”を含む語句
同伴
伴侶
相伴
同伴者
伴奏
御伴
御相伴
随伴
御同伴
大伴
大伴家持
女伴
火伴
伴天連
道伴
幸田露伴
切支丹伴天連
伴人
伴立
路伴
...