トップ
>
仙人
>
せんにん
ふりがな文庫
“
仙人
(
せんにん
)” の例文
融通のきかないのをいいことにして
仙人
(
せんにん
)
ぶってるおまえたちとは少し違うんだから。……ところで九頭竜が大部頭を縦にかしげ始めた。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そうしてこんな人にわずかな思索力、ないしはわずかな信心があれば、すなわち
行者
(
ぎょうじゃ
)
であり、或いは
仙人
(
せんにん
)
であり得るかと思われる。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かれは、
仙人
(
せんにん
)
か、
幻術師
(
げんじゅつし
)
か、キリシタンの魔法を使う者か? はじめて会った小文治は、いつまでも、奇怪な
謎
(
なぞ
)
をとくことに苦しんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仙人
(
せんにん
)
張三丰
(
ちょうさんぼう
)
を
索
(
もと
)
めんとすというを
其
(
その
)
名
(
な
)
とすと
雖
(
いえど
)
も、
山谷
(
さんこく
)
に仙を
索
(
もと
)
めしむるが如き、永楽帝の
聰明
(
そうめい
)
勇決にして
豈
(
あに
)
真に
其
(
その
)
事
(
こと
)
あらんや。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
境は、その女中に
馴
(
な
)
れない手つきの、それも
嬉
(
うれ
)
しい……
酌
(
しゃく
)
をしてもらいながら、熊に乗って、
仙人
(
せんにん
)
の
御馳走
(
ごちそう
)
になるように、
慇懃
(
いんぎん
)
に礼を言った。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「もし
仙人
(
せんにん
)
がわたしをおしどりにしてこの
泉
(
いずみ
)
の上にはなったならばお前はどうするつもりか。」と
若者
(
わかもの
)
は池の
面
(
おもて
)
から
眼
(
め
)
をはなさないでいった。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
女偊
(
じょう
)
氏は一見きわめて平凡な
仙人
(
せんにん
)
で、むしろ
迂愚
(
うぐ
)
とさえ見えた。悟浄が来ても別に
渠
(
かれ
)
を使うでもなく、教えるでもなかった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
十万坪の別荘を市の東西南北に建てたから天下の学者を
凹
(
へこ
)
ましたと思うのは
凌雲閣
(
りょううんかく
)
を作ったから
仙人
(
せんにん
)
が恐れ入ったろうと考えるようなものだ……
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仙人
(
せんにん
)
の遊戯を見ているうちに
斧
(
おの
)
の木の柄が朽ちた話と同じような
恍惚
(
こうこつ
)
状態になって女房たちは長い時間水上にいた。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
あの
天狗
(
てんぐ
)
の落とし子のような彼のおいたちがすでに
仙人
(
せんにん
)
らしい
飄逸味
(
ひょういつみ
)
に富んでいるが、茶に沸かす川の水の清さを
桶
(
おけ
)
の中から味わい分けた物語のごとき
茶の本:01 はしがき
(新字新仮名)
/
岡倉由三郎
(著)
北上
(
きたかみ
)
川の西岸でした。東の
仙人
(
せんにん
)
峠から、遠野を通り土沢を過ぎ、北上山地を
横截
(
よこぎ
)
って来る冷たい
猿
(
さる
)
ヶ
石
(
いし
)
川の、北上川への落合から、少し下流の西岸でした。
イギリス海岸
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
が、僕の伝へたいのは先生の剣道のことばかりではない。先生は又食物を減じ、
仙人
(
せんにん
)
に成る道も修行してゐた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
中国ではこの草が海辺を好んでよく育つというので、それで水仙と名づけたのである。仙は
仙人
(
せんにん
)
の仙で、この草を俗を脱している
仙人
(
せんにん
)
に
擬
(
なぞら
)
えたものでもあろうか。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
私
(
わたくし
)
はまだ
仙人
(
せんにん
)
というものをよく
存
(
ぞん
)
じませぬが、
若
(
も
)
し
本当
(
ほんとう
)
に
仙人
(
せんにん
)
があるとしたら、それは
私
(
わたくし
)
の
指導役
(
しどうやく
)
のお
爺
(
じい
)
さんのような
方
(
かた
)
ではなかろうかと
考
(
かんが
)
えるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
なんのことはねえ、
久米
(
くめ
)
の
仙人
(
せんにん
)
がせんたく娘の白いはぎを見て、つい雲を踏みはずしたというやつよ。
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
巨人の掌上でもだえる
佳姫
(
かき
)
や、徳利から出て来る
仙人
(
せんにん
)
の映画などはかくして得られるのである。
映画の世界像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
恐ろしい荒行をする猛勇な人や、夜の目も惜しんで研究する人や、また
仙人
(
せんにん
)
のように清く身を保つ人やさまざまな人がいた。私もその人々のするような事をおくれずにした。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
くれてよこした。
田舎
(
いなか
)
へ行ったら読んでごらんなさいと言って僕にくれてよこした。何かと思ったら、『
扶桑陰逸伝
(
ふそういんいつでん
)
』サ。
画
(
え
)
の本でもくれればいいのに、こんな
仙人
(
せんにん
)
の本サ。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先
(
ま
)
づ
斯
(
か
)
ういふ
風
(
ふう
)
な
處
(
ところ
)
からラクダルの
怠惰屋
(
なまけや
)
は
國内
(
こくない
)
一般
(
いつぱん
)
の
評判
(
ひやうばん
)
ものとなり、
人々
(
ひと/″\
)
は
何時
(
いつしか
)
この
漢
(
をとこ
)
を
仙人
(
せんにん
)
の
一人
(
ひとり
)
にして
了
(
しま
)
ひ、女は
此
(
この
)
庄園
(
しやうゑん
)
の
傍
(
そば
)
を
通
(
とほ
)
る時など
被面衣
(
かつぎ
)
の下でコソ/\と
噂
(
うはさ
)
してゆく
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ならしても知らんぷりだ。ぼくは
仙人
(
せんにん
)
じゃないぞ。
飯
(
めし
)
もくわずに生きていられるか
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
だが、それは決して久米の
仙人
(
せんにん
)
が、神通力を失って、下界へ墜落した、というようなものではないのです。それは転落ではなくて、随順です。墜落ではなくて、やむにやまれぬ菩薩の大悲です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
「
私
(
わし
)
は
仙人
(
せんにん
)
ぢや。お前に用事があつて来たのぢや。」
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
「わしは
仙人
(
せんにん
)
じゃ」とお
爺
(
じい
)
さんは答えました。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あれ、
摺拔
(
すりぬ
)
けようと
身
(
み
)
を
踠
(
もが
)
きます
時
(
とき
)
、
扉
(
とびら
)
を
開
(
あ
)
けて、
醫師
(
いしや
)
が
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
しました。
何
(
なに
)
をじたばたする、
其
(
そ
)
のお
仙人
(
せんにん
)
と
汝
(
きさま
)
は
行
(
ゆ
)
くのだ、と
睨付
(
にらみつ
)
けて
申
(
まを
)
すのです。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その時汽笛が鳴って汽車は
発
(
た
)
ちました。私は行手の青く光ってゐる
仙人
(
せんにん
)
の峡を
眺
(
なが
)
め、それからふと空を見て、思はず、こいつはひどい、と、つぶやきました。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
こんな
長閑気
(
のんき
)
な
仙人
(
せんにん
)
じみた
閑遊
(
かんゆう
)
の間にも、危険は
伏在
(
ふくざい
)
しているものかと、今更ながら呆れざるを得なかった。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
祖父である入道が現在では人間離れのした
仙人
(
せんにん
)
のような生活をしているということも若い心には悲しかった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いかなる名馬で地を飛ぶよりも、こうして空中を自由に飛行する快味は、まるでじぶんがじぶんでなく、生きながら、神か
仙人
(
せんにん
)
になったような
愉快
(
ゆかい
)
さである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤山の
住侶
(
じゅうりょ
)
はいずれも
仙人
(
せんにん
)
で、おのおの『
雲笈七籖
(
うんきゅうしちせん
)
』にでもあるような高尚な漢名を持っていた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自分の知った範囲内でも、人からは
仙人
(
せんにん
)
のように思われる学者で思いがけない銀座の漫歩を楽しむ人が少なくないらしい。考えてみるとこのほうがあたりまえのような気がする。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「番頭さん。私は
仙人
(
せんにん
)
になりたいのだから、そう云う所へ住みこませて下さい。」
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人
(
ふたり
)
は
霞
(
かすみ
)
を食って生きる
仙人
(
せんにん
)
のようにしては生きていられないのだ。職業を失った倉地には、口にこそ出さないが、この問題は遠からず大きな問題として胸に忍ばせてあるのに違いない。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その男の説によると、
桃
(
もも
)
は果物のうちでいちばん
仙人
(
せんにん
)
めいている。なんだか
馬鹿
(
ばか
)
みたような味がする。第一
核子
(
たね
)
の
恰好
(
かっこう
)
が無器用だ。かつ穴だらけでたいへんおもしろくできあがっていると言う。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あれは
仙人
(
せんにん
)
です。」
二老人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
久米
(
くめ
)
の
仙人
(
せんにん
)
がまた雲を
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
部屋
(
へや
)
も
欄干
(
らんかん
)
も
玉
(
たま
)
かと
思
(
おも
)
ふ
晃々
(
きら/\
)
と
輝
(
かゞや
)
きまして、
怪
(
あやし
)
いお
星樣
(
ほしさま
)
の
中
(
なか
)
へ
投込
(
なげこ
)
まれたのかと
思
(
おも
)
ひましたの。
仙人
(
せんにん
)
は
見
(
み
)
えません。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私は、西の
仙人
(
せんにん
)
鉱山に、小さな用事がありましたので、
黒沢尻
(
くろさはじり
)
で、軽便鉄道に乗りかへました。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかし、だんだんと
膝
(
ひざ
)
をまじえて話しているうちに、ようやくそれがわかってきた、かれは
仙人
(
せんにん
)
でもなければ、けっして
幻術使
(
げんじゅつつかい
)
でもない。ただおそろしい修養の力である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気をめいらせて泣いている時のほうが多い末摘花の顔は、一つの木の実だけを大事に顔に当てて持っている
仙人
(
せんにん
)
とも言ってよい奇怪な物に見えて、異性の興味を
惹
(
ひ
)
く価値などはない。
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
が、まだ今のやうに女に
惚
(
ほ
)
れたり、金が欲しかつたりしてゐる内は、
到底
(
たうてい
)
思ひ切つた真似は出来さうもないな。
尤
(
もつと
)
も
仙人
(
せんにん
)
と云ふ中には、
祝鶏翁
(
しゆくけいをう
)
のやうな蓄産家や
郭璞
(
くわくぼく
)
のやうな
漁色家
(
ぎよしよくか
)
がある。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
徹底した運命論者ですよ。酒をのんで運命論を吐くんです。まるで
仙人
(
せんにん
)
ですよ
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
シナの
仙人
(
せんにん
)
の持っていた杖は道術にも使われたであろうが、山歩きに必要な
金剛杖
(
こんごうづえ
)
の役にも立ったであろう。羊飼いは子供でも長い杖を持っているが、あれはなんの用にたつものか自分は知らない。
ステッキ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
生
(
なま
)
の貝をもらって、石の上で砕いて食ったといって、人は戯れにこれをアサリ
仙人
(
せんにん
)
と呼んでいた。何処に住む者とも知れず、七日も十日も連日くるかと思えば、二月も三月も絶えてこぬこともあった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私
(
わたし
)
は、
私
(
わたし
)
は
殺
(
ころ
)
されるんでございませうか、と
泣
(
な
)
きながら
申
(
まを
)
しますとね、
年上
(
としうへ
)
の
方
(
かた
)
が、
否
(
いゝえ
)
、お
仙人
(
せんにん
)
のお
伽
(
とぎ
)
をしますばかりです、それは
仕方
(
しかた
)
がござんせん。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
仙人
(
せんにん
)
のように雲や
霞
(
かすみ
)
を召し上がって生きて行くことはできるでございましょうか
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そこでみんなは将軍さまは、もう
仙人
(
せんにん
)
になつたと云つて、ス山の山のいたゞきへ小さなお堂をこしらへて、あの
白馬
(
しろうま
)
は神馬に祭り、あかしや粟をさゝげたり、麻ののぼりをたてたりした。
北守将軍と三人兄弟の医者
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
部屋には小ざっぱりと身じたくをした
女中
(
じょちゅう
)
が来て寝床をあげていた。一
間
(
けん
)
半の
大床
(
おおとこ
)
の
間
(
ま
)
に飾られた大
花活
(
はない
)
けには、菊の花が
一抱
(
ひとかか
)
え分もいけられていて、空気が動くたびごとに
仙人
(
せんにん
)
じみた香を漂わした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と
膠
(
にべ
)
もなく、
一喝
(
いつかつ
)
をしたかと
思
(
おも
)
ふと、
仙人
(
せんにん
)
どのと
覺
(
おぼ
)
しき
姿
(
すがた
)
、
窓
(
まど
)
から
飛
(
と
)
んで
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
、
山
(
やま
)
へ
上
(
のぼ
)
らせたまひけり。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
下草はみじかくて
奇麗
(
きれい
)
でまるで
仙人
(
せんにん
)
たちが
碁
(
ご
)
でもうつ処のように見えました。
虔十公園林
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
斧
(
おの
)
の柄を新しくなさらなければ(
仙人
(
せんにん
)
の碁を見物している間に、時がたって気がついてみるとその
樵夫
(
きこり
)
の持っていた斧の柄は朽ちていたという話)ならないほどの時間はさぞ待ち遠いことでしょう」
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“仙人”の解説
仙人(せんにん)は、中国の道教の伝説の人物を指す言葉。
道教は多神信仰の宗教であり、「三清」を最高神とする。道教の信仰する神仙は大きく分けて「神」と「仙」の2種類である。「神」には天神、地祇、物霊、地府神霊、人体の神、人鬼の神などが含まれる;このうち天神、地祇、陰府神霊、人体の神のような「神」は、先天的に存在する真聖である。「仙」は仙真を指して、仙人と真人を含んで、後天的に修練を経て道を得て、神通力は広大で、変化は計り知れず、また不死の人である。
(出典:Wikipedia)
仙
常用漢字
中学
部首:⼈
5画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“仙人”で始まる語句
仙人掌
仙人草
仙人掌棒
仙人峠
仙人業