“こだま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コダマ
語句割合
36.9%
木精15.9%
木魂14.0%
反響10.0%
木霊10.0%
児玉2.7%
木靈1.7%
谺響1.7%
小玉1.3%
山彦1.3%
(他:14)4.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
太郎とはあの黒犬の名か、なるほど、二の丸のほうで怖ろしく啼き立てている。その声が、四方の山のこだまを呼んで、犬とも思えない凄さであった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊織は、樹の上から、不審そうに二人をじっと見まもっていたが、その時、杉林の奥で、ワン、ワン! と猛犬の吠えたけびが、こだまして来たので、
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とてもこのつかれようでは、坂を上るわけには行くまいと思ったが、ふと前途ゆくてに、ヒイインと馬のいななくのがこだまして聞えた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人が多ければそうしたものは影も見せない木精こだまなどという怪しいものも次第に形をあらわしてきたりする不快なことが数しらずあるのである。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
乙女達はいつまでも泣いていた。悲しそうに悲しそうに泣いていた。そうしてその声は谷にこもり、また山々に反響し、木精こだまとなって返って来た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
振り上げた顔、疑惑と失望に歪んだ小鬢こびんのあたりを、シュッとかすった物があります。間髪を容れずに、ダーンと木精こだまを返して鉄砲の音、
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
と云った、兵は、すぐ射撃した。近藤は、飛出す弾丸を見ようとしていたが、ばあーんと、音が、木魂こだましただけで弾丸の飛ぶ筋が見えなかった。
近藤勇と科学 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
一つの声が無限の空間の中に喚びかえし、木魂こだまし反響するその深い感興こそ、胸の中のあらゆる幾山河に響かうそのひびきにもそれは似るであろう。
うつす (新字新仮名) / 中井正一(著)
探りとった笛袋から抜いて、彼の指にかけられた八寒嘯はっかんしょうは、やがて、氷柱つららの林からひびく木魂こだまのように、鳴りだした。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛脚はかたっぱしから狼の頭を斬った。下に眼をやると樹の下は狼の眼の光で埋まるように見えた。狼の吠え狂う声が山一面に反響こだまをかえした。
鍛冶の母 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広い邸内やしき反響こだまして返って来る自分の声を聞いたとき、何となく文次は、ぶるると身ぶるいを禁じ得なかったが、気を取り直して、もう一度。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
法水の声のみが陰々と反響こだましても、それがてんで耳に入らなかったほど、検事と熊城は、目前の戦慄せんりつすべき情景にきつけられてしまった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
竹法螺は、大きな、そしていい音色でもって、朗々と鳴りだしました。その音は山々に木霊こだまし、うううーっと長く尾をひいてひびきわたりました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
問いに対する答えのすみやかなること、応変自由なること、鐘の撞木しゅもくに鳴るごとく、木霊こだまの音を返すがごとく、活溌かっぱつ
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私共の仲間では此れを一口に『怪物えてもの』と云いまして、猿の所為しわざとも云い、木霊こだまとも云い、魔とも云い、その正体は何だか解りませんが
かなが庭の方から下駄をもつて来る。大庭、庭へ降り、植木鉢などいぢる。そこへ、垣根の向うを児玉こだま的外が息子の初男を連れて通る。
五月晴れ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
児玉こだま氏は越前国敦賀つるがの城主酒井さかい右京亮うきょうのすけ忠毗ただやすの家来某のむすめであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すなわちこれらの地においては郷名として特に名家の姓を採用したことあたかも大連の児玉こだま町・乃木のぎ町と同じである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と夕空に木靈こだまして、紛れも無い鐵砲の音、彈丸は平次の耳をかすめるやうに、木立の中に射ち込まれた樣子です。續いて、プーンと匂つて來る煙硝えんせうの臭ひ。
それは、一つ/\の、もの寂しい部屋の中にゐる木靈こだまを呼び起すやうな騷がしい反響となつて消えて行つた。
太い聲で歸つて來る木靈こだまを、三度四度、彼は無心でたのしんだ。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
大時計が、「正午だ」と云ふと、市民一同口を開けて、谺響こだまのやうに「正午だ」と答へる。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
「一つ」とスピイスブルク市民たる小さい、太つた爺いさん達が、谺響こだまのやうに答へた。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
されど谺響こだまにひゞく足音あのとおそろしければ、しづかに歩を運びたり。
四人の少年が、そろって、前へ近づいた。その中には春木少年の顔がまじっていた。その外に、小玉こだま君、横光よこみつ君、田畑たばた君の三少年がいた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「昨夜、丸の内会館で、薬物学会の幹部連中が、やられちまいました。松瀬博士以下土浦、園田、木下、小玉こだま博士、それに若い学士達が四五人、みな今暁こんぎょう息をひきとったそうです」
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ことに少年探偵を結成しようとしていた、小玉こだま君や横光よこみつ君、それに田畑たばた君などは、春木少年ひとりにだしぬかれたことをくやしがって、こんど何かあったら、きっと自分たちも、仲間に入れてくれとせがんだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この折から聞えはじめたのはどっという山彦こだまに伝わるひびき、ちょうど山の奥に風が渦巻うづまいてそこから吹起ふきおこる穴があいたように感じられる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
るとそのあたり老木ろうぼくがぎっしりしげっている、ごくごくさびしい深山しんざんで、そして不思議ふしぎ山彦こだまのよくひびところでございました。
まなこ閉づれば速く近く、何処いづこなるらんことの音聴こゆ かしら揚ぐれば氷の上に 冷えたるからだ、一ツ坐せり 両手もろてふるつて歌うたへば 山彦こだまの末見ゆ、高きみそら、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
千枝松はのどれるほどに藻の名を呼びながら歩いたが、声は遠い森に木谺こだまするばかりで、どこからも人の返事はきこえなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
打てば血が流れ、その哀号あいごうの声はあたりの森に木谺こだまして、凄惨実にたとえようもなかった。
宣長が「卑しけど雷木魅こだまきつね虎竜のたぐいも神の片端」と詠んだごとく、昔は邦俗和邇等の魚族をも奇怪な奴を神としたのだ
木魅こだま山魅すだまかげつて、こゝのみならず、もり廊下らうかくらところとしいへば
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼく學校がくかうをおたづねになるのですか。』と兒玉こだまつがうとして、さらふた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
兒玉こだま二人ふたりまへ大島校長宛おほしまかうちやうあてにすら/\とつぎ手紙てがみいた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それについてわしが気づいた最初の事は十字架、むしろ十字架を支えてる紐でありましたのじゃ、当然、あんた方にとっても、それはただ小珠こだまの紐であった。特別にどういうものではなかったのじゃ、が、しかしまた当然、それはあんた方のよりはわしの職掌にあったのじゃからな。
ひるの貝おくる木玉こだま三井みいの秋 探志
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
それでも、背中せなかや胸をいてやるまい、噫木魂精こだまよ、おまへは腕をして勝ち誇る夢を捧げてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
何か仔細しさいの有そうな様子でしたが問返しもせず、徳蔵おじにつれられるまま、ふたりともだんまりで遠くもない御殿の方へ出掛でかけて行ましたが、通って行く林の中はさびしくッて、ふたりの足音が気味わるく林響こだまに響くばかりでした。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
こちらにくると観音さまや天照大神または蚕玉こだまさま(蚕の守護神)の画像(掛図)になっている。
人形の話 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
小玉というのの家跡か、白昼も寂然しんとしていてこだまをするか、濁って呼ぶから女の名ではあるまいが、おなじ名のきれいな、あわれなおんながここで自殺をしたと伝えて、のちのちの今も
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いかづち夕に天半なかぞらを過ぐ、烏帽子、国見の山脈に谷谺こだまをかへせしその響は漸く遠ざかれり、牧島湾頭やがて面より霽れたれども、退く潮の色すさまじく柩を掩ふ布のごとき雲の峯々の谷間に埋れゆくもものうげなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ややありて渠らはみな行き尽くせり。公園は森邃しんすいとして月色ますますくらく、夜はいまや全くその死寂に眠れるとき、谽谺こだまに響き、水に鳴りて、魂消たまぎ一声ひとこえ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大空おほぞら返響こだまおと
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)