木靈こだま)” の例文
新字:木霊
と夕空に木靈こだまして、紛れも無い鐵砲の音、彈丸は平次の耳をかすめるやうに、木立の中に射ち込まれた樣子です。續いて、プーンと匂つて來る煙硝えんせうの臭ひ。
それは、一つ/\の、もの寂しい部屋の中にゐる木靈こだまを呼び起すやうな騷がしい反響となつて消えて行つた。だが、その聲の源は、一つしかなかつたから、私はどのドアから出てくるかゞわかつた。
太い聲で歸つて來る木靈こだまを、三度四度、彼は無心でたのしんだ。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
すずろに木靈こだまうらびれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
怪鳥のやうな笑ひが、小日向の夜に木靈こだまします。