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鵜
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う
ふりがな文庫
“
鵜
(
う
)” の例文
それは
鵜
(
う
)
であった。長い
嘴
(
くちばし
)
の上の方の黄ろい古怪な形をした水禽は、境内の左側になった池にでも棲んでいるのか人に恐れなかった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
背嚢
(
ルックザック
)
から
乾麺麭
(
かんパン
)
の包みを取りだすと、
掌
(
てのひら
)
の中でこなごなにくだき、たいへん熟練したやりかたで
唾
(
つば
)
といっしょに
鵜
(
う
)
飲みにしてしまう。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
鵜
(
う
)
の眼
鷹
(
たか
)
の眼で再び函の中を調べ始めたのであったが、ちょうど
木乃伊
(
ミイラ
)
の足許に当る部分あたりから、さまざまのものが現れ始めた。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
少なくとも昔話によくいう
鴉
(
からす
)
に
鵜
(
う
)
の真似をさせようとする類の新技術の輸入が、永くその効果を挙げ得なかったことは明らかである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
死体には
鵜
(
う
)
の毛で突いた程の外傷もなく、
鬱血
(
うっけつ
)
も、
斑紋
(
はんもん
)
も、苦悶の跡も無いばかりでなく、毒物で殺したという疑も絶対にありません。
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
水しやくひの娘は、
剥
(
む
)
いた
玉子
(
たまご
)
を包みあへぬ、あせた
緋金巾
(
ひがなきん
)
を
掻合
(
かきあわ
)
せて、
鵜
(
う
)
が赤い
魚
(
うお
)
を
銜
(
くわ
)
へたやうに、
舳
(
みよし
)
にとぼんと
留
(
とま
)
つて薄黒い。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時はもう彼女は
鵜
(
う
)
の毛で突いた程もスキのない無垢の処女らしい態度にかわって、つつましやかに眼を伏せているのであった。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その森の梢にはたくさんの
鷺
(
さぎ
)
や
鵜
(
う
)
が棲んでいるが、
寒
(
かん
)
三十日のあいだは皆んな何処へか立ち去って、寒が明けると又帰って来る。
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ところが河井から京都の朝市の事を聞き、早朝の市日を熱心に
漁
(
あさ
)
った。商人が
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目で
漁
(
あさ
)
った後に吾々のような素人が行くのである。
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
もし
身共
(
みども
)
が
鵜
(
う
)
の鳥ならば、すぐに其処へ渡るのぢやが、……しかしあの講師も阿弥陀仏には、
広大無辺
(
くわうだいむへん
)
の慈悲があると云うた。
往生絵巻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
東の池に船などを
浮
(
う
)
けて、御所の
鵜
(
う
)
飼い役人、院の鵜飼いの者に鵜を
下
(
お
)
ろさせてお置きになった。小さい
鮒
(
ふな
)
などを鵜は取った。
源氏物語:33 藤のうら葉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ははは、そいつアよかった。さんざん、金時計を
鵜
(
う
)
に呑ませておいて、
一網
(
ひとあみ
)
に、吐き出させるなんて、警察も抜け目がない」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初めのうちオーベルは、牧師とヴァトレー氏との学殖や上品な態度に
気圧
(
けお
)
されて、彼らの会話を
鵜
(
う
)
のみにしながら黙っていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
大昔から何度となく外国文化を模倣し
鵜
(
う
)
のみにして来た日本にも、いつか一度は
光琳
(
こうりん
)
が生まれ、
芭蕉
(
ばしょう
)
が現われ、
歌麿
(
うたまろ
)
が出たことはたしかである。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ソコデ
以
(
もっ
)
て中津の有志者
即
(
すなわ
)
ち暗殺者は、
金谷
(
かなや
)
と
云
(
い
)
う処に集会を
催
(
もよお
)
して、今夜いよ/\
鵜
(
う
)
ノ
島
(
しま
)
に押掛けて福澤を殺すことに議決した、その理由は
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
途中あまり雨が激しくなったので養魚場の土堤で、ポプラの並木の下で
佇
(
たたず
)
んだ。養魚場の広い池に、
鵜
(
う
)
が水にもぐっては魚を喰べているのを見た。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それを今日まで
鵜
(
う
)
の毛ほども感づかれないようにしていた幼い者の心づかいが、いじらしくも
不憫
(
ふびん
)
でもある一方、あまりのことに
小面憎
(
こづらにく
)
い心地さえした。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかもその際ヒルミ夫人は、その温容なマスクの下から、夫万吉郎の容姿や挙動について、
鵜
(
う
)
の毛をついたほどの微小なことにも鋭い観察を怠らなかった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
借家主の婆さんは、至って無愛想で、近所の者のことを
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目で探り回るような女だったが、ひそかにジャン・ヴァルジャンの様子をも探っていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「歌を詠む参考に水鳥の声をよく聞いときなさい。もう、
鴨
(
かも
)
も
雁
(
がん
)
も
鵜
(
う
)
も北の方へ帰る時分だから」と言った。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「さようか、——もう世間が白んで見れば貴様を狙う、
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目は、
却
(
かえ
)
って、視力を失う頃だ。だがそれにしても、あまり危ないことは、せぬがよいぞ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
たとえばついでに長良川へ
鵜
(
う
)
を見に行きたいとか、犬山の
提灯祭
(
ちょうちんまつり
)
を見たいとかなんとかいうことであれば、そこは進まないながら、お角さんもぐっと呑込んで
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何か日本に
固有
(
こゆう
)
な思想が一つでもありはせぬかと、
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目で、
本邦
(
ほんぽう
)
の制度やら歴史やらを調べると、
神道
(
しんとう
)
だけは
純粋
(
じゅんすい
)
なる
大和
(
やまと
)
民族の思想であることがわかる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかもそれが
鵜
(
う
)
の毛ほどもHさんに感づかれてゐないといふ自信は、なんとしても快いものでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しかし、不思議な事には、全身にわたって
鵜
(
う
)
の毛ほどの傷もなく、ただ床へ打ち当てた際に、出来たらしい皮下出血の跡が、わずか後頭部に残されているのみだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私は必ずしもこの評判を
鵜
(
う
)
のみにはしないが、伝統の否定、将棋の場合では定跡の否定、升田七段その人を別に、漠然たる時代的な
翹望
(
ぎょうぼう
)
が動きだしているような気がする。
大阪の反逆:――織田作之助の死――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
成程
(
なるほど
)
眼で分かる——さもありそうなことだ。
鵜
(
う
)
の目、鷹の目、
掏摸
(
すり
)
の眼、新聞記者の眼、
其様
(
そん
)
な眼から見たら、
鈍如
(
どんより
)
した田舎者の眼は、
嘸
(
さぞ
)
馬鹿らしく見えることであろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこでその海邊の
波際
(
なぎさ
)
に
鵜
(
う
)
の羽を屋根にして産室を造りましたが、その産室がまだ葺き終らないのに、御子が生まれそうになりましたから、産室におはいりになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
一日、一日、僕には、いまのこの世の中の苛烈が、身にしみる。みぢんも、でたらめを許さない。お互ひ、
鵜
(
う
)
の目、
鷹
(
たか
)
の目だ。いやなことだ。いやなことだが、仕方がない。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
京都の中にいて、水の漏れるような
隙
(
すき
)
を
鵜
(
う
)
の目でさがしつつ、
儕輩
(
せいはい
)
を押し
仆
(
たお
)
して官位の競望に憂き身をやつした中流公家の心労からは、生れ出ることのない大慈悲心である。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
私は
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目で、左右の人々に一々眼をくばりながら橋を渡った。けれど玄の姿は一向見当らなかった。嘘を言うはずがないがと不審に思いながら私は橋を一渡りした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「アレ又
引込
(
ひっこ
)
んだ、アラ又出た、引込んだり出たり出たり引込んだり、
恰
(
まる
)
で
鵜
(
う
)
の
水呑
(
みずのみ
)
/\」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目油断なく必死となりてみずから励み、今しも一人の
若佼
(
わかもの
)
に彫物の画を描きやらんと余念もなしにいしところへ、
野猪
(
いのしし
)
よりもなお疾く
塵土
(
ほこり
)
を蹴立てて飛び来し清吉。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
なかにつきて最もやすきは、「ウノノド」ということを三遍唱うべしとなり。これ、
鵜
(
う
)
は物を丸のみにするものなれば、そのように骨の喉よりただちに下るように祈るの意ならん。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
北側は
鵜
(
う
)
の
沼
(
ぬま
)
と云う池つづきで、池のまわりは三抱えもあろうと云う
樟
(
くすのき
)
ばかりだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
のかたづけをおわって、
諭吉
(
ゆきち
)
は、お
母
(
かあ
)
さんとめいとをつれて、
東京
(
とうきよう
)
へかえることになり、
船
(
ふね
)
にのるため、
中津
(
なかつ
)
から四キロメートルほど
西
(
にし
)
の
鵜
(
う
)
の
島
(
しま
)
までいって、
宿屋
(
やどや
)
にとまりました。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
其処迄
(
そこまで
)
は聞もらしたが兎に角、五年に一度でも、十年に一度でも、斯んな掘出物があるから、愛書家が血眼になったり、
蚤取眼
(
のみとりまなこ
)
になったり、
鵜
(
う
)
の目鷹の目になったりするのも無理ではない。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
そして或る時には、
烏
(
からす
)
が
鵜
(
う
)
の
真似
(
まね
)
をするように、罪人らしく自分の罪を
上辷
(
うわすべ
)
りに人と神との前に
披露
(
ひろう
)
もした。私は私らしく神を求めた。どれ程完全な罪人の形に於て私はそれをなしたろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
阿倍
(
あべ
)
の島
鵜
(
う
)
の住む磯に寄する浪
間
(
ま
)
なくこのごろ大和し
念
(
おも
)
ほゆ (同・三五九)
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この現象は五、六年に一回位の割合で起り、鮒に限っているそうであるが、其原因は不明であるという。水鳥も絶えず沼に浮んで居るが、去年は十数羽の
鵜
(
う
)
が来て、其一羽を網で
生擒
(
いけどり
)
したとか。
尾瀬雑談
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
事実、私はちんちくりんの身体の肩を怒らせ
肘
(
ひぢ
)
を張つて、廊下で行き違ふ新入生のお辞儀を
鷹揚
(
おうやう
)
に受けつゝ、ゆるく
大股
(
おほまた
)
に歩いた。さうして
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
であらを見出し室長の佐伯に注進した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
だが、その中でも、恒川氏初め刑事達は、
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目、犯人らしき人物が逃げ出しはせぬかと、一生懸命見張っていたが、ついに鎮火するまで、疑わしき人物さえ発見することが出来なかった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あのフィリップの言った手形という言葉が、ひどく気になっていたのである。ところが彼女は、そんなことは
鵜
(
う
)
の
毛
(
け
)
ほども考えてはいない……少なくともわたしには、その時そんなふうに見えたのだ。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
二階の部屋々々を
鵜
(
う
)
の目
鷹
(
たか
)
の目でアラ探しをしてゐたらしい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
黒い
鵜
(
う
)
の鳥も岩の角には巣喰っている。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
しのゝめや
鵜
(
う
)
をのがれたる魚浅し
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
反古
(
ほご
)
さへ見れば
鵜
(
う
)
の目鷹の目。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鵜
(
う
)
の森のあはれにも
亦
(
また
)
騒がしく
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
振たてゝ柳に
散
(
ちる
)
や
鵜
(
う
)
の
篝
(
かがり
)
林陰
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
磯の
鵜
(
う
)
の鳥ヤ
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
“鵜”の意味
《名詞》
ペリカン目ウ科の鳥の総称。
(出典:Wiktionary)
“鵜(ウ科)”の解説
ウ科(鵜科、ウか、Phalacrocoracidae)は、カツオドリ目に分類される科。
(出典:Wikipedia)
鵜
漢検準1級
部首:⿃
18画
“鵜”を含む語句
鵜飼
鵜呑
鵜住居
鵜匠
恋闇鵜飼燎
鵜川
鵜沼
鵜殿
鵜戸
鵜烏
鵜縄
鵜殿長照
鵜野
鵜足
鵜船
鵜草葺不合尊
川鵜
鵜舟
鵜養
鵜自物鵜奈禰突拔天白
...