驚破すは)” の例文
驚破すはこそ、半年ぶりで珍事出来! と大喜びで、虎鬚とらひげをひねりながら飛んで来た。が、一部始終を聞くと、ホセ君分別ありげに手を振った。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
はるか木隠こがくれの音のみ聞えし流の水上みなかみは浅くあらはれて、驚破すはや、ここに空山くうざんいかづち白光はつこうを放ちてくづれ落ちたるかとすさまじかり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚破すはへば、駈出かけだすばかりに、障子しやうじかどなかばあけたまゝで。……かまちせま三疊さんでふに、くだん提灯ちやうちんすがつた、ついはなさきは、まちみちおほきなあなのやうにみなくらい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よろめき來たりし松川屋敷の表門、驚破すはといふ間に引過し車ぞ佐助も見たりし澤瀉おもだかの紋なる
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
始め警固けいごの人々驚破すはとて其儘城下へ引返せば九助は今死ぬる身と思ひ定めしににはかに引返せし事如何なる譯やと夢に夢見し心地してたゞ茫然ばうぜんたるばかりなり斯て四月廿八日囚人めしうど九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
驚破すはと振る駒が尻尾の一とはねを描きとめて荒しこれの一筆
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
警備隊けいびたいから、驚破すはかけつけた兵員達へいゐんたちは、外套ぐわいたうなかつたのがおほいさうである。危險きけんをかして、あの暴風雨ばうふううなかを、電柱でんちうぢて、しとめたのであるといた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
連て伊豆屋へ來り藤八お節同道どうだう致すべしと云渡せば兩人は驚破すはやと悦び宿役人同道して本陣の勝手かつて口へ廻り右の段を申こみけるにやゝあつて是へ通せと有ければ本陣の次の縁側えんがは先へ兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あはれ、驚破すは、火とならむ、噴水ふきあげも、精舎しやうじやも、空も。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まさか、壺皿つぼざらはなかつたが、驚破すはことだと、貧乏徳利びんぼふどくり羽織はおりしたかくすのがある、誂子てうしまた引挾ひつぱさんで膝小僧ひざこぞうをおさへるのがある、なべ盃洗はいせんみづ打込ぶちこむのがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぬすみ出し其上そのうへ臺所だいどころへ火を付何處いづくともなく迯失にげうせけり折節をりふしかぜはげしく忽ち燃上もえあがりしかば驚破すは火事くわじよと近邊大に騷ぎければ喜八はまご/\して居たりしが狼狽うろたへ漸々やう/\屋根よりはおりたれ共あしちゞみ歩行あゆまれず殊に金子と庖丁はうちやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
驚破すは。』『風ぞ』『そ巻け』『倒せ。』
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其處そこ各自めい/\が、かの親不知おやしらず子不知こしらずなみを、巖穴いはあなげるさまで、はひつてはさつつゝ、勝手許かつてもと居室ゐまなどのして、用心ようじんして、それに第一だいいちたしなんだのは、足袋たび穿はきもので、驚破すは
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
驚破すはと、見よ、街道へまろびなだれて
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
驚破すは秋草あきぐさに、あやかしのついてさふらふぞ、と身構みがまへしたるほどこそあれ、安下宿やすげしゆくむすめ書生しよせいとして、出來合できあひらしき夫婦ふうふきたりしが、當歳たうさいばかりの嬰兒あかんぼを、をとこが、小手こてのやうにしろシヤツをよろへる
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一斉ひととき驚破すはと慄くひたおもて
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さればこゝむべくおそるべきを(おう)にたとへて、かりに(おう)といへる一種いつしゆ異樣いやう乞食こつじきありて、がう屋敷田畝やしきたんぼ徘徊はいくわいす。驚破すはおうきたれりとさけときは、幼童えうどう婦女子ふぢよし遁隱にげかくれ、孩兒がいじおそれて夜泣よなきとゞむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
驚破すはこそ夷敵来襲と
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雷鳴らいめいに、ほとんひなむとした人々ひと/″\みゝに、驚破すはや、天地てんちひとつのこゑ
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
驚破すはや、隼
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)