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長襦袢
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ながじゅばん
ふりがな文庫
“
長襦袢
(
ながじゅばん
)” の例文
其後
(
そのあと
)
から十七八とも思われる娘が、髪は
文金
(
ぶんきん
)
の
高髷
(
たかまげ
)
に
結
(
ゆ
)
い、着物は
秋草色染
(
あきくさいろぞめ
)
の
振袖
(
ふりそで
)
に、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に
繻子
(
しゅす
)
の帯をしどけなく結び
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
見ていると不二子さんは、手早く
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一枚になり、断髪に黒いレースのナイトキャップを冠って、ベッドにもぐり込んでしまった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
派手な
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の上へ、大急ぎで羽織ったらしい小袖の紫が、冷たく美しい女中の差出す手燭の中に、またなく
艶
(
なまめ
)
かしく見えるのでした。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒襟かけた白の紋つき、その紋は、大きく
髑髏
(
しゃれこうべ
)
を染めて……下には、相変わらず女ものの派手な
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が、痩せた
脛
(
すね
)
にからまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
からからと鳴らしながら、その足袋、その
脛
(
はぎ
)
、千鳥、菊、白が紺地にちらちらと、浮いて
揺
(
ゆら
)
いでなお
冴
(
さ
)
ゆる、緋の
紋綾子
(
もんりんず
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
帯の掛けを抜いて引き出したので、薄い
金紗
(
きんしゃ
)
の
袷
(
あわせ
)
は
捻
(
ねじ
)
れながら肩先から滑り落ちて、だんだら
染
(
ぞめ
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の胸もはだけた
艶
(
なまめか
)
しさ。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三千代は次の部屋で
箪笥
(
たんす
)
の環をかたかた鳴らしていた。
傍
(
そば
)
に大きな
行李
(
こり
)
が開けてあって、中から奇麗な
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の
袖
(
そで
)
が半分出かかっていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は
涙
(
なみだ
)
もこぼさないでしおれていた。風呂敷の中からメリンスの
鯨帯
(
くじらおび
)
と、結婚の時に着ていた
胴抜
(
どうぬ
)
きの
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が出て来た。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
その貰い物で
賑
(
にぎや
)
かな夕食の時に、兄が、「何病でした」と問いますと、父は笑って、「なに、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を一枚むだにしたのさ」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そこはおせんが着物の裾を帯の間に
挿
(
はさ
)
んで、派手な模様の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
だけ出して、素足に庭下駄を
穿
(
は
)
きながら、草むしりなぞを根気にしたところだ。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
白い
仮面
(
めん
)
のような女の顔——バラリと黒髪がかかって、
簾越
(
すだれご
)
しの月のように、やわらかい
絖
(
ぬめ
)
と
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の中に埋まっている。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時に着て行く羽織や帯や
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の末にまで、それとなく心づもりをしている様子が
余所目
(
よそめ
)
にも
看
(
み
)
て取れるのであった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
派手な
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一枚で震えている、初めてもらった妻というものがどうにも私の目には可愛く見えて仕方がございません。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ほてる
脛
(
はぎ
)
に
絡
(
まつ
)
わる
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の、ぽっとりした
膚触
(
はだざわり
)
が、気持が好かった。今別れて来た養母や青柳のことは
直
(
じき
)
に忘れていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長々と地面に
引擦
(
ひきず
)
った燃立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の裾に、白い
脛
(
すね
)
と、白い素足が
交
(
かわ
)
る交る月の光りを反射しいしい、彼の眼の前に近付いて来た。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが金ちゃんの姉のお
鶴
(
つる
)
だということは後で知ったが紫と白の派手な
手綱染
(
たづなぞ
)
めの着物の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしお
)
ッて
紅
(
くれない
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
がすらりとした長い
脛
(
はぎ
)
に
絡
(
から
)
んでいた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
それをお浜は心得たように、
羽二重
(
はぶたえ
)
かなにかの
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の真白なのを一枚だけ取って竜之助に見せますと、それには、べっとりと血がついておりました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
太織縞の
袷
(
あわせ
)
や、厚板の
緞子
(
どんす
)
の帯や、若いころ着たらしい華やかな色の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
などが、手入れよく十二三品あった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今度は女に化けて逐電しようという計画のためにか、なまめかしい
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を素はだにひっかけながら
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
最上等の
麻
(
あさ
)
の着物と、縫紋の羽織と
夏袴
(
なつばかま
)
と、角帯、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
、
白足袋
(
しろたび
)
、全部そろえて下さいと願ったのだが、中畑さんも当惑の様子であった。とても間に合いません。
帰去来
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
陰鬱
(
いんうつ
)
なろくろ首や赤い
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一枚で踊る江州音頭や女の軽業に、より多くの興味を持つようになった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
そして、店をたたんだ金で、その頃十七、八円もする
縮緬
(
ちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
や帯や
洋傘
(
こうもり
)
などを買ってやった。
父
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「それは沢山おりますとも。それに
扮装
(
みなり
)
が
贅沢
(
ぜいたく
)
ですよ。衣裳はお召し。帯は西陣。
長襦袢
(
ながじゅばん
)
は京の
友禅縮緬
(
ゆうぜんちりめん
)
。ご婦人方はお化粧をします。
白粉
(
おしろい
)
に
紅
(
べに
)
に匂いのある油……」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
葉子は思わず
羞恥
(
しゅうち
)
から顔を赤らめて、引き出した
派手
(
はで
)
な浴衣を
楯
(
たて
)
に、しだらなく脱ぎかけた
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の姿をかくまいながら立ち上がって振り返って見ると、それは船医だった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
第一、そんな安物ばかり食わせどおしでいるものの、帯、着物、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
から帯じめ、腰下げ、
草履
(
ぞうり
)
までかなり散財してくれていたから、けちくさいといえた義理ではなかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
多くは
浅黄地
(
あさぎじ
)
にて
裾
(
すそ
)
回りに色とりどりの図案にて七福神の踊りとか
唐子
(
からこ
)
遊戯の図などが染出された木綿の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
のようなものである。祝着というても祝祭日に着るわけでもない。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に
繻子
(
しゅす
)
の帯をしどけなく締め、
上方風
(
かみがたふう
)
の
塗柄
(
ぬりえ
)
の
団扇
(
うちわ
)
を持って、ぱたり/\と通る姿を、月影に
透
(
すか
)
し見るに、
何
(
ど
)
うも飯島の娘お露のようだから、新三郎は伸び
上
(
あが
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女史の豊満な白い
肉塊
(
にくかい
)
を更に生かすつもりであったことと、女史が最後につけていた
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が驚くべき
図柄
(
ずがら
)
の、実に
絢爛
(
けんらん
)
を
極
(
きわ
)
めた色彩のものであったことを述べて置くに
止
(
とど
)
めたい。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は異様な感懐に打たれ、この女は何時結婚したのだろう、と思い、久しぶりだな、とだけ云いました、女は髪をみだし、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の上に慌てて着物を引っかけて帯をしめたらしく
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
が、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一つのお蓮は、夜明前の寒さも知らないように、長い
間
(
あいだ
)
じっと坐っていた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
吉里は髪を櫛巻きにし、お熊の半天を
被
(
はお
)
ッて、赤味走ッたがす糸織に
繻子
(
しゅす
)
の半襟を掛けた綿入れに、
緋
(
ひ
)
の
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の新らしからぬ
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を重ね、山の入ッた
紺博多
(
こんはかた
)
の男帯を巻いていた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
そしてあぐらでもかいた時に、金のかかった着物の裏とか、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の
袖
(
そで
)
とかいうものを見せるのを無上の喜びとしている。することなすことが愚にもつかぬことばかり、すべてこのとおり。
伝不習乎
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
色の白い、肉づきのいい、赤い
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を着た女も思い出された。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
まだ
長襦袢
(
ながじゅばん
)
がある。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
洋風のベッドに寝ながら、その寝間着は、純和風の
袂
(
たもと
)
の長い派手な
友禅縮緬
(
ゆうぜんちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
で、それに、キラキラ光る
伊達巻
(
だてまき
)
をしめていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お夏は
片襷
(
かただすき
)
を、背からしなやかに肩へ取って、八口の下あたり、
緋
(
ひ
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
のこぼるる中に、指先白く、
高麗結
(
こまむす
)
びを……仕方で見せて
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嵯峨
(
さが
)
から山を抜けて
高雄
(
たかお
)
へ歩く途中で、御米は着物の
裾
(
すそ
)
を
捲
(
ま
)
くって、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
だけを
足袋
(
たび
)
の上まで
牽
(
ひ
)
いて、細い
傘
(
かさ
)
を
杖
(
つえ
)
にした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
疋田鹿
(
ひったか
)
の
子
(
こ
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に、麻の葉の
扱帯
(
しごき
)
を締めて、大きい島田を、少し重く傾げた、
﨟
(
ろう
)
たけた姿は、ガラッ八が見馴れた種類の女ではありません。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
恐怖にみちた眼を、蚊帳の隅から、じっと向けたまま、冷ややかな友禅の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を崩して、守るが如く、乳のあたりを、白い手でぎゅっと抱いていた。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ムッチリした大きな
身体
(
からだ
)
に、薄光りする青地の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を巻き付けているのが、ちょうど全身に
黥
(
いれずみ
)
をしているようで、気味のわるいほど
蠱惑
(
こわく
)
的に見えた。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
溝のごとく深い一線の刀痕——
黒襟
(
くろえり
)
かけた白着に、大きく
髑髏
(
しゃれこうべ
)
の紋を染めて、下には女物の派手な
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が、
竹
(
たけ
)
ン
棒
(
ぼう
)
みたいなやせ
脛
(
すね
)
にからまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
枕元ノ壁ニ妻ノ外出用ノ衣服ガ、敏子ガ洋服ヲ
吊
(
つ
)
ルノニ用イル造花ヤリボンノ飾リノ付イタハンガーニ懸ケテ吊ッテアッテ、妻ハ
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一ツデ寝テイタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
源次郎が屏風をまわってゆくと、おしのは
長襦袢
(
ながじゅばん
)
になって夜具の上に坐り、
扱帯
(
しごき
)
をしめようとするところだった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昨夜
極
(
ごく
)
親しい少数の人たちを呼んで、二人が手軽な
祝言
(
しゅうげん
)
をすました手狭な二階の部屋には、まだ新郎の礼服がしまわれずにあったり、新婦の紋附や
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
結婚の時に用いた夫の
羽織袴
(
はおりはかま
)
、それから彼女の身に
纏
(
まと
)
うた
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の類まで、吹通る風の為に静かに動いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
晴れた外気を映した明るい
室
(
へや
)
には、メリンスの
長襦袢
(
ながじゅばん
)
になった娘のお鶴が、
前方
(
むこう
)
向きになって鏡台に向って髪を
掻
(
す
)
いていた。母親似の
額
(
ひたい
)
の出た
赧
(
あか
)
ら顔が鏡に映っていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「どうも、よく判らないのだがね。具体的に言ってみないか、リアリズムの筆法でね。女のことを語るときには、この筆法に限るようだ。寝巻は、やはり、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
かね?」
雌に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お糸さんとお国さんの一緒の寝床に高下駄のような感じの黒い箱枕がちゃんと二ツならんで、お糸さんの赤い胴抜きのしてある
長襦袢
(
ながじゅばん
)
が、蒲団の上に投げ出されてあった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
燃え立つばかりの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、その
長襦袢
(
ながじゅばん
)
をダラリと引っかけ、その上へ部屋着の丹前を重ね、鏡台の前へだらしなく坐り、胸を開けて乳房を見せ、そこへ大きな牡丹刷毛で
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
郡内
(
ぐんない
)
のふとんの上に
掻巻
(
かいまき
)
をわきの下から羽織った、今起きかえったばかりの葉子が、はでな
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一つで東ヨーロッパの
嬪宮
(
ひんきゅう
)
の人のように、
片臂
(
かたひじ
)
をついたまま横になっていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
襦
漢検1級
部首:⾐
19画
袢
漢検1級
部首:⾐
10画
“長”で始まる語句
長
長閑
長押
長火鉢
長椅子
長刀
長柄
長靴
長持
長生