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股
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また
ふりがな文庫
“
股
(
また
)” の例文
私は、ふと、木村
重成
(
しげなり
)
と茶坊主の話を思い出した。それからまた
神崎
(
かんざき
)
与五郎と馬子の話も思い出した。
韓信
(
かんしん
)
の
股
(
また
)
くぐりさえ思い出した。
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
カムサツカの夜明けは二時頃なので、漁夫達はすっかり身支度をし、
股
(
また
)
までのゴム靴をはいたまま、折箱の中に入って、ゴロ寝をした。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
裾
(
すそ
)
から見える
股
(
また
)
の部分が目にしみるほど白い。思わず眼を外らそうとした時、女は寝ころんだまま
咽喉
(
のど
)
を反らせて高い声で歌い出した。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ナオミは
直
(
す
)
ぐに寝ようとはしないで、男のように
股
(
また
)
を開いて枕の上にどっかと腰かけ、上から熊谷を見おろしながら云うのでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
冷やかされて、ナネットは、
股
(
また
)
ぐらへ棒を投げつけられたように、ぎっくりとする。やるせなさに、胸をつまらせて立ちどまる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
可なり大きく延びた奴を、
惜気
(
おしげ
)
もなく
股
(
また
)
の根から、ごしごし引いては、下へ落して行く内に、切口の白い所が目立つくらい
夥
(
おびただ
)
しくなった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勿論、清吉だってまだ若いのだし、木の
股
(
また
)
から生れたのでもないから、こんな女の
素惚気
(
すのろけ
)
は決していい気持なものではないが。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まっすぐな
埃
(
ほこり
)
っぽい
露
(
あら
)
わな古い大道の上を、
股
(
また
)
に毛皮をつけた
山羊足
(
やぎあし
)
の牧人たちが、低い
驢馬
(
ろば
)
や子驢馬の列を引き連れて黙々と歩いていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
男に裸体を見せることを
羞
(
はずか
)
しがらず、腕や腹や
股
(
また
)
に墨筆で絵を書かせてキャアキャアよろこび、だからむしろ心をそそる色情は稀薄であった。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
櫛
(
くし
)
なんざ
持
(
も
)
つてゐねえぞはあ、それよりやあ、
歸
(
けえ
)
つて
柹
(
かき
)
の
木
(
き
)
のざく
股
(
また
)
でも
見
(
み
)
た
方
(
はう
)
がえゝと」
朋輩
(
ほうばい
)
の
一人
(
ひとり
)
がおつぎへいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
みっともないほどのアバタ
面
(
づら
)
で、アラビア人みたいに髪の毛が縮れて、
猫背
(
ねこぜ
)
で、がに
股
(
また
)
で、
肩章
(
けんしょう
)
のない軍服を着て、胸のボタンをはずしている。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「只の火傷ぢやありませんよ。眞夏に
股
(
また
)
火鉢かなんかやつて、男の急所に大火傷を拵へたと聽いたら、親分だつて、それね、可笑しくなるでせう」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
股
(
また
)
のあいだに
捲
(
ま
)
きこんで、
絞
(
しば
)
り首にでもされるような様子でおずおずと歩き、しきりにヴァン・ウィンクルのかみさんを横目でうかがうのだった。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
増さんは年のころ五十くらいで、背丈が低く、ひどいがに
股
(
また
)
で、頬や
顎
(
あご
)
のまわりに、いつも太い銀色の
無精髭
(
ぶしょうひげ
)
を、ブラッシのように伸ばしていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私のような世界中を
股
(
また
)
にかけた、あばずれ者でも、生れ故郷の恋しさには変りがないんですのよ。だから、こっそりと観光団に交って来ましたのよ。
梟の眼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
皿
(
さら
)
についたのは、このあたりで
佳品
(
かひん
)
と聞く、
鶫
(
つぐみ
)
を、何と、
頭
(
かしら
)
を
猪口
(
ちょく
)
に、
股
(
また
)
をふっくり、胸を開いて、五羽、ほとんど丸焼にして
芳
(
かんば
)
しくつけてあった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等は二三人もいる癖に、残しておいた赤坊のおしめを代えようともしなかった。気持ち悪げに泣き叫ぶ赤坊の
股
(
また
)
の下はよくぐしょ
濡
(
ぬ
)
れになっていた。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
韓信
(
かんしん
)
が
市井
(
しせい
)
の
間
(
あいだ
)
に
股
(
また
)
をくぐったことは、非凡の人でなければ、
張飛
(
ちょうひ
)
が
長板橋
(
ちょうばんきょう
)
上に一人で百万の敵を退けたに比し、その勇気あるを喜ぶものはなかろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
と申しますのは、この置燈籠のような身体に、一つは背の中央、一つは両
股
(
また
)
の間に光りを落しますと、それが
高
(
たか
)
と同じ形になるのではございませんか。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
テントのあかりが、かくれてしまう町かどまで来ると、新吉は両手を地べたへついて
股
(
また
)
のぞきをして見ました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
そうして何者がそんなことを言うかと思って、声の出たところをよく見ると、人の
股
(
また
)
の間にモゴモゴしている米友でしたから、みんなプッと吹き出しました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どうも中国の人間はそうは行かんですけえ、人物が小さくって、小細工で、すぐ人の
股
(
また
)
を
潜
(
くぐ
)
ろうとするですわい。関東から東北の人はまるで違うですがナア。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
何
(
な
)
にお寺なものか、お寺ならお師匠さまがゐて可愛がつて下さるだらうが、山の小僧は木の
股
(
また
)
から生れたから、お父さんもお母さんもなしの一人ぽつちよ。」
大寒小寒
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
「ほんとにわたしの子だ。子どもの中でもわたしの手の
股
(
また
)
からこぼれて落ちた子どもです。あなたアシハラシコヲの命と兄弟となつてこの國を作り堅めなさい」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
そして少年を
股
(
また
)
の間へ引きよせ、両手でその顔を押えながら、しげしげと打ち眺めた。その子の顔の中に或る面影を見出そうとして、全心全力をそこに集中した。
生さぬ児
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
Operaglass で ballet を踊る女の
股
(
また
)
の間を覗いて、
羅
(
うすもの
)
に織り込んである金糸の光るのを見て、失望する紳士の事を思えば、罪のない話である。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
いつか行方不明になった何代目かの
総督夫人
(
レディ・カヴァナ
)
が、じっと腰を落とし、
股
(
また
)
をひろげ、
膝
(
ひざ
)
を張り、上半身をややうしろへ反り、両腕を伸ばして、忠実に、じつに忠実に
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
二度ほど
股
(
また
)
をくぐらせ、股の間に挿んで座り「かうやつても居られねえ」と立上り、
鮨桶
(
すしおけ
)
に目をつけ「鮨桶へ入れて置けば、知れはしません」といひ、四つ並びし中
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
そう云えば、木の
股
(
また
)
をそのまま利用した
自在鍵
(
じざいかぎ
)
もすすけて来た。炉の灰も白く積っていた。おいおいと草の小屋にも住み馴れていたのだ。それはこの家族だけではない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
おばさんの
話
(
はなし
)
には、——おんばこは、
不思議
(
ふしぎ
)
な
草
(
くさ
)
だ、およそ、この
草
(
くさ
)
の
花
(
はな
)
の
茎
(
くき
)
は、一
本
(
ぽん
)
が
普通
(
ふつう
)
である。しかし、まれには、二
本
(
ほん
)
の
股
(
また
)
に
分
(
わ
)
かれた
茎
(
くき
)
があるということでした。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二青年はパッと左右に分かれて、
股
(
また
)
をひろげ、両のこぶしを握って、
仁王立
(
におうだ
)
ちににらみ合った。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
寄木はその神様の誘いに答えて、あいにくと今夜はサンカの者に
股
(
また
)
を貸しているので、一しょに行きたいが立つことができない。どうか
独
(
ひと
)
りで行ってきてくださいという。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
何気なき
体
(
てい
)
で遊戯に誘い入れ、普通本邦婦人が洗濯する体に
蹲
(
うずく
)
まらしめ、急に球を
抛
(
な
)
げると両手で受け留むる
刹那
(
せつな
)
、
股
(
また
)
を開けば女子、股を
狭
(
せば
)
むれば男子とは恐れ入ったろう。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「
来
(
きた
)
れ。」と彼は叫んでその兵士の
股
(
また
)
へ片手をかけた。兵士の体躯は、反絵の胸の上で足を跳ねながら浮き上った。と、反絵は彼の身体を倒れた草の上へ投げて大手を上げた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ジャヴェルは見物人をおしのけ、群集の輪を破り、後ろにその惨めな女を従えて、広場の一端にある警察署の方へ大
股
(
また
)
に歩き出した。女はただ機械的にされるままになっていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
本当に己れは木の
股
(
また
)
からでも出て来たのか、
遂
(
つ
)
いしか親類らしい者に
逢
(
あ
)
つた事も無い
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私はほどけた帯を腹の上で結ぶと、
裾
(
すそ
)
を
股
(
また
)
にはさんで、キュッと後にまわして見せた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
二度落ちそうになったのをやっとまぬかれたのち、とうとう最初の大きな
樹
(
き
)
の
股
(
また
)
のところまで
這
(
は
)
い登ってゆき、もう仕事は実質的にはすっかりすんでしまったと考えたらしかった。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それはこんな綺麗な
人達
(
ひとたち
)
が、前のやうに、逆さまになつたら、どんなものだらうか。どんな顔をするだらうかといふことでした。よく子供は
股
(
また
)
の間から、逆さまに世界を見るものです。
夢の国
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
すなわち家康の父がまた天文十四年に、その家臣の岩松
八弥
(
はちや
)
なる者に
股
(
また
)
を刺され、本人の家康また関ガ原の陣において、これは別な村正でしたが、同様千子院作の
槍
(
やり
)
のために指を突かれ
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
戦場に於て一番槍の手柄をなすのもこういう人達である。乗客の少い電車の中でも、こういう人達は五月人形のように
股
(
また
)
を八の字に開いて腰をかけ、取れるだけ場所を取ろうとしている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「それじゃ私は先へ行っておりますで、
明朝
(
あした
)
はどうでも来て下さるだろうね。」母親は
行李
(
こうり
)
を一つ
股
(
また
)
の下へ
挿
(
はさ
)
んで、車夫が
梶棒
(
かじぼう
)
を持ち上げたときに、
咽喉
(
のど
)
の
塞
(
ふさ
)
がりそうな声を出して言うと
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
スピードは、
股
(
また
)
を開いたり、閉じたりするその加減によってどうでも自由になるのであった。このアカグマ国独特の歩兵部隊は、陸上では、世界において敵なしと誇っているものであった。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
善兵衛おじいさんが
股
(
また
)
の間へ
摺鉢
(
すりばち
)
を入れて、赤っぽい大きなお
団子
(
だんご
)
をゴロゴロやっているので、摺鉢をおさえてやりながら、なににするのだときくと、ただニヤニヤ笑っていたが、やがて
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
股
(
また
)
をすぼめて恥かし気に歩いて、処女を気取る不良少女は一人も居なかった。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
見るに三ツ
股
(
また
)
の
辻
(
つじ
)
の
此方
(
こなた
)
に人の
寢
(
ね
)
て居る樣子ゆゑ何心なく通りけるに
這
(
こ
)
は其も如何に一人の
旅客
(
たびびと
)
の
朱
(
あけ
)
に
染
(
そめ
)
切倒
(
きりたふ
)
されて居たりしかば三人共に大いに驚きながらも一人は死人の向ふを通り
拔
(
ぬけ
)
後
(
あと
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
金の
剪刀
(
はさみ
)
の
股
(
また
)
をすぼめて持っていて下さい。そして
救
(
すくい
)
の日を知らせて下さい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
小人なんか何でもないと
侮
(
あなど
)
ると大間違いです。ガリバーはあべこべに小人の王様の家来にされてしまいます。それから、ハンカチの上で騎兵を走らせたり、軍隊を
股
(
また
)
の下に行進させたりします。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
外の環と内の環とが入違いに廻るので、互いに竹を打合わせる相手が順次に変って行く訳だ。時に、後向きになり片脚を上げて
股
(
また
)
の間から背後の者の竹を打つなど、なかなか曲芸的な所も見せる。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
傷ついて両手を包んだ人の脈をどうして見るかという説が出て、誰も頭を傾けた時、祖父は脈は
心
(
しん
)
の響を伝えるものだから、
顳顬
(
こめかみ
)
、
頸
(
くび
)
、
股
(
また
)
、
脛
(
すね
)
、どこでも脈の通う所を押えれば知ることが出来る。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
股
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“股”を含む語句
股引
股立
太股
大股
刺股
両股
小股
猿股
四股
股間
股倉
洲股
高股
墨股
手股
二股膏薬
股引下
八股
股引穿
股旅者
...