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空車
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からぐるま
ふりがな文庫
“
空車
(
からぐるま
)” の例文
思ふさまに
擲
(
たた
)
かれて
蹴
(
け
)
られてその二三日は立居も苦しく、夕ぐれ
毎
(
ごと
)
に
父親
(
てておや
)
が
空車
(
からぐるま
)
を五十軒の茶屋が軒まで運ぶにさへ、三公はどうかしたか
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
鳥の羽音、
囀
(
さえず
)
る声。風のそよぐ、鳴る、うそぶく、叫ぶ声。
叢
(
くさむら
)
の蔭、林の奥にすだく虫の音。
空車
(
からぐるま
)
荷車の林を
廻
(
めぐ
)
り、坂を下り、
野路
(
のじ
)
を横ぎる響。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
空車
(
からぐるま
)
を引いている折柄で御座います、戻り駄賃に一世一代の大物を引いて見ようか……と存じますと一気に釣り出された仕事で御座いましたが
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
H軒を飛びだすなり俊夫君は、私を引っ張るようにして、ちょうどそのとき通りかかったタクシーの
空車
(
からぐるま
)
を拾い、まっしぐらに警視庁さして急がせました。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それよりも
下
(
くだ
)
り掛った時は構わないで
打棄
(
うっちゃ
)
って置いて其の車が
爼橋
(
まないたばし
)
まで下ってから、
一旦
(
いったん
)
空車
(
からぐるま
)
にして、
後
(
あと
)
で少しばかりの荷を付けて上げた方が
宜
(
よろ
)
しいようなもので
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
後押
(
あとお
)
しを加えたれども、なおいまだ
逮
(
およ
)
ばざるより、車夫らはますます発憤して、
悶
(
もだ
)
ゆる折から松並み木の中ほどにて、
前面
(
むかい
)
より
空車
(
からぐるま
)
を
挽
(
ひ
)
き来たる二人の車夫に出会いぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「乘らん車屋に、
空車
(
からぐるま
)
曳かして連れて來たんやもん、
阿呆
(
あほ
)
らしい話や、錢只取られて。……けんどわたへは一里も乘つたかいなア、あんたは
全
(
まる
)
で乘りなはれへなんだなア。」
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ほかの
品
(
しな
)
とはちがい、これをもらうとたいそう
喜
(
よろこ
)
びました。そして、おじいさんとは
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
で
別
(
わか
)
れて、
自分
(
じぶん
)
は
仕事
(
しごと
)
をすまして、やがて
空車
(
からぐるま
)
を
引
(
ひ
)
いて、
我
(
わ
)
が
家
(
や
)
へ
帰
(
かえ
)
ってきました。
村の兄弟
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
平岡の
住
(
す
)
んでゐる
町
(
まち
)
は、猶静かであつた。大抵な
家
(
うち
)
は
灯影
(
ひかげ
)
を
洩
(
も
)
らさなかつた。向ふから
来
(
き
)
た一台の
空車
(
からぐるま
)
の輪の
音
(
おと
)
が胸を躍らす様に
響
(
ひゞ
)
いた。代助は平岡の
家
(
いへ
)
の塀際迄
来
(
き
)
て
留
(
とま
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
普請中
(
ふしんちゅう
)
の
貸家
(
かしや
)
も見える。道の上には長屋の子供が五、六人ずつ群をなして遊んでいる。
空車
(
からぐるま
)
を曳いた馬がいかにも疲れたらしく、
鬣
(
たてがみ
)
を垂れ、
馬方
(
うまかた
)
の背に額を押しつけながら歩いて行く。
元八まん
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
人力車に乗って降りられないのは
勿論
(
もちろん
)
、
空車
(
からぐるま
)
にして
挽
(
ひ
)
かせて降りることも出来ない。車を降りて徒歩で降りることさえ、
雨上
(
あまあ
)
がりなんぞにはむずかしい。鼠坂の名、真に
虚
(
むな
)
しからずである。
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
野菜の荷を東京へ出した帰りの
空車
(
からぐるま
)
を
挽
(
ひ
)
いた男なんどのちょっと休む
家
(
うち
)
で、いわゆる
三文菓子
(
さんもんがし
)
が少しに、余り渋くもない茶よりほか何を提供するのでもないが、重宝になっている
家
(
うち
)
なのだ。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ちょうど誂え向きに
空車
(
からぐるま
)
の札をかけてやってきたタクシーを呼びとめて、青年はそれにとび乗った。「あなたもそこいらまで一緒に行きなさい」と言われるままに私も彼と並んで腰をかけた。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「この空模様で、
膝
(
ひざ
)
を没する泥濘道ではとてもおぼつかない」とまた思案をしたが、ともかく橋を向うに渡ってなお歩いていると、そこへ後からがらがら
空車
(
からぐるま
)
を
挽
(
ひ
)
いた若い男の荷馬車がやって来た。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
寺の
境
(
さかい
)
にひょろ長い
榛
(
はん
)
の林があって、その向こうの野の黄いろく熟した稲には、夕日が一しきり明るくさした。
鴻
(
こう
)
の巣に通う県道には、
薄暮
(
はくぼ
)
に近く、
空車
(
からぐるま
)
の通る音がガラガラといつも高く聞こえる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「その
空車
(
からぐるま
)
は、どこにありました」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すると二人が今来た道の方から
空車
(
からぐるま
)
らしい荷車の音が林などに反響して
虚空
(
こくう
)
に響き渡って次第に近づいて来るのが手に取るように聞こえだした。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
罪
(
つみ
)
のない
子
(
こ
)
は
横町
(
よこてう
)
の三五
郎
(
らう
)
なり、
思
(
おも
)
ふさまに
擲
(
たゝ
)
かれて
蹴
(
け
)
られて
其
(
その
)
二三
日
(
にち
)
は
立居
(
たちゐ
)
も
苦
(
くる
)
しく、
夕
(
ゆふ
)
ぐれ
毎
(
ごと
)
に
父親
(
ちゝおや
)
が
空車
(
からぐるま
)
を五十
軒
(
けん
)
の
茶屋
(
ちやゝ
)
が
軒
(
のき
)
まで
運
(
はこ
)
ふにさへ、三
公
(
こう
)
は
何
(
ど
)
うかしたか
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
曳
(
ひ
)
いて来たは
空車
(
からぐるま
)
で、
青菜
(
あおな
)
も、
藁
(
わら
)
も乗って居はしなかったが、
何故
(
なぜ
)
か、雪の下の朝市に行くのであろうと見て取ったので、なるほど、星の消えたのも、空が
淀
(
よど
)
んで居るのも
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平岡の住んでいる町は、
猶
(
なお
)
静かであった。大抵な家は
灯影
(
ひかげ
)
を洩らさなかった。向うから来た一台の
空車
(
からぐるま
)
の輪の音が胸を躍らす様に響いた。代助は平岡の家の
塀際
(
へいぎわ
)
まで来て留った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると、こっちから、
馬子
(
まご
)
が、
手綱
(
たづな
)
をとり、
馬
(
うま
)
に
空車
(
からぐるま
)
を
引
(
ひ
)
かせてやってきました。
写生に出かけた少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大八車が二台三台と続いて通る、その
空車
(
からぐるま
)
の
轍
(
わだち
)
の響が
喧
(
やかま
)
しく起こりては絶え、絶えては起こりしている。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
曳
(
ひ
)
いて
來
(
き
)
たは
空車
(
からぐるま
)
で、
青菜
(
あをな
)
も、
藁
(
わら
)
も
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
はしなかつたが、
何故
(
なぜ
)
か、
雪
(
ゆき
)
の
下
(
した
)
の
朝市
(
あさいち
)
に
行
(
ゆ
)
くのであらうと
見
(
み
)
て
取
(
と
)
つたので、なるほど、
星
(
ほし
)
の
消
(
き
)
えたのも、
空
(
そら
)
が
淀
(
よど
)
んで
居
(
ゐ
)
るのも
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お別れ申すが惜しいと言つてもこれが夢ならば仕方のない事、さ、お
出
(
いで
)
なされ、私も帰ります、
更
(
ふ
)
けては路が淋しう御座りますぞとて
空車
(
からぐるま
)
引いてうしろ向く、
其人
(
それ
)
は東へ、
此人
(
これ
)
は南へ
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
おじいさんは、すいかを
八百屋
(
やおや
)
に
卸
(
おろ
)
して、
自分
(
じぶん
)
はまた
静
(
しず
)
かな
平和
(
へいわ
)
な
村
(
むら
)
に
空車
(
からぐるま
)
を
引
(
ひ
)
いて
帰
(
かえ
)
ってゆきました。これから、つぎつぎと
生長
(
せいちょう
)
する
圃
(
はたけ
)
の
野菜物
(
やさいもの
)
に
手
(
て
)
をいれてやらなければなりません。
初夏の不思議
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
別
(
わか
)
れ
申
(
まを
)
すが
惜
(
を
)
しいと
言
(
い
)
つても
是
(
こ
)
れが
夢
(
ゆめ
)
ならば
仕方
(
しかた
)
のない
事
(
こと
)
、さ、お
出
(
いで
)
なされ、
私
(
わたくし
)
も
歸
(
かへ
)
ります、
更
(
ふ
)
けては
路
(
みち
)
が
淋
(
さび
)
しう
御座
(
ござ
)
りますぞとて
空車
(
からぐるま
)
引
(
ひ
)
いてうしろ
向
(
む
)
く、
其人
(
それ
)
は
東
(
ひがし
)
へ、
此人
(
これ
)
は
南
(
みなみ
)
へ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ちょうちちょうちあわわ、と云うてな、その
児
(
こ
)
をあやして、お色の白い、手を
敲
(
たた
)
いておいでなさる。処へ、
空車
(
からぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
かせて老人、車夫めに、何と、ぶつぶつ小言を云われながら迷うて参った。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
車夫
(
わかいし
)
はたった今乗せたばかりの処だろう、
空車
(
からぐるま
)
の気前を見せて、
一
(
ひと
)
つ
駆
(
が
)
けで、
顱巻
(
はちまき
)
の上へ
梶棒
(
かじぼう
)
を突上げる
勢
(
いきおい
)
で、
真暗
(
まっくら
)
な坂へストンと
摺込
(
すべりこ
)
んだと思うと、むっくり線路の
真中
(
まんなか
)
を躍り上って、や
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
褌
(
ふんどし
)
の
掛
(
かけ
)
がえを
一条
(
ひとすじ
)
煮染めたような
手拭
(
てぬぐい
)
、こいつで
顱巻
(
はちまき
)
をさしたまま畳み込んだ看板、兀げちょろの重箱が
一箇
(
ひとつ
)
、薄汚え財布、ざッとこれで、
身上
(
しんしょう
)
のありッたけを台箱へ詰め込んだ
空車
(
からぐるま
)
をひいて
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“空車”の意味
《名詞》
空車(くうしゃ、からぐるま、むなぐるま)
旅客を乗せていない列車やバス、タクシーなどのこと。また、貨物を積載していない貨物車や列車のこと。
(出典:Wiktionary)
“空車”の解説
空車(くうしゃ)とは、乗客・旅客や貨物を輸送する目的の車両・列車などが、それらを積載していない状態である。その反対は実車という。
駐車場ではその容量に余裕があり車両を駐車できる状態のときを指す(「車を入れる場所が空いている」という意味)。
(出典:Wikipedia)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
車
常用漢字
小1
部首:⾞
7画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手