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種々
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さまざま
ふりがな文庫
“
種々
(
さまざま
)” の例文
それを
種々
(
さまざま
)
に思ふて見ると
父
(
とと
)
さんだとて私だとて孫なり子なりの顔の見たいは
当然
(
あたりまへ
)
なれど、
余
(
あんま
)
りうるさく出入りをしてはと控へられて
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
人間の生活は、全く苦惱で而も意味は空ツぽだけれども、智識は其の空ツぽを
充
(
みた
)
して、そして
種々
(
さまざま
)
の繋縛をぶち
斷
(
き
)
ツて呉れるのだ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「異国の……」と、万太郎は目を
冴
(
さ
)
えさせて、「異国と申しても、
種々
(
さまざま
)
、
明
(
みん
)
のものか、
高麗
(
こま
)
のものか、あるいは
呂宋刀
(
るそんもの
)
でござりますか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
フランソアズは倅から教わって、兵営内の
種々
(
さまざま
)
の階級のことをよく心得ていたので、一人の軍曹の前へ行って叮嚀に問いかけた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
つまり彼は真白だと称する壁の上に汚い
種々
(
さまざま
)
な
汚点
(
しみ
)
を見出すよりも、投捨てられた
襤褸
(
らんる
)
の
片
(
きれ
)
にも美しい縫取りの残りを発見して喜ぶのだ。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
江戸の方にあった道中奉行所の代わりに京都
駅逓司
(
えきていし
)
の設置、
定助郷
(
じょうすけごう
)
その他
種々
(
さまざま
)
な助郷名目の廃止なぞは皆この消息を語っていた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それより手を替え品を替え
種々
(
さまざま
)
にして仕官の口を探すが、さて探すとなると無いもので、心ならずも小半年ばかり
燻
(
くすぶ
)
ッている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それから
種々
(
さまざま
)
話して居たんですが、暫らくしてから、「どうだ、一週間許り待つて呉れるなら汽車賃位出来る道があるが、待つか待たぬか。」
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
軸の前の小机には、お
燈明
(
とうみょう
)
やら
蝋燭
(
ろうそく
)
台やら、お花立やらお
供物
(
もりもの
)
の具や、
日朝上人
(
にっちょうさま
)
のお
厨子
(
ずし
)
やら、
種々
(
さまざま
)
な仏器が飾ってある。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
珠運
(
しゅうん
)
は
種々
(
さまざま
)
の人のありさま何と悟るべき者とも知らず、世のあわれ
今宵
(
こよい
)
覚えて
屋
(
や
)
の角に鳴る山風寒さ一段身に
染
(
し
)
み
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼はそうして、
偽阿房
(
にせあほう
)
を装いながら、失敗する度に何かしら
覚込
(
おぼえこ
)
む方法によって、
瞬
(
またた
)
く内に、菰田家内外の、
種々
(
さまざま
)
の関係に
通暁
(
つうぎょう
)
することが出来ました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此方
(
こなた
)
に入らせ給へとて、奥の方にいざなひ、酒
菓子
(
くだもの
)
種々
(
さまざま
)
と
管待
(
もてな
)
しつつ、
喜
(
うれ
)
しき
酔
(
ゑひ
)
ごこちに、つひに枕をともにしてかたるとおもへば、夜明けて夢さめぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
序
(
ついで
)
に頭の
機能
(
はたらき
)
も
止
(
と
)
めて欲しいが、こればかりは
如何
(
どう
)
する事も出来ず、
千々
(
ちぢ
)
に思乱れ
種々
(
さまざま
)
に
思佗
(
おもいわび
)
て頭に
些
(
いささか
)
の隙も無いけれど、よしこれとても
些
(
ちッ
)
との
間
(
ま
)
の辛抱。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その傍に中年老年の僧侶が
法衣
(
はふえ
)
の上から
種々
(
さまざま
)
の美しい袈裟を掛けて三十五六人立つて居る。
御門主
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
朝夕
(
あけくれ
)
黄金丸が傍に
傅
(
かしず
)
きて、何くれとなく
忠実
(
まめやか
)
に働くにぞ、黄金丸もその
厚意
(
こころ
)
を
嘉
(
よみ
)
し、
情
(
なさけ
)
を
掛
(
かけ
)
て使ひけるが、もとこの阿駒といふ鼠は、去る
香具師
(
こうぐし
)
に飼はれて、
種々
(
さまざま
)
の芸を仕込まれ
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
思いがけない
種々
(
さまざま
)
な出来ごとを、胸のうちにもう一度くりかえしながら、かくもたやすく、仇敵どもに接近することの出来たのも日頃信心の仏神や、かつはなき父親の引きあわせと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
円髷
(
まるまげ
)
もあろうし、島田もあろうし、桃の枝を提げたのも、藤山吹を手折ったのも、また
草籠
(
くさかご
)
を
背負
(
しょ
)
ったのも、
茸狩
(
きのこがり
)
の
姉
(
ねえ
)
さんかぶりも、それは
種々
(
さまざま
)
、時々だというけれど、いつも声がして
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この外
種々
(
さまざま
)
色々の
絢爛
(
きらびやか
)
なる中に
立交
(
たちまじ
)
らひては、宮の
装
(
よそほひ
)
は
纔
(
わづか
)
に暁の星の光を保つに過ぎざれども、彼の色の白さは
如何
(
いか
)
なる
美
(
うつくし
)
き
染色
(
そめいろ
)
をも奪ひて、彼の整へる
面
(
おもて
)
は如何なる
麗
(
うるはし
)
き織物よりも
文章
(
あや
)
ありて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
また、大地を見まわせば、
種々
(
さまざま
)
な食器やら、楽器やら、化粧道具の
類
(
たぐい
)
まで、およそ
贅沢
(
ぜいたく
)
な日常用品で落ちていない物はないほどであった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「折が悪いから何となく何だけれども、シカシ我慢しているも馬鹿気ている」ト
種々
(
さまざま
)
に
分疏
(
いいわけ
)
をして、文三は
遂
(
つい
)
に二階を降りた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
顔を合せる度に、二人は
種々
(
さまざま
)
な感に打たれた。でも、正太は元気で、父の失敗を双肩に
荷
(
にな
)
おうとする程の意気込を見せていた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
種々
(
さまざま
)
な、
細
(
こま
)
かしい
煩
(
うる
)
ささが彼女を取巻いたのを、正直でむきな心はむしゃくしゃとして、共にありし日が恋しくて堪えられなくなったのであろうと思うと
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかし慶三は知れた上にもなお事の真相を捜ろうものと、その次お千代と枕を並べてからも
種々
(
さまざま
)
に問い試みた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何んでも生物の消長は、偶然に支配されて、
種々
(
さまざま
)
の運命を作ツてゐるのだ……俺が此樣な妙なことを考へてゐるのも偶然なら、此樣な事を考へるやうになツた機會も偶然だ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
種々
(
さまざま
)
曰
(
いは
)
くのつきし難物のよしなれども、
持
(
もた
)
ねばならぬ義理ありて引うけしにや、それとも父が好みて申受しか、その辺たしかならねど勢力おさおさ女房天下と申やうな景色なれば
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
栄華を
誰
(
たれ
)
と共に、世も
是迄
(
これまで
)
と思い切って
後妻
(
のちぞい
)
を
貰
(
もら
)
いもせず、さるにても其子
何処
(
どこ
)
ぞと
種々
(
さまざま
)
尋ねたれど
漸
(
ようや
)
くそなたを里に取りたる事ある
嫗
(
ばば
)
より、
信濃
(
しなの
)
の方へ行かれたという
噂
(
うわさ
)
なりしと
聞出
(
ききいだ
)
したる
計
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
九字
(
くじ
)
を切るだのと申しまして、不思議なことをするのでありますが、もっともこの宗門の出家方は、始めから
寒垢離
(
かんごり
)
、断食など
種々
(
さまざま
)
な方法で法を
修
(
しゅ
)
するのでございまして、向うに目指す品物を置いて
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぐわらぐわらと
凄
(
すさ
)
まじい物音が、飾り壇の下へ
種々
(
さまざま
)
な物を落した。
鎧櫃
(
よろいびつ
)
、血みどろな片腕、白いぶらぶらな
脛
(
はぎ
)
、
簪
(
かんざし
)
、立て札——
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
種々
(
さまざま
)
な行きがかりから言っても、従来開港の方針で進んで来た江戸幕府に同情してひそかにそれを助けようとしているフランス公使ロセスと
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
知己の者はこの男の事を
種々
(
さまざま
)
に評判する。
或
(
あるい
)
は「
懶惰
(
らんだ
)
だ」ト云い、或は「
鉄面皮
(
てつめんぴ
)
だ」ト云い、或は「
自惚
(
うぬぼれ
)
だ」ト云い、或は「
法螺吹
(
ほらふ
)
きだ」と云う。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
晴れ渡った空の下に、流れる水の輝き、堤の青草、その上につづく桜の花、
種々
(
さまざま
)
の旗が
閃
(
ひらめ
)
く大学の
艇庫
(
ていこ
)
、その
辺
(
へん
)
から起る人々の叫び声、鉄砲の
響
(
ひびき
)
。
渡船
(
わたしぶね
)
から
上下
(
あがりお
)
りする花見の人の混雑。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
後にきく
種々
(
さまざま
)
な修身談は、はじめから偉そうに、
吃々
(
きつきつ
)
と、味のない、型にはまりきったことをいうのばかりだ。それは、語るものが、自ら教えるという賢人
面
(
づら
)
、または
博識
(
ものしり
)
顔をするからだ。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それからずっと後になって、この人の身の上には
種々
(
さまざま
)
な変化が起り、その行いには
烈
(
はげ
)
しい非難を受けるような事も多かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
種々
(
さまざま
)
な方面から、心をくだいて、探ってはいるが、前にも云ったような厳重さに、まだ何一つとして、探り得たものはない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路地はそれらの浮世絵に見る如く今も昔と変りなく
細民
(
さいみん
)
の棲息する処、日の当った表通からは見る事の出来ない
種々
(
さまざま
)
なる生活が
潜
(
ひそ
)
みかくれている。
佗住居
(
わびずまい
)
の
果敢
(
はかな
)
さもある。隠棲の平和もある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
加州ほどの大藩の力でどうして水戸浪士の
生命
(
いのち
)
を助けることができなかったか。それにつき、世間には
種々
(
さまざま
)
な風評が立った。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『判じ物か。やれやれ、
種々
(
さまざま
)
に
揣摩臆測
(
しまおくそく
)
されることじゃ。というて、衣食の途を求めるには、世間の中に住まねばならず』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらにその倉庫からは、
種々
(
さまざま
)
な財宝が道へ積み出され、牛、馬、鶏、羊などとあわせて、それら財物はすべて貧民たちの手へ公平に分配された。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浪士らは行く先に
種々
(
さまざま
)
な形見を残した。景蔵のところへは特に世話になった礼だと言って、副将田丸稲右衛門が所伝の
黒糸縅
(
くろいとおどし
)
の
甲冑片袖
(
かっちゅうかたそで
)
を残した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鎌倉幕府自体にさえ、
種々
(
さまざま
)
な
弊政
(
へいせい
)
やら、
葛藤
(
かっとう
)
やら、同族の
相剋
(
そうこく
)
やら、醜いものの発生が
醸
(
かも
)
し出されて、そろそろ自壊作用の芽をふきだしていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
種々
(
さまざま
)
な流言の伝わって来る主上の
崩御
(
ほうぎょ
)
に際会して見ると、もはやそんな
生
(
なま
)
やさしいことで救われる時とは見えなかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
都市が都市らしくなって来ると必然に、人間が
殖
(
ふ
)
える、人間の中の
種々
(
さまざま
)
な善業悪業が
相剋
(
そうこく
)
し合う。制度が
要
(
い
)
る、制度の法網を
潜
(
くぐ
)
る方も活溌になる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠い日本古代の婦人に見るような、あの幸福で自己を
恃
(
たの
)
むことが厚い、
種々
(
さまざま
)
な美しい性質の多くは隠れてしまった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「師直、今日まで、ずいぶん
種々
(
さまざま
)
なお人の、饗応役も仕ったが、こよいほど、おもしろかったことはおざらん……。で、ちとどうも、
食
(
た
)
べ酔い気味で」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叔父に逢って
談話
(
はなし
)
をして見ると、正太は
頭脳
(
あたま
)
がハッキリして来た。父の家出——つづいて起った崩壊の光景——その
種々
(
さまざま
)
の記憶が彼の胸に浮んで来た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、半蔵の思い立って来たことは
種々
(
さまざま
)
な情実やこれまでの行きがかりにのみ
拘泥
(
こうでい
)
すべきことではなかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、こういう人々の
種々
(
さまざま
)
な仮の
相
(
すがた
)
が、一様に、死の無に
回
(
かえ
)
って、そのたましいの名だけが、宇宙にのこる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はまた別の箱の紐を解いた。あるものは
駅逓司
(
えきていし
)
、あるものは甲府県、あるものは
度会府
(
わたらいふ
)
として、駅逓用を保証する大小
種々
(
さまざま
)
の印鑑がその中から出て来る。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
孔明は五丈原へ陣を移してからも、
種々
(
さまざま
)
に心をくだいて、敵を誘導して見たが、魏軍は
完
(
まった
)
くうごきを見せない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
失礼だが、書面を下さる読者の年齢職業など、
種々
(
さまざま
)
なのも一考になるが、今日うけた一通はまた変っている。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
種
常用漢字
小4
部首:⽲
14画
々
3画
“種々”で始まる語句
種々相
種々樣々
種々雜多
種々作
種々力
種々報
種々多様
種々雑多