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種々
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いろいろ
ふりがな文庫
“
種々
(
いろいろ
)” の例文
「
国許
(
くにもと
)
のほうはどういうぐあいのものか、そこは
種々
(
いろいろ
)
となにもあるだろうが、自分もいちどはいってみたいと思うが、どんなものか」
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すべて、
私念
(
わたくし
)
といふ
陋劣
(
さもし
)
い心があればこそ、
人間
(
ひと
)
は
種々
(
いろいろ
)
の
悪
(
あし
)
き
企画
(
たくらみ
)
を起すものぢや。
罪悪
(
あしき
)
の源は
私念
(
わたくし
)
、私念あつての此世の乱れぢや。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
皆さんが実によく、
種々
(
いろいろ
)
な
可恐
(
おそろし
)
いのを御存じです。……
確
(
たしか
)
にお聞きになったり、また現に
逢
(
あ
)
ったり見たりなすっておいでになります。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恋には人間の真髄が動く、とか聴かされて、又感服した。
其他
(
そのた
)
まだ
種々
(
いろいろ
)
聴かされて一々感服したが、
此様
(
こん
)
な事は皆
愚言
(
たわごと
)
だ、
世迷言
(
よまいごと
)
だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
知らない仏蘭西人ばかりの乗客の間に陣取って
種々
(
いろいろ
)
親しげに言葉を掛ける夫婦と一緒に腰掛けた時は、岸本に取って肩身が広かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
そうするとその前の方へ少し離れた所に
燈火
(
あかり
)
の仕掛があってこれがその絵に
依
(
よ
)
って
種々
(
いろいろ
)
な色の光を投げかけるようになっています。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
昔からのお
噺
(
はなし
)
をすれば
種々
(
いろいろ
)
あるが、先ず近い所では現に三四年前、私が二人の仲間と一所に木曽の山奥へ鳥撃に出かけた事がある。
木曽の怪物:――「日本妖怪実譚」より
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また尻に九孔ありと珍しそうに書きあるが他の物の尻には
何
(
いく
)
つ孔あるのか、随分
種々
(
いろいろ
)
と物を調べた予も尻の孔の数まで行き届かなんだ。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「話していると
種々
(
いろいろ
)
共通の思い出がある。家が近かったから、中学校へ通うようになっても、道でよく見かけたものだ。或時……」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
前借
(
ぜんしゃく
)
などという事は計ってくれませんし、前借のできる勤め奉公では——お茶屋、
湯女
(
ゆな
)
、
船宿
(
ふなやど
)
、その他、水商売など
種々
(
いろいろ
)
ございますが
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貨殖
(
かしよく
)
に
忙
(
せわ
)
しかった彼女が
種々
(
いろいろ
)
な客席へ招かれてゆくので、あらぬ噂さえ立ってそんな事まで黙許しているのかと
蜚語
(
ひご
)
されたほどである。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
生活難という悩みはどの職業にも共通ですけれど、医師はそれ以外に医師法や刑法の窮屈な条文から起る
種々
(
いろいろ
)
な悩みがあります。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
鎌を
杖
(
つ
)
いてその上に腕をくみ合せ、何処を見るともなくきょとんとした眼つきをして、
涯
(
はて
)
しもなく
種々
(
いろいろ
)
なことを思いだしていた。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
種々
(
いろいろ
)
に変って、
此方
(
こちら
)
の眼に映った眉毛、目元口付、むっちりとした白い
掌先
(
てさき
)
、くゝれの出来た手首などが
明歴
(
ありあり
)
と浮き上って忘れられない。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
狼の尻尾のような
種々
(
いろいろ
)
の形をした魚で、それが方々で青い
提灯
(
ちょうちん
)
のように光ったり消えたりしまして、何だか様子が物凄くなって来ました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
一体この
水道端
(
すいどうばた
)
の通は片側に寺が幾軒となくつづいて、
種々
(
いろいろ
)
の形をした
棟門
(
むねもん
)
を並べている処から、今も折々私の喜んで散歩する処である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
暢気坊
(
のんきぼう
)
のように取れるし、また信心のために巡礼というようなものとすると、手に
種々
(
いろいろ
)
なものを持っているとか子供を
伴
(
つ
)
れているとかして
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
このままこうして、男を京都に帰して、その弱点を利用して、自分の自由にしようかと思った。と、
種々
(
いろいろ
)
なことが
頭脳
(
あたま
)
に浮ぶ。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
人間一人の生命をあまりにかるく見すごしてゐる。おそらくは彼等の頭には、親の讎打と云ふ古い
種々
(
いろいろ
)
な伝説が美しく生きてゐたのであらう。
女教員の縊死:(三面記事評論)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
それから、お祖父さんは例の口調で、
種々
(
いろいろ
)
栄蔵に訊ねた。栄蔵思ひのお祖母さんや、お母さんがはらはらするのも構はずに。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
細川は軽く
点頭
(
うなず
)
き、二人は分れた。いろいろと考え、
種々
(
いろいろ
)
に
悶
(
もが
)
いてみたが校長は遂にその夜富岡を
訪問
(
とう
)
ことが出来なかった。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
末造はどうして逢ったか、話でもしたのかと、
種々
(
いろいろ
)
に考えていながら、この場合に根掘り葉掘り問うのは不利だと思って、わざと追窮しない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
働く人と働かぬ人と夏と冬とは少しずつ違うけれども
種々
(
いろいろ
)
な点を平均したその標準は体量五十
基瓦
(
きろぐらむ
)
即ち十三貫目余の人は一日に二千カロリー
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
いくらかの月給のほかに、手当があるはずだ! あそこに行こう、ここに行こう、おれは東京まで行って来よう!
種々
(
いろいろ
)
に彼らは考えていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
しかしボートルレ少年が、ああして眠ってしまったすぐ前のことを
種々
(
いろいろ
)
と尋ねてみるが、何を聞いてもその時だけは爺さんはけろりとしている。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
その日は終日
女梁山泊
(
おんなりょうざんぱく
)
を以て任ずる妾の寓所にて
種々
(
いろいろ
)
と話し話され、日の暮るるも覚ええざりしが、別れに
臨
(
のぞ
)
みてお互いに尽す道は
異
(
こと
)
なれども
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
一人の
水夫
(
かこ
)
もなく
蓮湖
(
れんこ
)
の中に浮んでいて、死者がそれに乗ると、その命ずる意志のままに、
種々
(
いろいろ
)
な舟の機具が独りでに動いて行くというのです。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その事にまるで
風馬牛
(
ふうばぎゅう
)
であったように、一向世の中のこと……世の中のことといっても世の中のことも
種々
(
いろいろ
)
ありますが、今日でいえば美術界とか
幕末維新懐古談:45 竜池会の起ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そこで
種々
(
いろいろ
)
方法を考え、自分の
霊魂
(
たましい
)
を麻酔し去り、我をして国民の
中
(
うち
)
に沈入せしめ、我をして古代の方へ返らしめた。
「吶喊」原序
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
もしジユウルが此の夏の暑い日に
種々
(
いろいろ
)
な盆栽の根の方に気をつけてゐたら、きつとそれを見つける事が出来るだらう。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
山腹の畑、松や蜜柑の樹、また遠山の
皺
(
しわ
)
、それらの上には紫いろの白い雪が積つて、そのあひまあひまの山の色は
種々
(
いろいろ
)
な礦石で象眼したやうに美しい。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
種々
(
いろいろ
)
仕掛は楽屋にちゃんと用意してあるはずだ。顔へ
煤
(
すす
)
を塗る手は古いが、眼尻へ
鬢付油
(
びんつけあぶら
)
を塗って、頬の引っつりを
無二膏
(
むにこう
)
で
拵
(
こしら
)
えるとは
新手
(
あらて
)
だったね。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
種々
(
いろいろ
)
な余所の物事とそれを比べて見る。そうすると信用というものもなくなり、幸福の影が消えてしまう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
狐や狸は
化
(
ばけ
)
るものであるとか、世の中に
種々
(
いろいろ
)
ある
怪物
(
ばけもの
)
の詮索をするのを
止
(
や
)
めて
先
(
ま
)
ず我々人間が一番大きな
怪物
(
ばけもの
)
で
神変
(
しんぺん
)
不思議な能力を持っていると
喝破
(
かっぱ
)
し
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
双方とも私の口から
噂
(
うわさ
)
を聞合っていた仲なので、名前を云った丈けで、お互に名前以上の
種々
(
いろいろ
)
なことが分ったらしく、二人は意味ありげな挨拶を
交
(
かわ
)
した。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
日本の南の端、臺灣や南洋などの事の無かつた昔ならばなるほど此處がさうであつたかも知れぬと、そんな事を考へてゐると老人は更に
種々
(
いろいろ
)
と話し出した。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
今の今まで太郎坊を手放さずおったのも思えば可笑しい、その猪口を落して摧いてそれから
種々
(
いろいろ
)
と
昔時
(
むかし
)
のことを繰返して考え出したのもいよいよ可笑しい。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
町
(
まち
)
には、
病院
(
びょういん
)
の
新院長
(
しんいんちょう
)
に
就
(
つ
)
いての
種々
(
いろいろ
)
な
噂
(
うわさ
)
が
立
(
た
)
てられていた。
下女
(
げじょ
)
と
云
(
い
)
う
醜婦
(
しゅうふ
)
が
会計
(
かいけい
)
と
喧嘩
(
けんか
)
をしたとか、
会計
(
かいけい
)
はその
女
(
おんな
)
の
前
(
まえ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
折
(
お
)
って
謝罪
(
しゃざい
)
したとか、と。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
六日には御田植があって終るので、四日間ぶっ通しの祭礼を当込みに、
種々
(
いろいろ
)
の商人、あるいは
香具師
(
やし
)
などが入込み、その
賑
(
にぎ
)
わしさと云ったらないのであった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
自分の境遇の割にはずい分と
種々
(
いろいろ
)
な人々と交際していたのですが、とりわけ此の貴族は、彼の美貌とその性質を愛していたためか、熱心な彼の庇護者でした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
声に応じて、
種々
(
いろいろ
)
な料理が運び込まれ、酒宴は
酣
(
たけなわ
)
になる。姫は暗然と俯向いたまま、なにひとつ口にしない。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
種々
(
いろいろ
)
言はれる為に
可厭
(
いや
)
と言はれない義理になつて、
若
(
もし
)
や承諾するやうな事があつては大変だと思つて、
家
(
うち
)
は学校へ出る
積
(
つもり
)
で、僕はわざわざ様子を見に来たのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「細君が病中のところを、
種々
(
いろいろ
)
御尽力
(
ごじんりょく
)
になった。僕の方はこれで片が附いたが、細君の病気は何うだね。僕は不遠慮に云うが、肺に異状があるのではないか、ね」
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
「私も、
種々
(
いろいろ
)
の罪のねえ嘘はつきますが、併し、旦那様の前でだけは……
他
(
ほか
)
の人なら、ともかくも……」
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
で、彼は
種々
(
いろいろ
)
と研究と計画を
廻
(
めぐ
)
らした結果、それが夢でなく実現することが出来ることを発見した。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無論
訣別
(
おわかれ
)
など云ふ意味を出して招かれたので無いが、後に至て其意志を読むことが出来た。政治家、僧侶、新聞記者、
種々
(
いろいろ
)
な顔が集つた。予も後ろの方に腰掛けて居た。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
種々
(
いろいろ
)
の批難攻撃を人から受けますが、心あつてこわした指環、なんのそれしきの事はかねての覚悟でござりますもの、別に心にも止めませんが、ある時はこの指環を見て
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
しかし二郎の
両親
(
ふたおや
)
はいつになく我が子の遅く帰ったのに心配して、
種々
(
いろいろ
)
と二郎に仔細を問うた。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
困つた人だな
種々
(
いろいろ
)
秘密があると見える、お
父
(
とつ
)
さんはと聞けば言はれませぬといふ、お
母
(
つか
)
さんはと問へばそれも同じく、これまでの履歴はといふに貴君には言はれぬといふ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
老人等
(
としよりら
)
は
自分
(
じぶん
)
の
騷
(
さわ
)
ぐ
方
(
はう
)
にばかり
心
(
こゝろ
)
を
奪
(
うば
)
はれて
卯平
(
うへい
)
のことはそつちのけにした
儘
(
まゝ
)
であつた。
卯平
(
うへい
)
はそれでも
種々
(
いろいろ
)
な
百姓料理
(
ひやくしやうれうり
)
の
鹽辛
(
しほから
)
い
重箱
(
ぢゆうばこ
)
へ
箸
(
はし
)
をつけて
近頃
(
ちかごろ
)
になく
快
(
こゝろ
)
よかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
種
常用漢字
小4
部首:⽲
14画
々
3画
“種々”で始まる語句
種々相
種々樣々
種々雜多
種々作
種々力
種々報
種々多様
種々雑多