トップ
>
石塊
>
いしころ
ふりがな文庫
“
石塊
(
いしころ
)” の例文
新宿の歩道の上で、こぶしほどの
石塊
(
いしころ
)
がのろのろ
這
(
は
)
って歩いているのを見たのだ。石が這って歩いているな。ただそう思うていた。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何でも、自分の記憶の底に沈んで居る
石塊
(
いしころ
)
の一つの名も、たしか『高沼繁』で、そして此名が、たしか或る狂人の名であつた樣だ。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ところがだん/\
進歩
(
しんぽ
)
するに
從
(
したが
)
つて
石塊
(
いしころ
)
に
多少
(
たしよう
)
の
細工
(
さいく
)
を
加
(
くは
)
へ、
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つて
物
(
もの
)
を
打
(
う
)
ち
壞
(
こわ
)
すに
便利
(
べんり
)
な
形
(
かたち
)
にこしらへるようになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それでも、ペンチを握る手をときどき休めては、
傍
(
そば
)
の
石塊
(
いしころ
)
の上に腰を下ろして見物をしている大隅学士の顔をジロジロ眺めるのであった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこは垣根に添うた、
石塊
(
いしころ
)
の多い、荒れた地所で、野菜畠として耕す前には先ず堅い土から掘起して掛らなければ成らなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
堤から下りて
大音寺前
(
だいおんじまえ
)
の方へ行く
曲輪外
(
くるわそと
)
の道もまた取広げられていたが、一面に
石塊
(
いしころ
)
が敷いてあって歩くことができなかった。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし、なにもはかずに、この
焼
(
や
)
けるような
石塊
(
いしころ
)
の
多
(
おお
)
い
道
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
くよりは、どんなに
子供
(
こども
)
にとって、くつをはくことがよかったかしれません。
長ぐつの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だが、そう遠くまで駈けなくても、すぐ後ろに草の根や
石塊
(
いしころ
)
の下から湧いている泉がある。城太郎は
跼
(
しゃが
)
み込んで、両手に水を
掬
(
すく
)
おうとした。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、
漬物石
(
つけものいし
)
を小さくした様な、ただの
石塊
(
いしころ
)
に過ぎないのでした。よく考えて見れば、別に不思議でも何でもありません。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
折よく足下にあった
石塊
(
いしころ
)
を拾って、丁度こちらへ向ってゆっくり歩いてくる安藤竜太郎の顔をめがけて、後ろへ逃げ退りざま投げつけてやった。
電車停留場
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
血迷ったかこいつら、爺様までが何をいうよ、島も山も、海の上へ出たものは
石塊
(
いしころ
)
一ツある処じゃねえ。
暗礁
(
かくれいわ
)
へ誘い寄せる、
連
(
つれ
)
を呼ぶ
幽霊船
(
ゆうれいぶね
)
だ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然降下せしとて拾い上げたる
石塊
(
いしころ
)
を見るに、あたかも数年間土中に埋まりいたりとおぼしく、十分水気を含蓄せる、縦四寸ばかりの
楕
(
だ
)
円石なり。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「じゃいつもあの男が、
自慢
(
じまん
)
そうに下げている玉だ。もっともこのほかに下げているのは、
石塊
(
いしころ
)
同様の玉ばかりだが。」
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
村長はその場に立ち竦んだ。「一体、どこの首くくり野郎だ?」と、その
石塊
(
いしころ
)
を拾ひあげながら彼は喚いた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
此忍びぬ心と、その忍びぬ心を破るに忍びぬ心と、二つの忍びぬ心が
搦
(
から
)
み合った処に、ポチは
旨
(
うま
)
く
引掛
(
ひッかか
)
って、
辛
(
から
)
くも棒
石塊
(
いしころ
)
の危ない浮世に
彷徨
(
さまよ
)
う憂目を
免
(
のが
)
れた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一緒に歩いていると、見る物聞く物黒田が例の奇警な観察を下すのでつまらぬ物が生きて来る。途上の人は大きな小説中の人物になって路傍の
石塊
(
いしころ
)
にも意味が出来る。
イタリア人
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そこらにある
石塊
(
いしころ
)
や木の切れを拾って滅茶苦茶に叩きつけて、じだんだを踏んで飛びあがって……。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だからこそ、支那人に内地人の労働力が、邪魔っけな
石塊
(
いしころ
)
みたいに、隅の方に押しこくられずにはいないのだ。洋服が決して、民族的矜持にはなりはしないのだ。気を付けろ!
放浪の宿
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
往
(
ゆ
)
き
逢
(
あ
)
う女たちの顔も
石塊
(
いしころ
)
のように無表情だった。ちょうどそれは妻を失った
間際
(
まぎわ
)
の味気ない感じを、もう一つ掘りさげたような
侘
(
わび
)
しさで、夏の太陽の光りさえどんよりしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
彼奴
(
きゃつ
)
騒々しい
石塊
(
いしころ
)
だ
哩
(
わい
)
」とアフリカを踏破したスタンレーのような、大味な冒険心の持ち合わせはないが、騒々しい石塊の眼の前で、その雑音を
封
(
ふう
)
する可く、喉仏の見える迄口を開け
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
松魚氏はそれを籠に盛つて、かねて露伴氏と縁故のある金港堂や博文館の
編輯
(
へんしふ
)
局へ売りに往つた。編輯局には、麺麭でも
石塊
(
いしころ
)
でも同じやうにうまく食べる事の出来る連中がどつさり居た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
可哀そうに、
石塊
(
いしころ
)
が三つ四つ
蓊欝
(
こんもり
)
とした立木の下に積んであるばかりだった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そんなに、家や奥さんが大切だつたら、初めつから、
石塊
(
いしころ
)
になつてればいいのよ。——私、別に、貴方の奥さんを追ひ出したいなンて思はないけど、でも、もう少しいゝ事考へ過ぎてたのね。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
広い
石塊
(
いしころ
)
の原を横ぎり終ると今度は見上ぐるばかりの険山の連脈だ。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
少年のこころとなりて
石塊
(
いしころ
)
を路上ころころころがしてゆく
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
何でも、自分の記憶の底に沈んで居る
石塊
(
いしころ
)
の一つの名も、たしか『高沼繁』で、そして此名が、たしか或る
狂人
(
きやうじん
)
の名であつた様だ。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
土をとばし、
石塊
(
いしころ
)
をとばし、まるで
闘牛
(
とうぎゅう
)
が
穀物倉
(
こくもつぐら
)
のなかであばれているようであった。イワノフ博士は、どうしたであろうか。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
堤から下りて大音寺前の方へ行く
曲輪外
(
くるわそと
)
の道も亦取広げられてゐたが、一面に
石塊
(
いしころ
)
が敷いてあつて歩くことができなかつた。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見兼ねたか、
縁側
(
えんがわ
)
から
摺
(
ず
)
って
下
(
お
)
り、ごつごつ転がった
石塊
(
いしころ
)
を
跨
(
また
)
いで、藤棚を
潜
(
くぐ
)
って顔を出したが、
柔和
(
にゅうわ
)
な
面相
(
おもざし
)
、色が白い。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
併し東京人の我々は、慣れてしまって、道に落ちている
石塊
(
いしころ
)
程にも注意しません。いわば盲点に入ってしまっているのです
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いま
申
(
まを
)
した
古墳
(
こふん
)
は
皆
(
みな
)
圓塚
(
まるづか
)
でありまして、その
中
(
なか
)
に
漆
(
うるし
)
で
塗
(
ぬ
)
つた
棺
(
かん
)
を
埋
(
うづ
)
め、その
上
(
うへ
)
を
大
(
おほ
)
きな
石塊
(
いしころ
)
で
包
(
つゝ
)
んだものであります。これを
積
(
つ
)
み
石
(
いし
)
塚
(
づか
)
といひます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
すると、地上に
石塊
(
いしころ
)
のように投げ出されてる、自分自身が、自分の生活が、遠くの方からだんだん目近に見えてきた。
白日夢
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
しかし、その
石塊
(
いしころ
)
は彼のまえを歩いている薄汚い子供が、糸で結んで
引摺
(
ひきず
)
っているのだということが直ぐに判った。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
馬籠は
田畠
(
たはた
)
の間にすら大きくあらわれた
石塊
(
いしころ
)
を見るような地方で、古くから生活も容易でないとされた山村である。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まりは、
石塊
(
いしころ
)
の
上
(
うえ
)
をころげたり、
土
(
つち
)
の
上
(
うえ
)
を
走
(
はし
)
ったりしました。そして、
体
(
からだ
)
じゅうに
無数
(
むすう
)
の
傷
(
きず
)
ができていました。
あるまりの一生
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
坂になった路の土が、
砥
(
と
)
の
粉
(
こ
)
のやうに乾いてゐる。寂しい山間の町だから、路には
石塊
(
いしころ
)
も少くない。
両側
(
りやうがは
)
には古いこけら
葺
(
ぶき
)
の家が、ひつそりと日光を浴びてゐる。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ガチャンと窓の硝子が粉微塵にくだけて、大きな
石塊
(
いしころ
)
が一つ彼の足もとへ飛んで来た。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「これも国の柱石ではない! 無用な
苔
(
こけ
)
ばかりはやした、ただの
石塊
(
いしころ
)
だったか——」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田舎
(
いなか
)
に婚礼があり帰っていたが、またしても
利根
(
とね
)
の
河原
(
かわら
)
で馬を駆り、石に
躓
(
つまず
)
いて馬が
前踣
(
まえのめ
)
りに倒れると同時に前方へ投げ出され、したたか頭を
石塊
(
いしころ
)
に打ちつけ、そのまま気絶したきり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
仲善
(
なかよし
)
二人肩へ手を掛合って行く前に、弁当箱をポンと
抛
(
ほう
)
り上げてはチョイと受けて行く
頑童
(
いたずら
)
がある。其隣りは往来の
石塊
(
いしころ
)
を蹴飛ばし蹴飛ばし行く。誰だか、
後刻
(
あと
)
で遊びに
行
(
い
)
くよ、と
喚
(
わめ
)
く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
出来る児もやくざな
石塊
(
いしころ
)
のやうな男の児ばかりなので、村では地方出の代議士に頼んで、男でも女でも自由に産む事の出来る秘方を説いた書物はないものか、有るならこつそり教へて貰ひたい
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大勢で車座に坐って茶碗でも
石塊
(
いしころ
)
でも順々に手渡しして行く。
追憶の冬夜
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
敬二は、壊れた
石塊
(
いしころ
)
の上に腰を下ろして、ドン助がどこへいったのだろうかと、心あたりを一つ一つ数えはじめた。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は、誰れも見ているものはなかったのですけれど、態々一寸つまずく様な恰好をして、これも予め探し出して置いた一つの大きな
石塊
(
いしころ
)
を蹴飛しました。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この
石塊
(
いしころ
)
の多い歩き難い道を
彼様
(
あゝ
)
して
徒歩
(
ひろ
)
つても
可
(
いゝ
)
のかしらん、と丑松はそれを案じつゞけて、時々蓮太郎を待合せては、一緒に遅く歩くやうに為たが
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
かうした
石斧
(
せきふ
)
などを
探
(
さが
)
すのには、
畑
(
はたけ
)
に
轉
(
ころ
)
がつてゐる
石
(
いし
)
を
片端
(
かたはし
)
から
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
るとか、
畑
(
はたけ
)
の
傍
(
そば
)
の
小溝
(
こみぞ
)
の
中
(
なか
)
の
石塊
(
いしころ
)
とか、
畦
(
あぜ
)
に
積
(
つ
)
まれた
捨
(
す
)
て
石
(
いし
)
の
中
(
なか
)
を
熱心
(
ねつしん
)
に
探
(
さが
)
すに
限
(
かぎ
)
ります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
紳士
(
しんし
)
は、めったに
人
(
ひと
)
の
通
(
とお
)
らない、
青田
(
あおた
)
の
中
(
なか
)
の
細道
(
ほそみち
)
を
歩
(
ある
)
いて、
右
(
みぎ
)
を
見
(
み
)
たり、
左
(
ひだり
)
を
見
(
み
)
たりしながら、ときどき、
立
(
た
)
ち
止
(
ど
)
まっては、くつの
先
(
さき
)
で
石塊
(
いしころ
)
を
転
(
ころ
)
がしたりしていました。
銀河の下の町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
二つの
石塊
(
いしころ
)
のように、触れ合うことが互に傷つけ合うことになるのは、実際堪らない。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
噫
(
ああ
)
、噫、この『お夏』といふ名も亦、決して初対面の名ではなかつた。矢張自分の記憶の底に沈んで居る
石塊
(
いしころ
)
の一つの名であつた。そして此名も、たしか或る
狂女
(
きやうじよ
)
の名であつた様だ。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(
主
(
ぬし
)
あるものですが、)とでも
囁
(
ささや
)
いて居るやうで、
頼母
(
たのも
)
しいにつけても、
髑髏
(
しゃれこうべ
)
の形をした
石塊
(
いしころ
)
でもないか、今にも馬の
顔
(
つら
)
が出はしないかと、宝の
蔓
(
つる
)
でも
手繰
(
たぐ
)
る気で、
茅萱
(
ちがや
)
の中の
細路
(
ほそみち
)
を
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“石塊”の意味
《名詞》
石塊(せっかい / いしくれ / いしころ)
石の塊。
(出典:Wiktionary)
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
塊
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“石塊”で始まる語句
石塊道