電車停留場でんしゃていりゅうじょう
七月の中旬、午後からの曇り空が、降るともなく晴れるともなく、そのまま薄らいで干乾びてゆき、軽い風がぱったりと止んで、いやに蒸し暑い晩の、九時頃のことだった。満員とまではゆかなくとも、可なり客の込んでいる一台の電車が、賑やかな大通りをぬけて、 …