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瘠
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や
ふりがな文庫
“
瘠
(
や
)” の例文
土気色をした
瘠
(
や
)
せて枯木のように
乾干
(
ひから
)
び切った埃及の木乃伊を連想する我らの木乃伊の概念を越えて、これはまたなんという美しい
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
お菊はぬき足をしてそこを通り過ぎて、主人の居間の縁先に立つと、軒の大きい桜もきのうにくらべると白い影が俄かに
瘠
(
や
)
せていた。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこへ男の待っている電車が来たと見えて、彼は長い手で鉄の棒を握るや
否
(
いな
)
や
瘠
(
や
)
せた
身体
(
からだ
)
を
体
(
てい
)
よくとまり切らない車台の上に乗せた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
当時の彼は
瘠
(
や
)
せこけて体量十一貫位であったが、検査の結果は皮膚脆弱というようなことで、乙種の不合格であったと覚えている
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いまは
瘠
(
や
)
せてしまって心配そうな太い静脈が額に絡み合っている。亭主の不身持か、世帯の苦労か、産後からひき起した不健康か。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
青き
袷
(
あわせ
)
に黒き帯して
瘠
(
や
)
せたるわが姿つくづくと
眗
(
みまわ
)
しながら
寂
(
さみ
)
しき山に腰掛けたる、
何人
(
なにびと
)
もかかる
状
(
さま
)
は、やがて皆
孤児
(
みなしご
)
になるべき
兆
(
きざし
)
なり。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顏色
(
かほいろ
)
は
蒼白
(
あをじろ
)
く、
姿
(
すがた
)
は
瘠
(
や
)
せて、
初中終
(
しよつちゆう
)
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
き
易
(
やす
)
い、
少食
(
せうしよく
)
で
落々
(
おち/\
)
眠
(
ねむ
)
られぬ
質
(
たち
)
、一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
にも
眼
(
め
)
が
廻
(
まは
)
り、
往々
(
まゝ
)
ヒステリーが
起
(
おこ
)
るのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
瘠
(
や
)
せているので、ほんとうの
身丈
(
みのたけ
)
よりずっと長身に見える。
面
(
おも
)
ざしは冷たすぎるほど
端正
(
たんせい
)
で、象牙のような
冴
(
さ
)
えかえった色をしていた。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
五十を越したであろう年輩の、蝋燭の淡い灯によって前下方から照し出された
瘠
(
や
)
せ顔は、
髑髏
(
どくろ
)
を思わせるように気味が悪かった。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「おのれ! 酷いことをしやがる。酷いことをしやがる」と、云うかと思うと、
瘠
(
や
)
せた右の手の甲で老顔を幾度もこすりました。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
戸に向って
瘠
(
や
)
せて骨ばった
膝
(
ひざ
)
を
揃
(
そろ
)
えて正坐する時には、忘れてはならぬ屈辱の思いが今さらのようにひしひしと身うちに徹して感ぜられ
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
「
牢
(
ろう
)
はどこだ。」みんなは小屋に押し寄せる。丸太なんぞは、マッチのようにへし折られ、あの白象は大へん
瘠
(
や
)
せて小屋を出た。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
吾々はスコットランドにおいて、所有者によってかくの如くして耕作され他の何人によっても耕作され得ない
瘠
(
や
)
せた土地を見る。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
彼は
瘠
(
や
)
せた、静脈の透いて見えるような美しい皮膚の少年だった。まだ
薔薇
(
ばら
)
いろの頬の所有者、私は彼のそういう貧血性の美しさを
羨
(
うらや
)
んだ。
燃ゆる頬
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
此の
瘠
(
や
)
せぼけたおとなしい寂心を授戒の師とし、自分は
白衣
(
びゃくえ
)
の弟子として、しおらしく其前に坐ったかと思うと、おかしいような気がする。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
実に過去に於て、こうして焼き棄てた原稿が、
凡
(
およ
)
そ二千枚にもなってるだろう。僕はそれを考えると、今でもげっそりとして
瘠
(
や
)
せてしまう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
光一はすぐ引きかえして
黙々塾
(
もくもくじゅく
)
へでかけた。
塾
(
じゅく
)
にはだれもいなかった。光一はひっかえそうとすると窓から
瘠
(
や
)
せたひげ
面
(
づら
)
がぬっと現われた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
鶴のように
瘠
(
や
)
せたお
身体
(
からだ
)
に、眉と
髯
(
ひげ
)
が、雪のように白く垂れ下がった、それはそれは、有り難いお姿の、
和尚
(
おしょう
)
様で御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
母親は心配して
祈祷
(
きとう
)
したりまじないをしたりしたが、王の容態はますます悪くなるばかりで、体もげっそり
瘠
(
や
)
せてしまった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
背低くして肉
瘠
(
や
)
せたれど健康は充分にして随分百歳までも生延得る容体とし
頭髪
(
かみのけ
)
も
猶
(
な
)
お白茶けたる黄色の艶を帯びて美しく
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「色んな顔があるもんだね。あんまり丸ぽちゃは現代的で可笑しいね。あんたは冠かぶるとよく似合うよ。
瘠
(
や
)
せているから」
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
喉ぼとけの突き出た
瘠
(
や
)
せた若い男は、そういうとコップの水を一息に飲んだ。彼は小柄で、負けた犬みたいなおどおどとした目つきをしていた。
恐怖の正体
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
醤は、これを見て、ちょっと顔色をかえたが、すぐ思い直したように、
瘠
(
や
)
せた肩をそびやかせて、
強
(
し
)
いて笑顔をつくった。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
概して新しい試みの品は形が
瘠
(
や
)
せて見劣りがしますが、それは今の暮しそのものが弱まって来たからではないでしょうか。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
尾根は
瘠
(
や
)
せていて迷う憂はないけれども相当な藪である上に、登降が激しいので、三宝山の頂上まで約五時間を要した。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
屍体に特殊の化学作用をほどこして保存してあるのだという。頬や手なぞ水々して、
瘠
(
や
)
せてはいるが。いまにも
欠伸
(
あくび
)
といっしょに起き上りそうだ。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
こんなことを言って、細く
瘠
(
や
)
せた左の手で
肉叉
(
ホオク
)
や
匙
(
さじ
)
を持添えながら食った。宗蔵は
箸
(
はし
)
が持てなかった。で、こういうものを買って
宛行
(
あてが
)
われている。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
弥吉は、
瘠
(
や
)
せてはいるが、今小姓仲間の
孔雀
(
くじゃく
)
といわれている大隅を、そう言われて急に思い出した。なぜか児太郎とくらべものにならない気がした。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一日たったやつは、
瘠
(
や
)
せていて、
角
(
かど
)
ばった
膝
(
ひざ
)
をがくりと突き、すぐ、元気いっぱいに
起
(
た
)
ち上がる。生れたての赤ん坊はねばねばだ。
舐
(
な
)
めてないのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
貧乏
(
びんばう
)
な
百姓
(
ひやくしやう
)
は
落葉
(
おちば
)
でも
青草
(
あをぐさ
)
でも、
他人
(
ひと
)
の
熊手
(
くまで
)
や
鎌
(
かま
)
を
入
(
い
)
れ
去
(
さ
)
つた
後
(
あと
)
に
求
(
もと
)
める。さうして
瘠
(
や
)
せて
行
(
ゆ
)
く
土
(
つち
)
を
更
(
さら
)
に
骨
(
ほね
)
まで
噛
(
か
)
むやうなことをして
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼らの身長は滅多に五
呎
(
フィート
)
を超えず、その腹は膨れ上り、肩は高く、頭は大きく、そして四肢は不釣合に
瘠
(
や
)
せている。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
かえって尊攘実現のため
瘠
(
や
)
せる思いをしつつある松平肥後守以下京都における真正合体派の権力を、一挙に清掃して政権を奪取することに懸っていた。
新撰組
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
彼女は熱い鉄板の上に転がった
蝋燭
(
ろうそく
)
のように
瘠
(
や
)
せていた。未だ年にすれば
沢山
(
たくさん
)
ある
筈
(
はず
)
の黒髪は汚物や血で固められて、捨てられた
棕櫚箒
(
しゅろぼうき
)
のようだった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
……それにしても姉さまがあの
瘠
(
や
)
せこけた小柄な古島さんをしつかり
掴
(
つか
)
まへて、上からしげしげと覗きこんでゐる図を目に浮べてみると、妙に切ない
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
余の家にも他の若い者
並
(
なみ
)
に仕事に来ることがある。五十そこらの、
瘠
(
や
)
せて力があまりなさそうな無口な人である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
評議の席で一番熱心に
復讐
(
ふくしゅう
)
がしたいと言い続けて、成功を急いで気を
苛
(
いら
)
ったのは宇平であった。色の
蒼
(
あお
)
い、
瘠
(
や
)
せた、骨細の若者ではあるが、病身ではない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
つずら折りを重ねて、木が
瘠
(
や
)
せたな……と思う頃、ふと幅広い底強い音が、どこからともなく耳を打ってくる。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
なかなか
旨
(
うま
)
く行かない。繰り返し繰り返し、旨く行くまで彫らされる。彫るものの身になると、
真
(
まこと
)
に
辛
(
つら
)
い。肥えさせればぼてるし、
瘠
(
や
)
せさせれば貧弱になる。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
だがそれにも
拘
(
かかわ
)
らず、また患者の異常な食慾にも拘らず、彼は日に日に
瘠
(
や
)
せ衰えて、助手が
日毎
(
ひごと
)
に記入するフントの数はだんだん少なくなって行くのだった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
瘠
(
や
)
せても枯れても
我
(
わし
)
は淵瀬、そなたの力を借るまでもないと、初めは笑ひて取合はざりしが、お艶が切に請ふて止まざるにぞ、さらばそなたの気の済むやうと
野路の菊
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
美しい顔ではありませんが、色の黒い、
瘠
(
や
)
せた顔に、子供らしい瞳が、くるくるしていて
可愛
(
かわい
)
らしい。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
瘠
(
や
)
せた男は役人生活をしてゐるからには、
何日
(
いつ
)
また大臣の椅子に
直
(
なほ
)
らうかも知れぬ加藤さんだ、一寸出迎へをした位で、そんな場合に官等の一つも
上
(
あが
)
る事が出来たなら
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ただK君と違うのは、——僕はいつも小説などを読むと、
二人
(
ふたり
)
の男性を差別するために
一人
(
ひとり
)
を
肥
(
ふと
)
った男にすれば、一人を
瘠
(
や
)
せた男にするのをちょっと滑稽に思っています。
手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
病人さん
(自注13)
は、けさあなたから親切な手紙を貰ったとよろこび、私たち二つの顔を見たらいかにも嬉しそうでしたが、
瘠
(
や
)
せて、弱って、ひどい。八貫位の由です。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そんなに歩が遅くちゃアとても腹一杯に物を捉え食う事はなるまい、お前ほど
瘠
(
や
)
せて足遅と来ちゃ
浮々
(
うかうか
)
すると何かに踏み殺されるであろう、よしか、一つ足を試して見よう
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
空気、乾湿の度を失い、太陽の光熱、物にさえぎられ、地性、
瘠
(
や
)
せて津液足らざる者へは、たとい肥料を施すも功を奏すること少なきのみならず、まったく無効なるものあり。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ふみ「なにあなたね、続いて二日ぐらい食べぬ事が有りまして、又食べさして又たたた食べ……(泣沈む)何うもがゞ餓鬼道のようでございますから
瘠
(
や
)
せます訳でございます」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今年は
不作
(
はづれ
)
だね、
瘠
(
や
)
せてゐて、虫が多い、あの雨が
障
(
さは
)
つたのさ。間、どうだい、君の目的は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それは見る眼にりっぱな広い葉である。わたしの部下はこの乾いた土をうるおす露と雨、それから、概して
瘠
(
や
)
せて力のないこの土地そのものにそなわっただけの肥沃さ、である。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
瘠
(
や
)
せぎすな、悪く申しますと、
蟷螂
(
かまきり
)
を思わせる様な御仁でございましたが、お商売がら、と申すのでございましょうが、とても、お話がお上手で御座いまして、お弟子さんのお相手にも
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
瘠
漢検1級
部首:⽧
15画
“瘠”を含む語句
瘠土
瘠形
肥瘠
瘠我慢
瘠馬
疲瘠
瘠方
瘠姿
瘠腕
削瘠
瘠鶴大居士
痩瘠
瘠面
瘠錣
瘠躯鶴
瘠身
瘠衰
瘠蝶
瘠細
瘠男
...