ゑが)” の例文
新字:
(い)こしより足首迄の間に一行より五六行位の横線わうせんゑがきたるもの。是等の中にはたんくぼましたるも有り亦朱にていろどりたるも有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
拜殿の欄間らんまには、土佐風とさふうゑがいた三十六歌仙かせんが行儀よくつらねられ、板敷の眞中まんなかには圓座ゑんざが一つ、古びたまゝに損じては居なかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
上被には蓮華れんげと佛像とをゑがき、裏面中央に「倣尊澄法親王筆そんちようはふしんのうひつにならふ」、右邊に「保午浴佛日呈壽阿上人蓮座はうごよくぶつじつじゆあしやうにんれんざにていす」と題し、背面に心經しんぎやうの全文を寫し
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
汝がこの言を心にゑがきて(たとひしるさざるも)こゝより携へ歸るにあり、かくするは巡禮が棕櫚にて卷ける杖を持つとそのことわり相同じ。 —七八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
路に近き丘の上には、「チプレツソオ」、「ピニヨロ」なんどの常磐樹ときはぎ立てるが、怪しげなる輪廓を、鋭く空にゑがきたり。
劉填りうてんいもうと陽王やうわうなり。陽王やうわうちうせられてのち追慕つゐぼ哀傷あいしやうしてやまひとなる。婦人ふじんこのやまひいにしへよりゆることかたし。とき殷※いんせんゑがく、就中なかんづくひとおもてうつすにちやうず。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いまこの岩窟がんくつ説明せつめいするに、もつとかいやすからしめるには、諸君しよくん腦裡のうりに、洋式ようしき犬小屋いぬごやゑがいてもらふのが一ばんだ。
さうしてそんなモデルに相應ふさはしい女を見出す前に、或古い寺院の壁畫にゑがかれた、十字架に倒れたキリストを取り下して、窃かに土に葬り入れつゝあるマグダーレンが
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
たゞこれに打ち對つて怡然いぜんとしてしん喜び心樂めばそれでいので、甲地乙地の比較をしたり上下をしたりするのは第二第三の餘計な事で、眞にいはゆる蛇足をゑがくものであるから
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
以て御尋ね者と成しところかう行衞ゆくゑれざりしに享保も四年となりし頃は最早もはや五六年も立しゆゑ氣遣きづかひなしとは思へどもかたあゐにてあざの如く入墨いれずみをなしひたひにもあごかたちゑがき前齒二枚打缺うちかきて名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とほき野面のもせゑがけかし
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
飾りゑがけるこの殿との
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
獸骨器のみぎゑがきたるは魚骨器なり。上端じやうたんの孔は糸を貫くにてきしたり。おもふに此骨器はあらき物をひ合はする時にはりとして用ゐられしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
我は汝によりて詩人となり汝によりて基督教徒クリスティアーノとなれり、されどわが概略おほよそゑがける物を尚良く汝に現はさんため我今手をべて彩色いろどらん 七三—七五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
きんへいが雲に乘つて下りて來る繪や、また今樣いまやう無恰好ぶかつかうな軍帽をかぶつた兵隊が、軍旗を立てゝ煙の中をひ出してゐる繪や、本式に白馬を一頭だけゑがいたのや
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
いま數分すうふんならざるに、群獺ぐんだつたちま競逐きそひおうて、いきおひけず、執得とらへえすなはちけんず。鯔魚しぎよゑがくものは徐景山じよけいざんなり
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
後天にのみ注げる眼はダルヰンが論を守りても事足るべけれどそれにて造化は盡されず。いばらは誰か磨き成したる。羽は誰かゑがき成したる。棘の同じさまなるは姑く置かむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
三十六ねんつて大成功だいせいかうをした。一ぐわつ十六にちには、土器どきしゆもつ緻密ちみつなる模樣もやうゑがいてあるのを、二箇ふたつまで掘出ほりだした。それから四十二ねん今日こんにちまでにくのごと珍品ちんぴんまたでずにる。
圖中下段げだん右より二つ目にゑがきたるものは裸体土偶らたいどぐうの一例にして出所は常陸椎塚貝塚、所藏主しよぞうぬしは理科大學人類學じんるいがく教室なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
かん桓帝くわんていとき劉褒りうはう雲漢うんかんゑがく、るものしよおぼゆ。また北風ほくふうゑがく、るものかんおぼゆ。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
赤い色で障子しやうじに大きく蝋燭らふそくの形をゑがいた家が、其の先の方にあつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
司馬相如しばさうじよつま卓文君たくぶんくんは、まゆゑがきてみどりなることあたか遠山とほやまかすめるごとし、づけて遠山ゑんざんまゆふ。武帝ぶてい宮人きうじんまゆ調とゝのふるに青黛せいたいつてす、いづれもよそほふに不可ふかとせず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)