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狼藉
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ろうぜき
ふりがな文庫
“
狼藉
(
ろうぜき
)” の例文
理不尽
(
りふじん
)
でもあるし、突然な
狼藉
(
ろうぜき
)
ぶりだ、お吟ひとりに向って、十名以上の大の男が押しかぶさって来て縄にかけようとするのである。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからあなたのところへいって、耳が聞えないために、
狼藉
(
ろうぜき
)
をしたことを
詫
(
わ
)
び、自分の名を名のって切れた扇を差出したのです。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
、公儀へ訴え出る途もあったであろうに、なにゆえしかるべき
当路者
(
とうろしゃ
)
へ、差し立て願いに及ばんだのかの——上も、それだけの
狼藉
(
ろうぜき
)
ぶりを
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
まず照らされたその谷間の光景はすこぶる
狼藉
(
ろうぜき
)
たるもので、
篝
(
かがり
)
の燃えさしだの、木や竹の
片
(
きれ
)
だの、地面に石や穴が散在していることだの
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
落花墜葉の外すべて
狼藉
(
ろうぜき
)
を禁ず、来遊騒客さあらんといふにはあらず、童僕には戒勅のとゞかぬ事主人も常にあれば他も推はかり思ふなり
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
この言語道断な
狼藉
(
ろうぜき
)
、徹底した無神経ぶりは、当時の新聞をして「恐怖の満点」と叫ばしめ、「人性の完全な
蹂躙
(
じゅうりん
)
」と
唖然
(
あぜん
)
たらしめている。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
いかようの
狼藉
(
ろうぜき
)
があるやも測りがたいから、諸藩いずれもこの
旨
(
むね
)
をとくと心得て、右等の徒に欺かれないようにと言ってある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「だまれ」と山嵐は
拳骨
(
げんこつ
)
を食わした。赤シャツはよろよろしたが「これは乱暴だ、
狼藉
(
ろうぜき
)
である。理非を弁じないで腕力に訴えるのは無法だ」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五車の書といふ支那の故事を転じて反古となし、反古の多きことを言へる者にして、冬ごもりの書斎
狼藉
(
ろうぜき
)
たる様なるべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
絶間無き騒動の
中
(
うち
)
に
狼藉
(
ろうぜき
)
として
戯
(
たはむ
)
れ遊ぶ
為体
(
ていたらく
)
は
三綱五常
(
さんこうごじよう
)
も
糸瓜
(
へちま
)
の皮と地に
塗
(
まび
)
れて、
唯
(
ただ
)
これ
修羅道
(
しゆらどう
)
を
打覆
(
ぶつくりかへ
)
したるばかりなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
復一が、おやと思うとたんに少女の袂の中から出た
拳
(
こぶし
)
がぱっと開いて、復一はたちまち桜の花びらの
狼藉
(
ろうぜき
)
を満面に
冠
(
かぶ
)
った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一番どういう事の働きをするかといえば、まず戦争が起れば乱暴
狼藉
(
ろうぜき
)
を働いて、内地人の財産を
分捕
(
ぶんど
)
りする位の事でとても国の役には立たない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこへ、頼朝が京で義仲の
狼藉
(
ろうぜき
)
を
鎮
(
しず
)
めようと範頼、義経を将として差し向けた軍勢数万騎が、美濃、伊勢に到着する頃だろうという報告があった。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
狼藉
(
ろうぜき
)
している、小舎の屋根に近いところにも、雪の石小舎がある、ここにもまさかのときには、二人位は寝られそうだ。
槍ヶ岳第三回登山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
たとえば米のごときは普通には必要品とされているけれども、これを酒にかもして杯盤
狼藉
(
ろうぜき
)
の間に流してしまえば、畳をよごすだけのものである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
こんろの上には鍋がかかったままになって
居
(
お
)
りまして、盃や徳利が
狼藉
(
ろうぜき
)
を極めてあたりに転がって居たのであります。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
……当時の久松といったのが、
前垂
(
まえだれ
)
がけで、何か急用と見えて、逢いに来てからの
狼藉
(
ろうぜき
)
が、まったく目に余ったんだ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここでも同じ様な
狼藉
(
ろうぜき
)
が行われているのみか、壁の中に仕掛けられた
額
(
がく
)
のうしろの
隠
(
かく
)
し金庫が開かれ、現金千二百円というものが盗まれてしまった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
騒ぎのあった翌日、その
狼藉
(
ろうぜき
)
者一党が揃って
詑
(
わ
)
びにきたが、その時、父はすこし
寒気
(
さむけ
)
がするといっていたが、左の手の甲が紫色に
腫
(
は
)
れてるだけだった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ビールのびんはぶどう酒のびんと入れ交じっていた。食卓の上にはほとんど秩序がなく、その下にも
狼藉
(
ろうぜき
)
があった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして諸国の源氏
蜂起
(
ほうき
)
に際しては、清盛の日頃の専横に対し、奈良法師は公然の
狼藉
(
ろうぜき
)
をもって示威したのであった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
改築中で
割栗石
(
わりぐりいし
)
狼藉
(
ろうぜき
)
とした停車場を出て、
茶店
(
さてん
)
で人を雇うて、鶴子と手荷物を
負
(
お
)
わせ、
急勾配
(
きゅうこうばい
)
の崖を川へ下りた。
暗緑色
(
あんりょくしょく
)
の石狩川が
汪々
(
おうおう
)
と流れて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
若い書生が勤勉に手入れをしてくれるので、わたしの病臥中にも花壇はちっとも
狼藉
(
ろうぜき
)
たる姿をみせていない。夏の花、秋の草、みな
恙
(
つつが
)
なく生長している。
薬前薬後
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
狼藉
(
ろうぜき
)
として捨てられてあり、夜になった時、野武士の群れが、死骸の肌つき金を奪うために、また
甲胄
(
かっちゅう
)
を
剥
(
は
)
ぐために、どこからともなくあらわれて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寺の者は気がつかなかったが、縁近い日あたりで縫物をしていたおときは、子供達の
狼藉
(
ろうぜき
)
をいちはやく認めた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
あるいはまた、家道
紊
(
みだ
)
れて取締なく、親子妻妾
相
(
あい
)
互
(
たが
)
いに無遠慮
狼藉
(
ろうぜき
)
なるが如きものにても、その主人は必ず特に短気無法にして、家人に恐れられざるはなし。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
杯やお
膳
(
ぜん
)
や三味線などの
狼藉
(
ろうぜき
)
としたなかにすわって、酔いのさめかけた善鸞様は実に不幸そうに見えました。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あれに気づかいこれに案ずる笑止の様を見ては喜び、居所さえもなくされて悲しむものを見ては喜び、いよいよ図に乗り
狼藉
(
ろうぜき
)
のあらん限りを
逞
(
たくま
)
しゅうすれば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
武士の
一分
(
いちぶん
)
相立ち申さず、お上へ対し
恐多
(
おそれおお
)
い事とは存じながら、かく
狼藉
(
ろうぜき
)
いたし候段、重々恐入り
奉
(
たてまつ
)
ります、此の上は無実の罪に
伏
(
ふく
)
したる友之助をお助け下され
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして更に、これは今の武士が武芸を怠った為に、足軽が数が多く腕っ節が強いのを頼み、
狼藉
(
ろうぜき
)
を働くのであって、「
左
(
さ
)
もこそ下剋上の世ならめ」と憤慨して居る。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「だってそうすると、この化け物の
狼藉
(
ろうぜき
)
の跡は、いったいどうなるんです。この怪しげな水や、三田村さんもたしかに聞いたというあの
呻
(
うめ
)
き声や、変な鳴き声は?」
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
火長
(
かちょう
)
と見えるものが二三人、手に手を
得物提
(
えものひっさ
)
げて、
声高
(
こわだか
)
に
狼藉
(
ろうぜき
)
を咎めながら、あの沙門へ走りかかりますと、矢庭に四方から飛びかかって、
搦
(
から
)
め取ろうと致しました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
折重なって
辷
(
すべ
)
り倒れる。その上から
狼藉
(
ろうぜき
)
していた杯盤がガラガラガラと
雪崩
(
なだれ
)
かかる。その中を押し合い、ヘシ合い、突飛ばし合いながら両舷のボートに乗移ろうとする。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
霊地を
穢
(
けが
)
すその
狼藉
(
ろうぜき
)
が、わが退屈男の気性気ッ腑として出来ないのです。ましてや対手は代役ながら、治外の権力ともいうべき俗人不犯の寺格を預かっている寺僧でした。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あとは、杯盤
狼藉
(
ろうぜき
)
の一歩手前であった。人いきれと
酒肴
(
しゅこう
)
の臭気と——それに畳のほこりも混って、生ぬるい広間の空気は何か
朦朧
(
もうろう
)
としている。耳と目の感覚が上ずっている。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
酒気を帯びて
飄然
(
ひょうぜん
)
と『柳亭』に現れた——例によってお玉に金の無心をしたが、たびたびのことなので取り合わなかった——武太郎は激怒してさんざん乱暴
狼藉
(
ろうぜき
)
を働いた揚句
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
桜
媚
(
こ
)
び
海棠
(
かいどう
)
酔った我膳の前の春はたちまち去って、
肴核
(
かうかく
)
狼藉
(
ろうぜき
)
骨飛び箸転がるの
秋
(
とき
)
となった。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
咲き乱れた桜花の下に
狼藉
(
ろうぜき
)
たる落花を
冠
(
かぶ
)
って人も打ち興じている様が想像されるのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
故にその愛は良人に非ずして、我が身にあり、我が身の
饑渇
(
きかつ
)
を恐るるにあり、浅ましいかな彼らの愛や、男子の
狼藉
(
ろうぜき
)
に
遭
(
あ
)
いて、黙従の
外
(
ほか
)
なきはかえすがえすも口惜しからずや。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
御身
(
おんみ
)
が家の下人の
詮議
(
せんぎ
)
か。当山は勅願の寺院で、三門には勅額をかけ、七重の塔には
宸翰金字
(
しんかんこんじ
)
の経文が
蔵
(
おさ
)
めてある。ここで
狼藉
(
ろうぜき
)
を働かれると、
国守
(
くにのかみ
)
は
検校
(
けんぎょう
)
の責めを問われるのじゃ。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
後から分りましたが、橋袂を守っていた同輩の
誰何
(
すいか
)
を誤解したのでした。九州と東北ですから、言葉が能く通じません。娘は
狼藉
(
ろうぜき
)
でも受けると思って、無暗に逃げ出したのでしょう。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
もう始めの日のような
狼藉
(
ろうぜき
)
はしなかったけれども、その顔を見たばかりで、葉子は病気が
重
(
おも
)
るように思った。ことに貞世の病状が軽くなって行くという報告は激しく葉子を
怒
(
おこ
)
らした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
例えば信州などでは、山の天狗に連れて行かれた者は、跡に
履物
(
はきもの
)
が正しく
揃
(
そろ
)
えてあって、一見して普通の
狼藉
(
ろうぜき
)
、または自身で身を投げたりした者と、判別することができるといっている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
明治十
年
(
ねん
)
ごろまでは
強盗
(
ごうとう
)
したり乱暴
狼藉
(
ろうぜき
)
した者に、なぜそんなことをしたかと聞くと、国を
憂
(
うれ
)
いて大いに
旗上
(
はたあ
)
げするつもりであるといった。また
地租
(
ちそ
)
改正のとき、あっちこっちで
騒
(
さわ
)
いだ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
此度
(
こたび
)
は黄金丸肩をかすらして、思はず身をも沈めつ、大声あげて「おのれ今日も
狼藉
(
ろうぜき
)
なすや、
引捕
(
ひっとら
)
へてくれんず」ト、走り
寄
(
よっ
)
て木の上を見れば、果して昨日の猿にて、黄金丸の姿を見るより
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一人去り、二人去りて、果てはむなしき
器皿
(
きべい
)
の
狼藉
(
ろうぜき
)
たるを
留
(
とど
)
むるのみ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
兵士らは
殺戮
(
さつりく
)
の叫びを発しながら、あらゆる人家に
闖入
(
ちんにゅう
)
して、あらゆる
狼藉
(
ろうぜき
)
を働こうとした。百姓らは棒を持って追っかけ、荒れ犬をけしかけていた。第三の兵士が、
三叉
(
みつまた
)
に腹を刺されて倒れた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
上に出てみると、小矢柱が突き転がされて舵場の上に倒れ、帆はズタズタに切られ、
舵柄
(
かじえ
)
はもぎとられ、船を動かす道具という道具は残りなく壊してあるという目もあてられない
狼藉
(
ろうぜき
)
ぶりであった。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「かってに入って来て
狼藉
(
ろうぜき
)
をなさるのは
何人
(
たれ
)
」
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
狼疾
(
らうしつ
)
といひ○
狼藉
(
ろうぜき
)
○
狼戻
(
らうれい
)
○
狼狽
(
らうばい
)
など
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
狼
漢検準1級
部首:⽝
10画
藉
漢検1級
部首:⾋
17画
“狼藉”で始まる語句
狼藉者
狼藉中
狼藉人
狼藉組
狼藉乱暴