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無闇
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むやみ
ふりがな文庫
“
無闇
(
むやみ
)” の例文
福岡あたりの電車は、小さな停留場を
無闇
(
むやみ
)
に殖やして、お客を拾うことに腐心しているようであるが、東京では正反対だから面白い。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しかも私は書物を買うことが
好
(
すき
)
で、「お前は役にも立たぬ書物を
無闇
(
むやみ
)
に買うので困る」と、毎々両親から叱られている矢先である。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その仙台平なるものの思い出を大事にして、
無闇
(
むやみ
)
に外に出して粗末にされたくないエゴイズムも在るようだ。「セルのが、あります。」
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この間から
無闇
(
むやみ
)
と話を急いだ様子や、たった今の
狼狽
(
ろうばい
)
したような態度を見ると、矢張知っていたのであろうかと思わざるを得なかった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ホワイトポイントへ
魚釣
(
さかなつ
)
りにも行きましたが、ぼくは釣なぞしたことがないので、
無闇
(
むやみ
)
やたらにそこいら辺を歩きまわっただけでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
彼が蛇を恐れる如く、彼が
郎党
(
ろうとう
)
の犬のデカも
獰猛
(
どうもう
)
な武者振をしながら頗る蛇を恐れる。蛇を見ると
無闇
(
むやみ
)
に
吠
(
ほ
)
えるが、中々傍へは寄らぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ちょうど食物を料理すると同様で生理上や衛生の方法を構わずに自分の好きなものばかり
無闇
(
むやみ
)
に食べたら必ず胃を害すでしょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
爾
(
そ
)
う
無闇
(
むやみ
)
に恩に被せる事ばかり
云
(
いっ
)
て、
只
(
ただ
)
漠然と不親切と云うような事を云て貰いたくないと云うような調子で、
始終
(
しじゅう
)
問答をして居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
第二は、
無闇
(
むやみ
)
に人を区別せず、また責めない点である。たとえば、議論をするにしてもその相手を選ばず、またその題目をも別に選ばない。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
こま/\した幾つかの小さな畑に
区劃
(
くくわく
)
され、豆やら大根やら
黍
(
きび
)
やら
瓜
(
うり
)
やら——様々なものがごつちやに、
風
(
ふう
)
も
態
(
ざま
)
もなく
無闇
(
むやみ
)
に仕付けられた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
独逸
(
どいつ
)
の
名高
(
なだか
)
い作者レツシングと
云
(
い
)
ふ人は、
至
(
いた
)
つて
粗忽
(
そそつか
)
しい
方
(
かた
)
で、
其上
(
そのうへ
)
法外
(
ばか
)
に忘れツぽいから、
無闇
(
むやみ
)
に
金子
(
かね
)
や
何
(
なに
)
かゞ
失
(
な
)
くなる
(洋)金の勘定を仕ずに来た
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どこへ行くんだい。また赤坂かい。あの方面はもう御免だ。せんだっては
無闇
(
むやみ
)
にあるかせられて、足が棒のようになった」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
名探偵
明智
(
あけち
)
小五郎は、書斎の
肘掛椅子
(
ひじかけいす
)
にグッタリともたれこんで、
無闇
(
むやみ
)
に煙草を吹かしながら、考えごとにふけっていた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
無闇
(
むやみ
)
な事も出来ますまいが、今度の設計なら決して高い予算じゃ御座いませんよ、何にしろあの建坪ですもの、八千円なら安い位なものです」
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
あの
長尻
(
ながちり
)
だから、さあ又還らない、さうして何か
所思
(
おもはく
)
でも有つたんでせうよ、何だか知らないけれど、その晩に限つて
無闇
(
むやみ
)
とお酒を
強
(
しひ
)
るんでさ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「さうさね、
巡査
(
じゆんさ
)
だつて
無闇
(
むやみ
)
にどうかするといふこともないんだらうと
思
(
おも
)
ふやうだがね」
内儀
(
かみ
)
さんは
意外
(
いぐわい
)
な
面持
(
おももち
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だから人は
無闇
(
むやみ
)
に他人の世話にならないで、独立してやって行けるようにならなくてはいけませんとおっしゃった。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
第一本文が
無闇
(
むやみ
)
に
六
(
むつ
)
かしい上にその註釈なるものが、どれも大抵は何となく
黴
(
かび
)
臭い雰囲気の中を手捜りで連れて行かれるような感じのするものであった。
変った話
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もし道のない所を
無闇
(
むやみ
)
に進んで行こうものならそれがために村人の疑いを深くして
追窮
(
ついきゅう
)
されるかも知れない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
見濟
(
みすま
)
し
大音
(
だいおん
)
揚
(
あげ
)
て
屑
(
くづ
)
はございませんか屑はございませんか/\と
無闇
(
むやみ
)
に
呼習
(
よびなら
)
つて居たりし處に近所の子供等是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、父は、賢の性質も考えず、自分達の生活程度のことも考えず、ただ
無闇
(
むやみ
)
に、賢を大学にでもやって法律を学ばせ、あっぱれ偉いものにしようと考えていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
帆村は何を思ったものか、
無闇
(
むやみ
)
に
呻
(
うな
)
り声をあげると、糸子の袖を引張って道の脇の林の中に連れこんだ。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
理由
(
わけ
)
を知らぬ村人は猟師の鉄砲の音と思っているが、私は知っている——あの団長はかような好天気の日には却って身を持ち扱って、
無闇
(
むやみ
)
に煙草を喫す習慣である
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
これを知らずにいぎりすの店員は親切で熱心だなどと
無闇
(
むやみ
)
に感心する人がよくあるが、たちまち自分のぽけっとへ影響して来るんだから、露骨に熱心にもなろうし
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「ひとのうちへ
無闇
(
むやみ
)
に入って行くのはいい事じゃあないが、子供同志の事だから構わないだろう。」
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
先日も手紙で申上げたやうな
次第
(
わけ
)
で、当時差し
懸
(
かゝ
)
つた用事がありますので、
殆
(
ほとん
)
ど足を抜くことが出来ないのですが——何だか
無闇
(
むやみ
)
に貴女が恋しくなつたもんですから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
病気の根源を知らずに、
無闇
(
むやみ
)
と解熱剤や下痢止めを飲むことは、却って病状を悪化する。どんなに恢復を熱望しても、あせって悪い場合には、あせることは禁物である。
捨てる文化
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかし、それらのものは
金
(
きん
)
で
造
(
つく
)
つてありますけれども、その
作
(
つく
)
り
方
(
かた
)
はあまり
精巧
(
せいこう
)
でなく
美術的
(
びじゆつてき
)
といふよりも、たゞ
無闇
(
むやみ
)
に
金
(
きん
)
を
使
(
つか
)
つた
趣味
(
しゆみ
)
の
低
(
ひく
)
い
品物
(
しなもの
)
といふ
外
(
ほか
)
はないのです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
この
丈
(
たけ
)
の高いぶっきらぼうな
爺
(
じい
)
さんを、霊公が
無闇
(
むやみ
)
に賢者として尊敬するのが、南子には面白くない。自分を出し抜いて、二人同車して都を
巡
(
めぐ
)
るなどとはもっての外である。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「いえね。なんてえこともなく、ただこう
無闇
(
むやみ
)
に気ぜわしくてね、ははは、やりきれません」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ふつうの家庭では、なにかの時だけ、儀式的なことに、
無闇
(
むやみ
)
と飾りたてたりしながら、平常はぞんざいにものごとを扱っている
弊風
(
へいふう
)
があるのを、私はどうもおもしろく思わない。
鍋料理の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「けれど自覚と云うのは、自省ということをも含んでおるですからな、
無闇
(
むやみ
)
に意志や自我を振廻しては困るですよ。自分の遣ったことには自分が全責任を帯びる覚悟がなくては」
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
一、自ら著く進歩しつつあるが如く感じたる時、あるいは何とはなけれどただ
無闇
(
むやみ
)
に趣向の
溢
(
あふ
)
れ出るが如く感じたる時は、その機を
透
(
す
)
かさず幾何にても出来るだけものし見るべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
(阿難少時
緘黙
(
かんもく
)
、再び激昂の調子になり)その
刹那
(
せつな
)
、血塗った蓮華が何処よりともなくばらばらと飛んで来て、わたしの身心に
纏
(
まと
)
い付き、そしてわたしは
無闇
(
むやみ
)
にここへ運ばれて来た。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
糀街
(
こうじまち
)
」と
唐文字
(
からもじ
)
を
刺繍
(
ぬいとり
)
した
唐幡
(
とうばん
)
と
青龍幡
(
せいりゅうばん
)
を先にたて、
胡弓
(
こきゅう
)
、
蛇皮線
(
じゃびせん
)
、
杖鼓
(
じょうこ
)
、
磬
(
けい
)
、チャルメラ、
鉄鼓
(
てっこ
)
と、
無闇
(
むやみ
)
に吹きたて叩きたて、耳も
劈
(
つんざ
)
けるような異様な音でけたたましく囃してゆく。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
背後は丘を切り崩した赤土の
崖
(
がけ
)
だった。窓の前は
白楊
(
はくよう
)
や桜や
楓
(
かえで
)
などの植込みになっていた。乱雑に、しかも
無闇
(
むやみ
)
と植え込んだその落葉樹が、晩春から初秋にかけては真っ暗に茂るのだった。
錯覚の拷問室
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
良薬にも過量があるから、効くからといって、
無闇
(
むやみ
)
に量を多くのんだところで、かえって害になる。なにも、
強
(
し
)
いて多くの金を払って、相手の気持ちを不純にせんでもよかろうじゃないか。
瀞
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
はい、はい、
御尤
(
ごもっとも
)
で。実は
陸
(
おか
)
を参ろうと存じましてございましたが、ついこの
年者
(
としより
)
と申すものは、
無闇
(
むやみ
)
と気ばかり
急
(
せ
)
きたがるもので、
一時
(
いっとき
)
も早く
如来様
(
にょらいさま
)
が拝みたさに、こんな
不了簡
(
ふりょうけん
)
を起しまして。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
氏は物語の合間合間、自分の正しいことを力説したが、今から考えてみると、その
無闇
(
むやみ
)
な
激昂
(
げっこう
)
や他に対する
嫌味
(
いやみ
)
なまでの
罵倒
(
ばとう
)
も、皆自殺する前の悲しい叫びとして、私には充分理解できる気がする。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
安心してくれ、いくら俺でも、そう
無闇
(
むやみ
)
な真似をするもんか。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
無闇
(
むやみ
)
に酒を強いられぬうち腹を
拵
(
こしら
)
えて置くに
如
(
し
)
かずと佐助は別室へ引き退って先に夕飯の
馳走
(
ちそう
)
を受けたが
御飯
(
ごはん
)
を
戴
(
いただ
)
きますというのを
銚子
(
ちょうし
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
酒を呑まぬ媒妁は、ぽかんとして皆の酒を飲むのを眺めて居る。料理が出たが、菜食主義の彼は肉食をせぬ。腹は
無闇
(
むやみ
)
に減る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
此頃
(
このごろ
)
無闇
(
むやみ
)
に
金子
(
かね
)
が
失
(
な
)
くなつて
仕
(
し
)
やうが
無
(
な
)
いから、これ/\
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ事にして
来
(
き
)
た、
是
(
これ
)
で
誰
(
たれ
)
が取ると
云
(
い
)
ふのがチヤンと
解
(
わか
)
るね。
(洋)金の勘定を仕ずに来た
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは考えるのが悪いのでない、まだ考えるだけの智識と経験を蓄えないでただ
無闇
(
むやみ
)
に考えるからだとよく兄が申しますよ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だからそんなものを
無闇
(
むやみ
)
に造って使われたら大変なので、重い罪にしてあるそうだ。この
紙幣
(
さつ
)
の発行は日本銀行だけれども、
拵
(
こしら
)
えるのは印刷局だそうだ。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
風「チョオクの多少は
業
(
わざ
)
の巧拙には関せんよ。遊佐が
無闇
(
むやみ
)
に
杖
(
キュウ
)
を
取易
(
とりか
)
へるのだつて、決して
見
(
み
)
とも好くはない」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
またその試験というのが人工的に
無闇
(
むやみ
)
に程度を高く
捻
(
ね
)
じり上げたもので、それに手の届くように
鞭撻
(
べんたつ
)
された受験者はやっと数時間だけは持ちこたえていても
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
地下室の豪華
絢爛
(
けんらん
)
さに比べると二階はさながらに廃屋みたような感じである。窓が多くて
無闇
(
むやみ
)
に明るいだけに、粗末な壁や、ホコリだらけの板張が一層浅ましい。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ハハハハハハ、びっくりしなくてもいい。声さえ立てなければ、
無闇
(
むやみ
)
に発砲する訳じゃないんだから」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その人の
恩誼
(
おんぎ
)
をさらに感知しないで、見当違いの
方
(
かた
)
に
無闇
(
むやみ
)
に有難がっていることもあり得ると思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
“無闇”で始まる語句
無闇矢鱈