福岡あたりの電車は、小さな停留場を無闇に殖やして、お客を拾うことに腐心しているようであるが、東京では正反対だから面白い。
街頭から見た新東京の裏面 (新字新仮名) / 夢野久作、杉山萠円(著)
が、父は、賢の性質も考えず、自分達の生活程度のことも考えず、ただ無闇に、賢を大学にでもやって法律を学ばせ、あっぱれ偉いものにしようと考えていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記―― (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
これを知らずにいぎりすの店員は親切で熱心だなどと無闇に感心する人がよくあるが、たちまち自分のぽけっとへ影響して来るんだから、露骨に熱心にもなろうし
踊る地平線:02 テムズに聴く (新字新仮名) / 谷譲次(著)
病気の根源を知らずに、無闇と解熱剤や下痢止めを飲むことは、却って病状を悪化する。どんなに恢復を熱望しても、あせって悪い場合には、あせることは禁物である。
「いえね。なんてえこともなく、ただこう無闇に気ぜわしくてね、ははは、やりきれません」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「けれど自覚と云うのは、自省ということをも含んでおるですからな、無闇に意志や自我を振廻しては困るですよ。自分の遣ったことには自分が全責任を帯びる覚悟がなくては」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
アインシュタインの教育観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)