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況
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いはん
ふりがな文庫
“
況
(
いはん
)” の例文
況
(
いはん
)
や片々たる批評家の言葉などを顧慮してかかつてはいけません。片々たらざる批評家の言葉も顧慮せずにすめばしない方がよろしい。
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や
面
(
まのあた
)
りこれを語るをや。我は喜んで市長一家の人々と交れども、此の如き嫌疑を受くることを甘んじて、猶その家に出入すべくもあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
五月にいたりても人の手をつけざる
日蔭
(
ひかげ
)
の雪は
依然
(
いぜん
)
として山をなせり、
況
(
いはん
)
や
山林幽谷
(
さんりんいうこく
)
の雪は三伏の暑中にも消ざる所あり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
況
(
いはん
)
や好惡の念強かりしシヨオペンハウエルが如きもの、若くは僻境に居りて經驗少かりけるカントが如きもの、
爭
(
いか
)
でか偏僻頑陋と看做されざらむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『イカニ
況
(
いはん
)
ヤ、日蓮
今生
(
こんじやう
)
ニハ
貧窮下賤
(
ひんぐうげせん
)
ノ者ト生レ旃陀羅ガ家ヨリ出タリ。心コソ少シ法華経ヲ信ジタル様ナレドモ、身ハ人身ニ似テ畜身ナリ……』
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたし
)
は
此
(
これ
)
を、
難
(
なん
)
ずるのでも、
嘲
(
あざ
)
けるのでもない。
況
(
いはん
)
や
決
(
けつ
)
して
羨
(
うらや
)
むのではない。
寧
(
むし
)
ろ
其
(
そ
)
の
勇氣
(
ゆうき
)
を
稱
(
たゝ
)
ふるのであつた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
茫々
(
ぼうぼう
)
たる世間に放れて、
蚤
(
はや
)
く骨肉の親むべき無く、
況
(
いはん
)
や愛情の
温
(
あたた
)
むるに会はざりし貫一が身は、一鳥も過ぎざる枯野の広きに
塊然
(
かいぜん
)
として
横
(
よこた
)
はる石の如きものなるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
亦此病にかかることあり、大丈夫と威張るものの最後の場に臆したる、
卑怯
(
ひけふ
)
の名を博したるものが、急に猛烈の勢を示せる、皆是れ自ら解釈せんと欲して能はざるの現象なり、
況
(
いはん
)
や他人をや
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
況
(
いはん
)
や是は
南閣浮提
(
なんえんぶだい
)
の中には、唯一無双の御仏、長く
朽損
(
きうそん
)
の
期
(
ご
)
あるべしとも覚えざりしに、今毒縁の塵に
交
(
まじはり
)
て、久く悲を残し給へり。
梵釈
(
ぼんじやく
)
四王、竜神八部、
冥官
(
みやうくわん
)
冥衆
(
みやうしゆ
)
も、驚き
騒
(
さわぎ
)
給ふらんとぞ見えし。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
この、
況
(
いはん
)
や民の骨をくだける白米、人の血を絞れるごとき古酒、といふ言葉は
白米
(
おこめ
)
が玉のやうに、
白光
(
しろびか
)
りに光つて見える。民の骨を碎ける
白米
(
しらよね
)
、民の骨を碎ける
白米
(
しらよね
)
! げに有難い言葉ではないか。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
況
(
いはん
)
やすべて秀でたる
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
況
(
いはん
)
やこの理解の透徹した時は、模倣はもう
殆
(
ほとん
)
ど模倣ではない。たとへば今は古典になつた国木田独歩の「正直者」はモオパスサンの模倣である。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五月にいたりても人の手をつけざる
日蔭
(
ひかげ
)
の雪は
依然
(
いぜん
)
として山をなせり、
況
(
いはん
)
や
山林幽谷
(
さんりんいうこく
)
の雪は三伏の暑中にも消ざる所あり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
曰
(
いは
)
く、
晉
(
しん
)
の
石崇
(
せきそう
)
を
見
(
み
)
ずや、
渠
(
かれ
)
は
庶子
(
しよし
)
にして
尚
(
な
)
ほ
狐腋雉頭
(
こえきちとう
)
の
裘
(
かはごろも
)
あり。
況
(
いはん
)
や
我
(
われ
)
は
太魏
(
たいぎ
)
の
王家
(
わうか
)
と。
又
(
また
)
迎風館
(
げいふうくわん
)
を
起
(
おこ
)
す。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(流俗及
褻語
(
せつご
)
一四七面)
況
(
いはん
)
や逍遙子はさゝのやみどりに對して、わが批評に關しての意見は、近頃の讀賣新聞に、戲文もてほゞいひ顯しおきぬといひしをや。(文苑、明治二十四年九月)
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
況
(
いはん
)
や
金薄
(
きんぱく
)
半ば剥げたる大窓の
※
(
けづ
)
らざる板もて圍まれたるありて、大廈の一部まことに
朽敗
(
きうはい
)
になん/\としたるをや。既にして
梵鐘
(
ぼんしよう
)
は聲を
斂
(
をさ
)
めて、
檝
(
かぢ
)
の水を撃つ音より外、何の響をも聞かずなりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
況
(
いはん
)
や両氏の作品にもはるかに及ばない随筆には
如何
(
いか
)
に君に
促
(
いなが
)
されたにもせよ、
到底
(
たうてい
)
讃辞を奉ることは出来ない。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
親
(
おや
)
と
親
(
おや
)
との
許嫁
(
いひなづけ
)
でも、
十年
(
じふねん
)
近
(
ちか
)
く
雙方
(
さうはう
)
不沙汰
(
ぶさた
)
と
成
(
な
)
ると、
一寸
(
ちよつと
)
樣子
(
やうす
)
が
分
(
わか
)
り
兼
(
かね
)
る。
況
(
いはん
)
や
叔父
(
をぢ
)
と
甥
(
をひ
)
とで
腰掛
(
こしか
)
けた
團子屋
(
だんごや
)
であるから、
本郷
(
ほんがう
)
に
住
(
す
)
んで
藤村
(
ふぢむら
)
の
買物
(
かひもの
)
をするやうな
譯
(
わけ
)
にはゆかぬ。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
加之
(
しかのみなら
)
ず若し心術の上より論ぜば、我守護神たる聖母もこれよりは
復
(
また
)
我を憐み給はざるべし。
況
(
いはん
)
や此戀は果して能く成就せんや否や。我は口惜しきことながら、實に未だアヌンチヤタの心を知らざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
況
(
いはん
)
や聖霊の子供たちでないものは唯彼の言葉の中に「自業自得」を見出すだけである。「エリ、エリ、ラマサバクタニ」は事実上クリストの悲鳴に過ぎない。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鄰家
(
りんか
)
に
道術
(
だうじゆつ
)
の
士
(
し
)
あり。
童顏
(
どうがん
)
白髮
(
はくはつ
)
にして
年
(
とし
)
久
(
ひさ
)
しく
住
(
す
)
む。
或時
(
あるとき
)
談
(
だん
)
此
(
こ
)
の
事
(
こと
)
に
及
(
およ
)
べば、
道士
(
だうし
)
笑
(
わら
)
うて
曰
(
いは
)
く、それ
馬
(
うま
)
は、
日
(
ひ
)
に
行
(
ゆ
)
くこと
百里
(
ひやくり
)
にして
猶
(
なほ
)
羸
(
つか
)
るゝを
性
(
せい
)
とす。
況
(
いはん
)
や
乃
(
いま
)
、
夜
(
よる
)
行
(
ゆ
)
くこと
千里
(
せんり
)
に
餘
(
あま
)
る。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
況
(
いはん
)
や方今の青年子女、レツテルの英語は解すれども、四書の
素読
(
そどく
)
は
覚束
(
おぼつか
)
なく、トルストイの名は耳に熟すれども、
李青蓮
(
りせいれん
)
の号は眼に
疎
(
うと
)
きもの、
紛々
(
ふんぷん
)
として数へ難し。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殊に恋愛を歌つたものを見れば、其角さへ
木強漢
(
ぼくきやうかん
)
に見えぬことはない。
況
(
いはん
)
や後代の才人などは
空也
(
くうや
)
の痩せか、
乾鮭
(
からざけ
)
か、或は
腎気
(
じんき
)
を失つた若隠居かと疑はれる位である。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や僕等の人生観は、——恐らくは「いろは
骨牌
(
がるた
)
」の中に
悉
(
ことごと
)
く数へ上げられてゐることであらう。のみならずそれ等の新旧は文芸的な——或は芸術的な新旧ではない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や僕の
手巾
(
ハンケチ
)
を貰へば、「処女として最も清く尊きものを差上げます。」と言ふ
春風万里
(
しゆんぷうばんり
)
の手紙をやである。僕の思はず
瞠目
(
だうもく
)
したのも偶然ではないと言はなければならぬ。
変遷その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
黄大癡
(
くわうたいち
)
の如き巨匠さへも
此処
(
ここ
)
へは足を踏み入れずにしまつた。
況
(
いはん
)
や
明清
(
みんしん
)
の画人をやである。
支那の画
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
からすみを食はず、
況
(
いはん
)
や
烏賊
(
いか
)
の
黒作
(
くろづく
)
り(これは僕も四五日
前
(
ぜん
)
に始めて食ひしものなれども)
田端人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
書物さへ
既
(
すで
)
にさうである。
況
(
いはん
)
や書画とか
骨董
(
こつとう
)
とかは一度も集めたいと思つたことはない。
尤
(
もつと
)
もこれはと思つたにしろ、
到底
(
たうてい
)
我我売文の徒には手の出ぬせゐでもありさうである。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や現世の社会組織を一新する為に作つてゐるのではない。唯僕の
中
(
うち
)
の詩人を完成する為に作つてゐるのである。或は詩人兼ジヤアナリストを完成する為に作つてゐるのである。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
旦
(
あした
)
に
呉客
(
ごかく
)
の夫人となり、
暮
(
くれ
)
に
越商
(
ゑつしやう
)
の
小星
(
せうせい
)
となるも、
豈
(
あに
)
悉
(
ことごとく
)
病的なる娼婦型の女人と限る
可
(
べ
)
けんや。この故に僕は娼婦型の婦人の増加せる事実を信ずる能はず。
況
(
いはん
)
や貴問に答ふるをや。
娼婦美と冒険
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や妻子を養ふ以外に人生の意味を捉へ得ない、幸福なる天下の渡し守は
恰
(
あたか
)
も天才の情熱を犬の曲芸とでも間違へたやうに、三千年来
恬然
(
てんぜん
)
と「狂うて見せ候へ」を繰り返してゐる。
金春会の「隅田川」
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同時に又いつかお民の名は一村の外へも
弘
(
ひろ
)
がり出した。お民はもう「稼ぎ病」に夜も日も明けない若後家ではなかつた。
況
(
いはん
)
や村の若衆などの「若い
小母
(
をば
)
さん」ではなほ更なかつた。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の「大いなる異教徒」の名は必しも当つてゐないことはない。彼は実に人生の上にはクリストよりも更に大きかつた。
況
(
いはん
)
や他のクリストたちよりも大きかつたことは勿論である。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や唯物美学などと云ふものには更に縁のない
衆生
(
しゆじやう
)
である。しかし白柳氏の美の発生論は僕にも僕の美学を作る機会を与へた。白柳氏は造形美術以外の美の発生に言及してゐない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
予は父母を愛する
能
(
あた
)
はず。否、愛する能はざるに
非
(
あら
)
ず。父母その人は愛すれども、父母の外見を愛する能はず。
貌
(
かたち
)
を
以
(
もつ
)
て人を取るは君子の恥づる所也。
況
(
いはん
)
や父母の貌を
云々
(
うんぬん
)
するをや。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や門人の
杜国
(
とこく
)
との間に同性愛のあつたなどと云ふ説は
畢竟
(
ひつきやう
)
小説と云ふ外はない。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や彼等のゐる所に、築山や
四阿
(
あづまや
)
のあつた事は、誰一人考へもしないのだつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や今後もせち
辛
(
がら
)
いことは度たび辯ぜずにはゐられないであらう。かたがた今度の随筆の題も野人生計の事とつけることにした。勿論これも清閑を待たずにさつさと書き上げる随筆である。
野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
諸君の確信する所によれば、古今の才人は一人残らず諸君の愛顧を
辱
(
かたじけな
)
うしてゐる。
況
(
いはん
)
や最も特色のある才人などと云ふものの等閑に附せられてゐる筈はない。それは諸君の云ふ通りである。
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
やあの作品にさへ三歎の声を
惜
(
おし
)
まなかつた鑑賞上の神秘主義者などは勿論無上の
法悦
(
はふえつ
)
の為に即死を遂げたのに相違あるまい。クロオデル大使は紋服の為にこの位損な目を見てゐるのである。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や我我の地球をやである。しかし遠い宇宙の極、銀河のほとりに起つてゐることも、実はこの泥団の上に起つてゐることと変りはない。生死は運動の方則のもとに、絶えず循環してゐるのである。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や胃嚢を押し浸した酸はあらゆる享楽を不可能にしてゐた。のみならず当時の陳列品には余り傑作も見えなかつたらしい。僕はまづ仏画から、陶器、仏像、古墨蹟と順々に悪作を発見して行つた。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
(
いはん
)
や小説から戯曲にするのは恥辱でも何でもない筈である。
小説の戯曲化
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
況
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“況”を含む語句
状況
景況
近況
盛況
実況
戰時好況時代
被害状況
犯罪状況
況又大勢由人事
況倉卒吐言
概況
暗殺状況
旅況
不況
戦況
情況
市況
實況
場況見
場況
...