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截
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き
ふりがな文庫
“
截
(
き
)” の例文
十坪程の表庭の草木は、
硝子箱
(
ガラスばこ
)
の中の標本のように、くっきり
茎目
(
くきめ
)
立って、一きわ明るい日暮れ前の光線に、形を
截
(
き
)
り出されている。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ペムペルがキャベジの太い根を
截
(
き
)
ってそれをはたけにころがすと、ネリは両手でそれをもって水いろに
塗
(
ぬ
)
られた一輪車に入れるのだ。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
頼む人に一分の利益をも与える事ならば、自己の名聞を捨てて頼まれてやるがいい。仏菩薩は人に
請
(
こ
)
われれば身肉手足さえも
截
(
き
)
った。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
凹字
(
おうじ
)
型の古びた木枕を頭部に当てがいますと、大きな銀色の
鋏
(
はさみ
)
を取上げて、全身を巻立てている繃帯をブツブツと
截
(
き
)
り開く
片端
(
かたはし
)
から
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先ず
庖丁
(
ほうちょう
)
を
執
(
と
)
って背の方の首の処をちょいと
截
(
き
)
りまして中へ指を入れて鶏の
前胃
(
ぜんい
)
を
抽出
(
ひきだ
)
しました。あの通りスルスルと楽に出ます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
金を取られた上に
截
(
き
)
られてたまるものか、さつきてめえの方の
裹
(
つつみ
)
にちちうが有つたら
赦
(
ゆる
)
さねえと云つたろう、有つたか、有りやあしめえ
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
山林の土中に棲み、眼至って小さく、両齶に歯あり、尾甚だ短く太く、斜めに
截
(
き
)
り取られたようで、その端円盾のごとく、その表面
粗
(
あら
)
し。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
呑む事ができなければ呑まれてしまうが好い。もし両方共困難ならぷつりと縁を
截
(
き
)
って、独立自尊の態度で敵を見ているがいい。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大浅間の頂は、真っ黒な雪雲に掩われて窺い知れないが、南佐久の遙かな空には真っ白な蓼科山が鋭い線を描いて、高く天界を
截
(
き
)
っていた。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
『
莫迦
(
ばか
)
な事を言え。
先
(
ま
)
ず青空を十里四方位の
大
(
おおき
)
さに
截
(
き
)
って、それを圧搾して石にするんだ。石よりも堅くて青くて
透徹
(
すきとお
)
るよ』
火星の芝居
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
そのころになると、私の家の附近いったいの森はすべて
截
(
き
)
り払われ、空地には私の家より大きな家が次ぎ次ぎに建ち出した。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その西の手から東の手へ、
一条
(
ひとすじ
)
の糸を渡したので町幅を
截
(
き
)
って
引張
(
ひっぱり
)
合って、はらはらと走り、三ツ四ツ小さな顔が、
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る見返り、見返り
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その古株から新しい花を咲かせるには、毎年、冬にかかるころ、虫の
蝕
(
つ
)
いた古株を
截
(
き
)
って、新芽の育つように
剪定
(
せんてい
)
してやる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一枚を半分に
截
(
き
)
ると、八五郎が
托
(
たく
)
された結び文と同じ繪を三つ、——念入りに眞似たくせに、わざと少しづつ寸法を變へたのを描きました。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして『一、二、三、四、五』と云ひながら指で伐り倒した木の
截
(
き
)
り口の上をコツ/\叩いてゐます。叔父さんは一体何を数へてゐるのでせう?
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
禽
(
とり
)
は横に
逸
(
そ
)
れて、
截
(
き
)
られた羽が、動揺した空気に白く舞った、一行手取りにするつもりで、暫く追いかけて見たが、掌中の物にはならなかった。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
稜角の
尖
(
するど
)
い破片岩の露出が尾根を「窓」状に
截
(
き
)
っている場所も二、三ヶ所あった。それでも藪よりは此方が
遥
(
はるか
)
に楽である。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
何心なく
其面
(
そのかお
)
を
瞻上
(
みあ
)
げて尾を
掉
(
ふ
)
る所を、思いも寄らぬ太い棍棒がブンと風を
截
(
き
)
って来て……と思うと、又胸が一杯になる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その及びもつかぬ魚情に惚れて、一竿一糸をもつて情誼を尽さうといふのだ。剣を放つて春風を
截
(
き
)
るの概もあらう。然りである。魚は美人である。
魚美人
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
「
阿呍
(
あうん
)
の間を
截
(
き
)
る
一拶
(
いっさつ
)
の気合、まさしく奥義の御伝授と拝察つかまつりました、御流儀の秘伝まさに会得いたしてござります、かたじけのう……」
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
また知るべし、
二
(
ふたつ
)
の
區劃
(
しきり
)
を
線
(
すぢ
)
の
半
(
なかば
)
にて
截
(
き
)
る
段
(
きだ
)
より下にある者は、己が功徳によりてかしこに坐するにあらず 四〇—四二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
罪あらば罪を得ん、人間の加え得る罪は何かあらん。事を決する元来
癰
(
よう
)
を
截
(
き
)
るがごとし、多少の痛苦は忍ぶべきのみ。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いつも落ちかかって来る窓ぶたに語尾を押し
截
(
き
)
られるように、じゃ元気で、という重吉の声の抑揚は忘られなかった。
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
人々は生面の客あるを見ても、絶て怪み
訝
(
いぶか
)
ることなく、我に
榻
(
こしかけ
)
を與へて坐せしめ、我に
盞
(
さかづき
)
を與へて飮ましめ、
肴
(
さかな
)
せんとて
鹽肉團
(
サラメ
)
をさへ
截
(
き
)
りてくれたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一帯が岩山で、
截
(
き
)
ったった岩壁がいきなりに海から立ちあがり、ちょうど
釣鐘
(
つりがね
)
を伏せたような恰好になっている。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこへナイフが一つ現れ、真二つにオレンジを
截
(
き
)
ってしまう。白いオレンジの
截断面
(
せつだんめん
)
は一本の磁針を現している。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
然るに
独
(
ひとり
)
吾輩の如き世間無用の
間人
(
かんじん
)
にあつては、あたかも陋巷の湫路今なほ車井戸と
総後架
(
そうごうか
)
とを保存せるが如く、
七夕
(
たなばた
)
には妓女と
彩紙
(
いろがみ
)
を
截
(
き
)
つて狂歌を吟じ
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ぽっかりと、そこに真夏の闇が
截
(
き
)
られ、歌声はあのか細く張りつめた声音で、次第に私たちの窓に近くなった。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
沿岸は
截
(
き
)
り立っていて山が高く、山の尾根が海から
岬角
(
みさき
)
のようにつき出て、その間々に広い入江をなしている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
次で金澤蒼夫さんを訪うて、系譜を
閲
(
けみ
)
し談話を聽き、壽阿彌去後の眞志屋のなりゆきを追尋して、あらゆるトラヂシヨンの絲を斷ち
截
(
き
)
つた維新の期に
迨
(
およ
)
んだ。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
興聖寺の
石門
(
せきもん
)
は南面して正に宇治の
急流
(
きゅうりゅう
)
に対して居る。岩を
截
(
き
)
り開いた琴阪とか云う
嶝道
(
とうどう
)
を上って行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
引き出せるのも道理、可なりな厚味のあるべきものが、それ一つだけ他の石の半分より薄く
截
(
き
)
ってあり、裏側に、長さ七八寸ばかりの柄のような
把手
(
とって
)
が刻んである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女は逃げて
大多和義久
(
おおたわよしひさ
)
の家へ往った。それを知った頼朝は、事にかこつけて義久の家へ往って、宗親を呼ばして
罵
(
ののし
)
り、怒りに
顫
(
ふる
)
える手に刀を抜いて宗親の髪を
截
(
き
)
った。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
三稜に
截
(
き
)
って落したグラートから閃光を放って直視するに耐えない、やや低いウィルデフラウの絶壁は、真ッ黒にきっ立った岩角が、殆ど太陽の黒点を想わせる……。
続スウィス日記(千九百二十三年稿)
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
千葉県を横断して、茨城県に通ずる幅の広い県道を、風を
截
(
き
)
って
驀進
(
ばくしん
)
する一台の幌自動車があった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
夥
(
おびただ
)
しい数の氏人などから、すっかり
截
(
き
)
り離されて、自由な空にかけって居る自分ででもあるような、豊かな心持ちが、暫らくは払っても払っても、消えて行かなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
それ程の寒さにあつても、人々は家の内に蟄して、
炬燵
(
こたつ
)
に
臀
(
しり
)
を暖めてゐることを許されない。昼は氷上に出て漁猟をする人々があり、夜は氷を
截
(
き
)
つて氷庫に運ぶ人々がある。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
製法 磨製石斧の
製法
(
せいはふ
)
は現存石器時代人民の
爲
(
な
)
す所に
由
(
よ
)
つても
知
(
し
)
るを得れと、
遺跡
(
ゐせき
)
に於て
獲
(
う
)
る所の
截
(
き
)
り
掛
(
か
)
けの
凹
(
くぼ
)
み有る石片截り目を存する
石斧
(
いしおの
)
、
刄
(
は
)
の
鈍
(
にぶ
)
きもの刄の鋭きもの
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
キミ子の釣竿は青空に弧を描いたが、それはまつしろな腕が鋭く空を
截
(
き
)
ることであり、水面に垂れたまつしろな脚がゆるやかに動くことであつた。二人は毎日ボートに乗つた。
外套と青空
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
種々
(
いろいろ
)
と図の
四縁
(
しえん
)
を折り曲げて合わせていたが、「法水君、
洒落
(
しゃれ
)
はよしにし給え。幅広い
刃形
(
やいばがた
)
はしているが、非常に正確な線だよ。いったいどこに、後から
截
(
き
)
った跡があるのだ?」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
の一句、
僅
(
わず
)
かに前の湯婆の句と種類を同じうするのみ。この句の意は黒塚の鬼女が局女を捕へてその肉か子ごもりを
截
(
き
)
り取り、これを火鉢の上にて
炙
(
あぶ
)
りなどしをる処なるべし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
廃墟
(
はいきょ
)
の上にはぞろぞろと人間が毎日歩き廻った。人間はぞろぞろと歩き廻って何かを探していたのだろうか。新しく
截
(
き
)
りとられた宇宙の傷口のように、廃墟はギラギラ光っていた。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そこには、これから架橋工事が始まるらしく四角に
截
(
き
)
った
御影石
(
みかげいし
)
が幾つもごろごろと置いてあった。彼女は彼の手を掴んだままその一つに腰を下ろした。彼もその傍らに腰を据えた。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それで私が、はじめて善悪というものを横に
截
(
き
)
る。「善悪を横に截る道」というのを、私の『絶対的生活』の書物の始めに書いてありますが、善悪の解決は縦には截れぬが、横には截れる。
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
中にも面白きは
清国人
(
しんこくじん
)
の何れの身分ある人物にや、
緞子
(
どんす
)
の服の美々しきが、一
大皿
(
だいへい
)
を片手に、片手はナイフ、フオクを握りて、魚と云はず、鳥と云はず片端より
截
(
き
)
りては載せ、截りては載せ
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
六面体では、対自性上の価値的対立と、対他性上の非価値的対立とは、上下の正方形の二対の対角線が六面体を垂直に
截
(
き
)
ることによって生ずる二つの互に垂直に交わる矩形によって表わされている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
多年剣を学んで霊場に在り 怪力真に成る鼎
扛
(
ひし
)
ぐべし
鳴鏑
(
めいてき
)
雲を穿つて咆虎
斃
(
たお
)
る 快刀浪を
截
(
き
)
つて毒竜降る
出山
(
しゆつざん
)
赤手強敵を
擒
(
とりこ
)
にし 擁節の青年大邦に使ひす
八顆
(
はちか
)
の明珠皆楚宝 就中
一顆
(
いつか
)
最も無双
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
汪は刀で黄な衣服を着た者の
臂
(
ひじ
)
を
截
(
き
)
った。臂が落ちた。黄な衣服を着た者はそこで逃げていった。白い衣服を着た者が汪に飛びかかって来た。汪は刀でその
顱
(
あたま
)
を切った。顱は水の中に堕ちて音がした。
汪士秀
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
截
(
き
)
れむ柴垣。燒けむ柴垣。 (歌謠番號一一〇)
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
注げば空を
疾
(
と
)
く
截
(
き
)
りて大音震ふ
電働機
(
モオトル
)
や
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
截
漢検1級
部首:⼽
14画
“截”を含む語句
直截
截然
截断
横截
半截
截石
截切
截片
腹部截開
截鉄
断截
截割
縦截
直截的
簡明直截
細截
明截
截餘
截頭機
截開
...