“一拶”の読み方と例文
読み方割合
いっさつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
場合が場合だから、そんな深遠な人生問題、むしろ哲学的な命題について一拶いっさつをくらおうとは、夢にも思わなかったのである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
最上の戦には一語をも交うる事を許さぬ。拈華ねんげ一拶いっさつは、ここを去る八千里ならざるも、ついに不言にしてまた不語である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昔は一国の帝王が法王の寛恕かんじょを請うために、乞食の如くその膝下ひざもとに伏拝した。又或る仏僧は皇帝の愚昧なる一言を聞くと、一拶いっさつを残したまま飄然ひょうぜんとして竹林に去ってしまった。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)