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せいばい
ふりがな文庫
“
成敗
(
せいばい
)” の例文
小六の胸には、
馬謖
(
ばしょく
)
を斬るの気もちで——
甥
(
おい
)
の
成敗
(
せいばい
)
を決心していながらもまだ——情と正義とが、割りきれずに、乱れ合っていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いっそ、今夜のかえりに、この二人を、まとめて
成敗
(
せいばい
)
してのけてつかわそうか? 高の知れた素町人、当て殺そうも心のままじゃ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
成敗
(
せいばい
)
か。勘当か、二つに一つじゃが、まずは勘当かな。命を取るもあまりに無慈悲じゃ。いずれにしても権右衛門。よう教えてくれた。礼を
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今
(
いま
)
、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
の
成敗
(
せいばい
)
を
一身
(
いつしん
)
に
擔
(
にな
)
へる
貴下
(
きか
)
の
身命
(
しんめい
)
は、
吾等
(
われら
)
の
身命
(
しんめい
)
に
比
(
ひ
)
して、
幾十倍
(
いくじふばい
)
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
爲
(
ため
)
に
愛惜
(
あいせき
)
すべきものなり。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
殿
(
との
)
さまに
願
(
ねが
)
ひまする、
是非
(
ぜひ
)
ともお
成敗
(
せいばい
)
の
下
(
くだ
)
さりませい。ロミオはチッバルトを
殺
(
ころ
)
したからは、
生
(
いか
)
してはおかれませぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
経世家は
然
(
しか
)
らず、時勢を
観
(
み
)
、人情を察し、如何なる場合においても、調子
外
(
はず
)
れの事を為さず。その運動予算の外に出でず。その予算
成敗
(
せいばい
)
の外に出でず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
人間においてもまたそうと思う。野蛮時代には
武
(
ぶ
)
ばる一方で、永久に続くことは出来ぬ。
喧嘩
(
けんか
)
して世を渡るものは喧嘩両
成敗
(
せいばい
)
で共倒れして後がつづかぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
主命を拒む不忠者を
成敗
(
せいばい
)
いたすという訳で今日にも討手を差し向けて花村様のお屋敷を取り囲もうという大騒動。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
古
(
いにしえ
)
より今に至るまで、
成敗
(
せいばい
)
の跡、禍福の運、人をして
思
(
おもい
)
を
潜
(
ひそ
)
めしめ
歎
(
たん
)
を発せしむるに
足
(
た
)
るもの
固
(
もと
)
より多し。されども人の奇を好むや、
猶
(
なお
)
以
(
もっ
)
て足れりとせず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、彼女はいつになく、美しい眼の色を変えて、彼の我儘を
咎
(
とが
)
め立てた。その怒を犯してまでも、犬を
成敗
(
せいばい
)
しようと云う勇気は、すでに彼には失われていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どうなさいました」比企一隆斎が口をきって、「この坊主は何ものです! こいつを
成敗
(
せいばい
)
なさいますか」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「売られた喧嘩であろうとも、出入りがあった上は両
成敗
(
せいばい
)
じゃ。何かと芝居の邪魔になる。早う出い!」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
愛に失敗するものもまた必ず自己を善人と思う。
成敗
(
せいばい
)
に論なく、愛は一直線である。ただ愛の尺度をもって万事を律する。成功せる愛は同情を乗せて走る
馬車馬
(
ばしゃうま
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それ以来、私は、無実の罪を得て
成敗
(
せいばい
)
を受けた猫のために謝罪する心持で、鰹の刺身だけは口に
上
(
のぼ
)
さぬように心掛け、六十一の還暦までは、それを堅く守っておりました。
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
駐在所で意気地が無くつて、何うする事も出来ねえけりや、村で
成敗
(
せいばい
)
するより仕方が無えだ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
仰せ付らるゝとも
自業自得
(
じごふじとく
)
の儀に候へば
聊
(
いさゝ
)
かも
恨
(
うら
)
むる所なし係り合の者共は
何卒
(
なにとぞ
)
御
慈悲
(
じひ
)
の御
成敗
(
せいばい
)
願
(
ねが
)
はしく存じ奉つり候とて己れが舊惡を
悉皆
(
こと/″\
)
く白状に及びしかば
夫
(
それ
)
より
口書
(
こうしよ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
釈尊誕生の
法会
(
ほうえ
)
とは交渉なく、日の
物忌
(
ものいみ
)
に天道を
祀
(
まつ
)
るものなるべく、千早ふる卯月八日は吉日よ、神さけ虫を
成敗
(
せいばい
)
ぞする、と申すまじない歌と相
俟
(
ま
)
って意味の深い行事である。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その第一は舊主の
成敗
(
せいばい
)
を仰ぐべく三成の邸を訪ねて行った時であって、まだそれまでは、一の台の局に同情していたと云っても、一方に武士の
矜
(
ほこ
)
りを捨てゝいなかったと云える。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
江戸表におらるる殿にかわって、父が
成敗
(
せいばい
)
いたしてくれたようなわけなのじゃ。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
狂言「
入間川
(
いるまがわ
)
」に、入間言葉の
逆
(
さか
)
さまごとの滑稽から、自分で川の深みに
陥
(
はま
)
り込んだ
大名
(
だいみょう
)
が、「
諸侍
(
しょざむらい
)
」に欲しくも無い水をくれた程に、「
成敗
(
せいばい
)
するぞ」と大威張りに威張ったところがある。
「特殊部落」と云う名称について
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
武士たるものは、不義ものを
成敗
(
せいばい
)
するはかえって名誉じゃ、とこうまで間違っては事面倒で。たって、裁判沙汰にしないとなら、生きておらぬ。
咽喉笛
(
のどぶえ
)
鉄砲じゃ、
鎌腹
(
かまばら
)
じゃ、奈良井川の
淵
(
ふち
)
を知らぬか。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一、一切高声仕り候者これあらば、きつと
成敗
(
せいばい
)
仕るべく候。
厳島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「五郎がちと手荒にしたので、今朝はぐったりと、ヘバっております。ところで、
彼奴
(
きゃつ
)
の
成敗
(
せいばい
)
は、われらにお任せ願われようか」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二つに一つの
成敗
(
せいばい
)
を猶予するような次郎左衛門ではなかった。十両の金をくれて
長
(
なが
)
の
暇
(
いとま
)
は、この主人としては勿体ないほどに有難い慈悲の
捌
(
さば
)
きであった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
汝
(
なんぢ
)
、
此度
(
このたび
)
の
使命
(
しめい
)
の
成敗
(
せいばい
)
は、
我
(
わ
)
が
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
が、
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
守護
(
まもり
)
として、
世
(
よ
)
に
現出
(
げんしゆつ
)
する
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るか、
否
(
いな
)
かの
分
(
わか
)
れ
目
(
め
)
であるぞ。
極
(
きは
)
めて
機敏
(
きびん
)
に、
極
(
きは
)
めて
愼重
(
しんちよう
)
なれ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
この分じゃあ、一ばんの強敵、三斎隠居だって、怖れるこたあねえ——一気に、どしどし
成敗
(
せいばい
)
してやるがいい
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「おお解りました。あの男——市之丞とか云う敵の
捕虜
(
とりこ
)
を
成敗
(
せいばい
)
なさるのでございますね」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何樣
(
いかやう
)
の御
成敗
(
せいばい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「おお、きょうのような
吉日
(
きちじつ
)
はまたとない。いかにもこの場できゃつを
成敗
(
せいばい
)
いたそう、その
介錯
(
かいしゃく
)
もそちに命じる! ぬかるな!」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、かばいだてしようなどとは、いよいよ以て許されぬ。それへ直れ、押し並べて、二人とも
成敗
(
せいばい
)
する
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
平助と又蔵は無論にその不調法をきびしく叱られたが、主人は物の分かった人であるので、この不調法の家来どもに対して
一途
(
いちず
)
にひどい
成敗
(
せいばい
)
を加えようとはしなかった。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
草葉
(
くさば
)
の
露
(
つゆ
)
と
消
(
き
)
えてしまはねばならぬのであるから
成敗
(
せいばい
)
は
元
(
もと
)
より
豫期
(
よき
)
し
難
(
がた
)
いが、
出來得
(
できう
)
る
丈
(
だ
)
けの
手段
(
しゆだん
)
は
盡
(
つく
)
さねばならぬと
考
(
かんが
)
へたので、
遂
(
つひ
)
に
意
(
ゐ
)
を
决
(
けつ
)
して、
吾等
(
われら
)
は
此
(
この
)
急難
(
きふなん
)
をば
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「右の端の女は
桔梗
(
ききょう
)
だな、よしよし桔梗から
成敗
(
せいばい
)
しよう!」云ったかと思うと、弓の折れがヒラリと
虚空
(
こくう
)
に
閃
(
ひらめ
)
いたが
忽
(
たちま
)
ち風を切る音がしてしたたか鞭は右の端の桔梗という女の肩を打った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「武蔵めは、国法を犯した大罪人、しかも、関ヶ原の残党、断じてその方どもの手で処置することは相成らん。
成敗
(
せいばい
)
は、お
上
(
かみ
)
においてなされる」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
即座
(
そくざ
)
に
成敗
(
せいばい
)
されるに決まっている。いっそ師匠を亡きものにして、お常と末長く添い通そうと考えた。また一方の喜平次は、武芸にかけては此の道場でおれに及ぶ者はない。
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いずれ何十万石という、大名の屋敷には相違なかろうが、
女掏摸
(
おんなすり
)
を
成敗
(
せいばい
)
するため、わざわざ引き出した
白洲
(
しらす
)
にしては、あまり舞台が勝ちすぎる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当家の妾たまと申す者、家来と不義のこと露顕いたし候
間
(
あいだ
)
、
後
(
のち
)
の月見の夜、両人ともに
成敗
(
せいばい
)
を加え候ところ、女の亡魂さまざまの祟りをなすに付、その黒髪をここにまつりおき候事。
月の夜がたり
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お扱いはかたじけないが、すべて、
成敗
(
せいばい
)
すべき者も、時には、ゆるすこともあり、また、さまでの落度でない場合も、断じてゆるされぬ時もあるものです。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なんの、乱心は、伯耆守こそ。——伝右は、正気じゃ。国を売る忘恩の賊を、
成敗
(
せいばい
)
せいで、何とする」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わたしも
咎
(
とが
)
を
負
(
お
)
うて、菊といっしょにお城を出ます。どうか菊とふたりでご追放を命じてください。さもなければ、ふたりを並べてご
成敗
(
せいばい
)
あそばしてもかまいません」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、この甥の
悪行
(
あくぎょう
)
に怒って、遠く甲州境まで、一族をつれて
成敗
(
せいばい
)
に追いまわしたものである。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さて、前年の約束どおり、八月初めには、
御地
(
おんち
)
へまかり越え、かねがね振舞うに
委
(
まか
)
せておいた佐々成政を
成敗
(
せいばい
)
して、
積年
(
せきねん
)
、
禍乱
(
からん
)
の地を正して、秩序を明らかにしたいと思う。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
面倒
(
めんどう
)
じゃ!
痩
(
やせ
)
浪人を
荒蓙
(
あらむしろ
)
へのせて水の用意ッ」阿波守が呼ばわると、「はっ」と庭先にいた天堂一角や番士たち、あわただしく働いて、瞬間に
成敗
(
せいばい
)
すべき死の座を作る。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とりわけ、大坂城にあった
織田信澄
(
おだのぶずみ
)
は、光秀の
女婿
(
じょせい
)
でもあるし、その父の織田信行は、かつて信長の
成敗
(
せいばい
)
をうけている。一族とはいえ、父を信長に殺されているその子の信澄である。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「両人とも待て。——立ち騒いで
鎮
(
しず
)
まらぬと、ふたりともに、
成敗
(
せいばい
)
いたすぞ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それも、それをやる者の
如何
(
いかん
)
にもよるが、常陸源氏の嫡子や二男三男らが手を下すならば、周囲や近国でも、その
成敗
(
せいばい
)
に、苦情をいい出す者はあるまい。国司ノ庁などは、どうにでも動く。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まいちど、眼を開いて下され、ものをいうてたもい。……これ、どうしたものじゃ、この婆を見捨てて先へ
逝
(
い
)
くという法があろうか。——まだ武蔵も討たずに、お通
阿女
(
あま
)
の
成敗
(
せいばい
)
も果さぬのに」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそのあとで間もなく衣笠久左衛門の口から、菩提山城に
質子
(
ちし
)
として養われていた主君の子が、
成敗
(
せいばい
)
に遭って、ついに竹中半兵衛の手から安土へ渡されたという事実を
披露
(
ひろう
)
されると、一同は
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
成敗
(
せいばい
)
は、
此方
(
このほう
)
らがする。おまえ達は、持場へ行って仕事にかかれ」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
はゆうゆうとして、三人目の
成敗
(
せいばい
)
にかかろうとしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“成敗”の意味
《名詞1》
成 敗(せいはい)
成功と失敗。
《名詞2》
成 敗(せいばい、稀:せいはい)
裁決。執政。処置。
懲(こ)らしめ。懲罰。処罰。
斬罪。処刑。
《動詞》
裁決する。処置する。
懲(こ)らしめる。懲罰する。処罰する。
斬り殺。処刑する。
(出典:Wiktionary)
成
常用漢字
小4
部首:⼽
6画
敗
常用漢字
小4
部首:⽁
11画
“成”で始まる語句
成
成程
成就
成行
成人
成仏
成長
成立
成功
成績