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懷手
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ふところで
ふりがな文庫
“
懷手
(
ふところで
)” の例文
新字:
懐手
「なんて挨拶だ。いきなり人の前へ坐つて、
懷手
(
ふところで
)
をしたまゝ長い
頤
(
あご
)
を撫でながら——暇ですかえ——といふ言ひ草は?」
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これが
半纏
(
はんてん
)
向
(
むか
)
うはち
卷
(
まき
)
の
威勢
(
ゐせい
)
の
好
(
い
)
いのでなく、
古合羽
(
ふるがつぱ
)
に
足駄穿
(
あしだば
)
き
懷手
(
ふところで
)
して、のそり/\と
歩行
(
ある
)
きながら
呼
(
よ
)
ぶゆゑをかし。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
書きかけの英作文にも取り留めのない疑ひのみ頻りに起つて容易に書き續けられなかつたので、
懷手
(
ふところで
)
をしてぼんやり、風に
唸
(
うめ
)
いてゐる障子を見てゐた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
宗助
(
そうすけ
)
はそれから
懷手
(
ふところで
)
をして、
玄關
(
げんくわん
)
だの
門
(
もん
)
の
邊
(
あたり
)
を
能
(
よ
)
く
見廻
(
みまは
)
つたが、
何處
(
どこ
)
にも
平常
(
へいじやう
)
と
異
(
こと
)
なる
點
(
てん
)
は
認
(
みと
)
められなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
裏戸
(
うらど
)
の
口
(
くち
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
たが、
掛金
(
かけがね
)
には
栓
(
せん
)
を
揷
(
さ
)
したと
見
(
み
)
えて
動
(
うご
)
かなかつた。
卯平
(
うへい
)
はそれから
懷手
(
ふところで
)
をした
儘
(
まゝ
)
其
(
そ
)
の
癖
(
くせ
)
の
舌
(
した
)
を
鳴
(
な
)
らしながら
悠長
(
いうちやう
)
に
自分
(
じぶん
)
の
狹
(
せま
)
い
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
十二月三十日
(
じふにぐわつさんじふにち
)
の
夜
(
よ
)
、
吉
(
きち
)
は
坂上
(
さかうへ
)
の
得意場
(
とくいば
)
へ
誂
(
あつら
)
への
日限
(
にちげん
)
の
遲
(
おく
)
れしを
詫
(
わ
)
びに
行
(
ゆ
)
きて、
歸
(
かへ
)
りは
懷手
(
ふところで
)
の
急
(
いそ
)
ぎ
足
(
あし
)
、
草履
(
ざうり
)
下駄
(
げた
)
の
先
(
さき
)
にかゝるものは
面白
(
おもしろ
)
づくに
蹴
(
け
)
かへして、ころ/\と
轉
(
ころ
)
げる
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「膝と肩を使つて開きますよ。錢形の親分の城廓と來た日にや、
懷手
(
ふところで
)
をしたまゝ、何處からでも入れる」
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
水仙
(
すゐせん
)
薫
(
かを
)
る
浮世小路
(
うきよこうぢ
)
に、やけ
酒
(
ざけ
)
の
寸法
(
すんぱふ
)
は、
鮟鱇
(
あんかう
)
の
肝
(
きも
)
を
解
(
と
)
き、
懷手
(
ふところで
)
の
方寸
(
はうすん
)
は、
輪柳
(
わやなぎ
)
の
絲
(
いと
)
を
結
(
むす
)
ぶ。
結
(
むす
)
ぶも
解
(
と
)
くも
女帶
(
をんなおび
)
や、いつも
鶯
(
うぐひす
)
の
初音
(
はつね
)
に
通
(
かよ
)
ひて、
春待月
(
はるまちつき
)
こそ
面白
(
おもしろ
)
けれ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
宗助
(
そうすけ
)
は
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
懷手
(
ふところで
)
をして
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
つてゐた。さうして
床
(
とこ
)
が
敷
(
し
)
けるや
否
(
いな
)
や、そこ/\に
着物
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てゝ、すぐ
其中
(
そのなか
)
に
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んだ。
御米
(
およね
)
は
枕元
(
まくらもと
)
を
離
(
はな
)
れ
得
(
え
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しばらくすると、
玄關
(
げんくわん
)
の
襖
(
ふすま
)
が、いつになく、
妙
(
めう
)
に
靜
(
しづか
)
に
開
(
あ
)
いて、
懷手
(
ふところで
)
で
少
(
すこ
)
し
鬱
(
うつ
)
した
先生
(
せんせい
)
が
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長火鉢の前にドカリと坐つた八五郎は、
懷手
(
ふところで
)
も拔かずに、鼻の穴を擴げるのです。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
のみならず、
斯
(
こ
)
んな
人
(
ひと
)
の
常態
(
じやうたい
)
として、
紙入
(
かみいれ
)
の
底
(
そこ
)
が
大抵
(
たいてい
)
の
場合
(
ばあひ
)
には、
輕擧
(
けいきよ
)
を
戒
(
いまし
)
める
程度内
(
ていどない
)
に
膨
(
ふく
)
らんでゐるので、
億劫
(
おくくふ
)
な
工夫
(
くふう
)
を
凝
(
こら
)
すよりも、
懷手
(
ふところで
)
をして、ぶらりと
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
る
方
(
はう
)
が、つい
樂
(
らく
)
になる。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがて
着流
(
きなが
)
し
懷手
(
ふところで
)
にて、
冷
(
つめた
)
さうな
縁側
(
えんがは
)
に
立顯
(
たちあらは
)
れ、
莞爾
(
につこ
)
として
曰
(
いは
)
く、
何處
(
どこ
)
へ。あゝ
北八
(
きたはち
)
の
野郎
(
やらう
)
とそこいらまで。まあ、お
入
(
はひ
)
り。いづれ、と
言
(
い
)
つて
分
(
わか
)
れ、
大乘寺
(
だいじようじ
)
の
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
り、
駒込
(
こまごめ
)
に
出
(
い
)
づ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
懷手
(
ふところで
)
をして立つて見て居るんだもの、町内の人でせう」
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
よう……
今
(
いま
)
前途
(
ゆきさき
)
を
聞
(
き
)
いたのに、
道草
(
みちぐさ
)
をするは、と
氣
(
き
)
がさして、
燒芋屋
(
やきいもや
)
の
前
(
まへ
)
を
振返
(
ふりかへ
)
ると、
私
(
わたし
)
に
教
(
をし
)
へた
時
(
とき
)
、
見返
(
みかへ
)
つた、
其
(
そ
)
のまゝに、
外
(
そと
)
を
向
(
む
)
いて、こくり/\と
然
(
さ
)
も
暖
(
ぬく
)
とさうな
懷手
(
ふところで
)
の
居睡
(
ゐねむ
)
りする。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ちゆうひやら/\と
角兵衞獅子
(
かくべゑじし
)
、
暢氣
(
のんき
)
に
懷手
(
ふところで
)
で
町内
(
ちやうない
)
を
囃
(
はや
)
して
通
(
とほ
)
る。
城の石垣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
懷手
(
ふところで
)
して、
肩
(
かた
)
が
寒
(
さむ
)
い。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
懷
部首:⼼
19画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
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懷
懷中
懷紙
懷姙
懷劍
懷胎
懷妊
懷劒
懷想
懷疑