御沙汰ごさた)” の例文
今日けふ江戸表御老中えどおもてごらうぢうから、御奉書おほうしよ到着たうちやくいたした。一にち支度したく三日みつか道中だうちうで、出府しゆつぷいたせとの御沙汰ごさたぢや。』と、おごそかにつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
永享元年四十三歳の年、八月二十五日、後花園天皇の勅によって、撰集の御沙汰ごさたが下った。尭孝は和歌所の開闔かいこう、撰者は飛鳥井雅世まさよであった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
古来人民の自由になし来たった場所はさらに民有に引き直して明治維新の徳沢に浴するよう寛大の御沙汰ごさたをたまわりたいとしたものであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
清八は取り敢ず御鷹匠小頭こがしらより、人を把るよしを言上ごんじょうしけるに、そは面白からん、明日みょうにち南の馬場ばばおもむき、茶坊主大場重玄おおばじゅうげんを把らせて見よと御沙汰ごさたあり。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
また総本山東大寺に訴えたら、都からどのような御沙汰ごさたがあろうも知れぬ。そこをよう思うてみて、早う引き取られたがよかろう。悪いことは言わぬ。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
夜も碌に眠りません程でございますによって、何卒なにとぞ老体の親共を不便ふびんと思召して、お慈悲の御沙汰ごさたをお願い申します、全く気違に相違ございませんから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それで、人家へ着いたなら、お役人の方へ御沙汰ごさたをしなくてはならぬから、一通り、あの人の殺されているところを調べて参りましょう。さあ一緒になって」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それで、右の木彫を宮城へ持って来て御覧に供せよとの御沙汰ごさたが岡倉校長にくだったのでありました。
たとひ紋着もんつきはかま穿いても、これが反對うらはらで、女湯をんなゆ揚場あがりばに、はうだんると、時節柄じせつがら早速さつそくすぢから御沙汰ごさたがあるが、男湯をとこゆをんな出入でいりは、三馬さんば以來いらい大目おほめてある。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうしてお耳にはいったのですか、宮中から御沙汰ごさたがありましてね、こう仰せられるのです。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
おきなひめもその細工さいく立派りつぱなのにをどろいてゐますと、そこへうんわるく玉職人たましよくにん親方おやかたがやつてて、千日せんにちあまりも骨折ほねをつてつくつたのに、まだ細工賃さいくちんくださるといふ御沙汰ごさたがないと
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
仏法領ぶっぽうりょうの物をあだにするかやと仰せられ、両の御手にて御いただき候としかじか、総じて紙の切れなんどのようなる物をも、仏物ぶつもつとおぼしめし御用い候えばあだに御沙汰ごさたなく候うの由
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
それには、ただ今天皇陛下から拝謁はいえつ御沙汰ごさたがあって参内さんだいして来ましたばかりです。涙が流れて私は何も申し上げられませんでしたが、私に代って東大総長がみなお答えして下さいました。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
衣類いるゐ大小だいせうしち一口ひとくち最早もはや月切つきぎれ相成あひなりながれに出しゆゑ先日一寸御斷り申上げましたが止ておけとの事ゆゑ今日けふ迄見合せ置たれども今になん御沙汰ごさたもなきにより最早流れ切に致しますそれともあげを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゆくゆくは奏覧にも供え、また二条摂政さま(良基よしもと)の莵玖波つくば集の後をけて勅撰ちょくせん御沙汰ごさたも拝したいものとひそかに思定おもいさだめておいでの模様で、いたくこの集のことをお心に掛けてございました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
妾は寝耳に水の感にて、何か今明日こんみょうにちに喜ばしき御沙汰ごさたあるに相違なし、とにかくその用意をなし置かんと、髪をくしけずり置きしに、果して夕刻書物など持ちて典獄の処にで来るようにと看守の命あり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
弾正殿を闇討やみうちにするようにと、内々御沙汰ごさたを下されました。
多年山村氏の配下にあった家中衆も、すべておいとまを告げることになり、追って禄高ろくだか等の御沙汰ごさたのある日を待てと言われるような時がやって来た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを聞いた弥五兵衛以下一族のものは門を閉じて上の御沙汰ごさたを待つことにして、夜陰に一同寄り合っては、ひそかに一族の前途のために評議をらした。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
道理において長二郎へは御褒美の御沙汰ごさたあって然るびょう存じ奉つると言上いたされましたから、家齊公には意外に思召され、其の理を御質問遊ばされますと
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
源氏の君を不運の中に沈淪ちんりんさせておいて、起用しないことは国家の損失であると思召おぼしめして、太后が御反対になったにもかかわらず赦免の御沙汰ごさたが、源氏へ下ることになった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
もし、まだ片のつかないものがあるとすれば、それは一党四十七人に対する、公儀こうぎ御沙汰ごさただけである。が、その御沙汰があるのも、いずれ遠い事ではないのに違いない。そうだ。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆくゆくは奏覧にも供へ、また二条摂政さま(良基よしもと)の莵玖波つくば集の後をけて勅撰ちょくせん御沙汰ごさたも拝したいものとひそかに思定おもいさだめておいでの模様で、いたくこの集のことをお心に掛けてございました。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
爲難なしがたし依て一先ひとまづ江戸表へ御旅館ごりよくわん修繕しつらひとく動靜やうす見計みはからひ其上にて御下り有て然るべし其あひだには江戸表の御沙汰ごさたも相分り申さんへんおうじて事を計らはざれば成就じやうじゆほど計難はかりがたしといふに然ば江戸表に旅館りよくわん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
万一討ちもらしたら他領までも付け入って討ち取るように、それを等閑なおざりにしたらきっと御沙汰ごさたがあるであろうという意味のことも書き添えてあった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかるに横田家の者どもとかく異志を存する由相聞え、ついに筑前国ちくぜんのくに罷越まかりこそろ。某へは三斎公御名忠興ただおきおきの字をたまわり、沖津を興津と相改めそろよう御沙汰ごさた有之候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
家事不取締り以ての外と云う厳しい御沙汰ごさたで、父親おやじは百日の間謹慎つゝしみを仰付けられ、百日間に國綱のお刀の出ん時には父は切腹仰付けられるか、追放仰付けられるか知れん
祈祷きとうと御精進しょうじんで一時およろしかった御眼疾もまたこのごろお悪くばかりなっていくことに心細く思召して、七月二十幾日に再度御沙汰ごさたがあって、京へ帰ることを源氏は命ぜられた。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
張せられしが右樣の儀ならばまへ以て私共わたくしどもへおはなしの有べきはずなり若し此事町奉行所まちぶぎやうしよより御沙汰ごさたあらば貸主かしぬし三郎兵衞は勿論もちろん世話人の庄藏までの難儀なんぎなり何卒なにとぞ右の表札へうさつと御玄關なる御紋付ごもんつきのお幕はお取外とりはづしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして、将軍家茂に勧めて、慶喜に政務を譲りたいむね、諸事家茂の時のように御委任ありたい旨、その御沙汰ごさたを慶喜へ賜わるように朝廷に願い出た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私が家事不取締不埓至極という厳しい御沙汰ごさたを受けて切腹仰せ付けられるも知れないが、それより外に致し方はない、誠に困ったがよんどころないから宜しい、其のむきに届けるから
御息所みやすどころの感謝しておられる志も、せめてこの際に現わしたいと中宮は思召したのであるが、宮中からの賀の御沙汰ごさたを院が御辞退されたあとであったから、大仰おおぎょうになることは皆おやめになった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
十二月の初めから御不予の御沙汰ごさたがあり、中旬になって御疱瘡ごほうそうと定まって、万民が平和の父と仰ぎ奉ったみかどその人は実に艱難かんなんの多い三十七歳の御生涯ごしょうがいを終わった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
丈「ヘイ/\今は褒美も何も入りません、小左衞門さえ死んでしまえば、彼処あすこのものは縁の下の蜘蛛の巣までみんわっちの物だ、石川の娘の極りが附けば、またお前さんの処へ御沙汰ごさたを致しますぜ」
王室に対する過去の非礼を陳謝する意味のものでもあって、同時に公武合体の意をいたし、一切の政務は従前どおり関東に委任するよしの御沙汰ごさたを拝するためであった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何ういう贔屓か存じませんがあんま依估えこ御沙汰ごさたかと存じます、成程幸兵衞は親のかたきでもござりましょうが、御新造は長二郎の母に相違ござりませんから、親殺しのお処刑しおきに相成るものと心得ますに
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それがです、本陣、庄屋、それに組頭くみがしらだけは、当分これまでどおりという御沙汰ごさたがありました。それも当分と言うんですから、改革はそこまで及んで行くかもしれません。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
所でくだんの權六の事がお耳に入りますと、其の者を予がそばへ置きたいとの御意ゆえ、お附の衆から老臣へ申し立て、かみへも言上ごんじょうになると、苦しゅうないとの御沙汰ごさたで、至急に江戸詰を仰付けられたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その御沙汰ごさたがあるほど、総督府参謀の威厳は犯しがたくもあったという。西の在国をさして馬籠の宿場を通り過ぎる屋敷方の中には、紀州屋敷のうわさなどを残して行くものもある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
公卿くげおとない朝廷の御機嫌ごきげんを伺い、すでに勅使を関東につかわされているから、薩藩と共に叡慮えいりょの貫徹に尽力せよとの御沙汰ごさたを賜わったのも、六月の二十日から七月へかけてのことであった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
関東防禦の儀は、しかるべき人体にんてい相選み申し付けられ候よう、御沙汰ごさたに候事。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)