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弊
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へい
ふりがな文庫
“
弊
(
へい
)” の例文
しかし技巧をおもにして研究を重ねて行かれるうちには、時によると知らぬ間に、ついこの
弊
(
へい
)
に陥る事がないとは限らんと思います。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なまじいに科学的な国柄だけに西洋の方に此の
弊
(
へい
)
が強く、例えば、オスカア・ワイルドに「カンタビイルの幽霊」というものがあるが
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
全文は七箇条、このほかにも、
朝令暮改
(
ちょうれいぼかい
)
の
弊
(
へい
)
やら、賞罰の不明朗やら、吉野朝廷の君臣には、とにかく痛いところをついている。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これではいささか金儲けの学問と聞える
弊
(
へい
)
があるとて、広くは行われず、異論はありながらも、やはり「経済学」と言うておったのである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
徒らに、特権階級に媚びる文学は、小説といわず、少年少女の教育に役立つ読物といわず、またこの
弊
(
へい
)
に陥っています。
童話を書く時の心
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
今の文壇のふまじめと党閥の
弊
(
へい
)
とを
説
(
と
)
いて、「とても東京にいても勉強などはできない。田園生活などという声の聞こえるのももっともなことです」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
これらの
弊
(
へい
)
に
陥
(
おちい
)
らぬようにするには、まず悪口に対してはいかなる態度におらねばならぬか、その度胸を定めたい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
三句切の歌詠むべからずなどいふは
守株
(
しゅしゅ
)
の論にて論ずるに足らず候へども、三句切の歌は尻軽くなるの
弊
(
へい
)
有之候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
地上
(
ちじゃう
)
に
存
(
そん
)
する
物
(
もの
)
たる
限
(
かぎ
)
り、
如何
(
いか
)
な
惡
(
あ
)
しい
品
(
しな
)
も
何等
(
なにら
)
かの
益
(
えき
)
を
供
(
きょう
)
せざるは
無
(
な
)
く、
又
(
また
)
如何
(
いか
)
な
善
(
よ
)
いものも
用法
(
ようはふ
)
正
(
たゞ
)
しからざれば
其
(
その
)
性
(
せい
)
に
悖
(
もと
)
り、
圖
(
はか
)
らざる
弊
(
へい
)
を
生
(
しゃう
)
ずる
習
(
なら
)
ひ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
かくの如く婦人は
到底
(
とうてい
)
無器用なる男子の出来ぬ多くの労力を自らするのであって、
其処
(
そこ
)
に自然に男女間の分業が行われる。が、この分業から一種の
弊
(
へい
)
が
萌
(
きざ
)
す。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
是
(
これ
)
は観察者の見落しと言わんよりも、むしろ漢語でばかり物を考えようとした
弊
(
へい
)
であろうと思う。例えば稲作作業の一季の結末を、もとは日本語で何と
謂
(
い
)
ったか。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
善を喜ぶのあまり時に悪を憎む事甚しきに過ぐると、悪を憐みて遂に悪に染むと、その
弊
(
へい
)
いづれか大なるや。猥䙝に近きものを排くるは人をして
危
(
あやう
)
きに近よらしめざるなり。
猥褻独問答
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
組織のための組織を作るような
弊
(
へい
)
におちいってならないことは、いうまでもない。おたがいが仲よく人間を伸ばしあうのに最も都合のよい組織を作りあげたいのである。——
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それも一つは文学の
弊
(
へい
)
で我国の文学は病的文学と称すべきものだ。何でも
世中
(
よのなか
)
を悲観的に観察して
愚痴
(
ぐち
)
や不平ばかり並べている。
殊
(
こと
)
に風流に関するほど一層の悲観的になる。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし高岡の銅器には末期を思わせる飾りの多い
風
(
ふう
)
が残って、度を過ごしたものが多く、意匠に活々したものが欠ける恨みがあります。特に置物類にこの
弊
(
へい
)
を多く見受けます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
娘の子なるゆえにとて自宅に居ても衣裳に心を用い、衣裳の美なるが故に其破れ汚れんことを恐れ、自然に運動を節して自然に身体の発育を妨ぐるの
弊
(
へい
)
あり。大なる心得違なり。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
君
(
きみ
)
、
兵
(
へい
)
を
引
(
ひ
)
いて
疾
(
と
)
く
大梁
(
たいりやう
)
に
走
(
おもむ
)
き・
(三九)
其街路
(
そのがいろ
)
に
據
(
よ
)
り・
其方
(
そのまさ
)
に
虚
(
きよ
)
なるを
衝
(
つ
)
くに
若
(
し
)
かず。
彼
(
かれ
)
必
(
かなら
)
ず
趙
(
てう
)
を
釋
(
す
)
てて
自
(
みづか
)
ら
救
(
すく
)
はん。
是
(
こ
)
れ
我
(
われ
)
一
擧
(
きよ
)
して
趙
(
てう
)
の
圍
(
かこ
)
みを
解
(
と
)
きて、
(四〇)
弊
(
へい
)
を
魏
(
ぎ
)
に
收
(
をさ
)
むる
也
(
なり
)
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
鶏
(
にわとり
)
や飼犬のような
宛
(
あ
)
てがいの料理は真の栄養にはならない。自由人には医者がいうような偏食の
弊
(
へい
)
はない。偏食が災いするまでには、口のほうで
飽
(
あ
)
きが来て、転食するから心配はない。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
人の害にもならず自分の損にもならず
後々
(
のちのち
)
までも円満にこの事が
成就
(
じょうじゅ
)
する訳ですけれども、チベット人は誠の事をわざわざ
枉
(
ま
)
げて言いもし信じもする
弊
(
へい
)
がありますので誠に困った国民です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
私の
観方
(
みかた
)
は偏しているというか? 唯
弊
(
へい
)
を見て利を見ぬというか? しかし利よりも
弊
(
へい
)
の勝ったのが即ち文学の実際ではないか? 私の
観方
(
みかた
)
より文学の実際が既に
弊
(
へい
)
に偏しているではないか?
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかも原文に
拠
(
よ
)
ればとかくに堅苦しい漢文調に陥るの
弊
(
へい
)
あり、平明通俗を望めば原文に遠ざかるの
憾
(
うら
)
みあり、その調和がなかなかむずかしい。殊に浅学の編者、案外の誤訳がないとは限らない。
中国怪奇小説集:01 凡例
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その訳は——
下世話
(
げせわ
)
にいう、
氏
(
うじ
)
より育ち、二十を越すまで、
素性
(
すじょう
)
卑しく育った者を、この城中へ入れることは、いろいろと
弊
(
へい
)
がある。二つには、この周囲には、浪人者の
不逞
(
ふてい
)
な
徒輩
(
とはい
)
がいるらしい。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
但
(
ただ
)
し
呉々
(
くれぐれ
)
も妻は己の職業に
慢心
(
まんしん
)
して大切にして
貰
(
もら
)
う夫に
狎
(
な
)
れ、かりにも
威張
(
いば
)
ったり
増長
(
ぞうちょう
)
せぬこと。月並の
戒
(
いましめ
)
のようなれど、
余程
(
よほど
)
の心がけなくてはいわゆる女性の
浅
(
あさ
)
はかより、この
弊
(
へい
)
に
陥
(
おちい
)
り
易
(
やす
)
かるべし。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
文学の目的が直接にこの
弊
(
へい
)
を救うにあるかどうかは問題外としても情操文学がこの
陥欠
(
かんけつ
)
を補う効果を有し得る事はたしかであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
久しいあいだの貴族宗教の
弊
(
へい
)
や門閥教団の害を彼は打ちやぶった。法悦の楽土を殿堂の神秘から庶民社会へひき下ろした。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
坊主
(
ぼうず
)
が
憎
(
にく
)
けりゃ
袈裟
(
けさ
)
まで
憎
(
にく
)
い」というのは、また同時に
袈裟
(
けさ
)
を憎む者は
坊主
(
ぼうず
)
自身を憎むという
弊
(
へい
)
に
陥
(
おちい
)
りやすい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
三句切の歌詠むべからずなどいうは
守株
(
しゅしゅ
)
の論にて論ずるに足らず候えども三句切の歌は
尻
(
しり
)
軽くなるの
弊
(
へい
)
有之候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
今回の大戦以後世界の動揺はある点からいえば、現代文明の
弊
(
へい
)
が
与
(
あずか
)
って力ありとも言えるであろうと思う。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
これというのも多くは情実の
弊
(
へい
)
ですが、婚礼を情実が支配するのは一番困りますね
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
徳利が
破
(
こは
)
れるといふ大活劇を演ずることも度々で、それは随分
弊
(
へい
)
が多かつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
わたしは何度注意したか分からないが、今もってその
弊
(
へい
)
は続いている。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
下
(
くだ
)
れる世に立って、わが真を貫徹し、わが善を
標榜
(
ひょうぼう
)
し、わが美を提唱するの際、
拖泥帯水
(
たでいたいすい
)
の
弊
(
へい
)
をまぬがれ、
勇猛精進
(
ゆうもうしょうじん
)
の
志
(
こころざし
)
を固くして
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝廷も世間のうち、人と人との寄りあい、げに、その
弊
(
へい
)
は
否
(
いな
)
みがたい。が、遠い
祖
(
おや
)
たちが叡智で築いた国の
要
(
かなめ
)
だ。乱離にしてよいものではない。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薬も長きむずかしき名を付ければ
効能
(
こうのう
)
多く聞こゆるの例によりて、ややもすると、今もこの
弊
(
へい
)
に
陥
(
おちい
)
りやすい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
大体の趣向出来たらばその次は句作の上に前後錯雑の
弊
(
へい
)
なきやう、言葉の並べ方即ち順序に注意すべし。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これ文明の
弊
(
へい
)
である。この弊を避けてその利を収むるのは模範国民たるものの責任である。これが早稲田大学の教旨の最も根本を為すべき要点である(拍手喝采)。
早稲田大学の教旨
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と
素人
(
しろうと
)
のカツレツには往々この
弊
(
へい
)
あり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
婦人というものはとかく物をするのに正面から近道を通って行かないで、かえって遠方から廻りくどい手段をとる
弊
(
へい
)
がある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「旧北条のごとき
弊
(
へい
)
に
堕
(
お
)
ちず、かならず、よき前例にしたがって、献身、朝廷にお仕えつかまつりたいものと存じまする」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
学究先生が書籍本位の読書法は、ややもすると実際にかけ離れて、空疎迂遠の
弊
(
へい
)
に流れる傾きがある。
我輩の智識吸収法
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
趣向の小説的なる者を捕へてこれを歌に詠みこなす事は最も難きわざなるにただ歴史を叙する如き筆法に叙し去りて中心もなく統一もなき無趣味の三十一文字となし
自
(
みずか
)
ら得たりとする事初心の
弊
(
へい
)
なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
と地方到る
処
(
ところ
)
この
弊
(
へい
)
あり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
天下の府、
枢廟
(
すうびょう
)
の
弊
(
へい
)
や今きわまる。よろしく公明の
旌旗
(
せいき
)
を林集し、正大の雲会を遂げ、もって、
昭々
(
しょうしょう
)
日月の下に万代の革政を諸公と共に正さん。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最後に小生は目下
我邦
(
わがくに
)
における学問文芸の両界に通ずる趨勢に
鑒
(
かんが
)
みて、現今の博士制度の
功
(
こう
)
少くして
弊
(
へい
)
多き事を信ずる一人なる事を
茲
(
ここ
)
に言明致します。
博士問題の成行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
従来の党派は、往々その
弊
(
へい
)
に今陥りつつあるのを遺憾とするのである。このたびの解散によりて、このたびの改選によって、国民はやや自覚を始めた事を喜ぶのである。
憲政に於ける輿論の勢力
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と全国到る処この
弊
(
へい
)
あり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
同時に、自分の希望の達成が、自分の身近にはない気がして、常に遠くにばかり道があると思ってしまう
弊
(
へい
)
もある。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
したがって山水によって画を愛するの
弊
(
へい
)
はあったろうが、名前によって画を論ずるの
譏
(
そし
)
りも
犯
(
おか
)
さずにすんだ。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
復古という意味は
頗
(
すこぶ
)
る雄大なる意味を持っているのである。日本はかつて支那、
印度
(
インド
)
の文明を採用して日本の文化がある程度まで非常に進んだ。ところがこれに
弊
(
へい
)
が起った。
吾人の文明運動
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と到る処この
弊
(
へい
)
あり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
弊
常用漢字
中学
部首:⼶
15画
“弊”を含む語句
旧弊
旧弊人
弊私的里
疲弊
弊履
弊風
弊害
語弊
悪弊
余弊
弊竇
弊衣
御弊
積弊
弊悪
舊弊
疲弊困憊
弊事
時弊
通弊
...