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喪
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ふりがな文庫
“
喪
(
も
)” の例文
いかに秘しても、信玄の
喪
(
も
)
は諸国に洩れた。機逸すべからずである。——上杉は急撃して来た。小田原の北条も態度がちがって来た。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この時
阿遲志貴高日子根
(
あぢしきたかひこね
)
の神
到
(
き
)
まして、天若日子が
喪
(
も
)
を弔ひたまふ時に、天より
降
(
お
)
り到れる天若日子が父、またその妻みな哭きて
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
風俗
(
ふうぞく
)
も
派手
(
はで
)
でない、
女
(
をんな
)
の
好
(
このみ
)
も
濃厚
(
のうこう
)
ではない、
髮
(
かみ
)
の
飾
(
かざり
)
も
赤
(
あか
)
いものは
少
(
すく
)
なく、
皆
(
みな
)
心
(
こゝろ
)
するともなく、
風土
(
ふうど
)
の
喪
(
も
)
に
服
(
ふく
)
して
居
(
ゐ
)
るのであらう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
喪
(
も
)
にいるお富は半蔵の顔を見るにつけても亡き夫のことを思い出すというふうで、
襦袢
(
じゅばん
)
の
袖口
(
そでぐち
)
なぞでしきりに涙をふいていたが
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
喪
(
も
)
の国へ帰り
行
(
ゆ
)
く船と申す如き心地も
此夜頃
(
このよごろ
)
に深く身に沁み
候
(
さふら
)
ひしか。ピアノの音、蓄音器の声もせず、波の
響
(
ひゞき
)
のみ
凄
(
すご
)
げに立ち
居
(
を
)
り申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
喪
(
も
)
を発したらいいかと、その方法に悩み尽しているところへ、急に先ぶれがあって、大目付
添田飛騨守
(
そえだひだのかみ
)
の出ばりが告げられる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
親類朋友などが相
議
(
はか
)
って本人の名をもって養子をすることがあり、また時としては死後
喪
(
も
)
を秘し、本人の生存を装うて養子をすることもある。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
是は
喪
(
も
)
の
忌
(
いみ
)
を黒不浄、月の
障
(
さわ
)
りを赤不浄というに対して、白であろうと事もなげに解する者が多いが、産屋の
慎
(
つつ
)
しみを白というべき理由はない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すべてには
限
(
きり
)
があります。「死の蔭に」が出で、父の三年の
喪
(
も
)
が果てる頃から、私はそろ/\死の蔭を出ました。大正七年は私共夫妻の銀婚です。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
屋敷のうちも
喪
(
も
)
にこもったようにひっそりと沈んでいて、どこにも春らしい光りの見えないのがお時の眼についた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三年父母の
懐
(
ふところ
)
をまぬかれず、ゆえに三年の
喪
(
も
)
をつとむるなどは、勘定ずくの差引にて、あまり薄情にはあらずや。
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
なし七日々々の
追善
(
つゐぜん
)
供養
(
くやう
)
も
最
(
いと
)
念頃
(
ねんごろ
)
に
弔
(
とむら
)
ひ兄弟
喪
(
も
)
にぞ
籠
(
こも
)
りける然るに半四郎は
豫
(
かね
)
ての孝心ゆゑ親の
亡後
(
なきあと
)
は兄の半作を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
堯典に曰く、二十有八
載
(
さい
)
、
放勲
(
ほうくん
)
乃
(
すなわ
)
ち
徂落
(
そらく
)
せり、百姓
考妣
(
ふぼ
)
を
喪
(
も
)
するが如くなりき、三年、
四海
(
しかい
)
、
八音
(
はちいん
)
を
遏密
(
あつみつ
)
せりと。孔子曰く、天に二日無く民に二王無しと。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
『
喪
(
も
)
の
名残
(
なごり
)
』という俳書が暮秋の句の中に一括して入れているのを見ると、余計そういう風に考えられる。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
近衛
(
このえ
)
の兵隊は、音楽をやって、町じゅうねりあるきました。お寺の鐘は鳴りだしますし、お菓子屋のおかみさんたちは、お砂糖人形の黒い
喪
(
も
)
のリボンをどけました。
旅なかま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
市内に行われていた全ての過去から続く催し物に
喪
(
も
)
が発せられ、結婚式の美しい半裸体の夜半の女の背中に機関銃の弾で穴だらけになったソビエットの赤い旗が迫って
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
すると其処へ須世理姫が、
夕餉
(
ゆふげ
)
の仕度の出来たことを気がなささうに報じに来た。彼女は近親の
喪
(
も
)
を弔ふやうに、何時の間にかまつ白な
裳
(
も
)
を夕明りの中に引きずつてゐた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人民がことごとく服を白くしているとあれば天子の
喪
(
も
)
に相違ない。李陵は
武帝
(
ぶてい
)
の
崩
(
ほう
)
じたのを知った。北海の
滸
(
ほとり
)
に
到
(
いた
)
ってこのことを告げたとき、
蘇武
(
そぶ
)
は南に向かって
号哭
(
ごうこく
)
した。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかるにそれはどうであろう。質素極まる仮表装で、一点の飾もない白と黒とが、まるで何かの
喪
(
も
)
に籠っているように思われる。『蓬莱曲』というのは
正
(
まさ
)
にそんな本であった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかもその快活な気分は、母親におけると同じく、最近の
喪
(
も
)
に
阻
(
はば
)
まれたためさらにつのっていたのである。しかし彼女はもう、家畜ほどにもクリストフを気にかけていなかった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その當時三杯龍之助が一ヶ月前に老病で急死し、跡取り息子は早世して家を繼ぐ者がなく、死後養子のことで
喪
(
も
)
も秘して揉めてゐるといふことがやがて平次の調べで判つて來ました。
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
太祖の詔、可なることは
則
(
すなわ
)
ち可なり、人情には遠し、これより先に洪武十五年
高
(
こう
)
皇后の崩ずるや、
奏
(
しん
)
王
晋
(
しん
)
王
燕
(
えん
)
王等皆国に在り、
然
(
しか
)
れども諸王
喪
(
も
)
に
奔
(
はし
)
りて
京
(
けい
)
に至り、礼を
卒
(
お
)
えて還れり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
反対に不幸に打たれて、しかもそれに抵抗する気のきわめて少なくなっている忍受の心——できるかぎり何ものとも和らぎたいと願う心、むしろ一種の
喪
(
も
)
の感じに近い心で書いている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
土井は格別兄の
喪
(
も
)
にこもる積りはなかつたけれど、そこに閉籠れば閉籠つたで、どこへも出る気はしなかつた。二つの大きな桐胴の火鉢に、炭火がおこされて、湯がいつでも
熱沸
(
たぎ
)
つてゐた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
やがて、
喪
(
も
)
があけたとき、忠義者のヨハネスはわかい王さまにいいました。
忠義者のヨハネス
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
その時奥さんは
縁側
(
えんがわ
)
に出て手ミシンで
縫物
(
ぬいもの
)
をしていました。顔は
百合
(
ゆり
)
の花のような血の気のない顔、頭の毛は
喪
(
も
)
のベールのような黒い
髪
(
かみ
)
、しかして
罌粟
(
けし
)
のような赤い毛の
帽子
(
ぼうし
)
をかぶっていました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
あの手紙で見ると伯父はありとあらゆるお金を他の親類に讓つて私たちには
喪
(
も
)
の指環を三つ買ふのにリヴァズ家のセント・ジョンとダイアナとメァリーとで分ける爲めの三十ギニイだけを遺して。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そのまま母の
喪
(
も
)
におもむいた。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
重たき
繻子
(
しゆす
)
の
喪
(
も
)
の
掛布
(
かけふ
)
。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
喪
(
も
)
を
弔
(
とむら
)
う——と称してきた者を
拒
(
こば
)
むわけにもゆかなかった。魯粛が迎えて対面した。しかし故人周瑜の部下や、呉の諸将も口々に
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人の心が疑わしいので
喪
(
も
)
の船を一つ作つて、御子をその喪の船にお乘せ申し上げて、まず御子は既にお隱れになりましたと言い觸らさしめました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
(十二) 孔子は死後、魯の城北の
泗
(
し
)
のほとりに葬られた。弟子皆
喪
(
も
)
に服すること三年、
相訣
(
あいわか
)
れて去ろうとする時に非常に悲しんで、また留まる者もあった。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
喪
(
も
)
の間は火の
気
(
け
)
を
絶
(
た
)
やすことを
忌
(
い
)
むがところの
風
(
ふう
)
なれば、祖母と母との二人のみは、大なる
囲炉裡
(
いろり
)
の
両側
(
りょうがわ
)
に
坐
(
すわ
)
り、
母人
(
ははびと
)
は
旁
(
かたわら
)
に
炭籠
(
すみかご
)
を置き、おりおり炭を
継
(
つ
)
ぎてありしに
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お菓子屋さんたちは申しあわせたように、小ぶたのお砂糖人形を黒い、
喪
(
も
)
のリボンで巻きました。王さまは、お寺で坊さんたちにまじって、神さまにお祈をささげました。
旅なかま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
明治三十八年十二月から菜食をはじめて、明治三十九、四十、四十一、と満三年の
精進
(
しょうじん
)
、云わば昔の我に対する三年の
喪
(
も
)
をやったようなものだ。以前はダシにも
昆布
(
こんぶ
)
を使った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
成経 (傍白)まるで
喪
(
も
)
のような顔つきをしている。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
虐殺なり、
喪
(
も
)
なり。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
残務に当っている一部の者は、極端な
劇務
(
げきむ
)
に
趁
(
お
)
われ、
閑役
(
かんやく
)
の者は、
門扉
(
もんぴ
)
を閉めきって、主君の
喪
(
も
)
に服しているほか、なす事もなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喪
(
も
)
から
喪
(
も
)
へ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それは、亡き楠木河内守正成の
嫡男
(
ちゃくなん
)
正行
(
まさつら
)
だった。先帝の
喪
(
も
)
と洩れ聞いて、正行は一族の和田和泉守らとほか数百騎をひきつれて
馳
(
は
)
せ参じ
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然る後、時を計って、魏勢の先鋒を追い、退路を開いてから後、初めて、わが
喪
(
も
)
を発すれば、おそらく大過なく全軍帰国することを得よう
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
車を護り
繞
(
めぐ
)
っている者は、
姜維
(
きょうい
)
以下、手に手に鉄槍を持った十数人の大将であり、士気、旗色、どこにも陰々たる
喪
(
も
)
の影は見えなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただちに
喪
(
も
)
を発し、泊中の者は頭巾に
喪章
(
もしょう
)
をつけ、また
宛子台
(
えんしだい
)
の上には黒い
喪旗
(
もき
)
が掲げられ——一山、
哀号
(
あいごう
)
のうちに沈みきった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど前夜いらい、尊氏が
喪
(
も
)
に服して「魚鳥を口にせず」としていたため、なんとなく、陣中、士気も揚がらないふうだった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて公卿たちの腹もさだまり、
喪
(
も
)
は
遺詔
(
いしょう
)
の
檄
(
げき
)
と共に、全国の宮方へ通達され、あくまで吉野死守の結束を新たにしていた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この日、漢中王の名をもって、蜀中に
喪
(
も
)
は発せられ、成都宮の南門には、関羽を祭る壇が築かれ、そして雪積む冬中も
弔旗
(
ちょうき
)
は寒天に凍っていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一時甲州では、ふかく
喪
(
も
)
を秘していたが、この秋、隠れもなく知れわたって、甲州の武田信玄の在世は、もう誰も信じるものはなくなっていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が死んでも、かならず
喪
(
も
)
を発してはいけない。必然、
司馬懿
(
しばい
)
は好機逸すべからずと、総力を挙げてくるであろうから。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらく信長の後、天下の
仕置
(
しおき
)
をなす者は彼ではないでしょうか。……武門には、敵の
喪
(
も
)
を討たず、という古言もある。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はじめて、彼が高時の命で上方へ出陣したときは、父貞氏の
喪
(
も
)
に会していた。よくよく、出陣祝いにはめぐまれない
巡
(
めぐ
)
り
合
(
あわ
)
せがつきまとっている。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“喪”の意味
《名詞》
(も)親しい人の死後、一定の期間、行いを慎み死者を弔うこと。
(出典:Wiktionary)
“喪”の解説
喪(も、英語:mourning)とは、身近な者や心を寄せる者、尊ぶべき者等の死を受けて、それを悲しむ者が一定期間中を過ごすことになる、日常生活とは異なる儀礼的禁忌状態であり、人間社会においておよそ普遍的な現象である。親族を亡くしたときに遺族が身を置く場合が最も一般的である。
(出典:Wikipedia)
喪
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喪”を含む語句
沮喪
喪失
喪心
喪服
喪家
喪中
喪主
喪神
得喪
御大喪
阻喪
喪山
見喪
喪然
喪章
喪旗
服喪
喪屋
去喪
心喪
...