冒険ぼうけん)” の例文
旧字:冒險
すみなれたはやしや、やまや、かわや、野原のはら見捨みすて、らぬ他国たこくることは、これらの小鳥ことりにとっても、冒険ぼうけんにちがいなかったからです。
ふるさと (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてまた、これからどんなものを見るだろうか、どんなにたくさんの冒険ぼうけんをするだろうかなどと、さまざまに想像そうぞうをめぐらしてみました。
その日国語の時間に、大石先生は冒険ぼうけんをこころみてみた。生徒たちはもう『草の実』とその先生のことを知っていたからだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
新聞社は特大の活字もて、このめずらしき冒険ぼうけん少年の記事をかかげた号外を発行した。ニュージーランドの市街しがいは、少年連盟のために熱狂した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「二十年たったら、世の中がどんなに変っているか、それを見たかったから、こんな冒険ぼうけんをしたんです」
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さて、この国にふたりの兄弟きょうだいが住んでおりました。あるまずしい男のむすこたちでしたが、このふたりが名のってでて、このたいへんな冒険ぼうけんをやってみよう、ともうしでました。
戸倉とくらを出立して七里の山路やまじぎ、花咲峠はなさきとうげの険をえて川塲湯原村にきたはくす、此地に於て生死を共にし寝食しんしよくを同じくしたる人夫等十五名と相別あひわかるることとなり、衆皆其忠実ちうじつ冒険ぼうけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
いっそ門のそとまで出て愉快に自分のほうからむかえてやろう。あとはあたってくだけるまでのことだ。——かれは冒険ぼうけんとも自棄じきともつかない気持ちで、自分自身をはげましたのだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あしの葉のそよぎにも息を殺す二人の身の上に取って、このくらい冒険ぼうけんはありません。見付かったら最後、二人はどんな運命になるか判らない。昭青年は戦慄せんりつを覚えながらし止めました。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
おとなは自転車じてんしゃで一日に往復おうふくしましたが、やっと十一さいの林太郎が、それも小さな足でぽつぽつ歩いて、まだ一度も歩いたことのない道をいこうというのですから、それはずいぶんの冒険ぼうけんでした。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
といつたほどであるから、おはづかしいが、わたしにしてはうまれてはじめての冒険ぼうけんで、あしえ、きもえて、中途ちうとおもはず、——絶頂ぜつちやういしほこらは八幡宮まんぐうにてましますのに、——不動明王ふどうみやうわう、とねんずると、やあ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
賢二けんじくんは、これをつのはなんでもなかったが、ねずみのこの健気けなげ冒険ぼうけんたいして、じゃまをする気持きもちになれませんでした。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
冒険ぼうけんや、自由や、空高くたびをすることなどが、これからはできなくなることを思って、そのかなしみのために、泣いたのです。
一同の意気はとみにあがった、だがただひとり、ゴルドンはしじゅう黙然もくねんと腕を組んで一言も発しなかった。思慮しりょ深いかれはこの冒険ぼうけんをあやぶんだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
冒険ぼうけんだという気がしないでもなかったが、一方では、かれほどの人物であれば、将来はまた何とでもなるだろう、という気もして、ついにその希望をいれてやることにしたのであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
冒険ぼうけんなること上州人のく及ぶ所に非ずと云ふ、其方法に依ればくま銃撃じゆうげきして命中あやまり、熊逃走とうさうする時之を追駆つゐくすれば熊つひいかりて直立し、まさに一てうひとつかまんとす、此に於て短剱たんけんを以て之をつらぬ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
その人々ひとびとなずに、どんな冒険ぼうけんでもやってみて、そのしまへたどりきたいものだとおもいました。そして、そのことをとしよりの物知ものしりにたずねました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きみはだいじょうぶでも、ほかの人たちはそうはいかんよ、君にしたところでたいせつなからだだ、つまらない冒険ぼうけんはおたがいにつつしもうじゃないか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかし、そういうことをただちに個々の大衆青年に求めるのは大きな冒険ぼうけんだよ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そこで、ニールスはいままでの冒険ぼうけんを話しはじめました。話がすすむにつれて、おばさんはますますびっくりしました。なんというめずらしい話だろう! おばさんは心の中でよろこびました。
ものぐさの主人しゅじんを、てこずらせるほどの、元気げんきなねずみですから、電線でんせんわたっていこうと、冒険ぼうけん決心けっしんしました。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けずりをかけたような、がけのうえち、たにをへだてて、前方ぜんぽうのいただきを見上みあげるひとがあります。そのひとは、自然しぜんあいするために冒険ぼうけんをしたのでしょう。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
鍛冶屋かじや主人しゅじんは、それは、あまりに無謀むぼうなことだとおもったが、すべて、成功せいこうをするには、これほどの冒険ぼうけん勇気ゆうきが、なければならぬともかんがえられたのでした。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまは、どんな冒険ぼうけんをしても、ねこのために、いい場所ばしょさがさなければならぬとおもったのです。さいわいひとがいなかったので、すぐ座敷ざしきへつれてきました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
それよ、おれのいわないことじゃない。なんでもあせると、おとうとのやつみたいにそんをするものだ。むかしから、うんてというから、冒険ぼうけんなどをするものじゃない。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、いつまでもこうしていては、たすからないとおもいましたから、いのちがけの冒険ぼうけんをするで、十ぶん注意ちゅういしながら、いわいわあいだをこいで、そのしま上陸じょうりくしました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこのくにでも、いつの時代じだいでも、わかいものは冒険ぼうけんこのみます。また、はたらいてをたてようとおもいます。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
兄弟きょうだいばとは、はじめのうちは、母親ははおやのいうことをほんとうだとおもって、したがっていました。しかしだんだんおおきく、つよくなると、冒険ぼうけんもしてみたかったのであります。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「すぐ、レールにつけなければ、だめなんだよ。ぼくたち、冒険ぼうけんをして、電気でんきをかけにいくのさ。」
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、できるだけしたへくびをばしました。まさしく、それは冒険ぼうけんでありました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
航海こうかいするふねが、うみなかで、岩角いわかどひかるものをつけて、やっとこぎせてみると、それがダイヤモンドであったというはなしおもしますと、地主じぬしはひとつ冒険ぼうけんをしてみたくなりました。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだ、ふね真珠島しんじゅとうけよう、おれたちは、それだけの冒険ぼうけんをするかわり、うんと報酬ほうしゅうをもらわなくちゃならない。」とわか船員せんいんたちは、ほかにもいつか甲板かんぱんうえあつまってきていて
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わかいがんたちは、いくばくもなくして、このとしとったがんを冒険ぼうけん旅路たびじ案内あんないにさせたことは、無理むりであり、また、どくであったことをかんじました。けれど、どうすることもできません。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おじさん、ぼくも、おおきくなったら、どこか、らないたかやまや、ふかたにのあるところへ、いってみたいとおもいます。」と、勇吉ゆうきちは、冒険ぼうけんにたいする勇猛心ゆうもうしんと、かぎりない自然しぜんにたいして
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、のほうからは、まったくなれない黒色こくしょくのくもが、おそらく、このあたりにすむのであろうが、どうして、みずをわたったものか、冒険ぼうけんをおかして、やはりものをねらっているのでした。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)